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『LoL』中国1部リーグ「LPL 2020 Spring」開幕レビュー:メタ展望&参加チーム分析
目次
『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の中国1部リーグ「LoL Pro League(LPL)」のSpring Seasonが、他地域に先駆けて1月13日より開幕している。今季は昨年より1チーム多い、17チームにて争われている。
一昨年のInvictus Gaming(iG)、昨年のFunPlus Phoenix(FPX)と、2年連続で世界王者を輩出している「LPL」は、昨年以上に耳目を集めていることだろう。さらに、今年の世界大会は中国開催ということもあり、地域3連覇に大きな期待が寄せられる。
すでにWeek1の試合は終え、現在は旧正月休みとなっている。シーズン開幕日の発表がやや遅く、ロースター等の情報も不確定な部分が多かったため、この期間を利用してメタ展望および参加17チームを紹介する運びとなった。
まずは、Week1で行われた35ゲームに基づいた現在のメタと、これからの展望についてお伝えする。
これに付随して重要となるのが、ボットレーンにおける勝利である。ドラゴンソウルが有用なのは間違いないのだが、2体目までのエレメンタルドレイクのバフは決して重ねることが出来ないため、ドラゴンソウルを得るための投資に過ぎず、リフトヘラルドのことまで考慮すると必要以上のリスクはかけたくない。そこで、ボットレーンの2名がいち早く合流・ポジション取りを行える状況を作ることが好ましいのだ。
その条件を満たせるマークスマンが「ミス・フォーチュン、アフェリオス、セナ、ヴァルス、ルシアン」であり、この5体がピックの約94%を占めている。ここからバン率が極めて高いルシアンを除くと、残るのは機動力に乏しいチャンピオンばかりとなる。
TES vs EDGのバン&ピック(出典:LPL公式Weiboより https://www.weibo.com/5756404150/IqfIY17BN)
エピックモンスターと低機動マークスマン、この2つがメタの出発点となる。
1. 射程と範囲が優秀なゾーニングスキルを持っている
(主なチャンピオン:ランブル、ガングプランク、オーン、グラガス)
比較的安全な立ち位置から、敵キャリーに対してプレッシャーをかけられる。Ultスキルへの依存度がやや高いため、できれば無駄打ちはしたくない。
2. バックラインに飛び込んで敵のキャリーに張り付ける
(主なチャンピオン:モルデカイザー、アカリ、ケネン、エイトロックス、セト、ジャーヴァンⅣ、パンテオン、リサンドラ)
テレポートや移動スキルを駆使して敵キャリーに接近し、ダメージを出させないような動きに長けている。自分自身がある程度育っていないと、十分な役割を果たしづらい。
3. キャリーの立ち位置から局所的なゾーニングができる
(主なチャンピオン:カシオペア、タリヤ、オリアナ、ビクター、ゾーイ、ジリアン)
通常スキルにゾーニング性能があるため、フロントラインの分断や向かい合っている際の牽制などに使いやすい。また、味方キャリーとの位置が近いため、ピール役に回ることもできる。
4. 敵キャリーの体力を大きく削ることで疑似的なゾーニングを行う
(主なチャンピオン:ルブラン・キヤナ・ジェイス・ダイアナ)
バーストやポークによって敵キャリーを機能停止に追い込む、あるいはそれを警戒しなければならない位置取りで圧力をかける。
主なチャンピオン欄には、「LPL」で実際に使用されたチャンピオンのみを記載している。ここからも分かるように、ソロレーンの選択肢はそれなりに広く、チームカラーが色濃く反映されやすい。特にミッドレーンは、ヘラルドとドレイクの両方に関与しやすいことから、相変わらずゲームへの影響力が高いポジションという位置づけになっている。
それを崩したのが韓国のAfreeca Freecsで、簡単に言うと「クイン、オラフ、タロン、シェン」といったスカーミッシュ(少数戦)に長けたチャンピオンで積極的にキャッチを狙い、オブジェクトでの戦闘が起きる前に人数差を作るという動きだった。
今回も、この頃と似たようなメタの移り変わりが起こる可能性はあるが、現在のメタはエピックモンスターを主としたシステムの変更が大きく影響している。ピックされるチャンピオンは調整次第で変化するとしても、システム面に調整が入らない限りメタそのものは動きづらいだろう。僅かな可能性を探るならば「メイジサポート」と言いたいところだが、ただでさえ視界管理にリスクがあるうえ、オーシャンリフトというランダム要素が大きな壁となる。
【ロースター】
トップ:Xiaobai / CJJ
ジャングル:Wei
ミッド:Cryin
ボット:Wink / rat
サポート:ShiauC/ Alu
コーチ:Lucky
