2021年10月、デルは「宇宙最強のゲーミングPC」で知られるプレミアムゲーミングブランド「Alienware」の新たなデスクトップモデルとして「Alienware Aurora R13」および「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」の発売を発表した。

「Alienware Aurora R13」はインテルが発表したばかりの第12世代Intelチップを搭載するモデルで、「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」は第4世代AMDチップを搭載したモデルとなっている。いずれもAlienwareらしい造形美とゲーミングのために最適化された機構を継承しつつ、さらに将来性も見据えた進化を遂げた。

今回は、新ラインナップの中でも最新のIntel coreプロセッサーを搭載し、格段にパワーアップした「Alienware Aurora R13」を紹介する。

第12世代Intelチップを搭載したフラグシップモデル

「Alienware Aurora R13」は、2021年11月現在において、Alienwareブランドの最新機にあたるモデルだ。

※2021年11月現在のラインナップ

「Alienware Aurora R13」最大の特徴は、開発コード「Alder Lake-S」で知られる第12世代Coreプロセッサーを搭載していること。

近年のインテルは、製造プロセス技術の開発において10nmの導入で足踏みし、ゲーミング向け高性能CPUの技術競争でAMD製チップに押され気味な印象があった。「Alienware Aurora R13」に搭載される新CPUは、新しいプロセスノード「Intel 7」を採用しており、消費電力あたりの性能が大幅に向上している。

また、第12世代のIntelチップは、「Pコア」と呼ばれる高性能CPUコアと、電力効率を優先した「Eコア」と呼ばれる高効率CPUコアを組み合わせた「ハイブリッドアーキテクチャ」が導入されていることも大きな特徴だ。


これにより、第11世代では最大で8コアまで選択できたコア数が、新CPUでは最大16コア、最小構成で搭載される「Core™ i5 12600KF」であっても10コアとなっている。2次キャッシュ及び3次キャッシュ容量も大幅に増えており、マルチタスクでの処理能力においてもAMDのRyzenプロセッサーと同等以上の性能だ。

ちなみに、Alienware Aurora R13は第12世代Intel CPUのプレスリリースでもIntel Core i9 12900K搭載モデルの例として紹介されている。

さらに、CPUコア以外の機能も刷新されており、PCIバスはPCIe 5.0に対応したほか、クロック周波数がより高速となったDDR5メモリーにも対応した。

ゲームやコンテンツの制作シーンにおいて、新時代を切り拓くパフォーマンスが期待される「Alienware Aurora R13」は、まさに宇宙最強のゲーミングPCを体現したモデルといえる。

新型のシャーシとCryo-Tech™テクノロジーを搭載

新モデルである「Alienware Aurora R13」と「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」は、ともにシャーシが刷新された。新しくなった「レジェンドデザイン2.0」では、Alienwareらしいデザインやツールレスで内部にアクセスできる機能性を引き継ぎつつ、さらに排熱性能を向上させている。

現在も販売が続いている旧モデル、Intelチップ搭載の「Alienware Aurora R12」とAMDチップ搭載の「Alienware Aurora Ryzen Edition R10」との大きな違いは筐体のサイズ。ひとまわり大きな筐体となったかわりに、内部容積が50％増加した。

実はR10／R12までの従来モデルは、内部構造はR7までの旧デザインとほぼ共通だった。そのため、フロントファンのすぐ後ろに光学ドライブやストレージ、さらにスイングアーム方式の電源ユニットが収納されるスペースとなっており、エアフローとしては前面から吸気して、上面と背面から排気する必要があった。


しかし、内部容積が大きくなったことでこれらのストレージや電源ユニットを上下に配置できるようになり、前面から背面まで空気が滞留することなくスムーズに抜けるようになった。


また、効率的なエアフローの実現のためにマザーボードも新規設計されている。内部の配線端子をエアフローを意識して削減や移設しつつ、フロントパネルの端子も直結とし、各USBポートへの効率性を向上させている。

さらにサイズ拡大の恩恵は、将来的な拡張性にも及ぶ。旧モデルは、BTOオプションで「NVIDIA® GeForce RTX™ 3090」のビデオカードまで選択できるものの、省スペースであることと引き換えにフルレングスのビデオカードは搭載できず、市販品の選択肢を狭めていた。

