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『LoL』北米1部リーグ「LCS 2020 Spring Split」開幕レビュー:変化を続けるプロリーグの最先端
目次
欧州と並んで黎明期から『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の競技シーンが存在し、今でも根強い人気を誇る古参チームと新規チームとが華々しく激突するリーグが、北米公式トップリーグ「LCS」だ。2019年の「Worlds」ではあまり良い結果を出せてはいないものの、「MSI」では久々に決勝へとチームを進めてその存在感をアピールしている。
2020シーズンは参加権やチームの売却およびリブランドによって、3つのチームが新たに加わっており、古くから競技シーンを追いかけてきたようなファンにとっては懐かしい名前のチームが復帰を果たしている。もちろん同じなのは名前だけで、プレイヤーは大きく入れ替わっており、1スプリット目から新チームがどのように戦うのか、それを迎え撃つ古参チームの戦いぶりはどうなのかが注目されるだろう。
また、プレイオフのシステムが変更されることもすでにアナウンスされており、シーズン終盤まで各チームの戦いを楽しめるようになっている。
4スプリット連続で北米リーグのプレイオフを制している北米王者。地域を代表するベテランADCであるDoublelift選手を筆頭として、世界大会優勝経験のあるImpact・CoreJJ選手といった隙のないメンバーを揃えて地域では圧倒的な強さを見せている。
昨年の「MSI」では北米代表として久しぶりに決勝まで駒を進めており、元FnaticのBroxah選手を加えて更なる補強を行っている。Week 1ではオセアニアで名ジャングラーとして鳴らしたShernfire選手が、ビザ発給の遅れているBroxah選手の代わりに出場した。
チーム略称:TL
トップ:Impact
ジャングル:Broxah
ジャングル:Shernfire
ミッド:Jensen
ボット:Doublelift
サポート:CoreJJ
ヘッドコーチ:Cain
マネージャー兼アシスタントコーチ:Dodo
北米の競技シーンが本格化した時期に現れて以来、常にトップ争いの一員として戦っている強豪チーム。チーム創設時から7年連続世界大会出場の輝かしい実績を持つADCのSneaky選手は一線を退き、今シーズンよりADCにZven選手を迎えたことで、メンバーがついに全員入れ替わった。
北米のチームとしては大胆に若手を採用しながら結果を出しているので、2020シーズンも新たな姿を見せてくれるだろう。
チーム略称:C9
トップ:Licorice
ジャングル:Blaber
ミッド:Nisqy
ボット:Zven
サポート:Vulcan
ヘッドコーチ:Reapered
アシスタントコーチ:Westrice
北米のリーグにおいてはTeam SoloMidと並んで黎明期から存在感を発揮してきた古参チームの一つ。成績は年によってアップダウンがあるものの、2019年はRuin選手の加入による補強に成功している。
2020シーズンを迎えるにあたっては2017年の世界王者でもあるCrown選手を加え、上位チームに挑む。
チーム略称:CLG
トップ:Ruin
ジャングル:Wiggily
ミッド:Crown
ボット:Stixxay
サポート:Smoothie
ヘッドコーチ:SSONG
アシスタントコーチ:Weldon
CLGと並んで長い歴史を誇る古参チーム。かつては地域を代表するチームとして北米リーグの頂点にあったが、ここ2年ほどはTLやC9に押さえられ、Regional Qualifier(北米3枠目の世界大会参加枠を勝ち取るためのトーナメント)も勝ち抜けていないため、2018年以来「Wolrds」出場を逃し続けている。
2020シーズンにあたっては、ジャングル・ADC・サポートを補強して大きく勝負に出た形となっているが、2013年以来の看板選手であるBjergsen選手にかかる期待も大きい。
チーム略称:TSM
トップ:Broken Blade
ジャングル:Dardoch
ミッド:Bjergsen
ボット:Kobbe
サポート:Biofrost
ヘッドコーチ:Peter Zhang
コーチ:Lustboy
