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『リーグ・オブ・レジェンド』シーズン9の変更点を探る【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第4回】
目次
※2019.1.30 解説画像を追加しました。
こんにちは。『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の解説者兼ブロガーのあかさんです。
読者の皆様のおかげで、今年もALIENWARE ZONE様で記事を書かせていただけることになりました。2019年も引き続きよろしくお願いします。
さて、新年一発目の記事は、1月24日にいよいよ開幕したシーズン9のランク戦に向けて、今年のプレシーズンでどんな変更が入ったのか、メタがどう変わっているのかを解説していこうと思います。すべての変更点を細かく説明していると読んでいる方が疲れてしまうような分量になるので、この記事では3つの要点にしぼって書いていきます。
本記事を読んでから公式のパッチノートを読み返すと、よりプレシーズンの変更点についての理解が深まると思います。
パッチノート 9.1 | League of Legends
パッチノート 9.2|League of Legends
ゲーム開始から14分間、外側タワー(ファーストタワー)にシールドのようなものが追加されました。

タワープレートは1000ダメージを与えるごとに1枚ずつ壊れていき、壊した側にはゴールドが手に入ります。タワープレートは1枚割れるごとにタワーの防御力を強化するので、1枚目より2枚目、2枚目よりも3枚目が徐々に壊しにくくなっていく仕組みになっています。
14分経過するとタワープレートは消滅し、増加していた防御力を失います。また、以降1000ダメージを与えてもプレート破壊で得られるはずだったゴールドは得られなくなります。
簡単にいえば、ゲーム開始から一定時間、ファーストタワーを攻撃する際に1000ダメージごとに中間ポイントがもらえるようになった、という感じです。
レーンの強いチャンピオンで積極的にタワーにプレッシャーをかけていけば、14分までにプレートを2、3枚破壊することは容易なので、それだけで対面のチャンピオンに対して320〜480ゴールドのリードを奪うことができます。
ファーストブラッドが400ゴールドと考えると、キルを取らなくてもプッシュしてタワーを攻撃しているだけで、ファーストブラッドに近いゴールド差を作れるというのは非常に強力ですね。
レーンで対面の相手と差をつける方法として、いままでは、
一方で、外側タワーの体力自体は、シーズン9と比べて1.5倍ほどになっていて、攻撃していくとタワープレートによって防御力も徐々に増加していくので、ケイトリンのようなタワーシージが得意なチャンピオンを使って、ゲーム開始から10分前後で強引にファーストタワーを破壊する、といった極端な戦術は取りにくくなりました。
変更点が多すぎるので、主要なポイントだけをまとめてみようと思います。

・前衛・後衛ミニオンの攻撃力が上昇
前衛ミニオンは、シーズン8まで攻撃力が初期値のまま固定でした。なので、ゲーム後半になると後衛・砲台ミニオンを守る「壁」としての役割しか果たしていませんでした。
しかしシーズン9からは、攻撃力が時間とともに上昇していくようになり、なんと最大まで増加するとシーズン8の約7倍もの攻撃力を持つようになります。
後衛ミニオンは攻撃力に上限が設けられたものの、攻撃力が上がる速度はほぼ倍増しました。こちらも、実質攻撃力がアップしたといって差し支えないでしょう。
この変更で、ゲーム後半にいくにつれ、今まで以上にプッシュウェーブを作るのが簡単になりました。砲台ミニオン以外の攻撃力が上昇したことで、今まで以上に残っているミニオン量の影響が大きくなったわけです。
ミニオンがタワーに与えるダメージにかかる倍率は60%→50%と若干の下方修正が入りましたが、ミニオンの攻撃力自体が大幅に上昇しているので、結果としてタワー破壊能力はかなり上がりました。
放っておくとすぐにミニオンがタワーを割ってしまうので、シーズン9ではいままで以上に、中盤以降のサイドレーンのウェーブコントロールが重要になりました。
・砲台ミニオンの出現量が増加
砲台ミニオンは、ゲーム開始時には3ウェーブに1回の頻度で出現しますが、ゲーム時間が進むにつれて2ウェーブに1回、ウェーブごとに出場、と出現頻度が増していきます。これはシーズン8以前も同じ仕様だったのですが、シーズン9からは出現頻度が変わる時間が早まりました。
2ウェーブに1回になるタイミング
シーズン8 20分以降 → シーズン9 15分以降
ウェーブごとになるタイミング
シーズン8 35分以降 → シーズン9 25分以降
こうして数字で見比べると、かなり早くなったな、という印象ですね。
砲台ミニオンが増えることによる影響は主に2点あります。
1点目は、サモナーズリフト全体で手に入るゴールド量が増えることです。この変更で2つ目のコアアイテム完成の時間が早まったので、2アイテムでパワースパイクを迎えるチャンピオンの価値が上がりました。
2点目は、早い時間帯のバロンバフの恩恵が大きくなったということです。バロンバフを受けた砲台ミニオンによるタワーシージは、説明するまでもなく超強力ですが、これがより早い時間からウェーブごとに利用できるようになるわけですね。
極端なことを言えば、25分ごろにバロンを獲得したチームが、シーズン8だと35分以降にならないと得られなかったタワー攻撃能力を、有することになります。
ミニオンの強化もあいまって、とにかく25分前後のバロンが強力になったため、前半にある程度パワースパイクが来るチャンピオンでないと、ゲームの流れに乗れないメタになったと言ってもいいでしょう。
実際に、ソロQの平均試合時間もアイアン〜ゴールドでも30分、ダイヤ以上の高レート帯だと26分台と非常に短くなっています。
競技シーンで見ても、パッチ8.15で行われた「LCK Summer Playoff」の平均試合時間が約38分だったのに対し、プレシーズンパッチの8.24bで行われた「KeSPA Cup Playoff」では、平均試合時間が34分前後と4分も短縮しています。

