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【するめ工房】『AC』ファンが作るハイスピードメカアクション『PROJECT SIX』誕生秘話から設定まで聞いてきた【インディーゲームインタビュー】
目次
「どんな人がどんなインディーゲームを作っているのか」に注目したインタビュー連載企画の7回目は、個人サークル「するめ工房」の「するめまんじゅう」さん。『ARMORED CORE(アーマード・コア)』シリーズをリスペクトしたハイスピードメカアクション『PROJECT SIX』を制作中のするめまんじゅうさん自身の話、そして『PROJECT SIX』について、たっぷり聞いてきました。
▲するめ工房のロゴとマスコットキャラ(どちらも仮のもの)
するめ工房のメンバーは以下の通り(名前・担当・好きなゲームの順に記載)。
するめまんじゅう:メイン開発/『ARMORED CORE3 SILENT LINE』、『ダークソウル』シリーズ、『バトルフィールド』シリーズ
※8月下旬にビデオ会議ツールを用いて取材し、11月初旬に追加で取材を実施。
※『PROJECT SIX』の画面は、すべて開発中のものです。
するめまんじゅう:高校生くらいのときに買った『ARMORED CORE3 SILENT LINE(以下、AC3SL)』です。本当はガンダム系のアクションゲームを買う予定だったのですが、お店では売り切れていました。そこで手に取ったのが中古で300円くらいだった『AC3SL』です。当時はまったく『AC』のことを知らず、メカでカッコ良さそうだし安いからと理由で買いました(笑)。
気軽に手を出してみたら、操作は難しいし敵は強いしでびっくりしましたね(笑)。でもプレイし続けているうちに操作に慣れて面白く感じるようになり、気づいたら1年ほど『AC3SL』で遊んでいました。
──お気に入りの『AC』シリーズタイトルは?
するめまんじゅう:プレイしたなかでは、オンライン要素を含めて遊びごたえがあったのは『ARMORED CORE for Answer』、ストーリーは最初にプレイした印象が強いこともあり、『AC3SL』ですね。
──『AC』シリーズのどのあたりに魅力を感じていますか?
するめまんじゅう:自分好みにカスタマイズした機体で戦えることと、自分の手足のように機体を操作できること。それに、「ロボット物」のゲームは「アニメ」のパートが追加されているものが多いなか、ストイックに「ロボット」しか出てこないスタイルも魅力だと思っています。
──2019年には『AC』シリーズに携わったスタッフが開発した『DAEMON X MACHINA(デモンエクスマキナ)』が発売されました。身体が求めていたものとは違いましたか。
するめまんじゅう:久々にリリースされた、限りなく『AC』ライクなゲームでとっても楽しめました。一方で、プレイしていると「自分が作ったらここはもっとこう作りたい」といった発見がたくさんあるゲームでした。
──2010年には手の込んだ『AC』のアニメを投稿しています。
するめまんじゅう:大学2年生のときに出された課題用に作ったもので、作りこみが甘いなぁと思いつつ投稿してしまいました(苦笑)。題材に『AC』を選んだのは、『AC』アニメ化の話が持ち上がっていたのにポシャって悔しかったからです(笑)。制作の原動力が『AC』なのは、昔から変わってないかもしれません。
するめまんじゅう:僕は映像制作会社でCGデザイナーとして働いていまして、勤め先が「Unreal Engine 4(以下、UE4)」を導入したのがきっかけですね。UE4を使いこなせるように家でも触るようにしていたのですが、もっとやる気を出すためにゲームを作ろうと思い立ってから『PROJECT SIX』の開発に着手しました。
──いきなり『PROJECT SIX』の開発からはじめたのですね。
するめまんじゅう:スタート時は作ったロボットを歩かせられれば喜んでいたくらいで、ここまでリッチなゲームにしようと思っていませんでした。
──『AC』をリスペクトしたゲームを作ろうと思った理由を教えてください。
するめまんじゅう:自習時に何を題材にゲームを作ろうかと悩んだとき、頭をよぎったのが「『AC』の新作がやりたい」だったからです(笑)。ちょうどそのとき、『AC』のサウンドトラックが発売され、その記念番組を見た影響もあるかもしれません。
──今のように本格派のアクションゲームを作っているのはなぜでしょうか。
するめまんじゅう:2年前、会社の先輩が夏コミに出展することになったものの、仕事が忙しくて新しい頒布物が出せない状況だったんです。『PROJECT SIX』を作っている僕に同作を出してみないかと提案され、良い機会だったので引き受けることに。で、人前に出すからには遊べるクオリティに仕上げないと! と思ってからは、本格的なアクションゲームにするべく開発するようになりました。
──UE4の好きなところを教えてください。
するめまんじゅう:ビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」に助けられていて、大変気に入っています。僕はプログラミングの知識も経験もほぼなかったのですが、ブループリントのおかげでなんとかなっています。
──ブループリントを仕事で使う機会はありますか。
するめまんじゅう:まぁまぁありますね。会社の皆は僕がUE4でゲームを作っていることを知っているので、プログラマーの手が回らないときは、ブループリントの仕事が僕に回ってくることがよくあります(苦笑)。
──いつもどんなスケジュールでゲーム開発に取り組んでいるのでしょうか。