今季より「LPL」に新規参入したESは、1部チームのサブや2部リーグ出身のプレイヤーが多くを占めており、例外は元Flash Wolves(台湾)のShiauC選手のみとなっている。しかしながら、Week1では昨年の世界王者・FPXを下すという番狂わせを起こし、2連勝と幸先の良いスタートを切った。バロン・ドレイク前での冷静な駆け引きは、新規チームらしからぬものがあり、今季のダークホース候補に一躍躍り出た。今後のカギを握るのは、素早い判断のできるWei選手、高いフィジカルを見せつけたCryin選手とShiauC選手だ。
【ロースター】
トップ:TheShy
ジャングル:Leyan / Ning
ミッド:Rookie
ボット:Puff
サポート:Southwind / Baolan / Fate
コーチ:Fly / Dingbo
昨年のiGは不調に苦しみながらも、世界大会ベスト4というはたから見ても十分すぎる結果を残した。ジャングル・ミッドは昨年と変わらず、トップはDuke選手が兵役のためにチームを離れたものの、信頼と実績のTheShy選手が続投する。新たにボットレーンを任されたPuff選手とSouthwind選手はデュオを組んで4年目、過去の成績こそ見栄えしないものの実力に不足はない。また、ヘッドコーチには元SK Telecom T1(韓国)のFly氏を迎え入れ、新体制で王座奪還を目論む。
【ロースター】
トップ:Crazy / Holder
ジャングル:Haro / WeiYan
ミッド:Ruby / Wuming
ボット:ZWuji
サポート:Ley
コーチ:HooN / MingZhe
昨年の成績不振を受け、チームの中心的存在であったジャングル・ボット以外のポジションに大きなテコ入れを施した。韓国からCrazy選手・Ruby選手・HooNヘッドコーチ、そして昨夏に2部リーグで活躍したWuming選手を獲得し、チームの再建を図る。Week1では1勝1敗とまずまずの滑り出しを見せたが、ジャングル絡みの連携面に不安の残る内容だった。
【ロースター】
トップ:369 / Moyu
ジャングル:Karsa / AKi
ミッド:Knight
ボット:Photic
サポート:QiuQiu / yuyanjia
コーチ:BSYY
昨年のメインロースターから3名が脱退したTESだが、Karsa選手の獲得により非常に強力なジャングル・ミッドのラインが形成された。LokeN選手の後釜を任されたPhotic選手は、AKi選手・yuyanjia選手と共に下部チームからの昇格となっている。実力が未知数のボットレーンを含め、サイドレーンが気掛かりではあるものの、それを差し引いてもKarsa選手・Knight選手の爆発力は魅力的である。
【ロースター】
トップ:Cube / Zdz
ジャングル:Chieftain / Aix
ミッド:Forge / Zeka
ボット:iBoy
サポート:Maestro
コーチ:kkOma / Maokai
韓国の名門・SK Telecom T1を長年率いたkkOma氏がヘッドコーチに就任し、話題となったVG。彼が長期的な育成を視野に入れていると語る通り、プレイヤーの平均年齢は約18.8歳と若手有望株が揃っている。LPL昇格以降、4シーズン連続2勝止まりという呪いを打ち破る日も、そう遠くはないだろう。
【ロースター】
トップ:Aliez / 997
ジャングル:Xiaohan
ミッド:clx / Mole / Windy
ボット:y4
サポート:Max
コーチ:HanYi / Suannai
昨年から「LPL」に参加し、ミッドレーナーを同時起用するという奇策を展開したV5は、新たに3名の選手を獲得した。今季もまだソロレーナーの固定には至っていない様子が見受けられ、5名のうち誰がその座に収まるのかは見当がつかない。いずれにしても、Week1の試合内容は思わず目を伏せたくなるようなもので、相当厳しいシーズンになることが予想される。
【ロースター】
トップ:Morgan / Poss
ジャングル:beishang
ミッド:Plex / yimeng / Teacherma
ボット:Jiumeng
サポート:Missing
コーチ:Domo / NoEX
長きにわたってチームを支えてきたxiye選手とMystic選手が脱退したWEだが、昨年デビューしたbeishang選手とMissing選手には着実な成長と息の合った連携が見られた。大幅なメンバーチェンジがあったとはいえ、チームのまとまり次第でプレーオフ争いに食い込めるポテンシャルは秘めている。
【ロースター】
トップ:Kingen / ADD
ジャングル:Meteor
ミッド:FoFo
ボット:Jinjiao / Wings
サポート:XinMo / Moonlight
コーチ:Sim
