Gamers Zone

move to login

CULTURE PCゲームカルチャーに関する情報満載!

【おかず】Epic Games Japanで働く多忙なエンジニアが『双腕のソルダート』を2022年に完成させるための策は“イベント駆動開発”?【インディーゲームインタビュー】

目次
  1. Kinect、VR、UE4…… 先端技術を遊びながら学ぶ日々
  2. クセになってんだ 締切に追われて開発するの
  3. 『双腕のソルダート』に込めた「好きなもの」
  4. イベント出展、Webサイトの開設、 SNS活用はやっぱり大事
「どんな人がどんなインディーゲームを作っているのか」に注目したインタビュー連載企画の11回目は、アクションゲーム『双腕のソルダート』を開発中の「おかず」さんにお話を伺いました。おかずさんはEpic Games Japanでサポートエンジニアとして働く傍ら、個人サークル「ぼっち猫」としてゲーム開発活動に勤しんでいます。これまでの歩みと『双腕のソルダート』の話を中心に聞いていきます。

▲「ぼっち猫」のロゴ(左側)とマスコットキャラの「クロ」(右側)

ぼっち猫のメンバーは以下の通り(名前・担当の順に記載)。
おかず:メイン開発・代表

※2021年11月中旬、ビデオ会議ツールを用いて取材。
※『双腕のソルダート』の画面は、すべて開発中のものです。

Kinect、VR、UE4……
先端技術を遊びながら学ぶ日々

──ゲームをはじめて作ったのはいつ頃でしょうか。

おかず:中学生の頃にPS2『RPGツクール5』を使って、妹のために作ったのが最初だと思います。PCではなくゲーム機で、しかもプログラミングの知識がなくてもゲームを作れることに感動しました。ゲーム内容は宝箱を探すだけのシンプルなものでしたが、妹に喜んで遊んでもらえたのを覚えています。

ゲームで人を笑顔にすることがうれしく感じた経験から、誰かの支えになりたい、落ち込んでいる人を元気にしたいと思うようになったのかなと思います。

──それ以降は本格的にプログラミングの道に?

おかず:プログラミングに興味を持ったのは『RPGツクール』のおかげかもしれませんが、実際に触れるようになったのはだいぶ後ですね。『RPGツクール』の次は『スパロボ』好きが高じて高校生のころに「SRC」(※)でのゲーム作りに挑戦していました。と言っても、ドット絵がうまく描けなくて挫折してしまいました。これがのことをきっかけに、グラフィックを自分で何とかしようと思うのは諦めました(笑)。

プログラミングを勉強しはじめたのは、大学受験が終わって大学入学までの空いた時期ですね。「DXライブラリ」(※)で、練習用に『テトリス』などのゲームを作っていました。

※SRC(Simulation RPG Construction):シミュレーションRPGを自作できるツール
※DXライブラリ:C++用のゲーム開発ライブラリ

──教材などは使っていました?

おかず:「14歳からはじめる C言語わくわくゲームプログラミング教室」をゴリゴリ写経していました。当時は今みたいにネット上で気軽にプログラミングを学べる時代でもなかったので、教材は基本的に書籍でした。

──その後もプログラミングを学んでいましたが、ゲーム開発を本業にしたい思いはありましたか?

おかず:傾き検知する『PONG』のようなゲームを作ってPlayStation Vitaで動かしたり、大学院の研究室に「Kinect」(※)を研究と称して持ち込んでいろいろ試したり、ゲーム機を活用するプログラミングはしていました。純粋にゲームを作りたい気持ちよりも、気になる機能を試したくて作ったゲームが多かったです。

ゲーム開発者への憧れもありましたが、どこか遠い存在のように思っていました。当時は「ゲーム開発者」と「ゲーム会社で活躍する開発者」は同じものだと思っていたことが、自分には縁のないことだと思った要因かもしれません。

※Kinect:当初はXbox 360向けにリリースされた、ジェスチャー・音声による操作入力を可能とするデバイス。のちにWindows版もリリース。Kinectを使ってウルトラセブンになりきれる動画を見ておかずさんは衝撃を受けたという

▲PlayStation Suite SDKで作ったゲーム

──……大学院卒業後にカプコンにプログラマーとして入社していますよね?