するめまんじゅう:職場から帰宅してから平均で2~3時間ほど開発にあてていて、毎日少しだけでも触るようにしています。楽しいことをしているはずなんですが、間を空けてしまうと再スタートまでに時間がかかってしまいがちなので(苦笑)。
個人開発は好きなようにスケジュールを組めるのが良いところですが、僕のやる気や本業の忙しさなどがダイレクトに進捗に影響するとも言えます。
──開発メンバーを増やそうと思ったことはありますか。
するめまんじゅう:チームを作り、メンバーを追加しようと考えたことはないですね。本業はチームでの制作が基本なので、趣味とも言えるこの活動では一人で作りたいと思っています。と言いつつも一から十まで一人で作っているわけではなく、音楽はシイナフユキさんに作ってもらっていて、一部機体のモデリングも別の方に提供していただきました。
──シイナフユキさんとは元々知り合いなのでしょうか。
するめまんじゅう:デジゲー博で『PROJECT SIX』の展示を終えたあと、「ターンシックス(機体名)がカッコよかったからテーマ曲を作ってきた。ぜひ聞いてほしい」と連絡をいただいてからの仲ですね。その曲がめちゃくちゃカッコよくて気に入り、それ以降はシイナさんに曲を依頼しています。
──曲はするめまんじゅうさんからオーダーするのでしょうか。
するめまんじゅう:シイナさんから「こんな曲どうでしょう」と提案がてら曲が送られてくるので、気になる部分があれば修正をお願いするようにしています。お願いした意図を汲み取り、イメージにぴったりな曲に仕上げていただけるので助かっています。最近ではストーリーが固まってきたので、それに合わせた依頼もするようになると思います。
──一部モデリングを担当していただくことになった方への経緯も聞かせてください。
するめまんじゅう:Twitterで「こんな機体を作ったから『PROJECT SIX』で使ってもらえたらうれしいなぁ」といったツイートをぽろっとされていたのを目ざとく見つけまして(笑)、使わせてほしいとお願いしたという流れですね。
──なんだかシイナさんと似たような経緯で面白いですね。それほど『PROJECT SIX』に魅力があるのだと思います。
『PROJECT SIX』はプレイヤースキル重視
──『PROJECT SIX』の紹介をお願いします。
するめまんじゅう:『PROJECT SIX』は「イカルス」という機体を操るハイスピードメカアクションゲームです。武器やパーツを自由に選んでアセンブルを楽しめて、ペイント要素も搭載しています。本作の特徴は挙動に制限を設けておらず、エイムもほぼ手動なので、FPSに近い操作性であること。敵とアツいバトルを楽しめるよう、やりごたえのあるゲームを目指しています。
ロボゲーは難しい印象がありますが、本作ではなるべく操作面のハードルは下げています。『AC』好きに限らず、ロボット・メカが好きな方であれば全員に触ってほしいです。
──プレイヤースキルが求められるゲームになると。たしかに武器のロックオン性能が弱めで狙いづらく、目標の敵を捕捉しながら周囲を回るように動くサテライト移動も自分の手で行わなければいけないので、FPSで遊んでいるような感覚になります。
するめまんじゅう:操作は難しめだと思うので、腕前が上達するにしたがって機体を自在に動かせるようになる喜びを感じてもらえたらうれしいです。
──するめまんじゅうさんの推しポイントを教えてください。
するめまんじゅう:1対1で戦うアリーナモードです。僕が戦ってギリギリ負けるくらいの難易度にしていて、開発している自分がプレイしても毎回アツくなります。本当に敵は強いのですが、倒したときの達成感を味わってもらいたいですね。
──アセンブルに関しては、換装可能なパーツの部位が少ない印象です。本作の開発が進めば要素が増えていくのでしょうか。
するめまんじゅう:現状ではイカルスのパーツや武器を組み換えるモードと、コスト内で指定パーツの性能を向上できるtuneモードが存在します。これからもパーツ自体は増やしていきますが、換装可能なパーツの種類はこのまま進める予定です。
『AC』シリーズってアセンブルが煩雑なので、最初はどこから手を付けていいのかわかりづらく、とっつきづらさを感じるかと思います。そのハードルの高さを取り払って、なるべく直感的に楽しめるようにしています。
──『AC』シリーズファン以外の方でも楽しみやすくなっているのですね。tuneモードを入れた目的を教えてください。
するめまんじゅう:『AC』シリーズに限らない話ではありますが、強さを求めたアセンを組もうとすると、見た目が自分好みにならないゲームはままあります。そうならないよう、見た目も戦法も自分好みにイカルスを組むためにtuneモードを搭載しました。ちなみに、イカルスのフレームなど主要パーツのパラメータは、そこまで差が出ないようなバランスに留めています。
──武器はどれも装弾数が多めなので、残弾数に注意しなくてもいいのも特徴ですね。
するめまんじゅう:目の前の敵を倒すことだけに集中できるゲームにしたいので、装弾数は増やしてリロードはサッと終えるように設定しています。そこそこなリロード時間が発生するのもFPSなどの醍醐味ですが、リロードのことを考えずに済むゲームがあってもいいだろうと思っています。装弾数の多い武器がメインになりますが、高威力だけど装弾数は極端に少ないといった、トリッキーな武器は増やすかもしれません。
▲アルファ版ではライフルやショットガン、ガトリングガン、ミサイル、グレネードキャノンなどの武器が利用可能
──ミッションをクリアすると、イカルスをさまざまな角度から眺められるのも楽しいです。
するめまんじゅう:せっかく自分好みにロボを組んでも、ロボを操作した様子をじっくり眺められるロボゲーが少ない気がしています。本作の勝利後の演出はリプレイではないので、そのもやもやを解消できるわけではありませんが、僕が実現できる近いものとして導入しました。また、フォトモードっぽい要素も入れていけたらとは思っています。