落ち着いた試合運びが特徴的なBLGは、昨シーズンを支えたKuro選手がチームを離れたものの、元KT Rolster(韓国)のKingen選手と、元J Team(台湾)のFoFo選手を獲得した。両名ともWeek1の2連勝に貢献する働きを見せており、昨年の最優秀新人賞を受賞したMeteor選手も含め、「中堅どころ」という印象を払拭しつつある。試合時間が長くなりがちな現メタも、彼らにとっては追い風になるだろう。
【ロースター】
トップ:Khan / GimGoon
ジャングル:Tian
ミッド:Doinb
ボット:Lwx
サポート:Crisp
コーチ:WarHorse / REFRA1N
彗星のごとく現れ、世界大会優勝という形でその名を世界に轟かせたFPXに、世界屈指のトップレーナー・Khan選手が加わった。攻撃的なKhan選手と守備的なGimGoon選手が並べることで、戦術の幅が広がるという見通しを立てているのだろう。しかし、シーズンスタートが早かったこともあり、彼を含めたチームスタイルはまだまだ模索中のようだ。開幕2連敗は喫したものの、今後の巻き返しに期待したい。
【ロースター】
トップ:Cult / Lies
ジャングル:Peanut / BadeMan
ミッド:Yuuki / Fenfen
ボット:Kramer
サポート:Chance / Killua
コーチ:ZanDarC / Eimy
コーチも含めると6名が新加入のLGDだが、注目は何といってもPeanut選手だ。初の海外挑戦ということで、コミュニケーションの齟齬が生じていると思しき場面は度々見られたが、全盛期のプレイスタイルは「LPL」とマッチしている。ここ2年ほどで丸くなった印象を受ける彼が、新天地で「猛虎」の牙を取り戻すことは出来るのか。
【ロースター】
トップ:Langx / yuekai
ジャングル:XLB / S1xu
ミッド:Xiaohu
ボット:Uzi / Betty
サポート:Ming
コーチ:Mata
Mata氏が3年ぶりにヘッドコーチとして舞い戻ったほか、元Flash WlovesのBetty選手、2部リーグで大暴れしたXLB選手が加入した。RNGは昨年末に行われた国内大会「Demacia Cup」で優勝しており、その際にもXLB選手は新人らしからぬ安定感を発揮していた。世界大会で優勝したNing選手(2018年)・Tian選手(2019年)と同じYoung Miracles出身のジャングラーとくれば、ファンたちも胸を膨らませていることだろう。
【ロースター】
トップ:Jinoo / Aodi / Xiaoxiang
ジャングル:Jiejie / Xinyi / JunJia
ミッド:Scout
ボット:Hope
サポート:Meiko
コーチ:Clearlove / Heart
5年連続世界大会出場という大記録が、昨年ついに途絶えることとなったEDGは、チームの顔として5年近く活動したClearlove氏がヘッドコーチへ転身した。控えのプレイヤーとして4名を獲得したが、メインロースターについては、脱退したiBoy選手のサブを2年近く続けていたHope選手が入った程度の変化に留まっている。古豪復権に向けて、ジャングル・ミッド・サポートの連携と集団戦に比重を置いたチームを目指している様子が伺える。
【ロースター】
トップ:Zoom / 705
ジャングル:Kanavi
ミッド:Yagao
ボット:LokeN
サポート:LvMao / Peace
コーチ:Homme / huge
Kanavi選手の契約問題に揺れたJDGだったが、1年ぶりにLokeN選手が合流したことで、盤石の体制を整えたと言っても過言ではない。レーン戦の安定感はもちろんのこと、集団戦における圧倒的なパフォーマンスの高さには目を見張るものがあった。名将・Hommeヘッドコーチの柔軟かつ強かなドラフトも含め、現時点で最も見応えのあるチームと断言しよう。
【ロースター】
トップ:Natural
ジャングル:Xiaopeng / bless
ミッド:xiye / Xiaowei
ボット:GALA
サポート:Mark
コーチ:Bai / Aqua
「LPL」昇格から2年目を迎えたDMOは、Team WEにて5年近くスターターを張ってきたxiye選手の獲得が唯一の補強となった。そこそこ戦える面子が揃っているはずなのだが、チーム全体で見るとまとまりを欠いている。ジャングルの調子に左右されやすいというチームの特色は、相変わらずのようだ。
【ロースター】
トップ:Flandre
ジャングル:Xx
ミッド:Maple
ボット:Asura / Light
サポート:Duan / Iwandy
コーチ:Cyo / Nelson
昨夏はプレーオフ進出を果たし、初戦でInvictus Gamingを破るという金星を挙げたLNGは、ジャングルにXx選手、ミッドにMaple選手という堅実さを売りとしたプレイヤーを獲得した。昨年に課題として露呈した、冗長な試合運びと取りこぼしを防ぎたいという狙いが伝わってくる。今季のLNGが爪跡を残せるかは、この2名の活躍が必要不可欠となるだろう。
【ロースター】
