2022年に入り、Steam版『モンスターハンターライズ』や『God of War』などのPC向け大作ゲームタイトルが続々とリリースされ、早くもPCゲーム市場が大いに賑わいを見せている。

そのような状況において、より高性能なゲーミングPCの需要もますます伸びており、各メーカーから出される最新パーツを搭載した新モデルの動向にも注目が集まる。

2022年1月28日、デル・テクノロジーズ株式会社は、ゲーミングPCブランド「Alienware」の新製品となる「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」の国内販売を開始した。

Alienwareといえば、独自設計による圧倒的な冷却性能やゲーム用にチューニングされたコマンドセンターに加え、アイコニックなデザインでユーザーのゲーミング体験をネクストステージに導くプレミアムなゲーミングPCブランドだ。

今回Alienwareのラインナップに加わったモデルは、Alienwareならではの高い冷却性能はそのままに、可能な限り本体を薄くし、モバイル性に特化させた「xシリーズ」の第2世代にあたる。

2021年11月に発売され、CPU市場においてAMDに押され気味だったインテルの巻き返しの立役者となった第12世代インテル Core プロセッサーを搭載しており、大きくパワーアップを遂げた。

この記事では、Alienwareの新作「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」の魅力を紹介する。

最新の第12世代インテルチップを搭載したAlienwareのノートPC

「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」は、2022年2月現在において、Alienwareブランドの最新機にあたるモデルだ。R2の登場により、従来モデル「Alienware x15 R1」「Alineware x17 R1」は徐々に販売が終了していくことになる。

※2022年2月現在のラインナップ

今回発売された「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」が前世代から大きく進化した点として挙げられるのが、第12世代インテルチップが搭載されたことだ。

CPUの性能はプロセスルールの細かさが大きくかかわる。近年のインテルは、プロセスルール微細化が難航し、AMD製のRyzenシリーズにクリエイティブ用途だけでなく、ゲーミング性能でも苦戦を強いられていた。

しかし、2021年11月に発売された第12世代では、旧名称で「10nm」プロセスルールに相当する「Intel7」が採用され、長らくAMD Ryzenに譲っていた最強CPUの座を取り戻した格好だ。

第12世代インテルチップの構造は、高性能コアのPコアと高効率コアのEコアを組み合わせた「ハイブリッドアーキテクチャ」であることも特徴的だ。これによって、バックグラウンドタスクはEコアに任せ、ゲームのようなパワーが必要な処理をPコアに割り振ることで、高いパフォーマンスを発揮できる。

中でも「Alienware x17 R2 スプレマシー」で搭載されるハイエンドCPUの「Core i9-12900HK」は、前世代のハイエンドと比較してゲーミング性能が最大28％、クリエイティブ性能が最大44％と、大幅な向上を実現した。

さらに、第12世代Intelチップでは高速のDDR5/LPDDR5メモリーをサポートしており、「Alienware x15 R2」「Alienware x17 R2」にも搭載されている。ゲームタイトルによっては、さらなるパフォーマンスの向上が期待できるだろう。

RTX 3080 Tiまで搭載可能なグラフィック性能

新たにAlienwareのラインナップに加わった「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」が進化したのはCPU性能だけではない。

グラフィックカードも「NVIDIA GeForce RTX 3080 Ti」までオプションで選択できるようになり、現在販売されているAlienwareのノートPCでは、まさに「宇宙最強のゲーミングPC」の名にたがわぬ最高のスペックとなっている。

限界を超えたゲーミング体験を追求したいユーザーに向けた製品といえよう。

高いゲーミング性能を誇りながらも省スペース

ゲーミングPCのユーザーがノートモデルを選択する大きな理由が、どんな時でも同じゲームプレイや制作の環境を構築できることだろう。

そのようなユーザーにとっては、持ち運びやすさも気になるところだが、今回発売されたモデルはいずれもAlienwareの中で高いモバイル性を備えている。

レジェンドデザイン2.0となった「xシリーズ」は、Alienwareのゲーミングノートの中でも薄型のモデルであり、15インチディスプレイ搭載の「Alienware x15 R2」であれば、高さ約16mmと現行ラインナップで最も薄い。

17インチの「Alienware x17 R2」でも、拡張性の高い「Alienware m15」と同程度の厚さに抑えられている。しかし、こちらは重量がディスプレイの大きさも相まって3kg強と重めになっているので、実際にどのように使用するかを考慮して選択すると良いだろう。

薄型ながら高い冷却性能

xシリーズは、ゲーミングPCの中でも薄型ではあるものの、他社を見回せばより薄いモデルも存在する。しかしそれらは薄さを追求したものであり、ゲーミング性能や冷却機構などによる快適さについてはトレードオフになっている場合が多い。薄さや軽さと性能という、相反する要素を両立することは不可能に近い。

