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『LoL』韓国1部リーグ「LCK 2020 Spring」中間レポート:全10チームの前半戦を総括

目次
  1. 明暗分かれつつも混迷を呈したRound1
  2. 「エピックモンスターを巡る集団戦」と「消極的1-3-1」
  3. 各チームの前半戦総括
    1. 1位 Gen.G (8勝1敗)
    2. 2位タイ T1(7勝2敗)
    3. 2位タイ DragonX(7勝2敗)
    4. 4位 Afreeca Freecs(6勝3敗)
    5. 5位 DAMWON Gaming(4勝5敗)
    6. 6位 KT Rolster(4勝5敗)
    7. 7位 Hanwha Life Esports(3勝6敗)
    8. 8位 SANDBOX Gaming(2勝7敗)
    9. 9位 APK Prince(2勝7敗)
    10. 10位 Griffin(2勝7敗)
  4. 最後に
リーグ・オブ・レジェンドLoL)』の韓国1部リーグ「League Champions Korea(LCK)」は、COVID-19(新型コロナウイルス)の影響を受けて無観客で開催してきたSpring SeasonのRound1が終了し、ちょうど折り返し地点に到達した。

「LCK」の大会形式はダブルラウンドロビン(全チームによる総当たり戦を2回)であり、各対戦はBo3(2本先取)にて行われている。その総当たりにおける1週目をRound1、2週目をRound2と呼称している。

COVID-19の感染拡大から関係者を守るため、Round2も無期限延期が発表された「LCK」だが、前半戦を終えた現時点における順位や地域の特色、そして各チームの展望についてお伝えする。

明暗分かれつつも混迷を呈したRound1

出展:https://twitter.com/KeSPAen/status/1236828541066461185

前半戦を勝ち越しで終えたチームは、Gen.G / T1 / DragonX / Afreeca Freecs の4チームとなった。

単独1位のGen.Gは、開幕から一貫して堅実なゲーム運びを展開しており、ゲーム間の切り替えも素早い。2位タイにつけるT1も、Week1こそチームの方向性に迷いが見えたものの、以降は驚異的な修正力でGen.Gに負けず劣らずの安定感を発揮している。

同じく2位タイのDragonXは、若さ溢れる威勢のいいプレイを武器に勝ち星を重ねており、夏に向けて少しずつ調整を進めていく様子が伺える。開幕ダッシュを決めたものの4位に落ち着いたAfreeca Freecsは、上の3チームに比べると波があるものの、裏を返せば上振れにも期待ができる。

5位以下のチームについては、それぞれ課題となる部分は異なるものの、大きく2パターンに分類できる。

DAMWON GamingとSANDBOX Gamingは選手の入れ替わりが比較的少ない2チームだが、コーチが変わったことによってドラフトとゲーム展開の組み立てに齟齬が生じている。

残るKT Rolster / Hanwha Life Esports / APK Prince / Griffinの4チームは、チーム内の連携が詰め切れていないのと、決定力不足が目に付いた。

無期限延期という特殊な事態が発生したことで、すべてのチームに調整期間が与えられたという捉え方もできる。先行きが不透明なだけに、選手だけでなくスタッフも含めたチームの総合力が試されることになるだろう。

「エピックモンスターを巡る集団戦」と「消極的1-3-1」

ここからは、前半戦のメタについて振り返っていこう。

現在のメタを形成している主な要因は、エレメンタルドレイクを筆頭とするエピックモンスターの変更であり、それは「LCK」とて例外ではない。ストレートでドラゴンソウルを獲得し30分前後でスムーズに終わる試合もあれば、どちらが勝ってもおかしくないような展開が40~50分続く試合もある。

いずれにせよ、エピックモンスターを巡る集団戦が起きない試合はほぼ無いに等しい。ヘラルドとエレメンタルドレイクを交換するということはあっても、20分以降のドレイク周りで集団戦が発生する素振りさえないならば、そのゲームはすでに大勢が決していると言い換えても差し支えない。3・4スタック目となるドレイクは、多少オーバーなリソースを割いてでも競り合う価値を有している。

出展:https://youtu.be/V65CSBoLvj8

さて、「LCK」チームが好むプレイスタイルの傾向として「ローリスク・ミドルリターン」が挙げられる。その好例が、韓国地域のお家芸とも言える「1-3-1」のレーン割り当てである。