ルシアンはレーンが強いADCの代表格で、このシーズン9のメタに最も適合したチャンピオンの一人です。実際にパッチ8.23以降、終始安定した勝率、ピック率を記録し続けています。
このチャンピオンの特徴は、「ルインドキングブレード」「ブラッククリーバー」という2つ目のコアアイテムを完成させた時間帯がとにかく強いという点です。タワープレートや砲台ミニオンの増量によって、よりゴールドを集めやすくなったので、2コアのパワースパイクにより早く到達できるようになりました。
ただし、3アイテム目のパワーはクリティカル系のADCたちと比べるとやや落ちるので、相手が3アイテム目を完成させる前に試合をたたむ必要があるチャンピオンともいえます。
・ガリオ

ガリオはスキルの変更が入り、よりソロQ向けの性能になりました。変更が入ったパッチ8.24以降は、統計を見ても非常に高いパフォーマンスを発揮しているのがわかります。
また、ビルドにも大きな変化が生まれています。
以前は1つ目のコアアイテムに「ロッド・オブ・エイジス」を買っていたのですが、現在は「へクステック・プロトベルト01」が主流になっています。
ロッド・オブ・エイジスは買ってから10分経過しないと全ての性能を発揮できないアイテムなので、いまの短時間でゲームが終わるメタにマッチしておらず、ガリオだけでなく全体的に採用率が下がっているアイテムです。
特にロッド・オブ・エイジスと「セラフ・エンブレイス」を両方買っていたアニビアのようなチャンピオンでは、どちらかだけにするビルドが試されています。
しかし、エレメンタルドレイクやバロンナッシャーなど、ゲームに大きな影響を及ぼすエピックモンスター周りの変更が入っているので確認しておきましょう。

エレメンタルドレイクの変更点
・最初のドレイクが出現する時間が2:30から5:00に変更
・ドレイクを倒したときの獲得ゴールドと経験値が増加
・1つ目、2つ目のバフが強化(3つ取ったときの効果はシーズン8と同じ)
・復活タイマーが6分から5分に短縮
シーズン8では、エレメンタルドレイクから得られる恩恵に対して、ジャングラーが失う時間が釣り合っておらず、オラフのようなかなり早い時間帯から単体でドレイクを倒せるような一部のチャンピオンを使っているときを除いて、積極的に取りに行きたいオブジェクトではありませんでした。
シーズン9からはその問題を解決するために、1つ目のドレイクバフを取ったときの恩恵が大きくなり、同時に獲得経験値とゴールドがともに上昇しました。基本経験値が大きく上昇したので、ドレイク討伐に時間を取られても、敵ジャングラーに対して経験値面での不利を背負うことがなくなったのは大きな変更です。
その代わりに、最初のドラゴンの出現時間が遅くなりました。レベル3〜4でソロドラゴンを行えていたチャンピオンたちにとっては、間接的なナーフといってもいいでしょう。