2018シーズンのフランチャイズ化に合わせて参入してきた組織の一つ。当初は若手を非常に重視したラインナップだったが、シーズンを通しての戦いを経てベテランの割合も増えてきている。とはいえ、積極的に他地域の若手選手を獲得する動きは続けており、今シーズンは元Royal YouthのCloser選手(トルコ)、元BombersのFBI選手(オセアニア)と、国際大会のプレイインステージで活躍したマイナーリージョンの選手を新たにチームに加えている。
それ以外のメンバーは十分なキャリアを持つベテランで固めており、チームとしてのまとまり次第ではプレイオフ進出、さらには上位シードも目指せるはずだ。
チーム略称:GG(昨年までのGGSより変更)
トップ:Hauntzer
ジャングル:Closer
ミッド:Goldenglue
ボット:FBI
サポートKeith
ヘッドコーチ:Inero
アシスタントコーチ:ChuChuZ
GGS同様に2018シーズンから参加しているチームの一つ。参入初年度となった2018シーズンに「Worlds」出場を達成したものの、2019シーズンはメンバー変更後のチーム作りがうまく行かず低迷した。
2020シーズンは2018年に所属していたMeteos・Cody Sunの両選手が復帰し、さらにオセアニアで実績を残したRyoma選手をチームに招いての再スタートとなっている。元LCKキャスターで、2020シーズンよりゼネラルマネージャーに就任したPapaSmithy氏のもと、北米のアマチュア選手を育成する活動も開始しており、競技シーンに対するアプローチも興味深い。
チーム略称:100
トップ:Ssumday
ジャングル:Meteos
ミッド:Ryoma
ボット:Cody Sun
サポート:Stunt
ヘッドコーチ:Zikz
戦略コーチ:JungleJuice
2017シーズンからLCSに参加している組織で、Cloud9の2部チームが昇格に合わせて組織改編したもの。ベテランのSantorin・Wildturtle選手を軸として、2018シーズンに頭角を現したV1per選手や、PowerOfEvil選手、IgNar選手といった域外選手でチームを再編した。試合での戦績によって植林ボランティアに寄付を行う「TREEQUEST」キャンペーンを展開し、ユニフォームにはウィスコンシン州の花であるスミレをあしらうなど、LCSチームでは新たな方向性に取り組んでいるチームでもある。
取り組みとは別に、2020シーズンは良くも悪くも安定した中堅というポジションから一つ抜け出すための一歩も求められている。
チーム略称:FLY
トップ:V1per
ジャングル:Santorin
ミッド:PowerOfEvil
ボット:WildTurtle
サポート:IgNar
ヘッドコーチ:Curry
アシスタントコーチ:DLim
元々はCLGやTSMと並んで古いチームの一つで、2012~2017シーズンの間北米で活動していた。しかし2018年のフランチャイズ化に際して参加権を獲得できず、一度はLoL部門を解散させていた組織でもある。今回はClutch GamingのLoL部門を取得する形で復帰となった。
Clutch Gaming時代から続投となるのはHuni選手のみだが、他にもFroggen選手、aphromoo選手といったベテランで脇を固めて、復帰一年目となるシーズンを戦う見通しだ。
チーム略称:DIG
トップ:Huni
ジャングル:Grig
ミッド:Froggen
ボット:Johnsun
サポート:aphromoo
ヘッドコーチ:Thinkcard
アシスタントコーチ:Invert
2016~2017シーズンにおいて、北米のダークホースとして存在感を発揮していたチーム。惜しみないスター選手の獲得で参入直後から上位争いを演じ、2017シーズンには「Worlds」にも出場を果たしている。2018シーズンはフランチャイズリーグ参加権の取得に関し、当時要求された基準を満たせなかったためにLCSより離脱。しかし2019年にOptic GamingのLoL部門を買収し、2020年春から装いも新たとなったLCSへの帰還を果たすこととなった。
Optic Gamingから続投のArrow選手以外にも、欧州の看板トップレーナーだったsOAZ選手や北米きってのベテランジャングラーであるxmithie選手など、今回も強力なラインナップを揃えての参戦となっている。
チーム略称:IMT
トップ:sOAZ
ジャングル:Xmithie
ミッド:Eika
ボット:Altec
サポート:Hakuho
ヘッドコーチ:Zaboutine