トップ:Curse
ジャングル:H4cker
ミッド:icon
ボット:Smlz / Kane
サポート:cold
コーチ:Panda
昨年は春14位・夏16位と大変苦いシーズンとなったOMGに、2014年から「LPL」でプレイしている大ベテランのSmlz選手が2年ぶりに帰ってきた。Suningからは同時にH4cker選手も獲得し、ジャングルとボットに補強を施した点については素直に評価したい。しかし、ミッドとサポートの不安定さも相まって、まだまだ長い目で見る必要がありそうだ。
【ロースター】
トップ:bin / Biubiu
ジャングル:SofM
ミッド:Angel
ボット:Weiwei
サポート:SwordArt
コーチ:Fluidwind / Fury
東南アジアでプレイしていた頃も含めると、選手生活8年目を迎えるSofM選手が加入した。また、Smlz選手の脱退により空席となったボットレーナーは、元ジャングラーのWeiwei選手が務める。メタへの順応が不十分だったWeek1の試合を受けて、それをどのように修正してくるかがポイントとなる。
また、試合が再開する2月5日から最終日となる4月5日まで休みなく開催される予定となっていたが、新型コロナウイルスの影響を受けて再開を延期するとのアナウンスがあった。続報が気になるところではあるが、選手・スタッフの安全を願うばかりである。
リーグ・オブ・レジェンド
http://jp.leagueoflegends.com/ja/
LPL 公式サイト(中国語)
https://lpl.qq.com
LPL 公式配信チャンネル(英語)
https://www.twitch.tv/lpl
https://www.youtube.com/channel/UCaFMdq6QrAAEx5k2cLlZNPA
LPL 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lplenglish
LoL Esports VODs and Highlights
https://www.youtube.com/channel/UCzAypSoOFKCZUts3ULtVT_g
LPL 2020 Spring データページ (Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LPL/2020_Season/Spring_Season
一昨年のInvictus Gaming(iG)、昨年のFunPlus Phoenix(FPX)と、2年連続で世界王者を輩出している「LPL」は、昨年以上に耳目を集めていることだろう。さらに、今年の世界大会は中国開催ということもあり、地域3連覇に大きな期待が寄せられる。
すでにWeek1の試合は終え、現在は旧正月休みとなっている。シーズン開幕日の発表がやや遅く、ロースター等の情報も不確定な部分が多かったため、この期間を利用してメタ展望および参加17チームを紹介する運びとなった。
まずは、Week1で行われた35ゲームに基づいた現在のメタと、これからの展望についてお伝えする。
LPL 2020 Springトピック(1)エピックモンスターと低機動マークスマン
まず大前提として、現環境で最も確実なゲームエンドの方法は、ドラゴンソウルおよびエルダードラゴンのバフを獲得することである。バロンバフは効果時間が短縮されたことで耐えられやすくなり、永続するドラゴンソウルと確定キル効果が付与されたエルダーバフの破壊力には及ばない。これに付随して重要となるのが、ボットレーンにおける勝利である。ドラゴンソウルが有用なのは間違いないのだが、2体目までのエレメンタルドレイクのバフは決して重ねることが出来ないため、ドラゴンソウルを得るための投資に過ぎず、リフトヘラルドのことまで考慮すると必要以上のリスクはかけたくない。そこで、ボットレーンの2名がいち早く合流・ポジション取りを行える状況を作ることが好ましいのだ。
その条件を満たせるマークスマンが「ミス・フォーチュン、アフェリオス、セナ、ヴァルス、ルシアン」であり、この5体がピックの約94%を占めている。ここからバン率が極めて高いルシアンを除くと、残るのは機動力に乏しいチャンピオンばかりとなる。
TES vs EDGのバン&ピック(出典:LPL公式Weiboより https://www.weibo.com/5756404150/IqfIY17BN)
エピックモンスターと低機動マークスマン、この2つがメタの出発点となる。
LPL 2020 Springトピック(2)需要の大きいゾーニング手段
さて、エピックモンスター周りでの戦闘が頻発し、ほぼ確実に機動力に欠けるマークスマンがピックされるとなれば、強力なゾーニング手段を持ったチャンピオンが重宝されるのは自然な流れだ。そのようなチャンピオンを、ゾーニング手段で4つに分類してみる。1. 射程と範囲が優秀なゾーニングスキルを持っている
(主なチャンピオン:ランブル、ガングプランク、オーン、グラガス)