リフトヘラルド自身にはなんの変更も入っていないのですが、タワープレートが追加されたことが、彼女の価値を相対的に引き上げているのです。
というのも、リフトヘラルドを召喚したときのタックルは最低1500ダメージが保証されているので、タワープレートが残っていれば確定で1枚のプレートを割ることができるのです。つまり、タワーを削りながら追加で160ゴールドをもらうことができるわけですね。
タワープレートが残っているゲーム時間14分まで、という条件付きですが、非常に強力なので、一人で素早くリフトヘラルドを狩ることができるチャンピオンが、メタに合っているといえるでしょう。
ただ一方で、外側タワーの総体力が増えていることもあって、タワー破壊能力は割合で見ると下がったことになります。なので、14分以降に獲得するリフトヘラルドの価値はやや下がったといえるかもしれません。


バロンナッシャーはタワープレートとミニオンの項でもお話ししたとおり、重要度が今まで以上に高くなっています。復活タイマーがシーズン8と比べて1分早くなったので、バロン獲得→バロンバフを活かして相手のタワーを破壊→次のバロンの準備、という流れが途切れにくくなりました。
いままでの感覚でプレイしていると、バロンナッシャーの復活の前に視界を確保したり、トラップをしかけたりする時間がなくなってしまうので注意しましょう。
エルダードラゴンの復活タイマーが6分になったことも大きな変更点です。2つ目のエルダードラゴンバフは効果が2倍になる仕様はそのままなので、よりゲームエンドを狙いやすくなったわけです。
ただ、今はゲーム時間が短いメタなので、そもそもエルダードラゴンを倒す機会というのがほとんどありません。
メタが変わって試合時間が伸びたときには重要度が増す変更なので、頭の片隅においておきましょう。
特にシーズン9のドレイクの1つ目のバフは強力で、サステインを補ってくれる「オーシャンドレイク」、タワープレートが破壊しやすくなる「マウンテンドレイク」をゲーム序盤で獲得することができれば、チームに大きく貢献できるでしょう。

カ=ジックスは孤立しているユニットに対して高いダメージを出せるチャンピオンで、レベル6以降Q「甘美なる恐怖」を進化させることでエピックモンスターを単独で、かつ素早く狩る能力を得ることができます。
アサシンタイプのチャンピオンは短いゲーム時間で試合が終わるメタに強く、ゲーム全体の高速化もカ=ジックスにとって追い風といえるでしょう。
次の項で触れますが、ルーンステータスの追加からも好影響を受けています。それを証明するようにプレシーズン以降安定した勝率とピック率を記録しています。
・カミール

ジャングルのメタの変化というよりも、パッチ8.24bで「ティアマット」が値上げされたことでビルドが変わってきているチャンピオンです。
ジャングラーにとって125ゴールドの値上げは大きく、ティアマットを買わずに「トリニティフォース」や「ステラックの篭手」に直行するビルドが試されていますが、ティアマットナーフ前と比べて、勝率は1%程低下してしまいました。
ルーンは元々「栄華」をメインパスに選択していたので、ルーンステータスの追加で得た恩恵がほとんどないのも向かい風です。
もちろん、ガンク性能やエピックモンスターを狩る能力は高いままなので、いまだに十分ピック水準にいるチャンピオンですが。
以前では選んだメインパス、サブパスによって、得られるステータスボーナスが決まっていたわけですが、シーズン9からは自由にルーンを選んだ後に、好きなステータスボーナスを選択できるようになったわけです。

