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【『LoL』世界大会2018】変化の奔流が王者たちを飲み込む。トップ4が絞られた準々決勝

目次
  1. ノックアウトステージ 準々決勝(QUARTER FINALS DAY1/DAY2)
    1. KT Rolster(KT) vs Invictus Gaming(IG)―韓国の希望堕つ
    2. Royal Never Give Up(RNG) vs G2 Esports(G2)―西洋の逆襲
    3. Afreeca Freecs(AFS) vs Cloud9(C9)―本当の青を決める戦い
    4. Fnatic(FNC) vs Edward Gaming(EDG)―ヨーロッパ王者の最強形態
  2. 波乱のノックアウトステージ、煮詰まり変化するメタゲーム
  3. 準決勝以降の見どころ
    1. G2 vs IG―ドラフト・レーン・集団戦。どこかのミスが命取りに
    2. C9 vs FNC―激突、智将vs智将
  4. トップ4がトップ2に。明日に迫る準決勝!
リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の今年の世界大会「World Championship 2018(Worlds)」も、10月初めに日本代表DetonatioN FocusMeらが出場したプレイインステージ、世界各地から集まったトップチームがしのぎを削ったグループステージを経て、先週からいよいよ勝ち抜きトーナメント方式のノックアウトステージへと突入した。

ノックアウトステージ第1段階は準々決勝戦。グループステージを勝ち抜いたトップ8がBo5(ベスト・オブ・ファイブ、つまり3本先取)方式で戦い、トップ4に絞られる戦いだ。グループステージ~ノックアウトステージ準々決勝は日本語配信がなかったものの、日本から時差のない韓国開催という事情も相まって、日本のファンも多くが行方を見守った。この記事で準々決勝のおさらいをしつつ、明日10月27日から始まる準決勝への期待を高めていこう。

ノックアウトステージ 準々決勝(QUARTER FINALS DAY1/DAY2)

KT Rolster(KT) vs Invictus Gaming(IG)―韓国の希望堕つ

▲IG JackyLove選手。中国チームのADCにかかる負担と期待は相当大きい

LCKきっての名門にして今夏悲願の国内リーグ制覇を果たしたKT と、プレイオフこそあと一歩で優勝を逃したものの、圧倒的な強さでレギュラーシーズンに君臨したIGが準々決勝初戦で激突した。第1~2試合ではIGがKTを圧倒する形で勝利し、そのまま第3試合も押し切るかと思われた。しかし試合展開は互いのネクサスを攻撃しあう白熱のベースレースに突入。通常攻撃1回という薄氷の差でKTが勝利し、劇的な幕切れを迎えた。

続く第4試合もKTがレーンから主導権を取って2勝2敗とイーブンに戻し、準々決勝最初の対戦は第5試合へもつれ込んだ。第5試合は序盤こそ一進一退の攻防となったが、次第に獲得ゴールドやドラゴンがIG側有利に傾いていく。最後は十分な資金差でIGが押し込む状況を作り出し、韓国最有力チームの一角を打倒した。

▲KT Score選手は今年26歳とチームの最年長。兵役のある韓国ではそろそろ引退が迫る年齢であり、最後のWorldsになったとすれば悔いの残る結果になってしまった

Royal Never Give Up(RNG) vs G2 Esports(G2)―西洋の逆襲

▲プレイヤー席で吼えるG2 Jankos選手。ゲームプレイにおいても、コミュニケーション面においても、チームの要だ

今年最も勢いのあるチームであり、国際大会全タイトル制覇も見えているRNGと、今シーズンはFNCに後塵を拝する形でプレイインからのWorlds出場となっていたG2が、続いての対戦となった。

RNGがUzi選手のリードから勝ちをもぎ取れば、G2はWunder選手とPerkz選手がレーンを押し込んで反撃する。互いに長所を押し付けた試合に勝利する形で2勝ずつを得たため、準々決勝初日は両対戦ともに決着まで5試合フルで行うこととなり、合計10試合の長丁場となった。