▲ミッションクリア後の演出。カメラワークが頻繁に変わるので、しばらく眺めてしまいがち
──開発に関する印象的なエピソードなどあったら伺いたいです。
するめまんじゅう:手探りでゲームを作っているからか、意図していないバグのようなものを仕様として採用していることです。たとえば勝利後の演出中に武器が手動で撃てるようになるのは意図していなかったのですが、カッコいいのでそのままにしています。
イカルスの旋回性能に関しても、もっと制限をかけているつもりだったのですが、機動性が高いほうが自由に遊べそうに思えてこれもそのままに。このくらい機動性が高いのであれば、エイムアシストなどは弱いほうが面白いだろうと考えて今の仕様になってきました。
──オンライン・オフラインどちらでも構いませんが、対戦要素は入るのでしょうか。
するめまんじゅう:オンラインを想定したゲームではなかったので、オンラインに対応するとなると大きく作り直すことになりそうです。開発の状況としてオンライン・オフラインともに対戦要素は入れられませんが、ミッションモードとアリーナモードをオフラインで存分に楽しめるものにしたいと思っています。ただ、オンライン周りはほとんど調べていないので、意外と実装できそうであれば入れておきます。無理そうであれば、本作リリース後にオンライン対応版を開発できたらいいかな……。
──そういえば、インディーゲームの情報番組「INDIE Live Expo Ⅱ」に出展していましたね。オンラインイベントへの出展は初めてだと思いますが、反響や感想を教えてください。
するめまんじゅう:今年はコミケなどオフラインイベントが中止され、発表の場がありませんでした。オンラインのイベントで合うものがあれば出してみたいなぁと思っていたところに「INDIE Live Expo Ⅱ」の存在を知り、応募しました。配信当日は思わず正座をして見守っていました(笑)。リアルタイムで自分の作ったゲームの感想が届くうえ、ほかの面白そうなインディーゲームが紹介されている様子を見て、とても制作のモチベーションが上がりました。
海外でも同時配信されていた影響からか、放送が終わった後、海外の方からコメントをたくさんもらえたのが驚きでした。
──本作の発売時期はいつごろになりそうでしょうか。
するめまんじゅう:来年(2021年)の年末までに発売できたら……と。本業が忙しくなるとどうしても開発が遅れてしまうので、何とも言えないのですが。長い目で見ていただければ幸いです。
──プラットフォームはもう決まっていますか?
するめまんじゅう:まずはSteamで出したいですね。複数のパブリッシャーさんに声をかけていただいて、その方たちとのお話も聞きつつ、どのパブリッシャーさんにお願いするのかも含めて決めようと思っています。
するめまんじゅう:仮称なのでもともと変えようとは思っていましたが、この名前で浸透してきてしまったので、どうしたものかと悩んでいるところです(苦笑)。メインタイトルは別のものにして、サブタイトルに『PROJECT SIX』を付けるくらいにしようかとは思っていますが……。YouTubeで『PROJECT SIX』と検索すると、シックスパックになるための筋トレ動画ばかりがヒットしてしまうのもマズいなぁと(笑)。
──ストーリーの舞台は「未踏査地区」。これは『AC』シリーズで登場する名称です。『AC』シリーズの設定やストーリーとしてリスペクトしている点などあるのでしょうか?
するめまんじゅう:名称を拝借しているだけで、『AC』シリーズとの関連はありません。舞台は立ち入り禁止の区域という設定で、そういった意味を表す言葉を探していたら、未踏査地区がしっくりきたので使っています。
するめまんじゅう:未踏査地区の調査や、未踏査地区にいる存在との戦いがメインとなるようにしています。本作の開発の動機が軽いので、人同士の殺し合いのような重いテーマを描くのは気乗りせず……。
──(真面目だ……。)機体のイカルスを構成する素材は未踏査地区から持ってきたものをベースとしているので貴重。こうした設定だと、イカルスの数も少ないと思います。イカルスを所有する組織は複数登場するのでしょうか?
するめまんじゅう:基本的に1つだけで、未踏査地区以外でのイカルスの使用も禁じている設定です。
──本作内でのアリーナモードはどういった設定なのか教えてください。
するめまんじゅう:対戦を楽しみたいから入れたモードなので、設定としてはあまり考えていないです(笑)。「シーカー」(パイロット)の技術向上を図る演習のようなものになるとは思います。イカルスのパーツは製造が難しいため、完璧なパーツは少なく、検査落ちしたものが多く存在しています。その検査落ちしたパーツでイカルスを組み上げて戦っている、というような設定が候補の一つです。
また、イカルスがやられると爆発するので、遠隔で操作している設定にする予定です。
──イカルス、派手に壊れますよね。
するめまんじゅう:膝をついて倒れるよりは爆散したほうがカッコよくて気持ちいいですしね。このあたりは『エースコンバット』を参考にしています。
──本作の設定上としては廃れてしまった「第2世代イカルス」のような、人型から離れたフォルムは再現できますか。
するめまんじゅう:6脚パーツなどあると面白いかと思いましたが、本作はずっと空を飛んでいるようになるので、特徴を生かしづらくて二の足を踏んでいる状況ですね……。今はストーリーの展開などを考えていて、それが終わってから改めてどうするか決めたいです。
──自作エンブレムをイカルスに貼り付けられる要素は追加する予定は?