これの恩恵を受けたチャンピオンはかなり多いです。
たとえば、フィオラで「不死者の握撃」、サブパスで「天啓」を選んだ場合を考えてみましょう。このルーンの組み合わせは、序盤あまり強くないフィオラのレーニング性能を補助するのには最適です。しかし、シーズン8では「不滅」+「天啓」の組み合わせなので、体力しかステータスボーナスを得られませんでした。
これがシーズン9では、「不死者の握撃」や「ビスケットデリバリー」で序盤のサステイン性能を補いながら、攻撃速度や攻撃力といった彼女にとってよりほしいステータスボーナスを獲得できるようになったわけです。
同じ「不死者の握撃」だと、ケイトリンのような基礎体力の低いADCがこのルーンを選択してレーン戦の安定を図る、といったビルドも可能になりました。
他にも「覇道」+「魔道」の組み合わせを選択していたエリスのようなアサシン系ジャングラーが、ステータスボーナスに攻撃速度アップを選択できるようになって、序盤のジャングリングが行いやすくなったりなど、影響は多岐に及んでいます。
影響を受けたチャンピオンが多すぎるので、この項目ではロールやチャンピオンごとに、どういった基準でステータスボーナスを選べばいいか、ということを解説していこうと思います。
使うチャンピオン:通常攻撃が重要なファイター、ほとんどのADC、ほとんどのジャングル
ジャングル、ADCではほぼ必須のルーンです。
ADCにとっての攻撃速度はどの時間帯でも腐らないスタッツですし、ジャングルにとっては序盤のジャングルクリアに明確な違いが生まれます。
ジャックスやフィオラなど通常攻撃を多めに行うファイターにとっては、攻撃速度は必要なステータスです。ウェーブクリアが少し早くなるのも見逃せません。
アダプティブフォース+9(攻撃力+5.4または魔力+9)
使うチャンピオン:メイジ、スキルファイター、サポートなど
通常攻撃よりもスキルダメージが重要なレーナーが選択します。攻撃速度を選ばないチャンピオンは大体これを選んでおけば大丈夫です。
クールダウン+1~10%
使うチャンピオン:オールイン系のサポート
このボーナスは、現状非常に価値が低いです。採用するなら残り2つのスタッツがあまり必要のないオールイン系のサポートですね。
具体的にはアリスターなどで採用されているのを見かけます。
使うチャンピオン:ADC、ミッド、ジャングル、ファイター系のトップ、メイジ系のサポート
相手にダメージを与えるチャンピオンはこれを選んでおけば問題ありません。
物理防御力+6、魔法防御力+8
使うチャンピオン:タンク系トップレーナ—、サポート
基本的に、ステータスボーナスで防御力を選ぶと、レーニング性能で耐える能力が強化されると思っておけば大丈夫です。対面のハラスがつらそうなときに、タンク系のチャンピオンで選ぶと効果が大きいボーナスです。物理防御/魔法防御のどちらを選ぶかは、対面のチャンピオンによって変えましょう。
使うチャンピオン:固有スキルなどで防御力が上がるチャンピオン、序盤自分が有利なときのミッド、トップ
3列目はチャンピオンの性質によって選ぶべきボーナスが変わります。防御力があがるタイプのチャンピオンは体力を、体力が上がる(またはシールドがつく、体力回復能力がある)チャンピオンの場合は防御力系を選ぶと良いでしょう。
体力のボーナスはレベルで上昇していくので、やや後半型になっています。レーン戦がきつくなさそうなときは 体力を選んでおいた方が最終的には得する場合が多いです。
物理防御力+6、魔法防御力+8
使うチャンピオン:シールドや回復能力持ちのチャンピオン、サポート全般、ジャングル
体力の項目で説明した通りです。
サポートは、スケーリングよりもレーンの強さが重要なので、基本的には防御力系を選んだほうがいいでしょう。
ジャングルは、序盤のジャングルクリープから受けるダメージを減らす目的で、物理防御を選ぶといいでしょう。

全部書いていくとキリがないので、この記事ではゲームの根幹部分の変更にのみに絞って書きました。ゲーム内で手に入るゴールドが増えてゲーム時間が全体的に短くなったこと、各種エピックモンスターの価値が上がったこと、ステータスボーナスの導入でルーンの選択肢が増えたこと、この3点を念頭に置いて新シーズンの『LoL』を楽しんでいただけたらと思います。
■関連リンク
リーグ・オブ・レジェンド
https://jp.leagueoflegends.com/ja/
こんにちは。『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の解説者兼ブロガーのあかさんです。
読者の皆様のおかげで、今年もALIENWARE ZONE様で記事を書かせていただけることになりました。2019年も引き続きよろしくお願いします。
さて、新年一発目の記事は、1月24日にいよいよ開幕したシーズン9のランク戦に向けて、今年のプレシーズンでどんな変更が入ったのか、メタがどう変わっているのかを解説していこうと思います。すべての変更点を細かく説明していると読んでいる方が疲れてしまうような分量になるので、この記事では3つの要点にしぼって書いていきます。
本記事を読んでから公式のパッチノートを読み返すと、よりプレシーズンの変更点についての理解が深まると思います。
パッチノート 9.1 | League of Legends
パッチノート 9.2|League of Legends
変更点その1・タワープレートの追加とミニオンの変更
タワーにプレートが追加
シーズン9の変更の中で一番見た目に大きいのが、タワープレートの追加です。ゲーム開始から14分間、外側タワー(ファーストタワー)にシールドのようなものが追加されました。