おかず:まさか入れるとは思いもよりませんでした。ちょうど新卒採用を強化している時期で、単に運が良かっただけかな~と(笑)。

──カプコンではゲーム開発をしていたのですか。

おかず:あー、いや、ゲームエンジンを開発していました。かかわったのはほんの一部ですが、ゲームエンジンは完成して今も活躍しているのを見るとなんだかうれしいですね。ゲームエンジンは社内のさまざまな部署と連携する必要があり、自然と多くの方とコミュニケーションを取ることになりました。考えの異なるたくさんの方の意見を聞いたり相談したりした経験も込みで面白かったです。

──では、ゲームは開発できなかったのでしょうか?

おかず:配属されたのはゲーム開発部門ではありませんでしたが、ゲームの開発自体はできました! 『特撮体感VR 大怪獣カプドン』というアーケードのVRアトラクションで、プラサカプコン吉祥寺店で2017年4月まで稼働していました。

プレイヤーはVRデバイスを使って動き回るため、広いスペースを確保する必要がありました。スペースを作るためにプリクラ筐体をどけてもらったうえ、プロレスのリングみたいな場所を作ってもらったのが印象的でした。力を入れて展開していただけて感謝しています。

▲怪獣になりきって街を暴れ回り、子ども怪獣を助けるVRアトラクション『特撮体感VR 大怪獣カプドン』PV。街を踏み潰す、戦車をつかんで投げる、火の玉を吐くといったアクションが可能

──『大怪獣カプドン』に携わることになったのはなぜですか。

おかず:端的に言えば、僕がVRにハマっていたからです。VRデバイスの「Oculus Rift DK1」がリリースされたときにVRの未来を感じて購入し、楽しみながら勉強していました。日本では、GOROmanさんたちのような先駆者たちの次くらいに買っていたのは小さな自慢です(笑)。その後もVRデバイスが登場するたびに買っていました。

カプコン社内にVRデバイスを持ち込んで布教などしていたら結構な人の手にわたり、手元になかなか戻ってこなかったこともありました(笑)。その一環で辻本社長に貸し出すことになって非常にドキドキしたのも、今となっては良い思い出です。

そうした活動をしていたら、5人くらいの部活のようなチームができまして、本作の企画を出して開発のOKが出たという経緯ですね。企画が通ったのは、VR体験施設「VR ZONE Project i Can」がダイバーシティ東京 プラザにオープンしていたことも一因だったのかもしれません。

──その後、2016年11月にEpic Games Japanへ転職しました。

おかず:UE4にハマっていたところ、あるときEpic Games Japanがサポートエンジニアを募集しているのを知りました。Epic Games Japanがエンジニア・プログラマーを募集する機会は滅多になく、転職を決意したという流れですね。入社してからもUEが変わらず好きですし、サポートエンジニアとして開発者さんたちの役に立てることがモチベーションにつながっています。プライベートでゲーム開発活動もできているので、環境としては理想的だと思っています。

──Epic Games Japanでは講演やイベントなどでおかずさんの姿をよく拝見します。イベントが休日開催するケースもありますし、ほかにもTwitterのUEコミュニティを盛り上げるべく活躍しています。多忙すぎてゲーム開発する時間は確保しづらいのではないでしょうか。

おかず:仰る通りなかなか厳しくて……。モチベーション維持のためにも「短時間でもいいから毎日開発したほうがいい」とはよく聞きますが、まったくできてないですね。

──大変そうですね……。ゲーム開発に注力するために独立するといったことは考えていない?

