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『Season: A letter to the future』レビュー:「季節」が変わる理由を探り、後世に伝えるための自転車旅行へ【オススメPCゲームレビュー】
目次
原題『Season: A letter to the future』、邦題『シーズン 未来への手紙』は、カナダ・モントリオールのインディースタジオ、Scavengers Studioが開発したロードトリップ・アドベンチャーゲームだ。
発売前の情報から、自転車で旅をするというアナログなシチュエーションと、どこか懐かしさや温かみを感じさせるグラフィックなどでアドベンチャー好きの中でも話題となっていたが、metacriticスコアでも80と高評価を獲得している。
物語は、時代の変わり目を表す「季節」という言葉をキーワードに、どんなことが起きて、世界はどうなってしまうのか、ひとりの少女エステルの視点から体験するというもの。クリアまでは8〜10時間程度で、派手な戦闘やミニゲームなどはなく、シンプルなTPS視点での移動といくつかのツールを使う程度なので、老若男女問わず誰でも遊べるだろう。1本の映画のストーリーを、プレイヤーの選択肢によって鑑賞するような、そんな作品に仕上がっている。
今回は、この世界を旅する上で知っておきたいことをプレイの邪魔にならない程度に補足しながら、『Season」の魅力をお伝えする。まずは公式トレーラーをご覧いただいてから、レビューをお読みいただきたい。もちろん、核心に迫るネタバレは一切していないのでご安心を。
●『Season: A letter to the future』のポイント
ストーリー(Steamより引用)
高い山の中に、移り変わる季節の混乱とは無縁の村がある。同世代で初めて村を出たのは、エステルが初めてである。エステルの世界では、季節とは歴史の区切りのひとつであり、ひとつの時代にあたる。今、この季節が終わりを告げようとしている。この瞬間を未来のために捉えようと、エステルは故郷を出発して未知の世界へと旅に出る。どこか奇妙で、親近感のある世界への旅... 旅の途中でエステルは、迫りくる謎の変化の間際にある暮らしを目撃する。
タイトル画面には、灯りがついたテーブルがポツンとひとつあるのみ。ゲームをスタートするとそこに、ひとりの青年がやってきて本を開く。
「Who Are You?」(あなたは誰?)と本(実際には日記)の中から青年に呼びかけてくるのが、本作の主人公のエステルだ。
プレイヤーはゲームの中でエステルとなって旅をするが、エステルの言葉は常に、この日記の読み手である青年に向けたものになっている。それが、サブタイトルにある「未来への手紙」という言葉の意味だ。
エステルが暮らしているキャロ村は人里離れた高地にあり、彼女が生まれてから村から出た人はいない。そんなある日、親友のパテが予知夢を聞いた村の長老は「予知夢はもうすぐこの季節が終わる証だ」という。
世界はこれまで幾度となく大きな「季節」の節目を経験してきた。ある時代には工業化が、ある時代には文化の発展が、そしてある時代には人間自身が引き起こした戦争が引き金となってきた。
今回「季節」の終わりに接することで、エステルは自分が世界に対して無知であったことに初めて気づく。今はどんな「季節」なのか、なぜそれが終わるのか、どんな力が働いているのか。そもそも外の世界がどうなっているのかも知らない彼女は、村の外を見たいと長老に伝える。
長老は村を出る条件として、世界を旅する中で集めたものを、地球の果てにある「博物殿」に収めることを課す。こうして、エステルは「季節」の終わりを記録し、それを後世に伝えるという役目を負いながら、自らの好奇心と自転車とともに旅に出ることになる──。
旅に出るにあたって母親からもらう重要なアイテムが、思い出の品を込めて作る「ペンダント」だ。
このペンダントはエステルの危機を身体的にも精神的にも守ってくれるお守りであり、戦争の時代にはよく使われていたという。ここで、母親(と亡き父親)との思い出を振り返ることになる。
ペンダントに込めるためには思い出が残るものを壺に入れる(溶かす?)必要があるが、使ったアイテムの思い出は母親の頭の中から消えてしまう。母親の記憶を代償として、エステルを何らかの力から守る文字通りのお守りになるというわけだ。
旅立つ我が子や父との思い出を失ってまでも必要な「ペンダント」。これから先の旅の中でどんなことが起こるのか、不安の中で母との別れを惜しみつつ、エステルは旅立つ。母親の中からエステルの記憶がなくなることはない。