タワープレートは1000ダメージを与えるごとに1枚ずつ壊れていき、壊した側にはゴールドが手に入ります。タワープレートは1枚割れるごとにタワーの防御力を強化するので、1枚目より2枚目、2枚目よりも3枚目が徐々に壊しにくくなっていく仕組みになっています。
14分経過するとタワープレートは消滅し、増加していた防御力を失います。また、以降1000ダメージを与えてもプレート破壊で得られるはずだったゴールドは得られなくなります。
簡単にいえば、ゲーム開始から一定時間、ファーストタワーを攻撃する際に1000ダメージごとに中間ポイントがもらえるようになった、という感じです。
レーンの強いチャンピオンで積極的にタワーにプレッシャーをかけていけば、14分までにプレートを2、3枚破壊することは容易なので、それだけで対面のチャンピオンに対して320〜480ゴールドのリードを奪うことができます。
ファーストブラッドが400ゴールドと考えると、キルを取らなくてもプッシュしてタワーを攻撃しているだけで、ファーストブラッドに近いゴールド差を作れるというのは非常に強力ですね。
レーンで対面の相手と差をつける方法として、いままでは、
- CS差をつくる
- キルを取る
一方で、外側タワーの体力自体は、シーズン9と比べて1.5倍ほどになっていて、攻撃していくとタワープレートによって防御力も徐々に増加していくので、ケイトリンのようなタワーシージが得意なチャンピオンを使って、ゲーム開始から10分前後で強引にファーストタワーを破壊する、といった極端な戦術は取りにくくなりました。
ミニオンの攻撃力&数が変更
ミニオンの変更も地味なようですが大きな変更です。変更点が多すぎるので、主要なポイントだけをまとめてみようと思います。

・前衛・後衛ミニオンの攻撃力が上昇
前衛ミニオンは、シーズン8まで攻撃力が初期値のまま固定でした。なので、ゲーム後半になると後衛・砲台ミニオンを守る「壁」としての役割しか果たしていませんでした。
しかしシーズン9からは、攻撃力が時間とともに上昇していくようになり、なんと最大まで増加するとシーズン8の約7倍もの攻撃力を持つようになります。
後衛ミニオンは攻撃力に上限が設けられたものの、攻撃力が上がる速度はほぼ倍増しました。こちらも、実質攻撃力がアップしたといって差し支えないでしょう。
この変更で、ゲーム後半にいくにつれ、今まで以上にプッシュウェーブを作るのが簡単になりました。砲台ミニオン以外の攻撃力が上昇したことで、今まで以上に残っているミニオン量の影響が大きくなったわけです。
ミニオンがタワーに与えるダメージにかかる倍率は60%→50%と若干の下方修正が入りましたが、ミニオンの攻撃力自体が大幅に上昇しているので、結果としてタワー破壊能力はかなり上がりました。
放っておくとすぐにミニオンがタワーを割ってしまうので、シーズン9ではいままで以上に、中盤以降のサイドレーンのウェーブコントロールが重要になりました。
・砲台ミニオンの出現量が増加
砲台ミニオンは、ゲーム開始時には3ウェーブに1回の頻度で出現しますが、ゲーム時間が進むにつれて2ウェーブに1回、ウェーブごとに出場、と出現頻度が増していきます。これはシーズン8以前も同じ仕様だったのですが、シーズン9からは出現頻度が変わる時間が早まりました。
2ウェーブに1回になるタイミング
シーズン8 20分以降 → シーズン9 15分以降
ウェーブごとになるタイミング
シーズン8 35分以降 → シーズン9 25分以降
こうして数字で見比べると、かなり早くなったな、という印象ですね。
砲台ミニオンが増えることによる影響は主に2点あります。
1点目は、サモナーズリフト全体で手に入るゴールド量が増えることです。この変更で2つ目のコアアイテム完成の時間が早まったので、2アイテムでパワースパイクを迎えるチャンピオンの価値が上がりました。
2点目は、早い時間帯のバロンバフの恩恵が大きくなったということです。バロンバフを受けた砲台ミニオンによるタワーシージは、説明するまでもなく超強力ですが、これがより早い時間からウェーブごとに利用できるようになるわけですね。
極端なことを言えば、25分ごろにバロンを獲得したチームが、シーズン8だと35分以降にならないと得られなかったタワー攻撃能力を、有することになります。
シーズン9の変更点・まとめ
タワープレート、砲台ミニオンの増加によって、ゲーム時間が早い段階に入手可能なゴールド量が全体的に増えました。ミニオンの強化もあいまって、とにかく25分前後のバロンが強力になったため、前半にある程度パワースパイクが来るチャンピオンでないと、ゲームの流れに乗れないメタになったと言ってもいいでしょう。
実際に、ソロQの平均試合時間もアイアン〜ゴールドでも30分、ダイヤ以上の高レート帯だと26分台と非常に短くなっています。
競技シーンで見ても、パッチ8.15で行われた「LCK Summer Playoff」の平均試合時間が約38分だったのに対し、プレシーズンパッチの8.24bで行われた「KeSPA Cup Playoff」では、平均試合時間が34分前後と4分も短縮しています。
変更点1の影響を受けたチャンピオンたち
・ルシアン