第5試合は、2分20秒頃にボットレーンで発生した少数戦でUzi選手のシヴィアがキルされ、Hjarnan選手のジンのヘルスが1残る、という誰もが目を疑う展開で始まる。その後もG2は先に仕掛けるゲームを作り続けていく。RNGは集団戦に耐えうる装備を整え、G2が少しでもミスをおかせばゲームをひっくり返せる状態まで拮抗したものの、わずかに及ばなかった。グランドスラム達成もあり得ると見られていたRNGは準々決勝で敗退。準決勝に勝ち上がったのはプレイインから出場のG2となった。

▲RNG Uzi選手の背負った期待は生半可なものではなかっただろう。しかし、誰よりも悔しい思いをしているのは本人だ

Afreeca Freecs(AFS) vs Cloud9(C9)―本当の青を決める戦い

▲背後にオーナーのJack氏。プレイヤー席に座るLicorice選手(左)とSvenskeren選手(右)の間にはサブジャングルのBlaber選手。右にはReaperedコーチも見える

初日にKT Rolsterが敗北したことにより、最後の韓国チームとなってしまったAfreeca Freecs。対するは、大会ごとにやはり「北米最後の希望(NA Last Hope)」と呼ばれる形でノックアウトステージに進出しているCloud9。AFSはソロQで猛威を振るいながらも試合には登場していなかったトップビクターを選択し、さらに中盤以降アイテムが揃えばスケールで勝るチャンピオンでC9を迎え撃つ体制を整える。

レーン戦を押さえ、確実な視界確保でゲームの主導権をゆっくりとつかむという組み立ては韓国チームが得意とするところだが、C9がその意図を挫く攻撃的かつ早いゲームを展開。局所的にはAFSもしっかり組み立てるシーンは見られ、ゲームごとにリードする時間も増えていった。

しかし第3試合、C9によるまさかのバロンスティールが決まり、AFSがリードしていた試合をひっくり返す展開が起こる。C9の攻撃に呑まれる形でAFSは敗退となった。北米チームとして、アジア地域のチームが参加するようになったシーズン2以来、C9が初めてベスト4入りを果たす結果となった。

▲試合後にAFSサポートのTusiN選手を称える、C9サポートのZeyzal選手。AFSの敗北をもって、韓国地域の連続優勝は消えた

Fnatic(FNC) vs Edward Gaming(EDG)―ヨーロッパ王者の最強形態

▲FNC Rekkles選手も満面の笑顔。チームの出来は上々だ

今シーズンのEUの頂点に立つFNC。他チームの台頭によりプレイインからの参加となったものの、国際大会での活躍も多いLPLの名門EDG。歴史ある東西の2チームが準々決勝最後のカードで対峙した。

第1試合はEDGが序盤から圧倒的なリードを築いてFNCを蹴散らしたものの、第2試合以降はFNC側が的確な修正を見せて反撃。個々の試合は接戦となり、EDGが獲得ゴールドで優位に立ち続けた試合もあったが、EDGは「カイ=サ」を組み込んだ構成で勝ちきることができない。

一方でFNCは一つのレーンで不利になってもEDGのチーム構成が意図する展開を阻み続け、試合の流れを手繰りよせることに成功していた。結果的にFNCが3連勝で返す形でEDGを撃破。準決勝への進出を決めた。LPL悲願ともいえるWorlds優勝はIGに託される形となり、FNCは2015年以来の準決勝進出を達成した。

▲多くの選手が「今年の中国チームはプレイスタイルが非常に似通っている」と称する。それが正しいのなら、シード順は同スタイルの中での強さといえるのかもしれない

波乱のノックアウトステージ、煮詰まり変化するメタゲーム

今大会のノックアウトステージは、初戦となる準々決勝から波乱の展開となっている。各地域を代表する第一シードチームはすでにFNC以外敗退しており、さらには韓国チーム、グランドスラム達成もあり得ると言われていたRNGもここで敗れた。準決勝に進んだのはヨーロッパから出場のFNC・G2。北米から出場のC9。そして中国からのIGとなっている。

今大会が開幕した当初、「生き残り盤面を持たせられれば絶対に強くなって勝ちきれる」選択として機能していたADCチャンピオン「カイ=サ」。このカイ=サを支えるためのチャンピオン選択に長けたチームや、同レーンでのチャンピオンに明確なカウンターを当てて試合のコントロールを握る試合を得意としていたチームに対して、複数のレーンで序盤・中盤に強力なチャンピオンを使用しそのまま主導権を取り切ってしまうチームの方が有利に立っているようでもある。