ちなみに、ここでどんなアイテムを選ぶかはのちのちのゲームの進行にはあまり影響はない。しかし、選んだアイテムへの母親からの思い入れの深さを聞くことで、よりゲームに感情移入させるうまい仕掛けだと感じた。
旅立つエステルに与えられた道具は、移動のための自転車と、父親が持っていたというインスタントカメラ、テープレコーダー、そして日記だけ。ゲームとしては行く先々で出会った印象的な光景や音声を記録し、この日記に残していく。
この日記は後世への記録としてだけでなく、エステルが感じた疑問や謎の答えを解き明かすための推理の素材としても使われる。謎解きになっているページはシルエットによってヒントが示され、写真や録音データなどを集めることでプレイヤーにも秘密が伝えられる。
旅の主目的はこれらの記録なのだが、実はメインの情報以外は特に記録しなくてもクリアはできてしまう。とはいえ、本作の目的はいわば、これらの世界の記録と秘密を解き明かすこと。じっくりゆっくり、風景を眺めながら楽しむのが、本作との付き合い方だ。
旅は基本的に自転車による移動と、前述のツールを使ったもの以外には、人々との会話のみで進む。その旅の主な舞台は「ティエン谷」という集落。そこは3人の神の故郷とされ、のどかな集落だと書かれているが、村の入口で出会った制服姿の男によれば、もうすぐ壊れかけたダムの決壊により沈むのだという。
男性は「グレイハンズ」という団体のメンバーで、この谷でいわば役人のような立場。谷に行ってみたいというエステルの願いを聞き入れてくれる。この団体のことものちのち明らかになってくる。
谷の中にはまだわずかに残っている人や、歴史的建造物などがある。住人の痕跡を感じる場所もあれば、谷が洪水で沈むことに対して不信感を抱くようなチラシなどもある。どうやらこの谷が沈む理由、そしてそれが「季節」の変わり目に大きく関わっているらしいことがわかってくる。
さらに、村の深部に足を踏み入れることで、科学技術を超えた不思議な力の存在も明らかになる。
「季節」の終わりを目の前にして、ある者は必死に生きようとし、ある者はこの村で終わりを迎えようと覚悟を決める。そんな人々との出会いでエステルは何を思うのか。そして、世界の果てにあるという博物殿にエステルは無事たどり着けたのか──。
長いようで短い旅の終幕。「季節」の終わりをぜひ見届けてほしい。
『Season』のようなロードトリップゲームの魅力は、旅をする中で感じるゲーム内の世界の姿と、出会う人々との交流の中にこそある。登場人物の言葉の端々から世界の秘密や人物同士の関係性、漏れ出てくる感情などを感じ取ることができる。
そういった感性の部分を感じとりやすくするために、あえて緻密な描写をせずに、ゲームとしてややノスタルジックな(率直に言えば画質があえて粗い)表現を取ったことは、非常に成功していると感じた。木と風と水と自然が水彩画のように描かれる方が、雰囲気にもストーリーにも合致している。
やや惜しいと感じたのは日本語テキストによる原作の感覚の再現度だ。個々のセリフの翻訳には違和感は感じなかったが、元々のストーリーが英語のためか、単語のニュアンスが伝わりにくい場面があり、もったいないと思うことがあった。
例えば、予知夢を見るという友人の「パテ」について、ゲームを始めてすぐのナレーションが聞き取れなかったために、「パテ」が誰なのかがわからなくなり序盤で困惑してしまった。なまじ日本語として「パテ」という単語があるだけに、それが人名だと理解できなかったのだ。
また、自転車での移動は雰囲気にはマッチしているが、小さな地面の石などに引っかかるといちいち降りてしまうことになる。操作性についてはもう少し「ゲーム的」に処理してもよかったかもしれない。
なお、ごくまれにオブジェクトにハマり込んで動けなくなることがあったが、開発者もそれを想定していたのか、「esc」キーから復帰できる機能を盛り込んでいる。同様に、自転車の場所を見失ってしまった際に瞬時に自転車を手元に引き寄せられるので、行き詰まってしまった時には活用してほしい。
本作はカナダのインディーチームによるものだが、なぜだか日本の私たちにもノスタルジーを感じさせる要素が多いように感じた。それは、仏教風の寺院や紋章のデザイン、道や建物の雰囲気などが、どこかオリエンタルな雰囲気を醸しているためだろう。
エステルは「季節」の終わりに直接関わる者でもないし、その終わりを止めることができる英雄的な力を持っているわけでもない。ただ、変わりゆく「季節」を眺め、希望を持つ人たちの声を聞き、絶望する者たちを目撃して寄り添い、変わろうとする人たちと行動を共にするのみだ。