比較的安全な立ち位置から、敵キャリーに対してプレッシャーをかけられる。Ultスキルへの依存度がやや高いため、できれば無駄打ちはしたくない。
2. バックラインに飛び込んで敵のキャリーに張り付ける
(主なチャンピオン:モルデカイザー、アカリ、ケネン、エイトロックス、セト、ジャーヴァンⅣ、パンテオン、リサンドラ)
テレポートや移動スキルを駆使して敵キャリーに接近し、ダメージを出させないような動きに長けている。自分自身がある程度育っていないと、十分な役割を果たしづらい。
3. キャリーの立ち位置から局所的なゾーニングができる
(主なチャンピオン:カシオペア、タリヤ、オリアナ、ビクター、ゾーイ、ジリアン)
通常スキルにゾーニング性能があるため、フロントラインの分断や向かい合っている際の牽制などに使いやすい。また、味方キャリーとの位置が近いため、ピール役に回ることもできる。
4. 敵キャリーの体力を大きく削ることで疑似的なゾーニングを行う
(主なチャンピオン:ルブラン・キヤナ・ジェイス・ダイアナ)
バーストやポークによって敵キャリーを機能停止に追い込む、あるいはそれを警戒しなければならない位置取りで圧力をかける。
主なチャンピオン欄には、「LPL」で実際に使用されたチャンピオンのみを記載している。ここからも分かるように、ソロレーンの選択肢はそれなりに広く、チームカラーが色濃く反映されやすい。特にミッドレーンは、ヘラルドとドレイクの両方に関与しやすいことから、相変わらずゲームへの影響力が高いポジションという位置づけになっている。
LPL 2020 Springトピック(3)今後のメタ展望
さて、今後のメタ展望を語るうえで思い出してもらいたいのが、シーズン8の夏にマークスマンを一斉にナーフしたことで生まれた「ノンマークスマン構成」だ。ボットレーンに「スウェイン、ブラッドミア、オリアナ、ハイマーディンガー、タリヤ、カーサス」などが起用されたことで、ゾーニング寄りのメタになった。それを崩したのが韓国のAfreeca Freecsで、簡単に言うと「クイン、オラフ、タロン、シェン」といったスカーミッシュ(少数戦)に長けたチャンピオンで積極的にキャッチを狙い、オブジェクトでの戦闘が起きる前に人数差を作るという動きだった。
今回も、この頃と似たようなメタの移り変わりが起こる可能性はあるが、現在のメタはエピックモンスターを主としたシステムの変更が大きく影響している。ピックされるチャンピオンは調整次第で変化するとしても、システム面に調整が入らない限りメタそのものは動きづらいだろう。僅かな可能性を探るならば「メイジサポート」と言いたいところだが、ただでさえ視界管理にリスクがあるうえ、オーシャンリフトというランダム要素が大きな壁となる。
LPL 2020 Spring チーム分析
ここからは、「LPL 2020 Spring Season」に参加する17チームを、チームの移籍状況に応じて4種類に大別し紹介する。振り分けについては、筆者のさじ加減ということでご了承いただきたい。新たな顔ぶれで挑むチーム:ES, iG, RW, TES, VG, V5, WE
eStar(ES)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216026906622971904【ロースター】
トップ:Xiaobai / CJJ
ジャングル:Wei
ミッド:Cryin
ボット:Wink / rat
サポート:ShiauC/ Alu
コーチ:Lucky
今季より「LPL」に新規参入したESは、1部チームのサブや2部リーグ出身のプレイヤーが多くを占めており、例外は元Flash Wolves(台湾)のShiauC選手のみとなっている。しかしながら、Week1では昨年の世界王者・FPXを下すという番狂わせを起こし、2連勝と幸先の良いスタートを切った。バロン・ドレイク前での冷静な駆け引きは、新規チームらしからぬものがあり、今季のダークホース候補に一躍躍り出た。今後のカギを握るのは、素早い判断のできるWei選手、高いフィジカルを見せつけたCryin選手とShiauC選手だ。
Invictus Gaming(iG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216022528704966661【ロースター】
トップ:TheShy
ジャングル:Leyan / Ning
ミッド:Rookie
ボット:Puff
サポート:Southwind / Baolan / Fate
コーチ:Fly / Dingbo
昨年のiGは不調に苦しみながらも、世界大会ベスト4というはたから見ても十分すぎる結果を残した。ジャングル・ミッドは昨年と変わらず、トップはDuke選手が兵役のためにチームを離れたものの、信頼と実績のTheShy選手が続投する。新たにボットレーンを任されたPuff選手とSouthwind選手はデュオを組んで4年目、過去の成績こそ見栄えしないものの実力に不足はない。また、ヘッドコーチには元SK Telecom T1(韓国)のFly氏を迎え入れ、新体制で王座奪還を目論む。
