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『Stray』レビュー:物言わぬ猫と、心を持つロボットと、姿を消した人間の物語【オススメPCゲームレビュー】

発売前からリアルな猫の動きで話題を集めたBlueTwelve Studioが開発したアクションアドベンチャー『Stray』(ストレイ)。すでに多くのメディアで絶賛され、Steamでも圧倒的高評価を獲得している。

世間では「猫ゲー」と呼ばれ、荒廃した世界観の中をかわいい猫が歩き回る姿のギャップにやられてしまっているプレイヤーが多い。かくいう筆者もそのひとりだった。しかし、クリアして全貌がわかると、猫のかわいさ以上に練り込まれたストーリーに引き込まれた。

購入からクリアまでは、ゆっくり隅々まで探索したり猫の動きを堪能して約2週間、トータルで8時間ほど。クリアを重視すればもっと短時間で攻略できるだろう。難しさで心が折れるようなこともなく、難易度もそれほど高くはない。

この不思議な世界での猫との旅を終えた今、『Stray』の魅力を振り返ってみたい。

●『Stray』のポイント
  • 言葉も感情も伝わらない猫と、感情を持ったロボットの物語
  • アドベンチャーパートの中に適度に入るアクションパート
  • 最後に判明するこの世界の秘密

猫がいた「外の世界」とロボットが暮らす「内の世界」


『Stray』ストーリー
家族からはぐれ、見知らぬ世界に迷い込んだ一匹の野良猫。この長い間忘れ去られたサイバーシティから脱出し、故郷へ帰るため、野良猫に求められていること…それは古代から解き明かされていない謎を解明することだ。

主人公は1匹のトラ猫。家族と一緒にコンクリートや大きな配管に覆われ、鬱蒼と茂る緑と水がある場所で暮らしている。


4匹で一緒になって散歩をしていると、古びたパイプが壊れてトラ猫が落下してしまう。



落ちたところはゴミが散乱する水路。小さな隙間を通り抜けた先に、賑やかだったと想像できる街「デッドシティ」にたどり着く。

そこいたのは、目が爛々と光る未確認生物と、力尽きたロボットの残骸たち。


そして、なぜか街中のモニターに映し出される「FOLLOW ME」(私に従え)の文字。実は街にある監視カメラで、猫の行動は追いかけられている。その指示に導かれるまま、猫はさらに街の奥に足を踏み入れる。


その先にいたのは、知能を持った小型ドローン「B-12」。ロボットでありながら自らの「記憶」をなくしていると語る彼は、猫の言葉、人間の言葉、ロボットの言葉を理解し、猫との通訳になってくれる。

「B-12」は冒険の中で、暗闇を明かりで照らしたり、電子機器にアクセスしたり、時には攻撃もできるようになる。そもそもここに存在するのは人型ロボットだけなのに、なぜ彼だけがコンパクトなのか、その理由も徐々に明らかになっていくだろう。


プレイヤーは猫と「B-12」のふたりを操りながら、ロボットたちと交流し、この忘れ去られたサイバーシティの秘密を探ることになる。



パズル&アクションは誰でも遊べる低難易度


『Stray』の操作は、左スティックで移動、右スティックで視点を変えるというFPSなどでおなじみの方法。通常操作で常時できるのは、走ることと「ニャー」と鳴くことくらいだ。

移動に関しては、猫ならではの高低差のある段差や隙間の空いた屋根などを駆け巡ることになる。最初のうちはこの距離感が、プレイヤー=人間が考える「移動できる距離」とは違う未知の体験で、「え? ここ飛べちゃうの?」と思えるような場所にも移動できるので、右スティックで360度眺め回すといい。だんだんと「猫の行動範囲ってこんなに広いんだ」ということがわかってくるはずだ。


ただ、移動できる場所はあらかじめ決まっているため、見えている範囲ほど行動範囲は広くはない。裏を返せば、行き詰まった時にはとにかくしらみつぶしに歩き回れば、必ずどこかにアクセスできるものが見つかるということでもある。