するめまんじゅう:『AC』シリーズのような自由度の高いエンブレムのエディット機能を実装するのがかなり難しそうなので、本作での実現は厳しいですかね……。
──するめまんじゅうさんは、本作の資料集とも言える『ICARUS 世界の巨大機械シリーズ特別号』を販売しています。こういった冊子類はどのくらい作ってきたのでしょうか。
するめまんじゅう:いろいろな雑誌などを買ってきて参考にしながら、コミケに向けて初めて作りました。一人で作ったわけではなく、後半の文面はTwitter上の友人で放送作家もしているコックさんという方に執筆していただきました。
──頭部の目のようなパーツが発光する理由が「レーダーが効かない未踏査地区で僚機を見分けやすくするから」という設定が面白かったです。
するめまんじゅう:本作だけでなくどのロボもよく光るパーツですが、なぜ光るのかを説明しておきたいと思いまして。また、頭部はセンサー類が詰まっていて、カメラはイカルスの至るところに搭載しています。
──するめまんじゅうさんが好きなアセンブルとカラーリングを教えてください。
するめまんじゅう:接近戦が好きなので、高速近距離戦を想定した構成が気に入っています。tuneは軽量化とエネルギー出力を中心に上げて、機動性偏重のチューンを施しています。カラーリングに関しては黒もカッコいいんですが、イカルスに描いた装甲やラインが見えづらくなってしまうので、装甲や表面が見えやすいカラーを選びがちですね(笑)。
▲「完全に制作者目線ですが(笑)機体のラインが見えやすいように色は白系にしています」とのこと
▲右手・GATLING GUN、左手・SHOT GUN、右肩・SMALL MISSILE、左肩・SMALL MISSILE、頭・YFS-28A、胴体・PG-06、腕・YFS-28A、脚・YFS-28Aの構成
するめまんじゅう:自分で作ったキャラを自由に動かせるだけですごく楽しいですね。また、バグが仕様になったり、思いがけない方たちから協力していただいたりと、自分が想定していないことが起こり続けて、思っていたものよりも面白いものに仕上がっていくことも魅力に感じています。
『PROJECT SIX』は現在アルファ版をリリースしていて、その感想をいただけるのもうれしく思い、モチベーションにつながっています。それと、僕じゃマネできないような動きをする方たちが動画をアップしていて、それを拝見するのも楽しみの一つです。たとえばレーザーブレード縛りで難敵を倒す動画を見て、「レーザーブレードを強くしすぎたか?」と思いましたが、とてもあんな動きできませんでした。ああいったニュータイプな方たちの動きは刺激を受けます。
──広報に関して気を付けていることはありますか。
するめまんじゅう:Twitterで動画を出して、進捗を報告するようにしています。動画も見栄えを意識していて、凝ったものほど注目されているように感じます。レイトレーシングを使ったマーケティング用のハイクオリティな動画も1本作っておきたいですね。ゲーム本編の制作を優先して作業しますが、ムービー制作は本業で培ったノウハウがあるので、実現は可能だと思っています。
──『PROJECT SIX』において掲げている目標は?
するめまんじゅう:完成まで持っていくことが最優先の目標です。PlayStation Storeでもリリースしてみたいです。今のところ『AC』シリーズがPlayStation Storeに並んでいないので、(今後『AC』新作がリリースするのかはわかりませんが)闘争を求めているPSユーザーの方に早く届けられたらと思っています。
『PROJECT SIX』アルファ版
https://surumekoubou.booth.pm/items/1175114
『PROJECT SIX』サウンドトラック
https://surumekoubou.booth.pm/items/1768283
『PROJECT SIX』設定資料集
https://surumekoubou.booth.pm/items/1685652
『PROJECT SIX』
ジャンル:ハイスピードメカアクション
発売日:2021年末予定
プラットフォーム:Steam
ゲームモード:ミッションモード、アリーナモード
プレイヤー数:1人
価格:未定
するめまんじゅう Twitter
https://twitter.com/surumemanzyu
するめまんじゅう BOOTH
https://surumekoubou.booth.pm/
▲するめ工房のロゴとマスコットキャラ(どちらも仮のもの)
するめ工房のメンバーは以下の通り(名前・担当・好きなゲームの順に記載)。
するめまんじゅう:メイン開発/『ARMORED CORE3 SILENT LINE』、『ダークソウル』シリーズ、『バトルフィールド』シリーズ
※8月下旬にビデオ会議ツールを用いて取材し、11月初旬に追加で取材を実施。
※『PROJECT SIX』の画面は、すべて開発中のものです。
『ARMORED CORE』と出会ったのはガンダムのおかげ?
