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【びっくりソフトウェア 前編】大手の人気シューティングゲームシリーズが途絶えてしまったから、自分で作るしかない!【インディーゲームインタビュー】
インディーゲーム界隈は、Steamのほか家庭用ゲーム機向けプラットフォームにも浸透し、ゲーム業界のなかで存在感が増しています。タイトル数は多く、勢いも感じますが、開発者さんの思いやこだわりが詰まったタイトル一つ一つにスポットが当たりづらいのはもどかしく感じます。開発者自身に注目されることも稀ですし。
そこで本連載では、「どんな人がどんなインディーゲームを作っているのか」に注目したインタビューを実施します(全5回を予定。その後続くかどうかは反響を見てから決めるそうです。おそろしいですね)。なお、本連載では「インディー」の厳密な定義づけはしていません。
連載第1回目は、同人サークル「びっくりソフトウェア」の代表「ねこび」さんを取り上げます。フリーゲームの横スクロールのシューティングゲーム(STG)を手がけてきたびっくりソフトウェアは、2017年にSteamで縦スクロールSTG『Graze Counter(グレイズカウンター)』をリリースし、3万本のヒットを記録しています。前編となる本記事では、びっくりソフトウェアや、ねこびさんについて話していただきました。
▲びっくりソフトウェアのロゴ(左側)と、マスコットキャラの「銀寄 卯月(ぎんよせ うづき)」(右側)
びっくりソフトウェアのメンバーは以下の通り(名前・担当・好きなゲームの順に記載)。
ねこび:代表・メイン開発/『アーマード・コア』シリーズ
もっちもっちもっち:作曲/『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』
羽鴨 慧(はがも けい):シナリオ/『League of Legends』
ポテトM:イラスト(サポート)/『ブレイブルー』シリーズ
※6月上旬、ビデオ会議ツールを用いて取材。
ねこび:2000年代前半くらいだったかな? そのあたりにWebブラウザ上で遊べるフリーゲームやFlash動画が流行りました。完成度の高い個人制作コンテンツがいくつも公開され、感銘を受けたのを覚えています。私はそのなかでも1998年に公開された『スーパー正男』が好きでした。このゲームに搭載された、ステージを自作できる機能にハマったのがはじまりかなぁ。
あとは父親が「風雅システム」という会社で、シャープのPC「X1」シリーズ向けの縦スクロールSTG『Revolty II(リボルティー2)』のメインプログラマーとして働いていました。どこかでその影響も受けていたのかもしれません。
──デビュー作の『REVOLGEAR II(リボルギア2)』(2012年)から『KIRISAME BLADE(キリサメブレード)』(2014年)は、ねこびさん一人で開発していたと伺いました。
ねこび:そうですね。当時は高校3年生で大学受験が無事終わり、少々暇になったころです。この空白期間を使って、中学で挫折していたSTG開発に再び取り組んでみました。サウンド関連はフリー素材を借りてきて、ほかのグラフィックなどはすべて自分で作っていました。
▲4種類の自機から好きなものを選び、全5面+αのステージに挑む横スクロールSTG『REVOLGEAR II』。リプレイ機能も搭載している
──その後は、びっくりソフトウェアのメンバーが揃った状態で活動していたのでしょうか。
ねこび:加入タイミングはメンバーごとに違います。もっちもっちもっちは『KIRISAME BLADE 2(キリサメブレード2)』(2015年)から、羽鴨 慧は『Graze Counter』(2017年)から、ポテトMは『Revolgear!(リボルギア!)』(2018年。プロジェクト凍結中)で参加してもらっています。
──メンバーの皆さんと知り合ったきっかけは?
ねこび:大学で同じ部に入っていた縁です。ポテトMは後輩で、もっちもっちもっちと羽鴨 慧は同期でした。情報処理の名の付く部ですが、実態としてはPCを使っておのおの好きに活動していたっていう、よくある部ですね(笑)。あ、でも4人とも真面目に取り組んでましたよ!
