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【『LoL』世界大会2018現地レポート】世界王者戴冠まであと14日! 白熱したグループステージの戦いを振り返る

リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の今年の世界大会「World Championship 2018(Worlds)」が始まって3週間が過ぎようとしている。日本をはじめとしたマイナーリージョン(小規模地域)代表たちが競い合ったプレイインステージを経て、韓国・釜山ではメジャーリージョンの代表たちがいよいよ本格的に出場するグループステージが10月10~17日の日程で開催された。

4チーム×4グループに分けられた多彩なチームたちが、準々決勝に出場する8チームにまで絞られたグループステージ。繰り広げられた激戦を振り返り、戦略やメタゲームに関して今後を占う要素を考察していこう。

グループステージ・プレイバック

グループA――蘇る青き翼とサムライの台頭


1位:Afreeca Freecs(AFS、韓国第2シード) 4勝2敗
2位:G2 Esports(G2、EU第3シード) 4勝3敗
3位:Flash Wolves(FW、LMS第1シード) 3勝4敗 グループ敗退
4位:Phong Vũ Buffalo(PVB、ベトナム代表) 2勝4敗 グループ敗退

プレイイングループステージから上がってきたG2がボットハイマーディンガーやPerkz選手のアウトプレイでアジア地域のチームに勝利し、初出場のAFSは苦戦しながらも前半終了時には修正を終えたとのことで臨んだ後半戦。AFSが全勝し、G2もAFSにこそ敗れたものの独自のピック戦略でPVBを下して勝ち数を確保した。FWはG2には勝利できたものの、PVBとの試合ではベトナム地域が得意とする乱戦に持ち込まれて敗北、G2とのタイブレークを迎えることとなった。

グループステージ突破を賭けたタイブレークでは双方がボットレーンにメイジを選択する驚きの展開を見せたものの、各レーンの主導権を握ったG2が見事な勝利を収めた。MSIで大暴れしてみせたLMS第一シードのFWは、グループステージ敗退という結末を迎えることとなった。

グループB――黒金の輝きが目まぐるしく争い、雲は銀色に輝く


1位:Royal Never Give Up(RNG、中国第1シード) 5勝2敗
2位:Cloud9(C9、北米第3シード) 4勝3敗
3位:Team Vitality(VIT、EU第2シード) 3勝3敗 グループ敗退
4位:Gen.G Esports(GEN、韓国第3シード)1勝5敗 グループ敗退

欧米地域チームの奮戦により、当初の予想を覆す混沌とした状況で折り返したグループB。各チームはミッドレーンのチャンピオンを集中してBANする戦略を採用してGen.Gを追い詰める展開を見せる。さらにRNGに対してもUzi選手にカイ=サを渡したうえで、早い時間から潰しにかかる戦略を実践したC9・VITがともにRNGを破るという事態となった。

VITはC9との対決に敗れた点が響いて上位争いに残れず、最後はC9とRNGによる1位を賭けたタイブレークへと突入。カイ=サよりもより速い時間帯に強いルシアンを中心にゲームを作ったRNGが1位でのグループステージ突破を決めた。

昨年の王者GENはグループステージ敗退。昨年の優勝チームが翌年のWorldsでノックアウトステージに残れなかった事態は史上初となる。

グループC――アジアの壁は高く、そして厚かった


1位:kt Rolster(KT、韓国第1シード) 5勝1敗
1位:Edward Gaming(EDG、中国第3シード) 4勝2敗
3位:Team Liquid(TL、北米第1シード) 3勝3敗
4位:MAD Team(MAD、LMS第2シード) 0勝6敗

ある意味では従来の地域間バランスそのままの前半戦となったグループC。後半戦で勢いを取り戻したTLはEDGに対して勝利してなんとか3勝3敗に持ち込んだ。しかしEDGがKTに対して勝利したことで3位以下が確定となり、敗退した。北米第1シードのチームはまたしてもノックアウトステージへの進出が叶わず、ファンらが肩を落とす結果となった。

グループD――Fnatic Orangeの旗を高く掲げよ


1位:Fnatic(FNC、EU第1シード) 6勝1敗
2位:Invictus Gaming (IG、中国第2シード)5勝2敗
3位:100 Thieves(100T、北米第2シード) 2勝4敗
4位:G-Rex(GRX、LMS第3シード) 0勝6敗

レーン戦で圧倒的に強いIGが全勝し、続いてFNCが追随する形で折り返したグループD。後半戦はFNCが100Tを圧倒する形でスタートした。この日もIGのパフォーマンスは相当なものだったのだが、FNCはさらにその上を行っていた。ゲーム開始時のレーンの組み合わせ上では不利に見えても、ジャングルを絡めたゲームの組み立てで常にIGの先手を取るFNCが、グループステージ最終試合でIGに逆襲成功。つづけて1位を賭けたタイブレークへ持ち込んでそのまま連勝を収めた。

終わってみればその日4連勝という鮮烈な勝利でグループ1位をもぎ取ったFNCが、ノックアウトステージへの進出を決めた。

後半戦を踏まえたノックアウトステージの見どころ

グループステージ後半では、グループごとにいくつかの特色を見せながらも今後の趨勢を占うであろうポイントがいくつも見られた。ノックアウトステージ以降の試合においてポイントとなるであろう点をチェックしていきたい。

トップレーンのマッチアップが戦術を左右する

トップレーンの選択はチーム構成の意図とセットになっていることがほとんどだ。少数戦から勝ちに行ける強力なチャンピオンならばアーゴット、エイトロックス。ミッドとのスイッチを匂わせられるイレリア。スプリットプッシュ戦術ならシェンやカミールなども選択肢に入ってくる。これらのチャンピオンを選ぶ場合は、対面に対して大きくリードを取れる試合運びが重要だ。あまりリードできずに試合終盤に入るのであれば、集団戦重視のオーンやサイオンをタンクとして選択した方が、より柔軟な戦い方ができる。トップレーンのチャンピオン選択を見ればどんな戦い方を狙っているチームなのか何となく見えてくるはずだ。

ミッドレーンで最重要なのはプレイの幅? それともレーンでの強さ?