アシスタントコーチ:GotoOne
画像出典:EG公式Twitter
このチームもまた長い歴史をもったブランドの一つであり、組織そのものは1999年に発足した最も古いゲーミング組織の一つに数えられている。LoL部門の大本は、2013年に欧州で活動していたチームが2014シーズンから北米に活動の場を移したもの。ところが2015年にリーグのルール変更(※)によって、母体組織がチームを手放す必要が出たためにチームはリブランドし、1スプリットを過ごした後に解散という結末を迎えていた。
今回はEvil Geniusesを傘下に収めた大きな組織が、Echo Foxが2019年のトラブルによって失った参加権を取得する形で、LCSへと復帰することとなっている。復帰最初のスターティングメンバーは、2019年のC9で実績を残したプレイヤー3名に加え、欧州初のイタリア出身LECプレイヤーだったJiizuke選手、そしてSKTで2度の「Worlds」優勝を誇るBang選手というメンバーになっている。Bang選手は今年が北米2年目ということで、地域になじむのに必要な経験は積んでおり、より好条件でスタートを切れるのではないかと期待が持てる。
※「一つの組織が出資・傘下に置ける1部のチームは1チームまで」というルール変更。韓国ではSKT T1/T2やKT Rolster A/Bといった兄弟チームが全て統合されることとなった。Evil Geniusesの場合は親会社がAllianceというEUのチーム(2014シーズンの欧州王者)も所有していたため、一方を手放す必要が出てしまった。
チーム略称:EG
トップ:Kumo
ジャングル:Svenskeren
ミッド:Jiizuke
ボット:Bang
サポート:Zeyzal
ヘッドコーチ:Irean
アシスタントコーチ:Artemis
まず最も大きな変更は、ダブルエリミネーション方式の一部導入だ。シンプルに言うと「2敗するとトーナメント脱落」となる方式のことで、決勝戦以外の段階であれば1敗した時点でルーザーズ側のブロックに配置されなおし、再度勝ち上がるチャンスが生まれる方式だ。『LoL』の大会で採用されることはあまりない方式だが、格闘ゲームをはじめとする他のタイトルでは一般的なものでもある。
▲LCS 2020 Spring Playoffのフォーマット。今年の春プレイオフはテキサスでの開催
従来のシングルエリミネーション(一度負ければトーナメント敗退)方式は分かりやすいものの、対戦の組み合わせ次第では優勝チームと初戦で当たって、本来上位になる(例えば2位になるような)実力のチームが早々とトーナメントから脱落することもある。ダブルエリミネーション方式ではそのようなチームもルーザーズ側で再び勝ち上がるチャンスがあるため、実力に即した結果になりやすいと言われている。
春プレイオフでは6チームが参加することになるが、上位4チームはダブルエリミネーション方式が適用される。5位と6位は初めから1敗してルーザーズから始まるのと同じ状態での参加となり、1敗した時点でトーナメント敗退なので「一部」の導入ということだ。とはいえ、そこから全ての試合で勝ち上がればもちろん優勝の可能性もある。
▲LCS 2020 Summer Playoffのフォーマット
夏プレイオフはもう少し複雑になっており、参加チームは夏の上位8チーム。その内上位2チームは2回戦からの参加。3-6位の4チームは1回戦を戦い、7-8位のチームは3-6位間の対戦で敗れたチームを加えたルーザーズ側からのスタートのダブルエリミネーションである。基本的には下位2チームは1度負けると敗退と捉えておけば問題ない。
そして、さらに重要な点として、「Worlds」出場権の獲得が夏プレイオフの結果のみに一本化されることとなった。従来は夏プレイオフ優勝・春夏通して獲得したChampionship Point 1位・Regional Qualifierの勝者の3チームが「Worlds」への出場権を獲得していたが、今年は夏プレイオフの上位3チームが「Worlds」出場権を獲得する。
この方式に変更されたことにより、「Worlds」直近の成績・パフォーマンスに基づいて出場権を勝ち取れることになったため、シーズン終盤の快進撃での「Worlds」出場の可能性が増した。また、春スプリットの結果が「Worlds」出場に直結しなくなったので、新規参入のチームや大規模な組織改編のあったチームが、春の間にチーム作りを重視するといった方針を立てることもやりやすくなったと言えるだろう。
