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【Alienware x15 R1レビュー 後編】360Hz&1msの高性能モニターで人気のPCゲームを検証
目次
薄型の筐体を採用したというゲーミングノートPC「Alienware x15 R1」。
前編では、主に外観やスペックなどをチェックした。後編となる今回は、各種ベンチマークテスト、および3Dゲームのテストプレイの結果を見ていく。
薄型でも十分な性能を発揮、最新ゲームも最高画質でプレイ
本機は「Alienware Command Center」でオーバークロック設定が使用でき、標準設定のほか、2段階のオーバークロック設定がプリセットされている。今回は「PCMark 10」のテストを3段階のオーバークロック設定で実施した。設定可能なのはGPUのみとなっている。なお、すべての検証はWindows 11にて行っている。
▲「Alienware Command Center」でオーバークロック設定が可能
PCMark 10(v2.1.2532)
Idle Battery Life:4時間54分
Modern Office Battery Life:4時間22分
Gaming Battery Life:59分
PCの総合的なパフォーマンスをチェックする「PCMark 10」。標準設定でもいずれも十分な値で、ほとんどのテストにおいてCPUパワーを持て余している状態だ。
そのためオーバークロック使用時にも大きな差は見られないが、グラフィックス系の処理ではわずかながら恩恵が見える。いずれもCPUとGPUの最高クロックは同じだったので、高クロックを維持する時間が延ばせたのだと思われる。夏場で室温が上がった際や、長時間の高負荷時には恩恵が大きくなる可能性がある。
バッテリ持続時間については、オーバークロックなしの標準設定で実施。低負荷時で4時間強、ゲームプレイ時には約1時間という結果になった。オフィスユースでちょっと会議に出る程度であれば対応できるが、ゲームプレイ時はACアダプタの接続が必須と思っておく方がいい。
▲オーバークロックの有無で3回実施。順に標準、OC1、OC2
3DMark(v2.22.7334)
3Dゲームのパフォーマンス指標の定番となっている「3DMark」。リアルタイムレイトレーシングのテストとなる「Port Royal」では、同じGeForce RTX 3070(Laptop)を搭載するPCの平均が6,365とされており、それよりはやや低い。ただベンチマークテストの結果をアップロードする人はチューニングを詰めている人も多いと思われ、薄型筐体であることを考慮すれば決して悪くないパフォーマンスだ。
またCPUテストを含め、全てのテストでCPUやGPUのクロックは高い位置で安定しており、スロットリングによる性能低下は見られなかった。高負荷時に増える発熱に対して、冷却が間に合っている証拠だ。
VRMark(v1.3.2020)
VRでの使用を想定したベンチマークテストの「VRMark」。最も負荷が高い「Blue Room」で平均フレームレートが約65fpsとなっていた。昨今のVRヘッドセットでは90Hzや120Hzといった高リフレッシュレートに対応した製品もあるためパーフェクトではないものの、高負荷なVRコンテンツも実用的なラインではある。
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator
1,920×1,080 簡易設定6:20,591『ファンタシースターオンライン2』の新たなベンチマークソフト。フルHDで最高画質となる「簡易設定6」を選んでも「快適に動作、より高い設定を」との評価になった。最高画質でも十分なパフォーマンスが出せるのは確かだが、アクションゲームなので、画質とリフレッシュレートのどちらを優先するかで好みに応じた調整をしたい。
CINEBENCH R23
CPUのベンチマークテストとなる「CINEBENCH」。シングルコアの性能がとても高く、デスクトップPCと張り合える。またMP Ratio(マルチコア/シングルコア)が9.19と実コア数を上回っており、マルチコア処理時も冷却が十分で、しっかり性能を発揮できているのがわかる。
CrystalDiskMark(8.0.4)