Rogue Warriors(RW)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216026906622971904【ロースター】
トップ:Crazy / Holder
ジャングル:Haro / WeiYan
ミッド:Ruby / Wuming
ボット:ZWuji
サポート:Ley
コーチ:HooN / MingZhe
昨年の成績不振を受け、チームの中心的存在であったジャングル・ボット以外のポジションに大きなテコ入れを施した。韓国からCrazy選手・Ruby選手・HooNヘッドコーチ、そして昨夏に2部リーグで活躍したWuming選手を獲得し、チームの再建を図る。Week1では1勝1敗とまずまずの滑り出しを見せたが、ジャングル絡みの連携面に不安の残る内容だった。
Top Esports(TES)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216022528704966661【ロースター】
トップ:369 / Moyu
ジャングル:Karsa / AKi
ミッド:Knight
ボット:Photic
サポート:QiuQiu / yuyanjia
コーチ:BSYY
昨年のメインロースターから3名が脱退したTESだが、Karsa選手の獲得により非常に強力なジャングル・ミッドのラインが形成された。LokeN選手の後釜を任されたPhotic選手は、AKi選手・yuyanjia選手と共に下部チームからの昇格となっている。実力が未知数のボットレーンを含め、サイドレーンが気掛かりではあるものの、それを差し引いてもKarsa選手・Knight選手の爆発力は魅力的である。
Vici Gaming(VG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216023506489462785【ロースター】
トップ:Cube / Zdz
ジャングル:Chieftain / Aix
ミッド:Forge / Zeka
ボット:iBoy
サポート:Maestro
コーチ:kkOma / Maokai
韓国の名門・SK Telecom T1を長年率いたkkOma氏がヘッドコーチに就任し、話題となったVG。彼が長期的な育成を視野に入れていると語る通り、プレイヤーの平均年齢は約18.8歳と若手有望株が揃っている。LPL昇格以降、4シーズン連続2勝止まりという呪いを打ち破る日も、そう遠くはないだろう。
Victory Five(V5)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216026906622971904【ロースター】
トップ:Aliez / 997
ジャングル:Xiaohan
ミッド:clx / Mole / Windy
ボット:y4
サポート:Max
コーチ:HanYi / Suannai
昨年から「LPL」に参加し、ミッドレーナーを同時起用するという奇策を展開したV5は、新たに3名の選手を獲得した。今季もまだソロレーナーの固定には至っていない様子が見受けられ、5名のうち誰がその座に収まるのかは見当がつかない。いずれにしても、Week1の試合内容は思わず目を伏せたくなるようなもので、相当厳しいシーズンになることが予想される。
Team WE(WE)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216025584880406535【ロースター】
トップ:Morgan / Poss
ジャングル:beishang
ミッド:Plex / yimeng / Teacherma
ボット:Jiumeng
サポート:Missing
コーチ:Domo / NoEX
長きにわたってチームを支えてきたxiye選手とMystic選手が脱退したWEだが、昨年デビューしたbeishang選手とMissing選手には着実な成長と息の合った連携が見られた。大幅なメンバーチェンジがあったとはいえ、チームのまとまり次第でプレーオフ争いに食い込めるポテンシャルは秘めている。
期待のニューカマーを加えたチーム:BLG, FPX, LGD, RNG
Bilibili Gaming(BLG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216022528704966661【ロースター】
トップ:Kingen / ADD
ジャングル:Meteor
ミッド:FoFo
ボット:Jinjiao / Wings
サポート:XinMo / Moonlight
コーチ:Sim
