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プロゲーミングチーム運営・太田が明かす「台湾での共同生活三ヶ月を振り返って」

 
こんにちは。プロゲーミングチーム「SunSister」の太田です。

私がこちらで書かせていただく記事も、今回で4回目です。Twitterなどで「読んでるよ」「なかなか面白かった」などなど、ご意見いただき本当に励みになります。私は自分が文才のある人間だとは思っていませんので、読んでいただけることが本当にありがたく感じます。

実は記事を書くと、謝礼金がいただけるそうです。
私は先述の通り、自分自身の文が人様に読んでいただけるレベルにあるとは思いませんので、謝礼金はご辞退させていただいております。
「もったいない!」「貰えばいいじゃないか」との声が聞こえて来そうですが、大丈夫です。自分に優れた文才が開花した際には、5000兆円ほどいただこうと目論んでいます。

冗談はさておき。今回いただいたお題は前回に引き続き「現在の三ヶ月間・台湾生活について書いてください」とのことでしたので、集団生活の難しさについて書かせていただこうかと思います。


辛い経験


私達SunSisterが台湾に来てもう、90日間を越えました。この原稿を書いている日から、あと一週間ほどで帰国します。

楽しかったことはいいのです。放っておいても、勝手にメンバーそれぞれの良い思い出になるのですから。肝心なのは、辛かったこと、しんどかったことです。この辛い経験を、どう自分に活かすのかが肝心だと思います。

私にも、辛いことがたくさんありました。もちろん選手にも。

特に選手には、これから社会人になる選手もいますので、台湾生活で学んだこと、私に怒られたこと(笑)を今後の実生活に活かしてほしい。

大昔、私はとある会社で、面接官を担当していた時期があります。
台湾に来たばかりのころの、我が『Overwatch』チームメンバーを社員に迎えるかどうかを私が判断するとした場合、正直、ほぼ全員アウトの状態でした。

皆、気のいいやつです。楽しいやつらです。しかし一般常識、責任感、気配り……その他色々が、まったく足りませんでした。私自身も、今になってもまだまだ至らない点が沢山あります。私が彼らと同じ年齢のころも、当然同じような感じだったと思います(笑)。

私がその年齢のころは、幸運にも、それを正してくれる人が近くにいました。しかし彼らの周りには、そういった人がいないかもしれない。放っておけば、そのまま社会に出ることになってしまいます。もしかしたら、それが原因で社会に出ることさえ叶わない可能性も十分にあり得ます。

良い方向に向く過程の一助になればと、私は彼らに口うるさく注意します。さぁ、選手はどう感じているか。きっと「うるさいなぁ……」と思っているかと。でも、それで良いのです。そう思われても結果として、実生活に活かしてくれるようになるなら大成功です!

共同生活する選手たちに欠けているもの


社会に出れば、会社などの組織の中で生活を送ることになります。社会人の方ならよくお分かりだと思いますが、【責任感の重圧】【我慢】【気配り】……背負わなければいけないことが、日々たくさん起こります。それらは、ゲーミングチームでも当てはまります。

台湾での共同生活では、生活ルールを定めています。しかし、みんなこれが全然守れない(笑)。
内容は、本当に些細なことです。

  1. トイレは綺麗に使おう
  2. エアコンは部屋にいない時は消そう
  3. ごみは定期的に出そう
  4. 深夜はゲームをしてもいいが、寝てる選手もいるので大声は控えよう

ざっと思いつくところを数点書き出してみたものなのですが、上記のどれも守れません。

なぜか。
全ては【責任感】【我慢】【気配り】の欠如なのです。

大家さんは、選手たちも驚くほど親切な方で、皆感謝しています。その感謝している大家さんが「電気代が高いので部屋にいない時はエアコン消してね」とおっしゃっていました。もちろん全員「OK!」と返事します。口だけではなく本気で「わかりました!」と、頭では思っているのです。