──『PROJECT SIX』は『ARMORED CORE(以下、AC)』に影響を受けていると思います。『AC』シリーズはどのタイトルからプレイしはじめたのですか。するめまんじゅう:高校生くらいのときに買った『ARMORED CORE3 SILENT LINE(以下、AC3SL)』です。本当はガンダム系のアクションゲームを買う予定だったのですが、お店では売り切れていました。そこで手に取ったのが中古で300円くらいだった『AC3SL』です。当時はまったく『AC』のことを知らず、メカでカッコ良さそうだし安いからと理由で買いました(笑)。
気軽に手を出してみたら、操作は難しいし敵は強いしでびっくりしましたね(笑)。でもプレイし続けているうちに操作に慣れて面白く感じるようになり、気づいたら1年ほど『AC3SL』で遊んでいました。
──お気に入りの『AC』シリーズタイトルは?
するめまんじゅう:プレイしたなかでは、オンライン要素を含めて遊びごたえがあったのは『ARMORED CORE for Answer』、ストーリーは最初にプレイした印象が強いこともあり、『AC3SL』ですね。
──『AC』シリーズのどのあたりに魅力を感じていますか?
するめまんじゅう:自分好みにカスタマイズした機体で戦えることと、自分の手足のように機体を操作できること。それに、「ロボット物」のゲームは「アニメ」のパートが追加されているものが多いなか、ストイックに「ロボット」しか出てこないスタイルも魅力だと思っています。
──2019年には『AC』シリーズに携わったスタッフが開発した『DAEMON X MACHINA(デモンエクスマキナ)』が発売されました。身体が求めていたものとは違いましたか。
するめまんじゅう:久々にリリースされた、限りなく『AC』ライクなゲームでとっても楽しめました。一方で、プレイしていると「自分が作ったらここはもっとこう作りたい」といった発見がたくさんあるゲームでした。
──2010年には手の込んだ『AC』のアニメを投稿しています。
するめまんじゅう:大学2年生のときに出された課題用に作ったもので、作りこみが甘いなぁと思いつつ投稿してしまいました(苦笑)。題材に『AC』を選んだのは、『AC』アニメ化の話が持ち上がっていたのにポシャって悔しかったからです(笑)。制作の原動力が『AC』なのは、昔から変わってないかもしれません。
▲これまでもイラストは描いていたが、アニメ制作はこのときが初めてだったという
▲大学の卒業制作と就職活動が終わり、一息ついたときに作ったCGアニメ
▲『AC』シリーズのイラストは何枚も描いている
Unreal Engine 4を自習していたら生まれた『PROJECT SIX』
──ゲーム開発に興味を持ったきっかけを教えてください。するめまんじゅう:僕は映像制作会社でCGデザイナーとして働いていまして、勤め先が「Unreal Engine 4(以下、UE4)」を導入したのがきっかけですね。UE4を使いこなせるように家でも触るようにしていたのですが、もっとやる気を出すためにゲームを作ろうと思い立ってから『PROJECT SIX』の開発に着手しました。
──いきなり『PROJECT SIX』の開発からはじめたのですね。
するめまんじゅう:スタート時は作ったロボットを歩かせられれば喜んでいたくらいで、ここまでリッチなゲームにしようと思っていませんでした。
▲UE4勉強中に作ったテスト動画
──『AC』をリスペクトしたゲームを作ろうと思った理由を教えてください。
するめまんじゅう:自習時に何を題材にゲームを作ろうかと悩んだとき、頭をよぎったのが「『AC』の新作がやりたい」だったからです(笑)。ちょうどそのとき、『AC』のサウンドトラックが発売され、その記念番組を見た影響もあるかもしれません。
──今のように本格派のアクションゲームを作っているのはなぜでしょうか。
するめまんじゅう:2年前、会社の先輩が夏コミに出展することになったものの、仕事が忙しくて新しい頒布物が出せない状況だったんです。『PROJECT SIX』を作っている僕に同作を出してみないかと提案され、良い機会だったので引き受けることに。で、人前に出すからには遊べるクオリティに仕上げないと! と思ってからは、本格的なアクションゲームにするべく開発するようになりました。
──UE4の好きなところを教えてください。
するめまんじゅう:ビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」に助けられていて、大変気に入っています。僕はプログラミングの知識も経験もほぼなかったのですが、ブループリントのおかげでなんとかなっています。
▲『PROJECT SIX』の開発画面
──ブループリントを仕事で使う機会はありますか。
するめまんじゅう:まぁまぁありますね。会社の皆は僕がUE4でゲームを作っていることを知っているので、プログラマーの手が回らないときは、ブループリントの仕事が僕に回ってくることがよくあります(苦笑)。
──いつもどんなスケジュールでゲーム開発に取り組んでいるのでしょうか。
するめまんじゅう:職場から帰宅してから平均で2~3時間ほど開発にあてていて、毎日少しだけでも触るようにしています。楽しいことをしているはずなんですが、間を空けてしまうと再スタートまでに時間がかかってしまいがちなので(苦笑)。