その点、「Alienware Aurora R13」と「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」に採用された新しいシャーシは、内部に十分なスペースが確保され、ほとんどのGPUが搭載可能となっている。

ここまでは「Alienware Aurora R13」と「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」に共通する特徴であるが、「Alienware Aurora R13」はAlienFXでライティングできる最新のCryo-Tech™冷却テクノロジーをオプションで選択することができる。標準搭載される水冷システムと比較し、ラジエーターが11％大きくなっており、Alienwareの現行ラインナップの中で最も技術の粋が詰め込まれたフラグシップモデルに君臨するのが、「Alienware Aurora R13」なのだ。

Alienware Aurora R13各モデルの構成

Alienware Aurora R13構成（2021年11月現在）
※太字は標準構成

他のAlienwareデスクトップモデルとの大きな違いは搭載されるCPU。シャーシ自体は「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」と同じだが、「Alienware Aurora R13」はDDR5メモリーやPCIe 5.0に対応しており、将来的なアップデートの可能性を秘めている点にも注目したい。

また、新しいCryo-Tech™冷却テクノロジーやカラー選択など、オプションも充実している。

Alienwareならではの突出したポイント

Alienwareの魅力は単純なスペックシートだけで語ることはできない。

ゲーミングPCには、高負荷の処理を長時間に渡って続けるための持久力が求められる。BTOパソコンとは異なり、AlienwareブランドのPCは、シャーシやマザーボード、冷却システム等の設計を自ら行うことで最高のゲーミング体験をもたらすためのチューニングが施されているのが魅力だ。

限界を超えたパフォーマンスを維持するためには排熱性能を高め、サーマルスロットリングを未然に防ぐ必要がある。そのため、ゲーミングPCには強力なファンが搭載されたものが多く、「ゲーミングPCはファンの音がうるさい」というのが一般的であり、それはAlienwareも例外ではなかった。

しかし筐体を刷新し、シャーシ内部のエアフローを効率化したAlienware新モデルは、静音性もシステム全体で16％向上しており、ゲームへの没入感を高めるための進化が図られている。「Alienware Aurora R13」であれば、新しいCryo-Tech™冷却システムをオプションで選択できるため、より信頼できるモデルを選択したいというユーザーにもおすすめだ。

さらに、Alienwareの魅力は、その機能性だけにとどまらない。

最高のゲーム体験の提供をミッションの1つに掲げているAlienwareは、そのアイコニックなデザインでも知られている。PC本体のみならず、モニターやキーボード、マウスなどの周辺機器にもその秀逸なデザインが採用されており、統一感のあるアイテムでゲーミング環境を構築できるというのはAlienwareならではだ。

「レジェンドデザイン2.0」と名付けられたそのデザインには、ゲームへの没入感や使用で得られる高揚感を高めるためにカスタマイズされたライティングが仕組まれている。サイドパネルがクリアパネルとなっているほか、背面のオプションパネル（3300円）の有無も選択でき、よりデザインを洗練させることも可能だ。


なお、同時発売された「Alienware Aurora Ryzen Edition R14」は「ダークサイド オブ ザ ムーン（ダークグレー）」カラーのみだが、「Alienware Aurora R13」なら、「ルナライト（シルバーホワイト）」と2色からカラー選択できることにも注目したい。

さらに、「Alienware Command Center」により、自分の使用環境に合わせたカスタマイズを行えるのもAlienwareの魅力だ。ファンの駆動など熱制御に関することやオーバークロック、ライティングも簡単に設定できる。

Alienware Aurora R13はどんな人におすすめ？

「Alienware Aurora R13」は、第12世代Intelチップを搭載しており、現在における最高クラスの性能を誇るゲーミングPCだ。ゲーミング体験やコンテンツの制作において、一切の妥協をしたくない人やDDR5メモリーやPCIe 5.0に対応している将来的な拡張性を求めたい人にオススメのモデルといえる。

特に、最強のCPU及びGPUを搭載したモデルを選びたいプロフェッショナルであれば、「スプレマシー」を選択すると良いだろう。それ以外の各グレードによる違いは、標準搭載されるGPU性能となる。自分がプレイしているゲームタイトルや制作しているコンテンツに応じて選択してほしい。

Alienware Aurora R13