簡単に説明すると、サイドレーンにソロレーナーを配置し、残る3人がミッドレーンをプッシュしてから敵ジャングル内に侵入することで、タワーの破壊やピックオフに繋げるというものである。3年ほど前までは、今よりもずっと視界の確保が容易であったため、極めて安全に有利を広げられる戦術として猛威を振るった。

しかし、トラッカーナイフ(通称・緑スマイト)の削除を皮切りに、ジャングラーがサポートアイテムを購入することへの制限、コントロールワードの所持上限の減少など視界面のナーフが続いた結果、今や純粋なスプリットプッシュは「ハイリスク・ミドルリターン」なプレイに成り下がってしまったとすら言える。

そして、現在の「LCK」で頻繁に見られるのがその亜種的なプレイパターン「消極的1-3-1」である。主目的がエレメンタルドレイクの確保にすげ変わり、ローテーションのミスを咎めるピックオフなどは副次的に狙っていく。レーン割り当ては従来とほぼ同じだが、ボットレーンが「タンク+セナ」のようなやや特殊な構成をしている場合、プッシュの早いミッドレーナーとセナを組み合わせて中央に配することもある。サイドレーナーたちの主な役割はウェーブのクリアやコントロールであり、空いた時間はミッドレーン方向へと体を寄せるのが基本となる。

出典:https://youtu.be/GX9z_SDXaQY

エレメンタルドレイクの駆け引きで少しでも優位に立ち、最悪取られたとしても切り返せる状況を作る。それゆえに、ドレイクがリポップするまでの中途半端な時間を「消極的1-3-1」でやり過ごす。これが、現環境における新しい「ローリスク・ミドルリターン」プレイというわけだ。

そうなると、当然この「消極的1-3-1」の裏をかくプレイも生まれてくる。

一例としては、ドレイクとドレイクの合間を利用してバロンラッシュを試みたり、やや強引にでもエンゲージを仕掛けたりする動きだ。特にビハインドを背負っているチームは、リスクは承知の上でこのような行動を狙うのか、それともドレイク付近での集団戦に注力するのかを、構成やチームスタイルから判断しなければならない。

各チームの前半戦総括

それでは、1位のチームから順に前半戦の総括をしていこう。
(※ロースター欄には出場機会のあったプレイヤーのみを記載)

1位 Gen.G (8勝1敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Rascal
ジャングル:Clid
ミッド:Bdd
ボット:Ruler
サポート:Life / Kellin

ありとあらゆるチームスタッツが高水準でまとまっている中でも、15分時点でのチームゴールド差がプラス1691ゴールド(1位)と極めて高く、序盤に築いた有利をオブジェクトの確保へと繋げるお手本のようなチームとなっている。

Clid選手とBdd選手の連携から生まれる圧力が凄まじく、リーグ全体でも頭一つ抜けている。上手くいかなかった試合があっても、すぐに切り替えて立て直せる修正力の高さも魅力的だ。

また、ドラフト面においてもカリスタ+タリックや、カイ=サ+ダイバー系、セト(サポート)など、その時々の一歩先を行くようなピックが準備されており、相手からすると底知れない選択肢の広さも厄介なポイントとなる。

2位タイ T1(7勝2敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Canna / Roach
ジャングル:Cuzz
ミッド:Faker
ボット:Teddy
サポート:Effort

前述した「消極的1-3-1」を使いこなし、安定した立ち回りで勝利を掴んできたT1。他チームと比べても各プレイヤーが淡々とやるべきことをこなすという印象が強く、良い意味で個々人が独立している。トップレーンが不安視されていたものの、新人のCanna選手はチームを支える冷静なプレイで評価を上げている。

メインキャリーのTeddy選手は分間獲得CSが11.1でリーグトップ、ダメージシェアも33.2%と、集団戦における要となっている。中でもピックの6割近くを占めたミス・フォーチュンは、Ultスキルのタイミングと位置が絶妙で、決してボタン1つ押すだけのスキルではないと言わんばかりであった。

2月に3年の契約延長と「T1 Entertainment&Sports」の共同オーナーになることが発表されたFaker選手も、相手チームのキープレイヤーを縛る動きが冴えわたっている。軸となる選手がはっきりしているチームほど、今後も苦戦を強いられることになりそうだ。