──個人開発で何作もリリースされたあと、チームとして動こうと思った理由を教えてください。
ねこび:自作ゲームコンテストの「ニコニコ自作ゲームフェス5」に向けて『KIRISAME BLADE 2』を制作しようと思ったのがきっかけです。クオリティ向上のため、メイン部分の開発に注力したかったのです。やはりSTGといえば魅力的なBGMですが、専用のBGMがないと味気ないことと、私がサウンドに関する知識がまったくなかったこともあり、とくにBGMは悩みの種でした。
ちょうどそのタイミングで合流してくれた、もっちもっちもっちには助けられました。制作中の背景を見せて「これに合う曲がほしい」とか、「この動画で流れている曲っぽいテイストで」とかフィーリングで頼んじゃってますが、もともとSTGに理解があることもあって、最終的に良い曲に仕上げてくれます(笑)。めちゃめちゃ優秀なメンバーですね。
──同じ部活の仲間とはいえ、良い方を誘えましたね。
ねこび:あー、実はメンバーになってくれるまでは、ほとんど話したことがなくて……。部で使っているDropboxのなかに、もっちもっちもっちが置いていた楽曲データを勝手に拝借してゲームを作っていたのがバレまして(苦笑)。そこから「じゃあ曲作ろうか?」と提案・加入してもらったという経緯ですね。
また、羽鴨 慧はゲーム仲間として交流していました。ライター経験があると聞いていたので、『Graze Counter』でシナリオの執筆をお願いしました。その『Graze Counter』を作っているときに入部したのがポテトMです。そのうち絶対ゲームを一緒に作りたいと思えるほどイラストの上達が早く、注目していました。その後は先ほどの話の通り、『Revolgear!』のキャラクターデザイナーとして迎え入れました。
ねこび:テキトーに書いているように見えますが、本当です(笑)。ドット絵の本格派STGが出てこなかったのと、ある大手ゲームメーカーの横スクロールSTGシリーズが途絶えてしまったのがとくに効いています。衝撃を受けた名作『ギコパロ5』を心の糧にしながら、執念で作りました。そのときは自分好みの横スクロールSTGが全然なかったんですが、今は低難度路線で遊びやすい『ネコネイビー』など、いくつもリリースされているのでうれしいですね。
──デビュー作なのにナンバリングされている理由は?
ねこび:よく聞かれる質問なんですが(笑)、はじめは『REVOLGEAR』という名前でタイトルロゴまで作ってみたんですが、物足りなさを感じました。そこでなんとなく「II」を入れてみたらばっちりハマってカッコよかったので、そのままタイトルに付けています。
▲左側が旧ロゴ、右側が正式版のロゴ
また、『REVOLGEAR』のタイトルとロゴは父が関わった『Revolty II』に由来しています。語り継がれるほどに当時のゲーマーに影響を与えた『Revolty II』と、そのクリエイターとして活躍した父に敬意を表して使っています。
──『REVOLGEAR II』から『Graze Counter』まではShootingGameBuilderを使って開発していますが、導入に至った理由を教えてください。
ねこび:当時はお金がない事情もあり、そのとき有料だったUnityもUnreal Engineも選択肢から外れ、Multimedia Fusion 2も高くて手が出ませんでした。無料で役立つ開発ツールを探していたところ、ShootingGameBuilderに行きつきました。
ビジュアルプログラミング言語っぽくスクリプトが組めるハードルの低さや、できることが少ないのでわかりやすい点などが気に入って、ずっと使っていました。変数に名前が付けられないうえに検索機能もないので、変数の管理は自分でやらないといけないのが難点でしたが……(苦笑)。私の場合はメモ帳に記録していく力技でなんとかしていました。
▲ShootingGameBuilderの開発風景
──練習作品である防衛型STGの『LASER MAIDEN(レーザーメイデン)』(2017年)からは、開発ツールをGameMaker Studio 2に変えています。理由はそういった点にあったのでしょうか。
ねこび:そうでもないんですよね。きっかけは、懇意にしてもらっている同人ゲーム専門パブリッシャー「Henteko Doujin」さんからの提案でした。GameMaker Studio 2ならNintendo Switchへ移植しやすくなるかも、という話を聞いてきて、ツールを変えてみないかと勧めてくれたんです。私もNintendo Switchをはじめ、家庭用ゲーム機のプラットフォームへ挑戦したい気持ちもあったので、思い切って移行しました(※)。
いやー、変えてみたはいいものの、ShootingGameBuilderと勝手が違いすぎてまったく何もわかりませんでした(笑)。ですが、1年ほど使い続けてみたら「実はShootingGameBuilderと共通項が多い」とわかってきてからは使えるようになりました。
(※)2018年10月にNintendo Switch対応機能が実装された。
──使い慣れてきたGameMaker Studio 2で制作を進めていた『Revolgear!』ですが、現在はプロジェクトを凍結しています。
ねこび:言葉にするのが難しいんですが、自機の触り心地や演出面がうまく調整できなくて、ゲームとして面白くならなかったんです。本業のストレスも相まって、「これは私の作りたいものじゃない!」とスランプみたいな状態に陥っちゃってました。ポテトMのイラストや、もっちもっちもっちの曲は気に入っていますし、来年にはプロジェクトを復活させたいとは思ってます。