個人開発は好きなようにスケジュールを組めるのが良いところですが、僕のやる気や本業の忙しさなどがダイレクトに進捗に影響するとも言えます。
──開発メンバーを増やそうと思ったことはありますか。
するめまんじゅう:チームを作り、メンバーを追加しようと考えたことはないですね。本業はチームでの制作が基本なので、趣味とも言えるこの活動では一人で作りたいと思っています。と言いつつも一から十まで一人で作っているわけではなく、音楽はシイナフユキさんに作ってもらっていて、一部機体のモデリングも別の方に提供していただきました。
──シイナフユキさんとは元々知り合いなのでしょうか。
するめまんじゅう:デジゲー博で『PROJECT SIX』の展示を終えたあと、「ターンシックス(機体名)がカッコよかったからテーマ曲を作ってきた。ぜひ聞いてほしい」と連絡をいただいてからの仲ですね。その曲がめちゃくちゃカッコよくて気に入り、それ以降はシイナさんに曲を依頼しています。
▲サウンドトラックのサンプルムービー
──曲はするめまんじゅうさんからオーダーするのでしょうか。
するめまんじゅう:シイナさんから「こんな曲どうでしょう」と提案がてら曲が送られてくるので、気になる部分があれば修正をお願いするようにしています。お願いした意図を汲み取り、イメージにぴったりな曲に仕上げていただけるので助かっています。最近ではストーリーが固まってきたので、それに合わせた依頼もするようになると思います。
──一部モデリングを担当していただくことになった方への経緯も聞かせてください。
するめまんじゅう:Twitterで「こんな機体を作ったから『PROJECT SIX』で使ってもらえたらうれしいなぁ」といったツイートをぽろっとされていたのを目ざとく見つけまして(笑)、使わせてほしいとお願いしたという流れですね。
▲提供してもらったモデルのスクリーンショット
──なんだかシイナさんと似たような経緯で面白いですね。それほど『PROJECT SIX』に魅力があるのだと思います。
『PROJECT SIX』はプレイヤースキル重視
強アセンが存在しないバランスを目指す
──『PROJECT SIX』の紹介をお願いします。するめまんじゅう:『PROJECT SIX』は「イカルス」という機体を操るハイスピードメカアクションゲームです。武器やパーツを自由に選んでアセンブルを楽しめて、ペイント要素も搭載しています。本作の特徴は挙動に制限を設けておらず、エイムもほぼ手動なので、FPSに近い操作性であること。敵とアツいバトルを楽しめるよう、やりごたえのあるゲームを目指しています。
ロボゲーは難しい印象がありますが、本作ではなるべく操作面のハードルは下げています。『AC』好きに限らず、ロボット・メカが好きな方であれば全員に触ってほしいです。
▲BOOTHでアルファ版の『PROJECT SIX』を販売している
──プレイヤースキルが求められるゲームになると。たしかに武器のロックオン性能が弱めで狙いづらく、目標の敵を捕捉しながら周囲を回るように動くサテライト移動も自分の手で行わなければいけないので、FPSで遊んでいるような感覚になります。
するめまんじゅう:操作は難しめだと思うので、腕前が上達するにしたがって機体を自在に動かせるようになる喜びを感じてもらえたらうれしいです。
▲画面中央の小さなサークルに敵を捉えると、少しだけ敵を追尾する
──するめまんじゅうさんの推しポイントを教えてください。
するめまんじゅう:1対1で戦うアリーナモードです。僕が戦ってギリギリ負けるくらいの難易度にしていて、開発している自分がプレイしても毎回アツくなります。本当に敵は強いのですが、倒したときの達成感を味わってもらいたいですね。
▲アリーナモードでは手強いシーカー(パイロット)と1対1で戦える
──アセンブルに関しては、換装可能なパーツの部位が少ない印象です。本作の開発が進めば要素が増えていくのでしょうか。
するめまんじゅう:現状ではイカルスのパーツや武器を組み換えるモードと、コスト内で指定パーツの性能を向上できるtuneモードが存在します。これからもパーツ自体は増やしていきますが、換装可能なパーツの種類はこのまま進める予定です。
『AC』シリーズってアセンブルが煩雑なので、最初はどこから手を付けていいのかわかりづらく、とっつきづらさを感じるかと思います。そのハードルの高さを取り払って、なるべく直感的に楽しめるようにしています。
▲換装できるパーツは頭部、胴体、腕、足。左右の手に持つ武器、左右の肩に載せる武器もそれぞれ選択できる
──『AC』シリーズファン以外の方でも楽しみやすくなっているのですね。tuneモードを入れた目的を教えてください。
するめまんじゅう:『AC』シリーズに限らない話ではありますが、強さを求めたアセンを組もうとすると、見た目が自分好みにならないゲームはままあります。そうならないよう、見た目も戦法も自分好みにイカルスを組むためにtuneモードを搭載しました。ちなみに、イカルスのフレームなど主要パーツのパラメータは、そこまで差が出ないようなバランスに留めています。
▲tuneモードでは装甲やブースター、武器などの性能を向上できる
──武器はどれも装弾数が多めなので、残弾数に注意しなくてもいいのも特徴ですね。