ストレージの速度を調べる「CrystalDiskMark」。今回の試用機はSSDが1TBに増量されたものになっているため参考程度となるが、シーケンシャルリードで約3,500MB/sと高速で、ランダムアクセスも十分な速度が出ている。ちなみに搭載されていたSSDはSamsung製「PM9A1」。ここからは実際のゲームを試していく。ゲームを実際にプレイしながら、「NVIDIA FrameView」を使ってフレームレートを計測する。表示解像度は本機のディスプレイと同じフルHDとした。
フォートナイト
『フォートナイト』では、画質設定のクオリティプリセットを「最高」に設定し、バトルロイヤルを1戦プレイした。平均フレームレートは約105fpsで、下位99%でも60fpsを超えている。一般的な60Hzのディスプレイであればパーフェクトだが、本機が360Hzの超ハイリフレッシュレートであることを思うと、もっと画質を下げてフレームレートを上げてもいい。
とはいえ最高画質でもプレイ感に全く問題はなく、これ以上のフレームレートを求めるかは好みの範疇と言える。クオリティプリセットが「中」であればそれほど違和感のない画質だと感じるので、調整するならこの範囲がおすすめだ。
Apex Legends
『Apex Legends』では、設定可能な項目を全て「最高」とし、チュートリアルを1周した。平均フレームレートは200fps超え、下位99%でも140fpsを上回っており、文句のないパフォーマンスを発揮している。
ここから画質を下げてフレームレートを上げれば、360Hzのディスプレイを生かせるとも言えるが、違いを体感できるかどうかは悩ましいところ。筆者としては最高画質でも十分な環境ではないかと思う。
バトルフィールド 2042
『バトルフィールド 2042』では、グラフィックスのクオリティーを「最高」に設定し、コンクエストのマップ「ディスカード」を5分程度プレイした。平均フレームレートで90fps弱、下位99%では60fps弱で、普通にプレイする分には違和感はない。
ハイリフレッシュレート対応を考えれば画質を落とす余地はある。特に本作は激しい戦いでは人やオブジェクトの数が極端に増えることもあり得るので、やや余裕を持ったパフォーマンス設定にしておく方が安心感はある。とはいえ画質の美しさも本作の売りであるだけに、なかなかに悩ましい。
Forza Horizon 5
『Forza Horizon 5』では、画質設定のプリセットを「エクストリーム」に設定。本作は「NVIDIA FrameView」と同時に起動するとフリーズする問題が発生したため、本作に限り「MSI Afterburner」でフレームレートをオーバーレイ表示させつつ、Windows 11標準の録画機能で動画を撮影し、フレームレートを観測した。荒野や街中などいくつかのシーンをプレイしたが、フレームレートはいずれも80fps前後。ごくまれに60fpsを割るシーンもあったが、ほとんどは70~90fpsの間で安定しており、プレイ感にも支障はない。レースゲームで高いリフレッシュレートが必要かどうかは好みによるが、本作は画質優先でプレイした方が気持ちのいい作品だとは思う。
結論:ほとんどのタイトルで高画質設定でも高いフレームレートを実現可能な実力
ゲームのパフォーマンスを総合的に評価すると、フルHDの解像度であれば最新ゲームでも60fpsを上回り、快適なゲームプレイが可能と言える。ただし本機のディスプレイはフルHDで360Hz、ないしはQHDで240Hzとなっているため、フレームレートを優先するなら画質を下げる必要が出てくる。
今回の試用機はフルHDのディスプレイだったが、QHDのディスプレイを選んだ場合でも、ほとんどのゲームで60fps程度を確保するのはそう難しくないだろう。解像度が上がればその分だけ画質は向上するが、フレームレートは反比例して下がる。どちらが好みに合うか、また遊びたいゲームとターゲットとするフレームレートをどのくらいに設定するかによって、どちらのディスプレイを選ぶか考えるといいだろう。
高負荷時もキーボードは冷えたままで快適なゲームプレイ
実際のゲームプレイで感じた点についてもお伝えしよう。薄型筐体で最も気になる点は、発熱と排熱処理だ。本機の4つのファンはそれぞれ独立して機能し、CPU、GPUを調節および制御。一般的なゲーミングノートPCでは、CPUとGPUにそれぞれ1基ずつのファンを搭載する構成が多く、本機ではCPUファンを増やすことで冷却性能を高めようという意図が見える。
冷却系のエアフローは、底面から吸気、側面と背面から排気。キーボード上部と左右にもスリットがあり、ここからも若干吸気しているように見える。