──『REVOLGEAR II』から『KIRISAME BLADE 2』までは横スクロールSTGで、『Graze Counter』では縦スクロールSTGをリリースしています。なぜでしょうか。
ねこび:そう言われるとなんでだっけな……(苦笑)。えーと、最初は横スクロールSTGではなく縦スクロールSTGを作ろうとしていたんでした! フリーの縦スクロールSTG『STORM CALIBER』や、アーケードの『怒首領蜂II』で搭載されていた自機に敵の弾をかすらせるシステムを遊びやすく発展させたいと思ってたんです。ですが、ShootingGameBuilderで実装しようとするとややこしいいことになるとわかって、断念。比較的プログラムが簡単な横スクロールSTGから始めました。で、『REVOLGEAR II』から『KIRISAME BLADE 2』の経験を経た今なら作れるのでは? と思ってやってみたらなんか『Graze Counter』が作れてました(笑)。
──『Graze Counter』は念願のシステムを実装できたSTGなんですね。
ねこび:そうですね。システムとは別に、実験の意味合いも持たせた作品でもあります。私は、SFの世界を舞台にした2DSTGにかわいらしいキャラが登場することに抵抗を持っていました。ですが東方Projectを見て、そういったことをやってみたくなって作ってみました。結果としては、キャラのひねった設定もあってか支持され、ファンアートもいただけるようになりました。キャラ作りは想定以上にうまくいったのではないかと思っています。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
後編では、有料販売に切り替えた経緯や、最新作についてじっくり話を伺っています。
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そこで本連載では、「どんな人がどんなインディーゲームを作っているのか」に注目したインタビューを実施します(全5回を予定。その後続くかどうかは反響を見てから決めるそうです。おそろしいですね)。なお、本連載では「インディー」の厳密な定義づけはしていません。
連載第1回目は、同人サークル「びっくりソフトウェア」の代表「ねこび」さんを取り上げます。フリーゲームの横スクロールのシューティングゲーム(STG)を手がけてきたびっくりソフトウェアは、2017年にSteamで縦スクロールSTG『Graze Counter(グレイズカウンター)』をリリースし、3万本のヒットを記録しています。前編となる本記事では、びっくりソフトウェアや、ねこびさんについて話していただきました。
▲びっくりソフトウェアのロゴ(左側)と、マスコットキャラの「銀寄 卯月(ぎんよせ うづき)」(右側)
びっくりソフトウェアのメンバーは以下の通り(名前・担当・好きなゲームの順に記載)。
ねこび:代表・メイン開発/『アーマード・コア』シリーズ
もっちもっちもっち:作曲/『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』
羽鴨 慧(はがも けい):シナリオ/『League of Legends』
ポテトM:イラスト(サポート)/『ブレイブルー』シリーズ
※6月上旬、ビデオ会議ツールを用いて取材。
ゲーム開発の原点は『スーパー正男』
──ねこびさんがゲーム開発に興味を持ったきっかけを教えてください。ねこび:2000年代前半くらいだったかな? そのあたりにWebブラウザ上で遊べるフリーゲームやFlash動画が流行りました。完成度の高い個人制作コンテンツがいくつも公開され、感銘を受けたのを覚えています。私はそのなかでも1998年に公開された『スーパー正男』が好きでした。このゲームに搭載された、ステージを自作できる機能にハマったのがはじまりかなぁ。
あとは父親が「風雅システム」という会社で、シャープのPC「X1」シリーズ向けの縦スクロールSTG『Revolty II(リボルティー2)』のメインプログラマーとして働いていました。どこかでその影響も受けていたのかもしれません。
──デビュー作の『REVOLGEAR II(リボルギア2)』(2012年)から『KIRISAME BLADE(キリサメブレード)』(2014年)は、ねこびさん一人で開発していたと伺いました。
ねこび:そうですね。当時は高校3年生で大学受験が無事終わり、少々暇になったころです。この空白期間を使って、中学で挫折していたSTG開発に再び取り組んでみました。サウンド関連はフリー素材を借りてきて、ほかのグラフィックなどはすべて自分で作っていました。
▲4種類の自機から好きなものを選び、全5面+αのステージに挑む横スクロールSTG『REVOLGEAR II』。リプレイ機能も搭載している
──その後は、びっくりソフトウェアのメンバーが揃った状態で活動していたのでしょうか。
ねこび:加入タイミングはメンバーごとに違います。もっちもっちもっちは『KIRISAME BLADE 2(キリサメブレード2)』(2015年)から、羽鴨 慧は『Graze Counter』(2017年)から、ポテトMは『Revolgear!(リボルギア!)』(2018年。プロジェクト凍結中)で参加してもらっています。
──メンバーの皆さんと知り合ったきっかけは?