ちょっとした攻略のヒントとしては、一見動かせないように見える棚の上や、積み上げられた本などに注目するといい。移動することで新たなものが発見できることもある。


また、目的地がわからなくなった時には十字キーの下を押せばいつでも「B-12」を呼び出してヒントを聞けるので、ゲームの進行についてもそうそう困ることはないだろう。


世界観を重視しつつ、低難易度で充実したアクションパート


最近は何度もやられることで活路を見出していく「死にゲー」が増えている印象があるが、『Stray』のアクションパートは非常にシンプル。少し頑張れば子どもから大人まで、誰でもクリアできるバランスだと感じる。

序盤のアクションパートに登場する敵は、光を嫌う謎の生物「ZURK」。猫を見つけると全員で襲い掛かり、動きを止めて食べられてしまうので、とにかくひたすら逃げることになる。


ZURKにつかまってもボタン連打である程度は逃げられるが、もたもたしているとすぐに次のZURKがとびかかってきて食べられてしまう。攻略としては、ひたすらニャーニャー鳴きながら走ることと、ZURKを少し引きつけながら余裕を持って動くことで、慣れてくるとうまく逃げられるようになる。なお、アクション自体にはペナルティはなく何回でもやり直せる。


ストーリーが進むと、強力な光でZURKを倒せるようにもなる。ただし、一度光を照射すると一定時間使えなくなるため、一度の照射ですべてを倒そうとせず、ある程度距離を取ってタイミングよく照射し、逃げながら回復してまた倒す、を繰り返すのがコツだ。

こうした対戦要素だけでなく、通常は届かない高さに足場を動かして登ったり、機械などの設備のスイッチを動かすパスワードを探したりするパズル的な要素も随所に盛り込まれ、プレイヤーを飽きさせない工夫もされている。


後半になると、センサーロボットに見つからないように隠れながら移動するステルスアクションも追加される。時間をかけて周囲を見渡せば、安全に移動できる場所が必ず見つかるだろう。

実は見つかったとしてもロボットのレーザーに当たらなければやられることはないので、腕が上がったら強行突破もできないことはない。


全体としてはアドベンチャーパートの方が圧倒的にボリュームが大きく、アクションパートは要所要所に関所のように設定されている。


なんだかんだ言っても猫なので、すばしっこいが非力で臆病という猫の特徴が、そのままアクションのシステムにも生かされている。


ちなみに、Steamの実績の中には「2時間でクリアする」というものもあるほどで、RTAとしての攻略しがいもありそうだ。

プレイヤー=猫だからこそできる多彩な演出


人間には、猫と同じように塀の上を走り回ることなどできようはずもない。しかし『Stray』であれば、「B-12」という小さなロボットとして帯同することで、そんな猫の行動を疑似体験できる。いわば「猫シミュレーター」のようなものでもあり、本作が「猫ゲー」として人気になった理由のひとつはここだろう。

筆者は16年間猫を飼っていたが、『Stray』の中の猫の動きには「ああ、猫ってこういう動きするよなぁ」と亡き愛猫を思い出すような場面が多かった。高いところにジャンプする時のちょっと躊躇する感じとか、部屋の中をトコトコ歩き回る様子は、本当にうまく再現されている。

他にも、猫ならではの仕草として、丸くなって眠ったり、水を飲んだり、壁やカーペットなどで爪を研いだり、ボールなどにじゃれることもできる。これらはゲームの進行とは直接関係ないが、ついつい爪をガリガリやってしまう。実際、猫好きであれば、ただ見ているだけでもほっこりしてしまうはずだ。


中でもぜひ体験してほしいのが、特定の場所でできる「眠る」行動だ。

一見すると、猫が眠るアクションを見るだけに思えるが、しばらく待っているとカメラがどんどん引いていき、通常のプレイでは見えない場所が見えたりもする。

例えば、「デッドエンド」の街の屋根の上にある布団で眠ると、こんなかわいいシーンが見られる。でも、そのまま放置しておくと……


ここまでカメラが引いていき、その世界をじっくり眺められる。


この時、ぜひヘッドホンをしてみてほしい。猫の寝息が聞こえてくるのだ。そして、カメラが引くに従って、オリジナルのBGMが流れてくる。それだけ開発者が力を入れた演出とも言える。