ルシアンはレーンが強いADCの代表格で、このシーズン9のメタに最も適合したチャンピオンの一人です。実際にパッチ8.23以降、終始安定した勝率、ピック率を記録し続けています。
このチャンピオンの特徴は、「ルインドキングブレード」「ブラッククリーバー」という2つ目のコアアイテムを完成させた時間帯がとにかく強いという点です。タワープレートや砲台ミニオンの増量によって、よりゴールドを集めやすくなったので、2コアのパワースパイクにより早く到達できるようになりました。
ただし、3アイテム目のパワーはクリティカル系のADCたちと比べるとやや落ちるので、相手が3アイテム目を完成させる前に試合をたたむ必要があるチャンピオンともいえます。
・ガリオ

ガリオはスキルの変更が入り、よりソロQ向けの性能になりました。変更が入ったパッチ8.24以降は、統計を見ても非常に高いパフォーマンスを発揮しているのがわかります。
また、ビルドにも大きな変化が生まれています。
以前は1つ目のコアアイテムに「ロッド・オブ・エイジス」を買っていたのですが、現在は「へクステック・プロトベルト01」が主流になっています。
ロッド・オブ・エイジスは買ってから10分経過しないと全ての性能を発揮できないアイテムなので、いまの短時間でゲームが終わるメタにマッチしておらず、ガリオだけでなく全体的に採用率が下がっているアイテムです。
特にロッド・オブ・エイジスと「セラフ・エンブレイス」を両方買っていたアニビアのようなチャンピオンでは、どちらかだけにするビルドが試されています。
変更点その2・ドレイクバフの強化と復活タイマーの短縮
エレメンタルドレイクの変更
ウルフやクルーグのような普通のジャングルクリープに関しては大きな仕様変更がなかったので、ただジャングルを回るだけならシーズン8と大差ありません。しかし、エレメンタルドレイクやバロンナッシャーなど、ゲームに大きな影響を及ぼすエピックモンスター周りの変更が入っているので確認しておきましょう。

エレメンタルドレイクの変更点
・最初のドレイクが出現する時間が2:30から5:00に変更
・ドレイクを倒したときの獲得ゴールドと経験値が増加
・1つ目、2つ目のバフが強化(3つ取ったときの効果はシーズン8と同じ)
・復活タイマーが6分から5分に短縮
シーズン8では、エレメンタルドレイクから得られる恩恵に対して、ジャングラーが失う時間が釣り合っておらず、オラフのようなかなり早い時間帯から単体でドレイクを倒せるような一部のチャンピオンを使っているときを除いて、積極的に取りに行きたいオブジェクトではありませんでした。
シーズン9からはその問題を解決するために、1つ目のドレイクバフを取ったときの恩恵が大きくなり、同時に獲得経験値とゴールドがともに上昇しました。基本経験値が大きく上昇したので、ドレイク討伐に時間を取られても、敵ジャングラーに対して経験値面での不利を背負うことがなくなったのは大きな変更です。
その代わりに、最初のドラゴンの出現時間が遅くなりました。レベル3〜4でソロドラゴンを行えていたチャンピオンたちにとっては、間接的なナーフといってもいいでしょう。
タワープレートの追加でリフトヘラルドの価値が相対的に上昇
ドレイクの価値が上がった一方で、リフトヘラルドの価値も相対的に上がりました。
リフトヘラルド自身にはなんの変更も入っていないのですが、タワープレートが追加されたことが、彼女の価値を相対的に引き上げているのです。
というのも、リフトヘラルドを召喚したときのタックルは最低1500ダメージが保証されているので、タワープレートが残っていれば確定で1枚のプレートを割ることができるのです。つまり、タワーを削りながら追加で160ゴールドをもらうことができるわけですね。
タワープレートが残っているゲーム時間14分まで、という条件付きですが、非常に強力なので、一人で素早くリフトヘラルドを狩ることができるチャンピオンが、メタに合っているといえるでしょう。
ただ一方で、外側タワーの総体力が増えていることもあって、タワー破壊能力は割合で見ると下がったことになります。なので、14分以降に獲得するリフトヘラルドの価値はやや下がったといえるかもしれません。
バロンナッシャーやエルダードラゴンの復活タイマーが短縮
そのほか、バロンナッシャー、エルダードラゴンともに、復活タイマーが6分になりました。

