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ShiN選手のプロリーグ注目試合解説 <EU・US・Brasileirão Day1〜3>【FAV Gaming・ShiN選手のR6S戦術論】

皆さん、お久しぶりです。また、初めまして。PC版『レインボーシックス シージ(Rainbow Six Siege)』(以下『R6S』)のチーム、FAV gaming(ファブゲーミング)でリーダーを務めているShiN(シン)です。

今回からは、私が以前配信で行っていたプロリーグの解説を定期連載として始めさせていただけるとのことで、執筆していきます。毎日どこかの地域で試合が行われていて豪華な反面、多すぎて全部は見れないといった方におすすめの試合をいくつかご紹介し、試合を見る前のポイント、試合中のポイントを解説していこうと思います。

今回は、APAC Northを除く各メジャー地域のEU(欧州)、US(米国)、Brasileirão(ブラジル)です。Day10まで行われるプロリーグのうち、第1クォーターであるDay1〜3についてピックアップして解説します。

序盤戦で各地域のメタ傾向・スタートダッシュに成功する戦術などをいち早くつかんで、今シーズンを楽しみましょう!

EU League Day1

EU Leagueは、下記10チームによる総当たり戦が行われます。EU地域は、最先端の戦術と変化を好んでおり、前シーズンとの違いが一番見ていて面白い地域です。

直近の「Six August 2020 Major」ではG2 Esports R6(以下、G2)の快進撃で復活かと思わせましたが、決勝ではBDS Esportsに逆転負けを喫しました。シーズンの順位と実力を一番読みにくいのもEU地域の特徴で、魔の地域とも呼ばれています。

シーズンでは圧倒的な強さを誇るRogueもMajorの試合では当たらず。そして移籍も頻繁に行われているので、情勢・勢力図が変わりやすい地域でもあります。


Day10まで行われるリーグの開幕戦となったDay1。注目はG2 vs Team Secret(以下、Secret)の一戦。


Secretは前回最下位(10位)の雪辱を果たすべく、オフシーズンで2名のロスター変更を行いました。大黒柱のKS選手とサポーターのExp0選手を外し、2度の世界大会優勝経験のあるSHA77E選手、そしてIn-Game-Leader(以下、IGL)として評判の高いpacbull選手をロスターに入れました。前シーズンプレイヤー総合成績3位、エントリー1位のPrano選手を中心に、チームとしてまとまりを強化した変更に見えます。



一方で、G2は「Six August 2020 Major」では決勝まで進めるものの、BDS EsportsにBO5で2-0からの3連敗で逆転負け。かつて2018年の「Six Invitational」でG2の前身であるPENTA SportsがEvil Geniusesに演じた逆転劇と同じ展開になりました。

雪辱を誓うものの、ロスター変更はなし。Pengu選手を中心としたEU All Starsと呼ばれるロスターで今季も開幕しました。

下馬評では、G2の圧倒的な勝利予想でした。プレイングマップとなったのはカフェ・ドストエフスキー。Secretがこのマップをプレイした記憶はあまりありませんが、G2の苦手マップの1つです(他はテーマパーク、クラブハウス)。

Secret防衛、G2攻撃でのスタートとなりました。カフェというマップ自体、どちらかといえば防衛側有利なマップなのですが、Secret側は平面ではなく上下立体的にG2を苦しめます。

第3ラウンド。読書室-暖炉の防衛ですが、画像のようにSecretは引き目のラインで防衛します。クラッシュを入れることによって天窓、冷蔵庫あたりは「目」で確認します。G2側はショップ、ラウンジあたりから進行しますが、正面にクラッシュがいて、さらに下からのC4も警戒する必要があるので、なかなか進行できません。


対応のG2の力で3Fを確保することに成功したものの、その時には残り時間が30秒ほど。3Fを守っていた2人も時間を決めて守っていたようで、2Fまで下がってこの布陣。5vs5の状況で正面にはクラッシュ。これではG2もどうしようもありません。ラウンドを落とします。