ねこび:大学で同じ部に入っていた縁です。ポテトMは後輩で、もっちもっちもっちと羽鴨 慧は同期でした。情報処理の名の付く部ですが、実態としてはPCを使っておのおの好きに活動していたっていう、よくある部ですね(笑)。あ、でも4人とも真面目に取り組んでましたよ!
──個人開発で何作もリリースされたあと、チームとして動こうと思った理由を教えてください。
ねこび:自作ゲームコンテストの「ニコニコ自作ゲームフェス5」に向けて『KIRISAME BLADE 2』を制作しようと思ったのがきっかけです。クオリティ向上のため、メイン部分の開発に注力したかったのです。やはりSTGといえば魅力的なBGMですが、専用のBGMがないと味気ないことと、私がサウンドに関する知識がまったくなかったこともあり、とくにBGMは悩みの種でした。
ちょうどそのタイミングで合流してくれた、もっちもっちもっちには助けられました。制作中の背景を見せて「これに合う曲がほしい」とか、「この動画で流れている曲っぽいテイストで」とかフィーリングで頼んじゃってますが、もともとSTGに理解があることもあって、最終的に良い曲に仕上げてくれます(笑)。めちゃめちゃ優秀なメンバーですね。
▲『KIRISAME BLADE 2』のPV
──同じ部活の仲間とはいえ、良い方を誘えましたね。
ねこび:あー、実はメンバーになってくれるまでは、ほとんど話したことがなくて……。部で使っているDropboxのなかに、もっちもっちもっちが置いていた楽曲データを勝手に拝借してゲームを作っていたのがバレまして(苦笑)。そこから「じゃあ曲作ろうか?」と提案・加入してもらったという経緯ですね。
また、羽鴨 慧はゲーム仲間として交流していました。ライター経験があると聞いていたので、『Graze Counter』でシナリオの執筆をお願いしました。その『Graze Counter』を作っているときに入部したのがポテトMです。そのうち絶対ゲームを一緒に作りたいと思えるほどイラストの上達が早く、注目していました。その後は先ほどの話の通り、『Revolgear!』のキャラクターデザイナーとして迎え入れました。
ないから執念で作った「自分好みの横シュー」
──びっくりソフトウェアのWebサイトに、デビュー作の『REVOLGEAR II』は「自分好みの横スクロールSTGを誰も作ってくれないので仕方なく作ったゲーム」と記載されています。ねこび:テキトーに書いているように見えますが、本当です(笑)。ドット絵の本格派STGが出てこなかったのと、ある大手ゲームメーカーの横スクロールSTGシリーズが途絶えてしまったのがとくに効いています。衝撃を受けた名作『ギコパロ5』を心の糧にしながら、執念で作りました。そのときは自分好みの横スクロールSTGが全然なかったんですが、今は低難度路線で遊びやすい『ネコネイビー』など、いくつもリリースされているのでうれしいですね。
──デビュー作なのにナンバリングされている理由は?