バロンナッシャーはタワープレートとミニオンの項でもお話ししたとおり、重要度が今まで以上に高くなっています。復活タイマーがシーズン8と比べて1分早くなったので、バロン獲得→バロンバフを活かして相手のタワーを破壊→次のバロンの準備、という流れが途切れにくくなりました。
いままでの感覚でプレイしていると、バロンナッシャーの復活の前に視界を確保したり、トラップをしかけたりする時間がなくなってしまうので注意しましょう。
エルダードラゴンの復活タイマーが6分になったことも大きな変更点です。2つ目のエルダードラゴンバフは効果が2倍になる仕様はそのままなので、よりゲームエンドを狙いやすくなったわけです。
ただ、今はゲーム時間が短いメタなので、そもそもエルダードラゴンを倒す機会というのがほとんどありません。
メタが変わって試合時間が伸びたときには重要度が増す変更なので、頭の片隅においておきましょう。
まとめ
エレメンタルドレイクやリフトヘラルド、バロンナッシャーといったエピックモンスターたちの価値が上がりました。特にシーズン9のドレイクの1つ目のバフは強力で、サステインを補ってくれる「オーシャンドレイク」、タワープレートが破壊しやすくなる「マウンテンドレイク」をゲーム序盤で獲得することができれば、チームに大きく貢献できるでしょう。
変更点2の影響を受けたチャンピオンたち
・カ=ジックス
カ=ジックスは孤立しているユニットに対して高いダメージを出せるチャンピオンで、レベル6以降Q「甘美なる恐怖」を進化させることでエピックモンスターを単独で、かつ素早く狩る能力を得ることができます。
アサシンタイプのチャンピオンは短いゲーム時間で試合が終わるメタに強く、ゲーム全体の高速化もカ=ジックスにとって追い風といえるでしょう。
次の項で触れますが、ルーンステータスの追加からも好影響を受けています。それを証明するようにプレシーズン以降安定した勝率とピック率を記録しています。
・カミール

ジャングルのメタの変化というよりも、パッチ8.24bで「ティアマット」が値上げされたことでビルドが変わってきているチャンピオンです。
ジャングラーにとって125ゴールドの値上げは大きく、ティアマットを買わずに「トリニティフォース」や「ステラックの篭手」に直行するビルドが試されていますが、ティアマットナーフ前と比べて、勝率は1%程低下してしまいました。
ルーンは元々「栄華」をメインパスに選択していたので、ルーンステータスの追加で得た恩恵がほとんどないのも向かい風です。
もちろん、ガンク性能やエピックモンスターを狩る能力は高いままなので、いまだに十分ピック水準にいるチャンピオンですが。
変更点その3・ルーンステータスの追加
ルーンの変更
シーズン8までと、ルーンとステータスの関係性が変わりました。以前では選んだメインパス、サブパスによって、得られるステータスボーナスが決まっていたわけですが、シーズン9からは自由にルーンを選んだ後に、好きなステータスボーナスを選択できるようになったわけです。