また、夏スプリットの途中で「Playoff/Regional Qualifier出場の可能性が失われたのでロースターを解散する」といった状況も相当少なくなる(9位以下確定くらいなので)と思われる。
メンバー変更があったものの、以前同チームで活躍した実績のある選手同士でのプレイが光ったFLYや、各レーンにLCSキャリアが長く、かつ実績あるメンバーを集めることに成功したDIG、昨年の時点で韓国ブートキャンプをかなり長く行っていたC9が2勝と幸先よくスタートを切っている。
一方でTSM・CLG・GGは2敗と苦しいスタートとなってしまった。古参チームのファンとしては心穏やかとは言えない状況ではあるものの、まだまだリーグは始まったばかり。まずは2週目に向けて各チームがどれだけ修正を行ってくるのかに注目していきたい。
2020シーズン春のLCSは、アカデミーリーグと配信を統合することとなり、従来の土日配信から金~月曜配信と枠を拡大して行われる。金曜の配信はアカデミーリーグの配信で、土日はそれぞれ4試合、月曜はアカデミーリーグの試合を配信した後にLCSが2試合配信される(以上は現地時間)。フランチャイズ化の際、チームの若手育成やサブの維持を助けるために解説されたアカデミーリーグだったが、競技ファンからの注目度は低迷。その点を改善するための取り組みとなる。
日本時間での配信時間を整理しよう。17時間と時差が大きいため、北米西海岸時刻の大半は日本時間で翌日の日付にずれ込む。現地で金曜のアカデミーリーグの配信は、日本時間だと朝10時開始。現地で土曜の配信は日曜朝7時から、現地で月曜の配信はアカデミーリーグが朝7時から、LCSが朝10時からとなっている。
2枠までの外国人選手枠をフルに使い、韓国や欧州の有力選手を擁するスタイルでやってきている北米のチームたち。豊富な資金で呼び寄せた外国人傭兵に頼るスタイルは国際大会での結果に結びついておらず、地元である北米のファンから批判も多いものの、なかなか変わることがないようだ。
とはいえ、韓国LCKのチームたちが国際大会の優勝から遠ざかって2年。中国LPLが代わって台頭し、欧州LECがそれを追う中で、北米がそれに続き取って代わろうとしないわけがない。トップリージョンの有力選手たちが火花を散らす、最先端の戦いを見届けよう。
『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
2020シーズンのLCS開催方式公式解説(英語)
https://eu.lolesports.com/en/articles/2020-lec-format-explained
LoL Esports LCS試合スケジュール(英語)
https://watch.na.lolesports.com/schedule?leagues=lcs
LoL Esports 公式YouTubeチャンネル(ライブ配信、英語)
https://www.youtube.com/user/LoLChampSeries/featured
LoL Esports VODs and Highlights(LCSおよびLECの試合動画アーカイブとハイライト動画集、英語)
https://www.youtube.com/channel/UCzAypSoOFKCZUts3ULtVT_g
LoL Esports 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lolesports
LoL Esports Stats(リアルタイムで試合統計についてツイートする公式Twitter、英語)
https://twitter.com/LoLEsportsStats
LCS 2020 Spring データページ(Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LCS/2020_Season/Spring_Season
2020シーズンは参加権やチームの売却およびリブランドによって、3つのチームが新たに加わっており、古くから競技シーンを追いかけてきたようなファンにとっては懐かしい名前のチームが復帰を果たしている。もちろん同じなのは名前だけで、プレイヤーは大きく入れ替わっており、1スプリット目から新チームがどのように戦うのか、それを迎え撃つ古参チームの戦いぶりはどうなのかが注目されるだろう。