しかしそこに「大家さんは良い人だ。あの人との約束は破れない」という【責任感】が足りません。結果、何度もエアコンをつけっぱなしで私が怒られるわけです(笑)。

夜中のゲームでエキサイトして、大声が出てしまう気持ちはわかります!私もたまーに、大きな声が出てしまいます。(反省)しかし何度注意しても、直らない選手もいます。注意されたときは「すみません!」と反省しているようです。それでも、しばらくするとまた大きな叫び声を上げます。

なぜか。
そこに「俺はゲームをやっているけど、練習で疲れたメンバーが寝ているから、声を抑えなきゃ……」という、【気配り】が欠如しているからなのです。

くだらないけれど、大事なこと


ここまで読んだ方の多くは、「なんだかしょーもないことばっかりだね」と感じていらっしゃると思います。その通り。どれもこれも、小さなくだらないことばかりなのです。
しかし集団生活では、そうしたくだらない失敗や気配りのなさがどんどん蓄積し、いつか暴発してしまいます。我々の場合、9名が一堂に住んでいます。ですので生活距離が非常に近く、不平不満の溜まるスピードはどうしても早まってしまうのです。

社会でも、たくさんのルールがあります。

会社にもよりますが
「デスクの上に飲み物は置いてはいけません」
「一日の最後に会社(部署)から出る社員はエアコンと電気を消しましょう」
「サーバールームへの入退室時には時間と名前を記入しなさい(今時はカード管理ですが)」
「ミーティングルーム前では特に静かにするように」
などなど。

小さな当たり前の決まりごとが、たくさん存在します。彼らは社会に出て、それらを守れるでしょうか?

きっとこう言います。「社会に出たらできます!」と。なぜなら私が同じ年齢の時は、そう言っていましたから(笑)。

実際に社会に出てから、それらができていたのか?
はい、できていました。
しかし、今までしていなかったことを急にやるのです。必ずそのうち、ボロが出ます。そのボロが、叱られるだけのものならまだいいのです。そのボロから信頼を大きく失ったり、最悪の場合席を失ったりすることも、社会ではよくあることです。

信頼を失うこと自体も大変なことですが、信頼を失ったまま毎日その場所で仕事をしていくのは、まさに生き地獄です。

チームメンバーが台湾での生活を通して【ゲームをする】ことだけではなく、社会に出る前から責任感を持ち、日ごろからルールを守ることができる人間としても、成長してくれればと願っています。
……なったよね?

余談ですが、世のサーバールームは当然ながら飲食禁止で、年中冷房でキンキンに冷やされています。キンキンに冷えてやがります。夏場に「めっちゃ涼しいから」といって、設備費数億円のサーバールームでのり弁とコーラをごぶごぶしてて厳重注意を受けるような、責任感のない社員もいたそうです。
本当にすみませんでした!

なお、今回の文章は「私もゲーミングハウスでゲーマー生活してみたい!」とお考えの方向けにも書いてみたつもりです。私たちのゲーミングハウスでの台湾生活は三ヶ月で終わりますが、長期に渡りゲーミングハウスを構えていらっしゃるチームさんもあります。ハウスの規模の大小問わず、そうした場所での集団生活の難しさを知ってほしかったのです。

皆さん、今自宅で生活されていますよね。自分なりの生活ルールがあるはずです。
集団生活に身を投じるならば、多からず少なからず【自分自身の生活ルールを捨てる】ことも大事だと思います。いつかゲーミングハウスでの生活や、何かしらの集団生活に身を置くことになった際にはぜひ、周りの方への配慮を忘れず、皆もあなたも快適な集団生活を楽しんでください。

私が読んでいただいている方に具体的に何をお伝えしたいのかは、コチラも併せて読んでいただけると、より分かりやすくなるかと思います。
第一回「プロゲーマーになるための覚悟」

今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

いつもの最後の一言。
「今見てきたらエアコンつけっぱじゃねーかおらぁ!(怒)」



■太田 桂氏のプロフィール

2011年に「SunSister」に加入。現在はSunSisterの代表を務める。
ゲームは小学校5年生から始め、PCゲームは中学1年生から。
36歳でFPSAlliance of Valiant Arms(AVA)』に出会い、37歳で日本一になり、「2010 IeSF国際大会」に出場。現在45歳。

■関連リンク
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