これの恩恵を受けたチャンピオンはかなり多いです。
たとえば、フィオラで「不死者の握撃」、サブパスで「天啓」を選んだ場合を考えてみましょう。このルーンの組み合わせは、序盤あまり強くないフィオラのレーニング性能を補助するのには最適です。しかし、シーズン8では「不滅」+「天啓」の組み合わせなので、体力しかステータスボーナスを得られませんでした。
これがシーズン9では、「不死者の握撃」や「ビスケットデリバリー」で序盤のサステイン性能を補いながら、攻撃速度や攻撃力といった彼女にとってよりほしいステータスボーナスを獲得できるようになったわけです。
同じ「不死者の握撃」だと、ケイトリンのような基礎体力の低いADCがこのルーンを選択してレーン戦の安定を図る、といったビルドも可能になりました。
他にも「覇道」+「魔道」の組み合わせを選択していたエリスのようなアサシン系ジャングラーが、ステータスボーナスに攻撃速度アップを選択できるようになって、序盤のジャングリングが行いやすくなったりなど、影響は多岐に及んでいます。
影響を受けたチャンピオンが多すぎるので、この項目ではロールやチャンピオンごとに、どういった基準でステータスボーナスを選べばいいか、ということを解説していこうと思います。
1列目(攻撃)
攻撃速度+10%使うチャンピオン:通常攻撃が重要なファイター、ほとんどのADC、ほとんどのジャングル
ジャングル、ADCではほぼ必須のルーンです。
ADCにとっての攻撃速度はどの時間帯でも腐らないスタッツですし、ジャングルにとっては序盤のジャングルクリアに明確な違いが生まれます。
ジャックスやフィオラなど通常攻撃を多めに行うファイターにとっては、攻撃速度は必要なステータスです。ウェーブクリアが少し早くなるのも見逃せません。
アダプティブフォース+9(攻撃力+5.4または魔力+9)
使うチャンピオン:メイジ、スキルファイター、サポートなど
通常攻撃よりもスキルダメージが重要なレーナーが選択します。攻撃速度を選ばないチャンピオンは大体これを選んでおけば大丈夫です。
クールダウン+1~10%
使うチャンピオン:オールイン系のサポート
このボーナスは、現状非常に価値が低いです。採用するなら残り2つのスタッツがあまり必要のないオールイン系のサポートですね。
具体的にはアリスターなどで採用されているのを見かけます。
2列目(フレックス)
アダプティブフォース+9(攻撃力+5.4または魔力+9)使うチャンピオン:ADC、ミッド、ジャングル、ファイター系のトップ、メイジ系のサポート
相手にダメージを与えるチャンピオンはこれを選んでおけば問題ありません。
物理防御力+6、魔法防御力+8
使うチャンピオン:タンク系トップレーナ—、サポート
基本的に、ステータスボーナスで防御力を選ぶと、レーニング性能で耐える能力が強化されると思っておけば大丈夫です。対面のハラスがつらそうなときに、タンク系のチャンピオンで選ぶと効果が大きいボーナスです。物理防御/魔法防御のどちらを選ぶかは、対面のチャンピオンによって変えましょう。
3列目(防御)
体力+15〜90使うチャンピオン:固有スキルなどで防御力が上がるチャンピオン、序盤自分が有利なときのミッド、トップ
3列目はチャンピオンの性質によって選ぶべきボーナスが変わります。防御力があがるタイプのチャンピオンは体力を、体力が上がる(またはシールドがつく、体力回復能力がある)チャンピオンの場合は防御力系を選ぶと良いでしょう。
体力のボーナスはレベルで上昇していくので、やや後半型になっています。レーン戦がきつくなさそうなときは 体力を選んでおいた方が最終的には得する場合が多いです。
物理防御力+6、魔法防御力+8
使うチャンピオン:シールドや回復能力持ちのチャンピオン、サポート全般、ジャングル
体力の項目で説明した通りです。
サポートは、スケーリングよりもレーンの強さが重要なので、基本的には防御力系を選んだほうがいいでしょう。
ジャングルは、序盤のジャングルクリープから受けるダメージを減らす目的で、物理防御を選ぶといいでしょう。
まとめ
この記事の説明を読めば、皆さんもルーンステータスを自分で選べるようになると思います。ただ、念のため汎用の設定例をいくつか載せておきます。参考にしていただければ幸いです。
おわりに……シーズン9の変更点は他にも多数!
実は、シーズン9の変更点はまだまだあります。ニーコの実装、オーン、セジュアニ、カリスタの大掛かりな変更、テレポートの詠唱がキャンセルできなくなった、シャットダウンゴールドの仕様などなど……。全部書いていくとキリがないので、この記事ではゲームの根幹部分の変更にのみに絞って書きました。ゲーム内で手に入るゴールドが増えてゲーム時間が全体的に短くなったこと、各種エピックモンスターの価値が上がったこと、ステータスボーナスの導入でルーンの選択肢が増えたこと、この3点を念頭に置いて新シーズンの『LoL』を楽しんでいただけたらと思います。
■関連リンク
リーグ・オブ・レジェンド
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【連載】あかさんの『リーグ・オブ・レジェンド』必勝セミナー
- 『リーグ・オブ・レジェンド』プレシーズン2021における9つのトピック【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第8回】
- シチュエーション別ワーディング講座【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第7回】
- ゲーム開始前から終了後まで! 『LoL』がうまくなるTIPS集【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第6回】
- 新チャンピオン「ニーコ」と「サイラス」の強み【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第5回】
- 『リーグ・オブ・レジェンド』シーズン9の変更点を探る【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第4回】
- 【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第3回】効率のいい「防具」の選び方
- 【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第2回】「初心者キラー」に学ぶ、チャンピオン対策のセオリー
- 【あかさんの『LoL』必勝セミナー 第1回】Midアサシン対策 〜ワーディングや立ち回りでアサシンを抑え込もう〜