また、プレイオフのシステムが変更されることもすでにアナウンスされており、シーズン終盤まで各チームの戦いを楽しめるようになっている。
2019から継続参加しているチーム
Team Liquid
画像出典:Team Liquid公式Twitter4スプリット連続で北米リーグのプレイオフを制している北米王者。地域を代表するベテランADCであるDoublelift選手を筆頭として、世界大会優勝経験のあるImpact・CoreJJ選手といった隙のないメンバーを揃えて地域では圧倒的な強さを見せている。
昨年の「MSI」では北米代表として久しぶりに決勝まで駒を進めており、元FnaticのBroxah選手を加えて更なる補強を行っている。Week 1ではオセアニアで名ジャングラーとして鳴らしたShernfire選手が、ビザ発給の遅れているBroxah選手の代わりに出場した。
チーム略称:TL
トップ:Impact
ジャングル:Broxah
ジャングル:Shernfire
ミッド:Jensen
ボット:Doublelift
サポート:CoreJJ
ヘッドコーチ:Cain
マネージャー兼アシスタントコーチ:Dodo
Cloud9
画像出典:LoL Esports Photos北米の競技シーンが本格化した時期に現れて以来、常にトップ争いの一員として戦っている強豪チーム。チーム創設時から7年連続世界大会出場の輝かしい実績を持つADCのSneaky選手は一線を退き、今シーズンよりADCにZven選手を迎えたことで、メンバーがついに全員入れ替わった。
北米のチームとしては大胆に若手を採用しながら結果を出しているので、2020シーズンも新たな姿を見せてくれるだろう。
チーム略称:C9
トップ:Licorice
ジャングル:Blaber
ミッド:Nisqy
ボット:Zven
サポート:Vulcan
ヘッドコーチ:Reapered
アシスタントコーチ:Westrice
Counter Logic Gaming
画像出典:CLG公式Twitter北米のリーグにおいてはTeam SoloMidと並んで黎明期から存在感を発揮してきた古参チームの一つ。成績は年によってアップダウンがあるものの、2019年はRuin選手の加入による補強に成功している。
2020シーズンを迎えるにあたっては2017年の世界王者でもあるCrown選手を加え、上位チームに挑む。
チーム略称:CLG
トップ:Ruin
ジャングル:Wiggily
ミッド:Crown
ボット:Stixxay
サポート:Smoothie
ヘッドコーチ:SSONG
アシスタントコーチ:Weldon
Team SoloMid
画像出典:TSM公式TwitterCLGと並んで長い歴史を誇る古参チーム。かつては地域を代表するチームとして北米リーグの頂点にあったが、ここ2年ほどはTLやC9に押さえられ、Regional Qualifier(北米3枠目の世界大会参加枠を勝ち取るためのトーナメント)も勝ち抜けていないため、2018年以来「Wolrds」出場を逃し続けている。
2020シーズンにあたっては、ジャングル・ADC・サポートを補強して大きく勝負に出た形となっているが、2013年以来の看板選手であるBjergsen選手にかかる期待も大きい。
チーム略称:TSM
トップ:Broken Blade
ジャングル:Dardoch
ミッド:Bjergsen
ボット:Kobbe
サポート:Biofrost
ヘッドコーチ:Peter Zhang
コーチ:Lustboy
Golden Guardians
画像出典:GG公式Twitter2018シーズンのフランチャイズ化に合わせて参入してきた組織の一つ。当初は若手を非常に重視したラインナップだったが、シーズンを通しての戦いを経てベテランの割合も増えてきている。とはいえ、積極的に他地域の若手選手を獲得する動きは続けており、今シーズンは元Royal YouthのCloser選手(トルコ)、元BombersのFBI選手(オセアニア)と、国際大会のプレイインステージで活躍したマイナーリージョンの選手を新たにチームに加えている。
それ以外のメンバーは十分なキャリアを持つベテランで固めており、チームとしてのまとまり次第ではプレイオフ進出、さらには上位シードも目指せるはずだ。
チーム略称:GG(昨年までのGGSより変更)
トップ:Hauntzer
ジャングル:Closer
ミッド:Goldenglue