するめまんじゅう:目の前の敵を倒すことだけに集中できるゲームにしたいので、装弾数は増やしてリロードはサッと終えるように設定しています。そこそこなリロード時間が発生するのもFPSなどの醍醐味ですが、リロードのことを考えずに済むゲームがあってもいいだろうと思っています。装弾数の多い武器がメインになりますが、高威力だけど装弾数は極端に少ないといった、トリッキーな武器は増やすかもしれません。
▲アルファ版ではライフルやショットガン、ガトリングガン、ミサイル、グレネードキャノンなどの武器が利用可能
──ミッションをクリアすると、イカルスをさまざまな角度から眺められるのも楽しいです。
するめまんじゅう:せっかく自分好みにロボを組んでも、ロボを操作した様子をじっくり眺められるロボゲーが少ない気がしています。本作の勝利後の演出はリプレイではないので、そのもやもやを解消できるわけではありませんが、僕が実現できる近いものとして導入しました。また、フォトモードっぽい要素も入れていけたらとは思っています。
▲ミッションクリア後の演出。カメラワークが頻繁に変わるので、しばらく眺めてしまいがち
──開発に関する印象的なエピソードなどあったら伺いたいです。
するめまんじゅう:手探りでゲームを作っているからか、意図していないバグのようなものを仕様として採用していることです。たとえば勝利後の演出中に武器が手動で撃てるようになるのは意図していなかったのですが、カッコいいのでそのままにしています。
イカルスの旋回性能に関しても、もっと制限をかけているつもりだったのですが、機動性が高いほうが自由に遊べそうに思えてこれもそのままに。このくらい機動性が高いのであれば、エイムアシストなどは弱いほうが面白いだろうと考えて今の仕様になってきました。
──オンライン・オフラインどちらでも構いませんが、対戦要素は入るのでしょうか。
するめまんじゅう:オンラインを想定したゲームではなかったので、オンラインに対応するとなると大きく作り直すことになりそうです。開発の状況としてオンライン・オフラインともに対戦要素は入れられませんが、ミッションモードとアリーナモードをオフラインで存分に楽しめるものにしたいと思っています。ただ、オンライン周りはほとんど調べていないので、意外と実装できそうであれば入れておきます。無理そうであれば、本作リリース後にオンライン対応版を開発できたらいいかな……。
──そういえば、インディーゲームの情報番組「INDIE Live Expo Ⅱ」に出展していましたね。オンラインイベントへの出展は初めてだと思いますが、反響や感想を教えてください。
するめまんじゅう:今年はコミケなどオフラインイベントが中止され、発表の場がありませんでした。オンラインのイベントで合うものがあれば出してみたいなぁと思っていたところに「INDIE Live Expo Ⅱ」の存在を知り、応募しました。配信当日は思わず正座をして見守っていました(笑)。リアルタイムで自分の作ったゲームの感想が届くうえ、ほかの面白そうなインディーゲームが紹介されている様子を見て、とても制作のモチベーションが上がりました。
海外でも同時配信されていた影響からか、放送が終わった後、海外の方からコメントをたくさんもらえたのが驚きでした。
▲INDIE Live Expo Ⅱで公開した動画
──本作の発売時期はいつごろになりそうでしょうか。
するめまんじゅう:来年(2021年)の年末までに発売できたら……と。本業が忙しくなるとどうしても開発が遅れてしまうので、何とも言えないのですが。長い目で見ていただければ幸いです。
──プラットフォームはもう決まっていますか?
するめまんじゅう:まずはSteamで出したいですね。複数のパブリッシャーさんに声をかけていただいて、その方たちとのお話も聞きつつ、どのパブリッシャーさんにお願いするのかも含めて決めようと思っています。
『PROJECT SIX』の設定についても聞いてみた
──もし開発中にAC6が発売されたら『PROJECT SIX』というタイトル名は変更しますか。するめまんじゅう:仮称なのでもともと変えようとは思っていましたが、この名前で浸透してきてしまったので、どうしたものかと悩んでいるところです(苦笑)。メインタイトルは別のものにして、サブタイトルに『PROJECT SIX』を付けるくらいにしようかとは思っていますが……。YouTubeで『PROJECT SIX』と検索すると、シックスパックになるための筋トレ動画ばかりがヒットしてしまうのもマズいなぁと(笑)。
──ストーリーの舞台は「未踏査地区」。これは『AC』シリーズで登場する名称です。『AC』シリーズの設定やストーリーとしてリスペクトしている点などあるのでしょうか?
するめまんじゅう:名称を拝借しているだけで、『AC』シリーズとの関連はありません。舞台は立ち入り禁止の区域という設定で、そういった意味を表す言葉を探していたら、未踏査地区がしっくりきたので使っています。
▲未踏査地区で登場する敵性勢力
──『AC』シリーズといえば企業・組織間での争いがよく描かれていますが、本作でもそういったストーリーになりますか。するめまんじゅう:未踏査地区の調査や、未踏査地区にいる存在との戦いがメインとなるようにしています。本作の開発の動機が軽いので、人同士の殺し合いのような重いテーマを描くのは気乗りせず……。
──(真面目だ……。)機体のイカルスを構成する素材は未踏査地区から持ってきたものをベースとしているので貴重。こうした設定だと、イカルスの数も少ないと思います。イカルスを所有する組織は複数登場するのでしょうか?