2位タイ DragonX(7勝2敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Doran
ジャングル:Phosik
ミッド:Chovy / Quad
ボット:Deft
サポート:Keria

昨年の世界大会からオフシーズンにかけて渦中の人となったCvMax氏率いるDragonXは、粗削りな部分が目立つにもかかわらず2位タイにつけている。チームDPMが1944でリーグトップなのに対して、分間ワード数は3.6で最下位と、血気盛んなプレイスタイルが特徴的だ。

開幕前から注目を集めていた17歳の麒麟児・Keria選手は噂に違わぬ活躍ぶりで、傑出した技術をまざまざと見せつけている。デュオを組むDeft選手は6歳年上だが、すでにイニシアチブを握っているのはKeria選手のようだ。

ドラフトでもミッドとサポートのピックを重要視している傾向が徐々に強くなっており、Chovy選手とKeria選手への厚い信頼が透けて見える。

もう一人の新人・Phosik選手はアグレッシブなプレイが持ち味なのだが、そこが逆に付け入る隙となっているシーンも少なくない。彼が前半戦での経験を精神的成長に繋げられるかによって、チームの行く末は変わってくるだろう。

4位 Afreeca Freecs(6勝3敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Kiin
ジャングル:Spirit / Dread
ミッド:Fly / ALL IN
ボット:Mystic / SS
サポート:Jelly / Ben

4位という好位置につけてはいるものの、ミッドからボットにかけてレーニング段階が不安定という課題を抱えており、プレーオフ進出に向けてまだまだ油断はできないAfreeca Freecs。ミッドレーンにオーン、パンテオン、オリアナといった、安定させやすいチャンピオンを選択するというチームスタイルは、すでに看破されてしまった。

リーグ最高峰のトップレーナーであるKiin選手はソロキル数がリーグトップの9回とその実力を遺憾なく発揮しているものの、それでもボット偏重の環境でキャリーし切れるまでには至らないようだ。

しかしながら、Kiin選手・Mystic選手・Jelly選手の3名が有する集団戦における爆発力は疑う余地もなく、序盤をイーブン以上で乗り切ることが目下の目標といったところだ。

5位 DAMWON Gaming(4勝5敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Nuguri
ジャングル:Canyon
ミッド:ShowMaker
ボット:Nuclear
サポート:Hoit / BeryL

ボットレーンが重要なメタに最も苦しんでいるのは、このDAMWON Gamingかもしれない。チーム内で最もダメージを出しているNuguri選手のダメージシェアが28%、逆にNuclear選手のそれは24.1%と、リーグ全体で見ても控え目な数字となっている。

クイン+セト(ボット)+ユーミや、コーキ、アイバーンといった試験的なピックを投入してはいるものの、今一つ結果には結びついていない。シーズン途中にヘッドコーチであったMicro氏が退任するという小変もあり、ドラフトについてはチーム内でさらなる意見のすり合わせが必要だろう。

また、フリーエージェントとなっていたボットレーナーのGhost選手を2月下旬に獲得し、最低限の補強は施したと言える。連携面などの調整も含め、日程の延期は渡りに船だったかもしれない。

6位 KT Rolster(4勝5敗)

出展:LCK Flickr

トップ:SoHwan / Ray
ジャングル:bonO / Malrang
ミッド:Kuro
ボット:Aiming
サポート:TusiN

プレイヤー及びコーチ陣が一新され、ほぼ新規チームとなったKT Rolster。開幕直後は精彩を欠き5連敗と沈んだが、そこから4連勝で一気に6位まで浮上した。

1試合当たりのヘラルド獲得数がリーグトップの1.30、15分時点でのドレイク獲得数も1.17(2位タイ)と序盤のオブジェクト意識が高く、連携面の改善でそれが活かされるようになってきた。

Kuro選手がユーティリティ寄りのチャンピオンを使用する機会が多いためか、Aiming選手のダメージシェアが35.8%とずば抜けて高くなっている。しかし、このままのスタイルでダメージディーラーとしての負担をかけ続けるというのは、あまり得策とは思えない。

チャンピオンプールの広いKuro選手を活かして、さらにプレイパターンを広げていくことが、後半戦にとどまらず夏のシーズンにも繋がるはずだ。

7位 Hanwha Life Esports(3勝6敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Cuvee
ジャングル:Haru
ミッド:Tempt
ボット:Vsta / Lava / Zenit
サポート:Lehends