ボット:FBI
サポートKeith
ヘッドコーチ:Inero
アシスタントコーチ:ChuChuZ
100 Thieves
画像出典:100T公式TwitterGGS同様に2018シーズンから参加しているチームの一つ。参入初年度となった2018シーズンに「Worlds」出場を達成したものの、2019シーズンはメンバー変更後のチーム作りがうまく行かず低迷した。
2020シーズンは2018年に所属していたMeteos・Cody Sunの両選手が復帰し、さらにオセアニアで実績を残したRyoma選手をチームに招いての再スタートとなっている。元LCKキャスターで、2020シーズンよりゼネラルマネージャーに就任したPapaSmithy氏のもと、北米のアマチュア選手を育成する活動も開始しており、競技シーンに対するアプローチも興味深い。
チーム略称:100
トップ:Ssumday
ジャングル:Meteos
ミッド:Ryoma
ボット:Cody Sun
サポート:Stunt
ヘッドコーチ:Zikz
戦略コーチ:JungleJuice
FlyQuest
画像出典:LoL Esports Photos2017シーズンからLCSに参加している組織で、Cloud9の2部チームが昇格に合わせて組織改編したもの。ベテランのSantorin・Wildturtle選手を軸として、2018シーズンに頭角を現したV1per選手や、PowerOfEvil選手、IgNar選手といった域外選手でチームを再編した。試合での戦績によって植林ボランティアに寄付を行う「TREEQUEST」キャンペーンを展開し、ユニフォームにはウィスコンシン州の花であるスミレをあしらうなど、LCSチームでは新たな方向性に取り組んでいるチームでもある。
取り組みとは別に、2020シーズンは良くも悪くも安定した中堅というポジションから一つ抜け出すための一歩も求められている。
チーム略称:FLY
トップ:V1per
ジャングル:Santorin
ミッド:PowerOfEvil
ボット:WildTurtle
サポート:IgNar
ヘッドコーチ:Curry
アシスタントコーチ:DLim
2020シーズンから参戦の新規チーム
Dignitas (Clutch Gamingのスロット)
画像出典:Dignitas公式Twitter元々はCLGやTSMと並んで古いチームの一つで、2012~2017シーズンの間北米で活動していた。しかし2018年のフランチャイズ化に際して参加権を獲得できず、一度はLoL部門を解散させていた組織でもある。今回はClutch GamingのLoL部門を取得する形で復帰となった。
Clutch Gaming時代から続投となるのはHuni選手のみだが、他にもFroggen選手、aphromoo選手といったベテランで脇を固めて、復帰一年目となるシーズンを戦う見通しだ。
チーム略称:DIG
トップ:Huni
ジャングル:Grig
ミッド:Froggen
ボット:Johnsun
サポート:aphromoo
ヘッドコーチ:Thinkcard
アシスタントコーチ:Invert
Immortals (Optic Gamingのスロット)
画像出典:LoL Esports Photos2016~2017シーズンにおいて、北米のダークホースとして存在感を発揮していたチーム。惜しみないスター選手の獲得で参入直後から上位争いを演じ、2017シーズンには「Worlds」にも出場を果たしている。2018シーズンはフランチャイズリーグ参加権の取得に関し、当時要求された基準を満たせなかったためにLCSより離脱。しかし2019年にOptic GamingのLoL部門を買収し、2020年春から装いも新たとなったLCSへの帰還を果たすこととなった。
Optic Gamingから続投のArrow選手以外にも、欧州の看板トップレーナーだったsOAZ選手や北米きってのベテランジャングラーであるxmithie選手など、今回も強力なラインナップを揃えての参戦となっている。
チーム略称:IMT
トップ:sOAZ
ジャングル:Xmithie
ミッド:Eika
ボット:Altec
サポート:Hakuho
ヘッドコーチ:Zaboutine
アシスタントコーチ:GotoOne
Evil Geniuses (Echo Foxのスロット)