このまま第4ラウンドも落としますが、G2はUUNO選手の機転によって第5ラウンドを奪取します。

画像のように、ここまでピックしていなかったカピタオによってブルーラインをガスボルトのガジェットによって排除。ここはさすがUUNO選手、と思わせた機転でした。


しかし、第6ラウンドで再び読書室-暖炉をピックしたSecretの立体・引き戦術によってふたたびラウンドを落としスコアは1-5。攻守交替してからもSecretの勢いは止まらず。


pacbull選手が情報を「目」で取りたいために、モンターニュをピックしEast攻め。対応策としては白階段上がりをショットガンで止める等がありますが、さすがにモンターニュに上がられては万事休す。ラウンドを落とします。

この後もエントリーのPrano選手とラインを上げてくるpacbull選手を止めることができずにスコア2-7でG2の敗北。Secretに変化が見られた反面、G2には前目で当たってから引いていく時間を使われる戦術をされた際、また盾オペレーターに対する解決策といった面で課題が見られました。

US Division Day1-Day2

US Divisionでは、下記8チームによるダブルエリミネーション形式のトーナメントがDay1-Day10の10日間行われます。BO3形式でUSチームの特徴として、攻撃はガジェットを溶かし、補強壁を割って堅実に攻めていくスタンダードな攻め方です。防衛は固く守り、ラインを維持することに重点を置いているように見えます。

異彩を放っているのがOxygen Esports(以下、Oxgen)とeUnitedで、どちらもEU気質のある戦術・戦法を取ってきます。前シーズンでは、DarkZero Esports(以下、DarkZero)がシーズン優勝は叶わなかったものの、「Six August 2020 Major」では圧倒的強さを見せて優勝と、完成度の高さをみせてくれました。

一方で、Team SoloMid(以下、TSM)等、世界大会経験が豊富なチームもあり、ハイレベルな地域となっています。



おすすめしたいのは、開幕3戦目に登場したSpacestation Gaming(以下、SSG) vs eUnitedの一戦です。


SSGは「Six Invitational 2020」で初優勝を果たし、一躍注目チームになりましたが、「Six August 2020 Major」で奇しくもDarkZeroの前に準優勝で終わりました。雪辱を誓い、今シーズンの優勝を目指します。

一方で、eUnitedは元Secret IGLのmeepeY氏をコーチに据え、元RogueよりAlphama選手を獲得して2シーズン目のシーズンになります。

USチームは基本的に堅実でセットvsセットの戦いになりますが、eUnitedとOxgenはどちらかといえばEU寄りのチームだと思います。

第1マップは領事館。eUnitedはSSGの想定している防衛ラインよりも1つ上げた防衛ラインを構築し、オープニングキルを次々と獲得し、数的優位を築いた展開に。結果防衛を3-3と折り返します。


一方、SSG側の防衛はNAリーグらしい固く守った防衛を展開。


ガジェットをしっかり溶かして攻め入るといった戦法ではないeUnitedは、盾や上下のC4の対応に苦戦し、善戦はするものの5-7でSSGの勝利。

最終ラウンドでは4v2の数的優位を持っていたが、SSGのキャプテンシーを発揮するCanadian選手はエコーの妖怪ドローンを駆使し、1v4クラッチ(1人はダウン状態)。


続く第2マップはSSGが大得意とするクラブハウス。大方の予想がSSGの圧勝だと思われていましたが、eUnitedは食い下がります。


画像の緑丸部分でインパクトグレネードを使用して割り阻害をし、かつ奥にはクラッシュが控えていてUS特有の補強壁を割って、進行してセットに持っていくという戦術のカウンターを取り続けます。


セットに持ち込んだラウンドでは、SSGらしさ全開でラウンドを取得しましたが、前半は2-4とeUnitedリードで折り返します。


攻撃では、ハードブリーチングを担当するAlphama選手の3キルもあり、eUnitedが5-4とリードします。お互いに譲らずスコア6-6になった延長戦最終ラウンドではSSG Thinkingnade選手の図太さによりSSGがラウンドを取得し、8-7でSSGの勝利となりました。