ここだけでなく、寝床はさまざまな場所に隠されている。どこにあるのかは、実際にプレイして探してみてほしい。




ロボットたちの生き様が示す世界の魅力


作品全体に流れる荒廃した世界観も見どころのひとつだ。

登場するロボットたちにはきちんと人格と意思が存在し、それぞれに個性を持っている。彼らの動力源は明らかにされていないが、食事はいらないし、誰かに与えられた日々の仕事もないはず。なのに、ジャンクパーツを漁って店を開いたり、ケーブルを使って編み物をしたり、植物を育てたり、飲食店やバーを経営したりしている。

これらの行動はすべて「人間の真似」でしかない。いわば、ままごとのようなものだ。


しかし、ロボットたちはそんな人間の行動をコピーしてまねようとする。それは、もともとこの場所に人間が存在し、ロボットたちが彼らと共に生きていた証しでもある。

序盤で訪れるとある場所に、神話のように壁面に描かれた絵があるのだが、人間が過ごしていたことを示す根拠が語られている。しかし、なぜ人間がいなくなってしまったのか、いまはどこにいるのかは、ロボットたちも何も知らない。それは、自分たちの存在意義がわからないということと同義だ。


だから、ロボットの中かから外の世界に脱出することを目指す「アウトサイダー」が現れた。ZURKに行手を阻まれながらも、彼らは果敢に「アウトサイド」を目指している。

ロボットたちはこの放置された場所で、「ZURK」の脅威に怯えながら、数百年以上生き延びてきた。そんな彼らにとって突然現れた猫の存在は、猫が生きていた場所=「アウトサイド」の存在を証明する希望の象徴でもある。


そして、親子関係や仲間との絆といった「感情」も描かれる。ドライな目線で見ると「ロボットなのに親子?」とも思ってしまうのだが、父と息子が抱き合う姿には、ゲーム的な設定や理屈なんてどうでもよく、ただ人間と同じような愛情が感じられる。


すべての生き物(ロボットも含め)には「心」があり、互いを思いやったり、競い合ったり、怒ったりする「感情」も持っている。そのことを素直に受け入れると、「ポストアポカリプス」といった言い方よりも「ヒューマンドラマ」に近いような気もする。


猫とロボットたちの運命は……?


「アウトサイド」を目指して多くのロボットと交流し、「B-12」の記憶も少しずつ思い出される中で、なぜ人間がロボットたちを残して去っていったのか、いま世界はどうなっているのかが判明していく。


真相を知る新鮮な驚きが得られるのは最初のクリア時のみ。だから、これ以上ネタバレになるようなヤボなことは言わない。

そして、ここまで紹介してきたのは物語のほんの一部のみだ。ほとんどの謎には触れていない。


言葉を持たない猫と、感情を持ったロボットと、世界をこんなふうにした人間──それぞれの思いを知り、すべての謎が解けた時、きっと単なる「猫ゲー」ではなかったということと、猫が主人公だったことの深い理由がわかるだろう。


最後にたどり着く場所はどこか、猫、「B-12」、ロボット、そして人間の運命はいかに……?



© 2022 BlueTwelve Studio Ltd. Published by Annapurna Interactive under exclusive license. All rights reserved.

●タイトル:Stray(ストレイ)
●ジャンル:アドベンチャー
●発売元:Annapurna Interactive
●開発元:BlueTwelve Studio
●プラットフォーム:PC(Steam)、PlayStation 4、PlayStation 5
●発売日:2022年7月20日
●価格:Steam版 3500円、PS4/PS5版 3520円
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-2300 または AMD FX-6350
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 650 Ti(2GB) または AMD Radeon R7 360(2GB)
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-8400 または AMD Ryzen 5 2600
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 780(3GB)または AMD Radeon R9 290X(4GB)
ストレージ: 10GB

●公式サイトURL:https://stray.game/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1332010/Stray/
PS Store https://www.playstation.com/ja-jp/games/stray/

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