EDGやRNGは終盤にADCが大火力で勝ちきる状況を用意できず、KTやAFSは中盤以降の主導権を取るという構成で序盤を支えきれずゲームを落としている。強力なチャンピオンで序盤から積極的にゲームを動かせるかどうかが準決勝以降の焦点になるはずだ。

準決勝以降の見どころ

G2 vs IG―ドラフト・レーン・集団戦。どこかのミスが命取りに

G2はWunder選手(トップ)とPerkz選手(ミッド)が強力なチャンピオンをスイッチして使いこなせることから対面させるチャンピオンの選択が難しい。またHjarnan選手(ADC)が非マークスマンである「ハイマーディンガー」で圧倒的な戦績を叩き出していることから、G2相手にはこのチャンピオンのバンが必須となる。バン・ピックの段階でG2の構成を崩すのは難しい。

IGはトップレーンを担う2人の選手であるTheShy・Duke両選手と、ミッドのRookie選手がそれぞれのレーンで対面を圧倒できるかがポイントになるだろう。IGは中国リーグの夏スプリットで18勝1敗という圧倒的な勝率を誇っており、レーン戦でも劣るところはないはずだ。ただ、カイ=サがオープンになった場合は「中盤以降に圧倒的な活躍をして勝つカイ=サのゲーム」をしたいという欲求に抗えず、現状では難しいゲームに挑むことになるかもしれない。

G2は準々決勝ですでに中国チームであるRNGを破っており、ADCを中心に組み立てる構成で終盤の勝負を挑むのであればIGにとって厳しい展開になるように思われる。一方でレーンの段階で各選手を抑え込めればG2のゲームプランを崩すこともできるはずで、まずはシンプルなレーンでの強さをぶつけ合うことになるだろう。

▲G2 Wadid選手は釜山出身の韓国人選手。地元での世界大会に出場し、勝ち抜いた喜びはひとしおだ

C9 vs FNC―激突、智将vs智将

C9はトップレーンのLicorice選手が今大会では何度も決定的なシーンで活躍を見せており、準々決勝ではミッドのJensen選手が卓越した技術をいかんなく見せている。Sneaky選手もベテランで今大会で使われている主要なマークスマンは全てカバーしており必要に応じたチャンピオンを使いこなせる。

FNCも今シーズンはトップレーンのBwipo選手が素晴らしい活躍を見せており、小規模戦から激しくぶつかり合う展開では大きな力になっている。ミッドレーンはCaps選手が激しい技量の競い合いを見せてくれるだろう。EDG戦で見られたように、有利になっている局所から試合の主導権をコントロールする形をどのポジションでも可能なのが現在のFNCの強みだ。

C9とFNCはいずれも、各ポジションのどこを軸にしても試合を作ることができるチームとして、今大会を勝ち上がっている。その点ではバン・ピックでの選択も非常に重要だ。北米きっての名将であるReaperedコーチ(EDGを率いた2015年はMSI優勝などの実績も)と、ヨーロッパで常にトップチームを率いているYoungBuckコーチ(2016~2017年のG2所属時代には4スプリット連続優勝を収めた)による戦略の競い合いともいえるだろう。

トップ4がトップ2に。明日に迫る準決勝!

グループステージ~準々決勝と10日間以上も激しい戦いが行われた釜山。準決勝は韓国南西部の都市・光州(クァンジュ)へと舞台を移し、この週末である10月27~28日に開催される。

10月27日(土)17時~:G2 vs IG
10月28日(日)17時~:C9 vs FNC

準決勝からはプレイイン以来となる日本語公式配信も復活。世界最高峰の戦いはモニタの中にある。余すことなく見届けよう!

写真:LoL Esports Photos(https://www.flickr.com/photos/lolesports/

■関連リンク
2018 World Championship Knockout Stage VODs(英語配信アーカイブ)
https://www.youtube.com/playlist?list=PLPZ7h6L6LC7Whu0zWRXvrVLAciyZLy1LR
LoL eSports 日本公式Twitchチャンネル
https://www.twitch.tv/riotgamesjp
LJL公式Twitter(日本国内向けの国際大会情報も)
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【レポート】『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会「Worlds 2018」

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