そして『Season』で描かれているのは、世界の終わりではなく、世界の一部で起きる「季節」の終わりでしかない。住んできた土地を失うことになった人と寄り添うことで、孤独だったエステルはぬくもりを感じ、安心感を見出せるようになっていく。
ちなみに、レビューするにあたって2周目もプレイしてみたところ、序盤に母親や長老が話していた大切な言葉、旅の中で見つけた手紙や人々の心の叫びなど、1周目では理解し切れていなかったことが鮮明に見えた。
知らない世界を旅する楽しみもあるが、一度訪れた土地に再び訪れたとき、「ここは知っている」とまるで故郷のように思えたことはないだろうか。その土地を「知っている」という安心感が感じられる2周目で、本当の意味で筆者の『シーズン 未来への手紙』の旅が終わったような気がする。
「季節」を見届ける者、「季節」に取り残される者、「季節」に追い出される者、「季節」を生み出す者、そして「季節」とともに通り過ぎてただ記録する者──。
同じ「季節」に関わったそれぞれの人々の心とふれあうエステルの旅を見届けた時、プレイヤーそれぞれの心にも残るものがきっとあるはずだ。
Season © 2023 Scavengers Studio. All Rights Reserved.
発売前の情報から、自転車で旅をするというアナログなシチュエーションと、どこか懐かしさや温かみを感じさせるグラフィックなどでアドベンチャー好きの中でも話題となっていたが、metacriticスコアでも80と高評価を獲得している。
物語は、時代の変わり目を表す「季節」という言葉をキーワードに、どんなことが起きて、世界はどうなってしまうのか、ひとりの少女エステルの視点から体験するというもの。クリアまでは8〜10時間程度で、派手な戦闘やミニゲームなどはなく、シンプルなTPS視点での移動といくつかのツールを使う程度なので、老若男女問わず誰でも遊べるだろう。1本の映画のストーリーを、プレイヤーの選択肢によって鑑賞するような、そんな作品に仕上がっている。
今回は、この世界を旅する上で知っておきたいことをプレイの邪魔にならない程度に補足しながら、『Season」の魅力をお伝えする。まずは公式トレーラーをご覧いただいてから、レビューをお読みいただきたい。もちろん、核心に迫るネタバレは一切していないのでご安心を。
●『Season: A letter to the future』のポイント
- 知らない世界と「季節」が終わる理由を知るための自転車旅
- レトロでアナログな道具による世界の記録
- 誰も死なない物語の核心は?
「季節」の変わり目を記したとある人物の回想録
ストーリー(Steamより引用)
高い山の中に、移り変わる季節の混乱とは無縁の村がある。同世代で初めて村を出たのは、エステルが初めてである。エステルの世界では、季節とは歴史の区切りのひとつであり、ひとつの時代にあたる。今、この季節が終わりを告げようとしている。この瞬間を未来のために捉えようと、エステルは故郷を出発して未知の世界へと旅に出る。どこか奇妙で、親近感のある世界への旅... 旅の途中でエステルは、迫りくる謎の変化の間際にある暮らしを目撃する。
タイトル画面には、灯りがついたテーブルがポツンとひとつあるのみ。ゲームをスタートするとそこに、ひとりの青年がやってきて本を開く。
「Who Are You?」(あなたは誰?)と本(実際には日記)の中から青年に呼びかけてくるのが、本作の主人公のエステルだ。
プレイヤーはゲームの中でエステルとなって旅をするが、エステルの言葉は常に、この日記の読み手である青年に向けたものになっている。それが、サブタイトルにある「未来への手紙」という言葉の意味だ。
エステルが暮らしているキャロ村は人里離れた高地にあり、彼女が生まれてから村から出た人はいない。そんなある日、親友のパテが予知夢を聞いた村の長老は「予知夢はもうすぐこの季節が終わる証だ」という。
世界はこれまで幾度となく大きな「季節」の節目を経験してきた。ある時代には工業化が、ある時代には文化の発展が、そしてある時代には人間自身が引き起こした戦争が引き金となってきた。
今回「季節」の終わりに接することで、エステルは自分が世界に対して無知であったことに初めて気づく。今はどんな「季節」なのか、なぜそれが終わるのか、どんな力が働いているのか。そもそも外の世界がどうなっているのかも知らない彼女は、村の外を見たいと長老に伝える。
長老は村を出る条件として、世界を旅する中で集めたものを、地球の果てにある「博物殿」に収めることを課す。こうして、エステルは「季節」の終わりを記録し、それを後世に伝えるという役目を負いながら、自らの好奇心と自転車とともに旅に出ることになる──。