画像では、改装の補強が割れてミュートの位置はテルミットが踏み込めば丸見えですが、あえてYeti選手の突入を待機。結果論だけ言えば、10秒という残り時間で補強壁も割っているところなので、一瞬ピーク(覗き込む)だけでミュートの斜線は切れたのですが、冷静に対処したThinkingnade選手を褒めるべきでしょう。

Brasileirão Day1-Day3

ブラジルでは、2戦引き分けあり形式のリーグがDay1-Day15の15日間行われています。過去行われていた「BR6」という国内リーグが元となっています。

ブラジルでは、主に撃ち合いの強さをフルに生かすために、USチックなセットに独自のタイミングなどを織り交ぜた戦術を取っています。撃ち合いの強さだけで見れば世界でもトップの地域で、どう生かしているのかを見るところが面白いです。

また、防衛では独自戦術を扱うことも多く、「そんな観点があったのか!」とうならせてくれます。直近の試合ではNinjas in Pyjamas(以下、NiP)の圧倒的な強さが目立ちますが、古参のFaZe Clanを筆頭に、Team Liquid(以下、Liquid)、MIBRとどこが優勝してもおかしくない陣容です。



注目の一戦はDay3に行われたLiquid vs NiP。



NiPは「Six August 2020 Major」で圧倒的な強さで優勝しています(決勝戦で3-0)。「Six Invitational 2020」でも準優勝を果たし、今世界で最も勢いのあるチームの1つです。

一方でLiquidはブラジル勢初の世界大会優勝を経験しており、世界的にも有名なNesk選手、Paluh選手の2枚エースを筆頭にガンスキルの高いチームです。下馬評ではNiPの勝利予想が多かったようですが、この2チームは最後まで目の離せない展開となりました。

第1マップはオレゴン。お互いにクラッシュを積極的にピックし、堅牢な防衛を展開します。特に防衛ポイント地下では下の画像のようにクラッシュで目視・一方向を制限し、多方向から展開型シールドを利用したカバーを行うことで攻撃側の進行スピードを遅らせています。

NiP、Liquid共にこの防衛を展開し、お互いに地下は取れません。


しかし、地下以外のポイントに関しては攻撃側が複数射線を展開し、次々と奪取していき、最終的には引き分け。

第2マップの領事館では、NiPはワマイ、イェーガーのダブルピックによって投げ物を通さない防衛を展開します。Liquidはフラッシュバンを持っているアッシュ、ノマドに加え、ゾフィアを入れることでワマイ、イェーガーのガジェットを無力化し、グレネードで排除していくシンプルな戦術を採用しています。


攻撃有利マップの特性を生かしてLiquidは終始優位に試合を進めます。対するNiPも対応で防衛取得を増やしますが、Liquidの攻撃最終ラウンドではLiquidのエース、Nesk選手の怒涛のキルによって2v4状況も覆します。


スコア4-2で折り返したLiquidでしたが、ここからNiPの怒涛の攻撃が始まります。

基本の構成はLiquidと同じで、ガジェットを着実に溶かして攻め入るのでLiquidも対応ができず。唯一取得したラウンドは時間切れによる獲得でしたが、Liquidの1v2と状況は不利でした。最終ラウンドでは地下防衛でガレージ正面の設置を許し万事休す。

第2マップを7-5と逆転し、NiPが勝利しました。


最後に

各地域ごとの特色が出ていて面白いDay1〜Day3でしたが、皆さんはいかがでしたでしょうか。

私の解説はかいつまんで説明させていただいているので、注目ポイントとして記事を一読された後に試合をご覧になると理解が深まり、観戦者としてより面白く見れるかと思います。

次週以降、現在発表されている中で注目カードは「Six August 2020 Major」決勝でも見られたAPAC North地域のCloud9 vs Giants Gaming。次回はAPAC地域もご紹介できればと思います。



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【連載】FAV gaming・ShiN選手による『レインボーシックス シージ』戦術論

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