画像出典:EG公式Twitterこのチームもまた長い歴史をもったブランドの一つであり、組織そのものは1999年に発足した最も古いゲーミング組織の一つに数えられている。LoL部門の大本は、2013年に欧州で活動していたチームが2014シーズンから北米に活動の場を移したもの。ところが2015年にリーグのルール変更(※)によって、母体組織がチームを手放す必要が出たためにチームはリブランドし、1スプリットを過ごした後に解散という結末を迎えていた。
今回はEvil Geniusesを傘下に収めた大きな組織が、Echo Foxが2019年のトラブルによって失った参加権を取得する形で、LCSへと復帰することとなっている。復帰最初のスターティングメンバーは、2019年のC9で実績を残したプレイヤー3名に加え、欧州初のイタリア出身LECプレイヤーだったJiizuke選手、そしてSKTで2度の「Worlds」優勝を誇るBang選手というメンバーになっている。Bang選手は今年が北米2年目ということで、地域になじむのに必要な経験は積んでおり、より好条件でスタートを切れるのではないかと期待が持てる。
※「一つの組織が出資・傘下に置ける1部のチームは1チームまで」というルール変更。韓国ではSKT T1/T2やKT Rolster A/Bといった兄弟チームが全て統合されることとなった。Evil Geniusesの場合は親会社がAllianceというEUのチーム(2014シーズンの欧州王者)も所有していたため、一方を手放す必要が出てしまった。
チーム略称:EG
トップ:Kumo
ジャングル:Svenskeren
ミッド:Jiizuke
ボット:Bang
サポート:Zeyzal
ヘッドコーチ:Irean
アシスタントコーチ:Artemis
2020年から大きく変わったLCSのシステム
2020シーズンのLCSは、プレイオフ形式が大きく変更されることが発表されている。まず最も大きな変更は、ダブルエリミネーション方式の一部導入だ。シンプルに言うと「2敗するとトーナメント脱落」となる方式のことで、決勝戦以外の段階であれば1敗した時点でルーザーズ側のブロックに配置されなおし、再度勝ち上がるチャンスが生まれる方式だ。『LoL』の大会で採用されることはあまりない方式だが、格闘ゲームをはじめとする他のタイトルでは一般的なものでもある。
▲LCS 2020 Spring Playoffのフォーマット。今年の春プレイオフはテキサスでの開催
従来のシングルエリミネーション(一度負ければトーナメント敗退)方式は分かりやすいものの、対戦の組み合わせ次第では優勝チームと初戦で当たって、本来上位になる(例えば2位になるような)実力のチームが早々とトーナメントから脱落することもある。ダブルエリミネーション方式ではそのようなチームもルーザーズ側で再び勝ち上がるチャンスがあるため、実力に即した結果になりやすいと言われている。
春プレイオフでは6チームが参加することになるが、上位4チームはダブルエリミネーション方式が適用される。5位と6位は初めから1敗してルーザーズから始まるのと同じ状態での参加となり、1敗した時点でトーナメント敗退なので「一部」の導入ということだ。とはいえ、そこから全ての試合で勝ち上がればもちろん優勝の可能性もある。
▲LCS 2020 Summer Playoffのフォーマット
夏プレイオフはもう少し複雑になっており、参加チームは夏の上位8チーム。その内上位2チームは2回戦からの参加。3-6位の4チームは1回戦を戦い、7-8位のチームは3-6位間の対戦で敗れたチームを加えたルーザーズ側からのスタートのダブルエリミネーションである。基本的には下位2チームは1度負けると敗退と捉えておけば問題ない。
そして、さらに重要な点として、「Worlds」出場権の獲得が夏プレイオフの結果のみに一本化されることとなった。従来は夏プレイオフ優勝・春夏通して獲得したChampionship Point 1位・Regional Qualifierの勝者の3チームが「Worlds」への出場権を獲得していたが、今年は夏プレイオフの上位3チームが「Worlds」出場権を獲得する。
この方式に変更されたことにより、「Worlds」直近の成績・パフォーマンスに基づいて出場権を勝ち取れることになったため、シーズン終盤の快進撃での「Worlds」出場の可能性が増した。また、春スプリットの結果が「Worlds」出場に直結しなくなったので、新規参入のチームや大規模な組織改編のあったチームが、春の間にチーム作りを重視するといった方針を立てることもやりやすくなったと言えるだろう。