するめまんじゅう:基本的に1つだけで、未踏査地区以外でのイカルスの使用も禁じている設定です。
──本作内でのアリーナモードはどういった設定なのか教えてください。
するめまんじゅう:対戦を楽しみたいから入れたモードなので、設定としてはあまり考えていないです(笑)。「シーカー」(パイロット)の技術向上を図る演習のようなものになるとは思います。イカルスのパーツは製造が難しいため、完璧なパーツは少なく、検査落ちしたものが多く存在しています。その検査落ちしたパーツでイカルスを組み上げて戦っている、というような設定が候補の一つです。
また、イカルスがやられると爆発するので、遠隔で操作している設定にする予定です。
──イカルス、派手に壊れますよね。
するめまんじゅう:膝をついて倒れるよりは爆散したほうがカッコよくて気持ちいいですしね。このあたりは『エースコンバット』を参考にしています。
▲爆発四散するイカルス
──本作の設定上としては廃れてしまった「第2世代イカルス」のような、人型から離れたフォルムは再現できますか。
するめまんじゅう:6脚パーツなどあると面白いかと思いましたが、本作はずっと空を飛んでいるようになるので、特徴を生かしづらくて二の足を踏んでいる状況ですね……。今はストーリーの展開などを考えていて、それが終わってから改めてどうするか決めたいです。
▲第2世代イカルスの設定画
──自作エンブレムをイカルスに貼り付けられる要素は追加する予定は?
するめまんじゅう:『AC』シリーズのような自由度の高いエンブレムのエディット機能を実装するのがかなり難しそうなので、本作での実現は厳しいですかね……。
──するめまんじゅうさんは、本作の資料集とも言える『ICARUS 世界の巨大機械シリーズ特別号』を販売しています。こういった冊子類はどのくらい作ってきたのでしょうか。
するめまんじゅう:いろいろな雑誌などを買ってきて参考にしながら、コミケに向けて初めて作りました。一人で作ったわけではなく、後半の文面はTwitter上の友人で放送作家もしているコックさんという方に執筆していただきました。
▲コミケでは、初代PSのパッケージ風ケースに入れたダウンロードカードなども販売
──頭部の目のようなパーツが発光する理由が「レーダーが効かない未踏査地区で僚機を見分けやすくするから」という設定が面白かったです。
するめまんじゅう:本作だけでなくどのロボもよく光るパーツですが、なぜ光るのかを説明しておきたいと思いまして。また、頭部はセンサー類が詰まっていて、カメラはイカルスの至るところに搭載しています。
▲目のようなパーツが光る様子はやはりカッコいい
──するめまんじゅうさんが好きなアセンブルとカラーリングを教えてください。
するめまんじゅう:接近戦が好きなので、高速近距離戦を想定した構成が気に入っています。tuneは軽量化とエネルギー出力を中心に上げて、機動性偏重のチューンを施しています。カラーリングに関しては黒もカッコいいんですが、イカルスに描いた装甲やラインが見えづらくなってしまうので、装甲や表面が見えやすいカラーを選びがちですね(笑)。
▲「完全に制作者目線ですが(笑)機体のラインが見えやすいように色は白系にしています」とのこと
▲右手・GATLING GUN、左手・SHOT GUN、右肩・SMALL MISSILE、左肩・SMALL MISSILE、頭・YFS-28A、胴体・PG-06、腕・YFS-28A、脚・YFS-28Aの構成
まとめ
──ゲーム開発の魅力とは。するめまんじゅう:自分で作ったキャラを自由に動かせるだけですごく楽しいですね。また、バグが仕様になったり、思いがけない方たちから協力していただいたりと、自分が想定していないことが起こり続けて、思っていたものよりも面白いものに仕上がっていくことも魅力に感じています。
『PROJECT SIX』は現在アルファ版をリリースしていて、その感想をいただけるのもうれしく思い、モチベーションにつながっています。それと、僕じゃマネできないような動きをする方たちが動画をアップしていて、それを拝見するのも楽しみの一つです。たとえばレーザーブレード縛りで難敵を倒す動画を見て、「レーザーブレードを強くしすぎたか?」と思いましたが、とてもあんな動きできませんでした。ああいったニュータイプな方たちの動きは刺激を受けます。
──広報に関して気を付けていることはありますか。
するめまんじゅう:Twitterで動画を出して、進捗を報告するようにしています。動画も見栄えを意識していて、凝ったものほど注目されているように感じます。レイトレーシングを使ったマーケティング用のハイクオリティな動画も1本作っておきたいですね。ゲーム本編の制作を優先して作業しますが、ムービー制作は本業で培ったノウハウがあるので、実現は可能だと思っています。
──『PROJECT SIX』において掲げている目標は?
するめまんじゅう:完成まで持っていくことが最優先の目標です。PlayStation Storeでもリリースしてみたいです。今のところ『AC』シリーズがPlayStation Storeに並んでいないので、(今後『AC』新作がリリースするのかはわかりませんが)闘争を求めているPSユーザーの方に早く届けられたらと思っています。
『PROJECT SIX』アルファ版
https://surumekoubou.booth.pm/items/1175114
『PROJECT SIX』サウンドトラック
https://surumekoubou.booth.pm/items/1768283
『PROJECT SIX』設定資料集
https://surumekoubou.booth.pm/items/1685652
『PROJECT SIX』
ジャンル:ハイスピードメカアクション
発売日:2021年末予定
プラットフォーム:Steam
ゲームモード:ミッションモード、アリーナモード
プレイヤー数:1人
価格:未定
するめまんじゅう Twitter
https://twitter.com/surumemanzyu
するめまんじゅう BOOTH
https://surumekoubou.booth.pm/
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