落ち着いた試合運びが特徴的なBLGは、昨シーズンを支えたKuro選手がチームを離れたものの、元KT Rolster(韓国)のKingen選手と、元J Team(台湾)のFoFo選手を獲得した。両名ともWeek1の2連勝に貢献する働きを見せており、昨年の最優秀新人賞を受賞したMeteor選手も含め、「中堅どころ」という印象を払拭しつつある。試合時間が長くなりがちな現メタも、彼らにとっては追い風になるだろう。
FunPlus Phoenix(FPX)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216021844706258944【ロースター】
トップ:Khan / GimGoon
ジャングル:Tian
ミッド:Doinb
ボット:Lwx
サポート:Crisp
コーチ:WarHorse / REFRA1N
彗星のごとく現れ、世界大会優勝という形でその名を世界に轟かせたFPXに、世界屈指のトップレーナー・Khan選手が加わった。攻撃的なKhan選手と守備的なGimGoon選手が並べることで、戦術の幅が広がるという見通しを立てているのだろう。しかし、シーズンスタートが早かったこともあり、彼を含めたチームスタイルはまだまだ模索中のようだ。開幕2連敗は喫したものの、今後の巻き返しに期待したい。
LGD Gaming(LGD)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216023506489462785【ロースター】
トップ:Cult / Lies
ジャングル:Peanut / BadeMan
ミッド:Yuuki / Fenfen
ボット:Kramer
サポート:Chance / Killua
コーチ:ZanDarC / Eimy
コーチも含めると6名が新加入のLGDだが、注目は何といってもPeanut選手だ。初の海外挑戦ということで、コミュニケーションの齟齬が生じていると思しき場面は度々見られたが、全盛期のプレイスタイルは「LPL」とマッチしている。ここ2年ほどで丸くなった印象を受ける彼が、新天地で「猛虎」の牙を取り戻すことは出来るのか。
Royal Never Give Up(RNG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216022528704966661【ロースター】
トップ:Langx / yuekai
ジャングル:XLB / S1xu
ミッド:Xiaohu
ボット:Uzi / Betty
サポート:Ming
コーチ:Mata
Mata氏が3年ぶりにヘッドコーチとして舞い戻ったほか、元Flash WlovesのBetty選手、2部リーグで大暴れしたXLB選手が加入した。RNGは昨年末に行われた国内大会「Demacia Cup」で優勝しており、その際にもXLB選手は新人らしからぬ安定感を発揮していた。世界大会で優勝したNing選手(2018年)・Tian選手(2019年)と同じYoung Miracles出身のジャングラーとくれば、ファンたちも胸を膨らませていることだろう。
補強は最小限に連携力を売りとしたチーム:EDG, JDG
EDward Gaming(EDG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216023506489462785【ロースター】
トップ:Jinoo / Aodi / Xiaoxiang
ジャングル:Jiejie / Xinyi / JunJia
ミッド:Scout
ボット:Hope
サポート:Meiko
コーチ:Clearlove / Heart
5年連続世界大会出場という大記録が、昨年ついに途絶えることとなったEDGは、チームの顔として5年近く活動したClearlove氏がヘッドコーチへ転身した。控えのプレイヤーとして4名を獲得したが、メインロースターについては、脱退したiBoy選手のサブを2年近く続けていたHope選手が入った程度の変化に留まっている。古豪復権に向けて、ジャングル・ミッド・サポートの連携と集団戦に比重を置いたチームを目指している様子が伺える。
JD Gaming(JDG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216023506489462785【ロースター】
トップ:Zoom / 705
ジャングル:Kanavi
ミッド:Yagao
ボット:LokeN
サポート:LvMao / Peace
コーチ:Homme / huge
Kanavi選手の契約問題に揺れたJDGだったが、1年ぶりにLokeN選手が合流したことで、盤石の体制を整えたと言っても過言ではない。レーン戦の安定感はもちろんのこと、集団戦における圧倒的なパフォーマンスの高さには目を見張るものがあった。名将・Hommeヘッドコーチの柔軟かつ強かなドラフトも含め、現時点で最も見応えのあるチームと断言しよう。