ファンの挙動は、「Alienware Command Center」のサーマルプロファイルで調整が可能。標準設定となる「バランス」では、アイドル時には4基のファンが全て止まり、無音となる。オフィスユースなどの低負荷時では、ファンの騒音を気にする必要はほぼないだろう。より静粛性を求めるのであれば「静音」のサーマルプロファイルも用意されている。
▲「Alienware Command Center」のサーマルプロファイル。複数の設定がプリセットされている
高負荷になるとファンが高速に回転を始める。試しにサーマルプロファイルで「最高速」を選び、ファンを全て100%で回転させてみると、かなり大きめのファンノイズが鳴る。ゲームプレイの音を出しても無視できないくらいの音なので、フルパワーの3Dゲーム時にはヘッドフォンがあるといい。
ただノイズの音質は、やや高めの風切り音が混じる程度で、それほど耳触りでもない。また3Dゲームでも必ずしもファンがフル回転するわけではないので、性能から考えれば特に騒音が大きいとも言えない。
また高負荷時の熱伝導は、キーボードの上部や左右のスリット部分は熱くて触り続けられないくらいまで温度が上がるものの、キーボード部、特にW/A/S/Dキーの近辺はほとんど熱を感じない。僅かな場所の違いで温度差が極端に大きく、キーボードへの熱伝導を懸命に防ごうという設計意図がはっきりとわかる。ゲームプレイ時の不快感はほぼなく、さすがはAlienwareだと唸らされる。
▲キーボードの上部と左右にあるスリットはかなり熱くなるが、その分キー部分はぐっと冷える
薄型でも快適性は損なわない! Alienwareの威厳を感じるゲーミング設計
最初に述べたとおり、ゲーミングPCの小型化は発熱との戦いだ。性能を上げるほど発熱が増えて、冷却機構を増やすためのスペースが必要になる。筐体の薄型化はそれとは逆方向となるため、性能面ではデメリットになる。
その上で、本機は性能を犠牲にはしていない。ベンチマークテストを見ても発熱によって性能が低下する場面は見られず、しっかりとパフォーマンスを発揮できている。
冷却性能はファンを回すほど高まるので、騒音レベルを無視すればある程度はカバーできる。確かに本機のファンは静かとは言えないものの、4基のファンによって薄型筐体においても最低限の騒音レベルに収める努力が見える。
そして外に排出する熱を、ユーザーの触れる位置で感じさせないのが素晴らしい。ノートPCはCPUやGPUといった熱源が、キーボードなどユーザーが触れる位置と非常に近い場所に内蔵されるため、断熱は極めて難しい。本機はそれを薄型筐体でもって見事にやってのけている。
薄型でありながら、ゲームプレイ時の性能低下も熱によるストレスも許さない、妥協のない設計が本機の価値だ。ゲーミングPCの最高峰ブランドの威厳を感じる、見事な仕上がりと言うほかない。
その分、価格がかなり高価なのは確か。それもハイリフレッシュレートのディスプレイや、先進的なインターフェイス、スタイリッシュな外見、便利な専用ソフトウェア群など、価格に見合った価値を見出せる要素は多数ある。
特にテレワークが浸透しつつある昨今、ゲーミングPCに性能以外の価値を求める人は増えているはずだ。ゲームもするが仕事もするという人なら、あらゆる面で高品質な本機にお買い得感が出てくる。薄型の多用途PCに興味がある方は、ぜひ本機を手に取ってみていただきたい。
▲薄型筐体は普段使いにも便利でスタイリッシュ。ゲームもできる高性能テレワークマシンと考えれば価値が高まる
▲ドライバのアップデートやパフォーマンスの改善などを一元管理する「SupportAssist」も便利な機能だ
第12世代インテルCPUを搭載した最新モデル「Alienware x15 R2」も発売中
最後に、今回検証した「Alienware x15 R1」が、第11世代インテルCPUである点も忘れてはならない。すでに第12世代インテルCPUを搭載し、DDR5のメモリー規格に対応する「Aliewnare x15 R2」もリリースされているのだ。
まだ実機検証はできていないものの、当然のことながらR1よりも高性能になっていることは想像に難くない。基本設計は同様のため、使い勝手やデザインなどは十分に参考にしていただけるだろう。
現時点(2022年4月14日)では、R1も値引き率を上げて販売が継続しているが、最新スペックでなくても十分にゲームやクリエイティブに使えることは実証できたと思われる。とにかく最新スペックで使いたいならR2、必要十分以上のスペックで、少しだけお得にxシリーズを使いたい人にはR1をおすすめしたい。
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