グループBにおけるGENの苦戦を見ると、今大会のミッドレーナーは多様なチャンピオンでチームの要請を満たす幅広い手札が求められるという事が分かる。問題はその先だ。今大会のミッドレーナーには派手なプレイで戦闘の中心を担いゲームを支配するような「ドミナントプレイヤー」(FNCのCaps選手、IGのRookie選手ら)と、チームのためにあらゆるロールを非常に高い水準でこなす「オールラウンドプレイヤー」(KTのUcal選手、RNGのXiaohu選手ら)が勝ち残っている。トップ20に選出されたプレイヤーの中でも上位に選ばれているのは鮮烈なキルシーンやアウトプレイで印象に残っている選手たちだが、実際に激突した時には何が起こるだろうか?

中国チームはマークスマンに託す試合を完遂できるのか?

中国リーグ「LPL」は積極的な戦闘と終盤のマークスマンによるアウトプレイが好まれるリーグで、特に今シーズンは非常に強力な成長能力を持つチャンピオン「カイ=サ」の登場によってその傾向に拍車がかかっている。ミッドレーンやトップレーンの選手もそれぞれに高い技術を持っているが、それでも最後に決めるのはマークスマンという構成だ。

しかし本大会ではマークスマンを執拗に狙い、失速させることで中国チームに勝利するという試合が何試合も見られた。グループDのFNC vs IGや、グループBのVIT vs RNG。プレイインではEDGがiBoy選手のミスによりまさかの敗北を喫して「マークスマンに託すスタイル」の弱点を突かれているのだ。この先のノックアウトステージで、中国チームは同じスタイルを貫けるのだろうか? あるいはここからさらに秘められた切り札が火を噴くのだろうか?

▲RNGの大黒柱、ADCのUzi選手。長らく国際大会優勝を逃してきた彼だが、今年のRNGは最有力優勝候補だ

ジャングルとサポートの駆け引き

本大会では、強力なチャンピオンをピックできたトップレーンから有利を作る試合、ミッドレーンのアウトプレイでゲームの主導権を握る試合、ボットレーンを崩して相手の構成を機能不全に陥らせる試合、様々な勝ちパターンが披露されている。

これらのいずれにも重要な役割を果たしているのがジャングル、次いでサポートだ。トップおよびミッドレーンにジャングルが行う序盤のガンクはどちらのチームが主導権を握るかを決める重要なポイントとなるし、中盤以降もオブジェクト管理や視界の確保など戦略上の役割が多い。サポートはまずはボットレーンでの優位確保が第一だが、中盤以降はマップ全体の視界確保、強力なCCによるプレイメイクなどサポートという名前以上に試合への寄与は大きい。チーム構成から導き出した「勝ち筋」をいかに実現できるかは両ポジションにかかっている。

決して侮れないプレイイン出場チーム

国際大会でトップ成績を収め続けている韓国以外のメジャーリージョンは、第3シードを必ずプレイインステージから出場させることになっている。彼らがプレイインで対面するのは明らかに格下の小規模地域チーム。グループステージでのプレイに先駆けて、こうした格下チームに対して思わぬ苦戦をした結果、様々な手札を見せてしまえば、それをじっと観察している第2シード以上のチームに戦術を分析・対応されてしまうことになる。こうしたことから、プレイイン出場は「デメリット」としての面が大きいと従来は見られていた。

しかし今大会で準々決勝進出を決めた8チームには、プレイインから出場したメジャーリージョン4チームの内3チームが含まれている。EDG・C9・G2はプレイインからステージでプレイを続け、大会環境でのチーム構成とサブの運用を研究し、本番に強い精神を養ってきたのだろう。プレイインからの出場には手の内を余分にさらしかねないデメリットが確かに存在するが、逆にこうしたメリットもあるのかもしれない。

ノックアウトステージはBo5(3本先取)であり、手札が尽きた時が旅の終わりとなる。プレイインから戦い続ける彼らの行く末も要チェックだ。

この週末よりいよいよノックアウトステージ開幕!


グループステージ終了より2日空けた10月20日(土)より、会場は同じく釜山・BEXCOにてノックアウトステージ準々決勝の幕が上がる。ノックアウトステージの対戦はもれなくBo5であり、最低3試合は同じ相手と連続して戦うため、ドラフトでのチーム構成をどう作っていくかが大きな鍵となる。準々決勝の対戦カードと予定は以下の通り(日時は全て日本時間)。

kt Rolster vs Invictus Gaming:10月20日(土)13時~
Royal Never Give Up vs G2 Esports:10月20日(土)17時~
Afreeca Freecs vs Cloud9:10月21日(日)13時~
Fnatic vs Edward Gaming:10月21日(日)17時~

準々決勝が終われば、トップ8はトップ4へと絞られる。光州(クァンジュ)へと場所を移す準決勝を経て、仁川(インチョン)で行われる決勝戦を目指す旅はまだまだ続く。さらなる熱を帯びる世界大会を、秋の夜長に楽しんで行こう!

■関連リンク
LoL Sports
https://jp.lolesports.com/
Worlds 公式Twitch
https://www.twitch.tv/riotgames
【レポート】『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会「Worlds 2018」

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