また、夏スプリットの途中で「Playoff/Regional Qualifier出場の可能性が失われたのでロースターを解散する」といった状況も相当少なくなる(9位以下確定くらいなので)と思われる。
LCS Spring 2020 Week 1を見て
LEC同様、ビザの問題で当初想定されていたスターティングロースターで参戦できていないチームや、十分な練習時間を確保できていないと思われるチームを含めての初週となった。メンバー変更があったものの、以前同チームで活躍した実績のある選手同士でのプレイが光ったFLYや、各レーンにLCSキャリアが長く、かつ実績あるメンバーを集めることに成功したDIG、昨年の時点で韓国ブートキャンプをかなり長く行っていたC9が2勝と幸先よくスタートを切っている。
一方でTSM・CLG・GGは2敗と苦しいスタートとなってしまった。古参チームのファンとしては心穏やかとは言えない状況ではあるものの、まだまだリーグは始まったばかり。まずは2週目に向けて各チームがどれだけ修正を行ってくるのかに注目していきたい。
国際大会優勝の悲願は成るのか? LCS配信情報
▲LCS、毎週の大まかな配信日程2020シーズン春のLCSは、アカデミーリーグと配信を統合することとなり、従来の土日配信から金~月曜配信と枠を拡大して行われる。金曜の配信はアカデミーリーグの配信で、土日はそれぞれ4試合、月曜はアカデミーリーグの試合を配信した後にLCSが2試合配信される(以上は現地時間)。フランチャイズ化の際、チームの若手育成やサブの維持を助けるために解説されたアカデミーリーグだったが、競技ファンからの注目度は低迷。その点を改善するための取り組みとなる。
日本時間での配信時間を整理しよう。17時間と時差が大きいため、北米西海岸時刻の大半は日本時間で翌日の日付にずれ込む。現地で金曜のアカデミーリーグの配信は、日本時間だと朝10時開始。現地で土曜の配信は日曜朝7時から、現地で月曜の配信はアカデミーリーグが朝7時から、LCSが朝10時からとなっている。
2枠までの外国人選手枠をフルに使い、韓国や欧州の有力選手を擁するスタイルでやってきている北米のチームたち。豊富な資金で呼び寄せた外国人傭兵に頼るスタイルは国際大会での結果に結びついておらず、地元である北米のファンから批判も多いものの、なかなか変わることがないようだ。
とはいえ、韓国LCKのチームたちが国際大会の優勝から遠ざかって2年。中国LPLが代わって台頭し、欧州LECがそれを追う中で、北米がそれに続き取って代わろうとしないわけがない。トップリージョンの有力選手たちが火花を散らす、最先端の戦いを見届けよう。
執筆:山口佐和子
執筆協力:ユラガワ
『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
2020シーズンのLCS開催方式公式解説(英語)
https://eu.lolesports.com/en/articles/2020-lec-format-explained
LoL Esports LCS試合スケジュール(英語)
https://watch.na.lolesports.com/schedule?leagues=lcs
LoL Esports 公式YouTubeチャンネル(ライブ配信、英語)
https://www.youtube.com/user/LoLChampSeries/featured
LoL Esports VODs and Highlights(LCSおよびLECの試合動画アーカイブとハイライト動画集、英語)
https://www.youtube.com/channel/UCzAypSoOFKCZUts3ULtVT_g
LoL Esports 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lolesports
LoL Esports Stats(リアルタイムで試合統計についてツイートする公式Twitter、英語)
https://twitter.com/LoLEsportsStats
LCS 2020 Spring データページ(Leaguepedia、英語)
https://lol.gamepedia.com/LCS/2020_Season/Spring_Season
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