その点は、Alienwareが特に重視している冷却性能は健在だ。ゲーミングPCにとって、構成パーツ以外で最も重要なのは冷却性能といっても過言ではない。ユーザーがストレスを感じることなくゲームに没頭するためには、CPUやグラフィックカードが高温に達する前に熱を制御し、サーマルスロットリングを未然に防ぐことが肝要だからだ。

Alienwareの製品は、冷却機構に独自の高性能熱伝導素材「エレメント31」、AIによって制御されるクワッド ファン テクノロジーを採用し、パワーステータスを「Alienware Command Center」でユーザーが用途に合わせてカスタマイズできるように設計されている。

この最先端の冷却テクノロジーは、「Alienware Cryo-tech™」と名付けられており、これにより長時間にわたって高負荷をかけ続けてもパフォーマンスを維持し続けられる。

ここまでの冷却性能は、他のBTOゲーミングノートではなかなか実現できるものではなく、AlienwareがプレミアムなゲーミングPCである所以でもある。

Alienware x15 R2&x17 R2 各モデルの構成

Alienware x15 R2構成（2022年2月現在）
※太字は標準構成

Alienware x17 R2構成（2022年2月現在）
※太字は標準構成

オプションでは、CPUやビデオカード、メモリー、ストレージに加え、ディスプレイを変更することができる。

とにかく最高のゲーミング体験を追求したいというユーザーは、高性能なビデオカード、高速なディスプレイを選択すると良いだろう。

また、ストレージは最小構成では512GBとなっているので、複数のタイトルをプレイしたいユーザーやクリエイターはオプションを利用したい。

なお、15インチのモデルはオンボードメモリーのため購入後のメモリー増設ができない。用途に合わせてじっくり考えて選択することをおすすめする。

Alienwareらしい抜群のデザイン性

今回で2世代目のxシリーズとなる「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」だが、Alienwareらしいデザインはそのまま踏襲している。

ゲーミングPCというと、ライティングやデザインにも凝った製品が続々と登場しているが、その先駆けとなった存在がAlienwareだ。一目見ればAlienwareだとわかるアイコニックなデザインは、ゲームへの没入感をより深いものへと押し上げている。

また、ゲーミングノートを選択するユーザーには、自宅で使用の際にゲーミングデバイスを使用する者もいるだろう。Alienwareであれば、キーボードやマウス、ヘッドセットといった周辺デバイスもAlienware製品で統一することができる。

自分のゲーム環境を彩るデバイスを統一感のあるデザインで揃えることができるのもAlienwareの魅力のひとつだ。

Alienware Command Centerによる最適な環境構築

煩わしいオーバークロックやライティングFXなどの設定が容易に行えるのもAlienwareならではの魅力だ。

通常のBTOゲーミングPCなどでは、BIOS画面を開いて各種設定を行わなければならない。

しかし、Alienware Command Centerを利用すれば、自動チューニングされたゲームプロファイルやさまざまなゲームに合わせた独自の電源管理モードなど、各種設定に直感的にアクセスし、オーバークロックオプションも含めて管理することが可能となっている。

ユーザーのニーズに応える環境設定をストレスなく行えるのは、ゲーマーにとってもクリエイターにとっても大きな利点だろう。

「Alienware x15 R2」「Alienware x17 R2」はどんな人におすすめ？

今回Alienwareのラインナップに加わった「Alienware x15 R2」と「Alienware x17 R2」は、モバイル性に優れたゲーミングノートPCを選択したいユーザーで、現行において最もハイパワーなマシンを求める人におすすめだ。

グラフィック負荷の重くないゲームプレイが中心のユーザーであれば、メモリー16GB、RTX 3060の最小構成で十分だが、マルチタスクでの運用やさらなるゲーミング性能を追求したいユーザーにはメモリーやGPUのカスタマイズが選択肢となる。

現状、ゲームプレイにおいて第12世代のCore i7がボトルネックになるシーンはほとんどないが、より早いレンダリングが求められるクリエイターはCPUをカスタマイズしても良いだろう。

なお、記事執筆時点の2022年2月において、第12世代インテルチップに特有のハイブリッドアーキテクチャに対する最適化がされていない一部のゲームタイトルでは、ゲームが正常に動作しないといった報告が散見される。

今後修正パッチなどがリリースされ、CPU性能通りのパフォーマンスを発揮できるようになるだろうが、購入直後の安定性やコスパの良いゲーミングノートを求めているユーザーにとっては、価格が下がった他のラインナップも有力な選択肢となり得るだろう。

Alienware x15 R2
Alienware x17 R2