初戦でT1相手に勝利を収めたHanwha Life Esportsだったが、週が進むにつれて綻びが目立ちだした。様々な要素が絡み合った結果、チーム全体で決定力が欠けているという印象が強い。

まず、3名いるボットレーナーのうち22試合中19試合に出場したVsta選手は、シーズン開幕前にサポートからロールチェンジしたプレイヤーだ。プレイヤースキルそのものは申し分ないのだが、やはりチャンピオンプールが課題となっている。開幕直後に比べるとボットレーナーに求められるプールが広がっており、ドラフトとプレイの両面から窮屈さを感じる。

また、調子の良かったHaru選手が無理をする場面も増えつつあり、彼の被ファーストブラッド率は18.2%とジャングラー内で最も高い。強気なプレイを売りとする彼を、Cuvee選手とTempt選手で支えていくための工夫が欲しいところである。

8位 SANDBOX Gaming(2勝7敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Summit / Lonely
ジャングル:OnFleek
ミッド:Dove / FATE
ボット:Leo / Route
サポート:Gorilla / Joker

大方の事前予想に反して、苦しいシーズンを送っているのはSANDBOX Gaming。4つのポジションで選手を入れ替えて試行錯誤を重ねているものの、打開の糸口が掴み切れていない。

Summit選手はレーニング段階だけなら非常に良い動きをしているのだが、集団戦になると孤立しがちで集中砲火を受けやすい。ファーストエンゲージの役割を彼以外のプレイヤーに任せ、後から入って暴れてもらうというプランを手札に加えたい。

プロモーション行きを回避するためにも、この延期期間を利用してある程度スターターも固めていきたいところだ。

9位 APK Prince(2勝7敗)

出展:LCK Flickr

トップ:ikssu
ジャングル:Flawless
ミッド:Keine / Cover
ボット:HyBrid / Trigger
サポート:Secret / Mia

下馬評通りの下位スタートとなったAPK Princeだが、見通しはそこまで悪くない。存在感の薄かったKeine選手に代わり、前半戦最後の試合で起用されたCover選手のパフォーマンスが良かったのは前向きな材料だ。ミッドレーンが主導権を渡さなければ、今以上にボットレーンも安定したレーニングが行えるようになるだろう。

3年ぶりに中国から戻ってきたFlawless選手も上がり調子で、集団戦における細かいミスを潰していけば、より一層戦えるチームになるはずだ。

イラオイやジリアンという一風変わったチャンピオンを使用しているikssu選手が、今後どのような隠し玉を見せてくれるのかも楽しみにしておこう。

10位 Griffin(2勝7敗)

出展:LCK Flickr

トップ:Sword
ジャングル:Tarzan
ミッド:Ucal / Naehyun
ボット:Viper
サポート:Irove

昨年、初めての世界大会でベスト8と健闘したGriffinだが、主力プレイヤーが抜けた穴は小さくなく、かなりの苦戦を強いられている。

特に不振が目立つのはSword選手で、15分時点における対面とのゴールド差がマイナス450ゴールド、DPMも295.5とトップレーナー内で最下位に沈んでいる。集団戦でも判断の冴えないシーンが散見されており、課題が山積しているようだ。

いっそのことトップのマッチアップは度外視して、ジャングルとミッドを最優先したドラフトを組み立てるなどといった、思い切った処置が必要かもしれない。

最後に

執筆時点では、Round2の再開へ向けた公式からの発表はされていない。しかし、1カ月以上前から休止していた中国1部リーグ「LPL」が、つい先日よりオンラインという形で再開されているという前例もある。きっと「LCK」の運営に携わるたくさんの方々が、再開に向けて今も水面下で奔走しているはずだ。

通常ならば存在しないはずのインターバル期間が、各チームにどのような変化をもたらすのか。また、遅れを取り戻すため過密になることが予想されるスケジュールで、本来の実力を発揮できるチームはどこなのかといった興味は尽きない。とはいえ、今はただ一刻も早く事態が収束することを切に願う。


写真出典:LCK Flickr
 https://www.flickr.com/photos/145885012@N07/albums/72157712991897971/with/49494980421/

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LCK 2020 Spring データページ (Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LCK/2020_Season/Spring_Season

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