肉体と精神を守る「ペンダント」の役割
旅に出るにあたって母親からもらう重要なアイテムが、思い出の品を込めて作る「ペンダント」だ。
このペンダントはエステルの危機を身体的にも精神的にも守ってくれるお守りであり、戦争の時代にはよく使われていたという。ここで、母親(と亡き父親)との思い出を振り返ることになる。
ペンダントに込めるためには思い出が残るものを壺に入れる(溶かす?)必要があるが、使ったアイテムの思い出は母親の頭の中から消えてしまう。母親の記憶を代償として、エステルを何らかの力から守る文字通りのお守りになるというわけだ。
旅立つ我が子や父との思い出を失ってまでも必要な「ペンダント」。これから先の旅の中でどんなことが起こるのか、不安の中で母との別れを惜しみつつ、エステルは旅立つ。母親の中からエステルの記憶がなくなることはない。
ちなみに、ここでどんなアイテムを選ぶかはのちのちのゲームの進行にはあまり影響はない。しかし、選んだアイテムへの母親からの思い入れの深さを聞くことで、よりゲームに感情移入させるうまい仕掛けだと感じた。
昭和レトロな「記録のためのツール」による謎解き要素
旅立つエステルに与えられた道具は、移動のための自転車と、父親が持っていたというインスタントカメラ、テープレコーダー、そして日記だけ。ゲームとしては行く先々で出会った印象的な光景や音声を記録し、この日記に残していく。
この日記は後世への記録としてだけでなく、エステルが感じた疑問や謎の答えを解き明かすための推理の素材としても使われる。謎解きになっているページはシルエットによってヒントが示され、写真や録音データなどを集めることでプレイヤーにも秘密が伝えられる。
旅の主目的はこれらの記録なのだが、実はメインの情報以外は特に記録しなくてもクリアはできてしまう。とはいえ、本作の目的はいわば、これらの世界の記録と秘密を解き明かすこと。じっくりゆっくり、風景を眺めながら楽しむのが、本作との付き合い方だ。
神と人が共存する「ティエン谷」での出会いと別れ
旅は基本的に自転車による移動と、前述のツールを使ったもの以外には、人々との会話のみで進む。その旅の主な舞台は「ティエン谷」という集落。そこは3人の神の故郷とされ、のどかな集落だと書かれているが、村の入口で出会った制服姿の男によれば、もうすぐ壊れかけたダムの決壊により沈むのだという。
男性は「グレイハンズ」という団体のメンバーで、この谷でいわば役人のような立場。谷に行ってみたいというエステルの願いを聞き入れてくれる。この団体のことものちのち明らかになってくる。
谷の中にはまだわずかに残っている人や、歴史的建造物などがある。住人の痕跡を感じる場所もあれば、谷が洪水で沈むことに対して不信感を抱くようなチラシなどもある。どうやらこの谷が沈む理由、そしてそれが「季節」の変わり目に大きく関わっているらしいことがわかってくる。
さらに、村の深部に足を踏み入れることで、科学技術を超えた不思議な力の存在も明らかになる。
「季節」の終わりを目の前にして、ある者は必死に生きようとし、ある者はこの村で終わりを迎えようと覚悟を決める。そんな人々との出会いでエステルは何を思うのか。そして、世界の果てにあるという博物殿にエステルは無事たどり着けたのか──。
長いようで短い旅の終幕。「季節」の終わりをぜひ見届けてほしい。
自由度の高さと制約を両立させる難しさ
『Season』のようなロードトリップゲームの魅力は、旅をする中で感じるゲーム内の世界の姿と、出会う人々との交流の中にこそある。登場人物の言葉の端々から世界の秘密や人物同士の関係性、漏れ出てくる感情などを感じ取ることができる。
そういった感性の部分を感じとりやすくするために、あえて緻密な描写をせずに、ゲームとしてややノスタルジックな(率直に言えば画質があえて粗い)表現を取ったことは、非常に成功していると感じた。木と風と水と自然が水彩画のように描かれる方が、雰囲気にもストーリーにも合致している。
やや惜しいと感じたのは日本語テキストによる原作の感覚の再現度だ。個々のセリフの翻訳には違和感は感じなかったが、元々のストーリーが英語のためか、単語のニュアンスが伝わりにくい場面があり、もったいないと思うことがあった。
例えば、予知夢を見るという友人の「パテ」について、ゲームを始めてすぐのナレーションが聞き取れなかったために、「パテ」が誰なのかがわからなくなり序盤で困惑してしまった。なまじ日本語として「パテ」という単語があるだけに、それが人名だと理解できなかったのだ。