ベテランプレイヤーを獲得したチーム:DMO, LNG, OMG, SN
Dominus Esports(DMO)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216025584880406535【ロースター】
トップ:Natural
ジャングル:Xiaopeng / bless
ミッド:xiye / Xiaowei
ボット:GALA
サポート:Mark
コーチ:Bai / Aqua
「LPL」昇格から2年目を迎えたDMOは、Team WEにて5年近くスターターを張ってきたxiye選手の獲得が唯一の補強となった。そこそこ戦える面子が揃っているはずなのだが、チーム全体で見るとまとまりを欠いている。ジャングルの調子に左右されやすいというチームの特色は、相変わらずのようだ。
LNG Esports(LNG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216025584880406535【ロースター】
トップ:Flandre
ジャングル:Xx
ミッド:Maple
ボット:Asura / Light
サポート:Duan / Iwandy
コーチ:Cyo / Nelson
昨夏はプレーオフ進出を果たし、初戦でInvictus Gamingを破るという金星を挙げたLNGは、ジャングルにXx選手、ミッドにMaple選手という堅実さを売りとしたプレイヤーを獲得した。昨年に課題として露呈した、冗長な試合運びと取りこぼしを防ぎたいという狙いが伝わってくる。今季のLNGが爪跡を残せるかは、この2名の活躍が必要不可欠となるだろう。
Oh My God(OMG)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216026906622971904【ロースター】
トップ:Curse
ジャングル:H4cker
ミッド:icon
ボット:Smlz / Kane
サポート:cold
コーチ:Panda
昨年は春14位・夏16位と大変苦いシーズンとなったOMGに、2014年から「LPL」でプレイしている大ベテランのSmlz選手が2年ぶりに帰ってきた。Suningからは同時にH4cker選手も獲得し、ジャングルとボットに補強を施した点については素直に評価したい。しかし、ミッドとサポートの不安定さも相まって、まだまだ長い目で見る必要がありそうだ。
Suning(SN)
出典:https://twitter.com/lplenglish/status/1216025584880406535【ロースター】
トップ:bin / Biubiu
ジャングル:SofM
ミッド:Angel
ボット:Weiwei
サポート:SwordArt
コーチ:Fluidwind / Fury
東南アジアでプレイしていた頃も含めると、選手生活8年目を迎えるSofM選手が加入した。また、Smlz選手の脱退により空席となったボットレーナーは、元ジャングラーのWeiwei選手が務める。メタへの順応が不十分だったWeek1の試合を受けて、それをどのように修正してくるかがポイントとなる。
LPL 2020 Spring Season 基本情報
大会形式はシングルラウンドロビン(全チームによる総当たり戦を1回)となっており、各対戦はBo3(2本先取)にて行われる。上位8チームがプレーオフへと進出し、「Mid Season Invitational」の出場権を争う。また、試合が再開する2月5日から最終日となる4月5日まで休みなく開催される予定となっていたが、新型コロナウイルスの影響を受けて再開を延期するとのアナウンスがあった。続報が気になるところではあるが、選手・スタッフの安全を願うばかりである。
リーグ・オブ・レジェンド
http://jp.leagueoflegends.com/ja/
LPL 公式サイト(中国語)
https://lpl.qq.com
LPL 公式配信チャンネル(英語)
https://www.twitch.tv/lpl
https://www.youtube.com/channel/UCaFMdq6QrAAEx5k2cLlZNPA
LPL 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lplenglish
LoL Esports VODs and Highlights
https://www.youtube.com/channel/UCzAypSoOFKCZUts3ULtVT_g
LPL 2020 Spring データページ (Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LPL/2020_Season/Spring_Season
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