ねこび:よく聞かれる質問なんですが(笑)、はじめは『REVOLGEAR』という名前でタイトルロゴまで作ってみたんですが、物足りなさを感じました。そこでなんとなく「II」を入れてみたらばっちりハマってカッコよかったので、そのままタイトルに付けています。
▲左側が旧ロゴ、右側が正式版のロゴ
また、『REVOLGEAR』のタイトルとロゴは父が関わった『Revolty II』に由来しています。語り継がれるほどに当時のゲーマーに影響を与えた『Revolty II』と、そのクリエイターとして活躍した父に敬意を表して使っています。
──『REVOLGEAR II』から『Graze Counter』まではShootingGameBuilderを使って開発していますが、導入に至った理由を教えてください。
ねこび:当時はお金がない事情もあり、そのとき有料だったUnityもUnreal Engineも選択肢から外れ、Multimedia Fusion 2も高くて手が出ませんでした。無料で役立つ開発ツールを探していたところ、ShootingGameBuilderに行きつきました。
ビジュアルプログラミング言語っぽくスクリプトが組めるハードルの低さや、できることが少ないのでわかりやすい点などが気に入って、ずっと使っていました。変数に名前が付けられないうえに検索機能もないので、変数の管理は自分でやらないといけないのが難点でしたが……(苦笑)。私の場合はメモ帳に記録していく力技でなんとかしていました。
▲ShootingGameBuilderの開発風景
──練習作品である防衛型STGの『LASER MAIDEN(レーザーメイデン)』(2017年)からは、開発ツールをGameMaker Studio 2に変えています。理由はそういった点にあったのでしょうか。
ねこび:そうでもないんですよね。きっかけは、懇意にしてもらっている同人ゲーム専門パブリッシャー「Henteko Doujin」さんからの提案でした。GameMaker Studio 2ならNintendo Switchへ移植しやすくなるかも、という話を聞いてきて、ツールを変えてみないかと勧めてくれたんです。私もNintendo Switchをはじめ、家庭用ゲーム機のプラットフォームへ挑戦したい気持ちもあったので、思い切って移行しました(※)。
いやー、変えてみたはいいものの、ShootingGameBuilderと勝手が違いすぎてまったく何もわかりませんでした(笑)。ですが、1年ほど使い続けてみたら「実はShootingGameBuilderと共通項が多い」とわかってきてからは使えるようになりました。
(※)2018年10月にNintendo Switch対応機能が実装された。
──使い慣れてきたGameMaker Studio 2で制作を進めていた『Revolgear!』ですが、現在はプロジェクトを凍結しています。
ねこび:言葉にするのが難しいんですが、自機の触り心地や演出面がうまく調整できなくて、ゲームとして面白くならなかったんです。本業のストレスも相まって、「これは私の作りたいものじゃない!」とスランプみたいな状態に陥っちゃってました。ポテトMのイラストや、もっちもっちもっちの曲は気に入っていますし、来年にはプロジェクトを復活させたいとは思ってます。
▲『Revolgear!』デモバージョン
──『REVOLGEAR II』から『KIRISAME BLADE 2』までは横スクロールSTGで、『Graze Counter』では縦スクロールSTGをリリースしています。なぜでしょうか。
ねこび:そう言われるとなんでだっけな……(苦笑)。えーと、最初は横スクロールSTGではなく縦スクロールSTGを作ろうとしていたんでした! フリーの縦スクロールSTG『STORM CALIBER』や、アーケードの『怒首領蜂II』で搭載されていた自機に敵の弾をかすらせるシステムを遊びやすく発展させたいと思ってたんです。ですが、ShootingGameBuilderで実装しようとするとややこしいいことになるとわかって、断念。比較的プログラムが簡単な横スクロールSTGから始めました。で、『REVOLGEAR II』から『KIRISAME BLADE 2』の経験を経た今なら作れるのでは? と思ってやってみたらなんか『Graze Counter』が作れてました(笑)。
──『Graze Counter』は念願のシステムを実装できたSTGなんですね。
ねこび:そうですね。システムとは別に、実験の意味合いも持たせた作品でもあります。私は、SFの世界を舞台にした2DSTGにかわいらしいキャラが登場することに抵抗を持っていました。ですが東方Projectを見て、そういったことをやってみたくなって作ってみました。結果としては、キャラのひねった設定もあってか支持され、ファンアートもいただけるようになりました。キャラ作りは想定以上にうまくいったのではないかと思っています。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
後編では、有料販売に切り替えた経緯や、最新作についてじっくり話を伺っています。
©びっくりソフトウェア
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https://bikkurisoftware.com/
fantia「びっくりソフトウェア」
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