また、自転車での移動は雰囲気にはマッチしているが、小さな地面の石などに引っかかるといちいち降りてしまうことになる。操作性についてはもう少し「ゲーム的」に処理してもよかったかもしれない。
なお、ごくまれにオブジェクトにハマり込んで動けなくなることがあったが、開発者もそれを想定していたのか、「esc」キーから復帰できる機能を盛り込んでいる。同様に、自転車の場所を見失ってしまった際に瞬時に自転車を手元に引き寄せられるので、行き詰まってしまった時には活用してほしい。
2周目で初めて、この「季節」と旅がつながった
本作はカナダのインディーチームによるものだが、なぜだか日本の私たちにもノスタルジーを感じさせる要素が多いように感じた。それは、仏教風の寺院や紋章のデザイン、道や建物の雰囲気などが、どこかオリエンタルな雰囲気を醸しているためだろう。
エステルは「季節」の終わりに直接関わる者でもないし、その終わりを止めることができる英雄的な力を持っているわけでもない。ただ、変わりゆく「季節」を眺め、希望を持つ人たちの声を聞き、絶望する者たちを目撃して寄り添い、変わろうとする人たちと行動を共にするのみだ。
そして『Season』で描かれているのは、世界の終わりではなく、世界の一部で起きる「季節」の終わりでしかない。住んできた土地を失うことになった人と寄り添うことで、孤独だったエステルはぬくもりを感じ、安心感を見出せるようになっていく。
ちなみに、レビューするにあたって2周目もプレイしてみたところ、序盤に母親や長老が話していた大切な言葉、旅の中で見つけた手紙や人々の心の叫びなど、1周目では理解し切れていなかったことが鮮明に見えた。
知らない世界を旅する楽しみもあるが、一度訪れた土地に再び訪れたとき、「ここは知っている」とまるで故郷のように思えたことはないだろうか。その土地を「知っている」という安心感が感じられる2周目で、本当の意味で筆者の『シーズン 未来への手紙』の旅が終わったような気がする。
「季節」を見届ける者、「季節」に取り残される者、「季節」に追い出される者、「季節」を生み出す者、そして「季節」とともに通り過ぎてただ記録する者──。
同じ「季節」に関わったそれぞれの人々の心とふれあうエステルの旅を見届けた時、プレイヤーそれぞれの心にも残るものがきっとあるはずだ。
Season © 2023 Scavengers Studio. All Rights Reserved.
SEASON: A letter to the future(シーズン 〜未来への手紙)
ジャンル: アドベンチャー, カジュアル, インディー
開発元: Scavengers Studio
パブリッシャー: Scavengers Studio
リリース日: 2023年2月1日
価格:Steam 2800円
PS4・PS5 4389円
推奨環境
OS: Windows 10
プロセッサー: Core i5 / Ryzen5
メモリー: 16 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1660
DirectX: Version 10
ストレージ: 7 GB 利用可能
Steam:https://store.steampowered.com/app/695330/SEASON_A_letter_to_the_future/?l=japanese
PS4・PS5:https://www.playstation.com/ja-jp/games/season-a-letter-to-the-future/
ジャンル: アドベンチャー, カジュアル, インディー
開発元: Scavengers Studio
パブリッシャー: Scavengers Studio
リリース日: 2023年2月1日
価格:Steam 2800円
PS4・PS5 4389円
推奨環境
OS: Windows 10
プロセッサー: Core i5 / Ryzen5
メモリー: 16 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1660
DirectX: Version 10
ストレージ: 7 GB 利用可能
Steam:https://store.steampowered.com/app/695330/SEASON_A_letter_to_the_future/?l=japanese
PS4・PS5:https://www.playstation.com/ja-jp/games/season-a-letter-to-the-future/
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