おかず:今の仕事が本当に気に入っていますし、安定した収入が得られなくなる状況を考えただけで身がすくむ小心者なので、独立は考えていません。

──開発を続けられるようにする方策はありますか。

おかず:イベント駆動開発です。

──イベント駆動開発。

おかず:はい。

クセになってんだ
締切に追われて開発するの

──IT系の用語「イベント駆動プログラミング」とは別物ですか?

おかず:はい。

──イベントは本当に一般用語としての意味ですよね。えーと、つまり、なんらかのイベントの締切があるからモチベーションがどうこうと言っていられない、手を動かさざるを得ない、ってコトでしょうか。

おかず:はい。本業が忙しくても締切はあります。イベントで「何も作れませんでした」「進捗はありません」となると僕のゲームを手に取ってくれた方々に申し訳ないですし、僕自身も後ろめたさを感じることなくイベントを楽しみたいですしね。

だから頑張る。イベント参加頻度も増やせばその分だけ進捗も出るはずです。全然推奨できない手法ですが、これが体に馴染みすぎてしまってどうしようもないです……。

──お体ご自愛ください。イベント駆動開発に慣れた原因は?

おかず:勉強会やハッカソンといった各種イベントによく参加し、それらイベントの締切に間に合わせるように開発していたら、イベントがないと開発するモチベーションが上がりづらくなってしまいました。

──イベントへ頻繁に参加するようになったきっかけはあるのでしょうか。

おかず:UE4が登場したことです。UE4に一目ぼれして、UE4の作品制作コンテスト「UE4ぷちコン」や勉強会などに積極的に参加するようになりました。当時はUE4が月額制なのもあってかユーザーが少なく、今のうちにイベントに参加・学習していれば注目されやすいだろうと打算的な考えもないことはなかったです(笑)。

▲「OculusRift勉強会 関西#01」で展示した3人称視点のVRゲーム『Vanguard Unitychan TEST』。タイトル通り『Vanguard V』をリスペクトしたレール移動式のSTG(動画はVR仕様です)

▲「メイカーズバザール大阪2015」で展示したGear VR対応ゲーム『鹿せんべいVR』。360度見渡しながら鹿を見つけ、鹿せんべいを投げ与える内容

──何度も参加するほど、それらイベントが魅力的だったとも言えそうです。

おかず:そうですね。たとえばUE4ぷちコンで言えば、自分でも参加していいんだと思わせてくれるハードルの低さや毎回変わるテーマ、同コンテスト主催のヒストリア代表である佐々木さんたちに審査してもらえたことなどがモチベーションにつながりました。

▲ホタル型ロボを操作するゲーム『Lights of Firefly』。第2回UE4ぷちコンに応募した作品で、大賞を受賞した

▲2020年に開催した「UNREAL FEST×ぷちコン 冬のゲームジャム祭り!」でおかずさんは審査員側に回りつつ、『Kawaii アンリアルメイドさんのお掃除大作戦!(仮)』を制作した

──一番印象に残ったイベントは?

おかず:コミケです。これまでは勉強の一環としてゲームを展示していましたが、C88では『箱庭の彼女』の体験版を頒布し、初めてお金を頂戴するようにしました。100円と安価ですが有料には変わりなく、自分の作品に値を付けて人の手に渡すことの責任の重さにウッとしました(苦笑)。しかし、ゲームの感想をSNSに投稿していただいた感動は代えがたいもので、参加して良かったと思います。

▲C88で頒布した3人称視点VR対応のアクションゲーム『箱庭の彼女』

▲C89では非VRモードでも操作しやすく、VR体験会「OcuFes Final」ではシーンによって3人称視点と1人称視点の切り替えるよう改良した

──そうしたイベントの数々が、おかずさんの開発のモチベーションになったのですね。おかずさんはイベントに際して『箱庭の彼女』や『LEFT ORDERS』などを作り、3人称視点のVRゲームを推していました。しかし今はVRゲームの開発を止めてしまいましたが、何かあったのでしょうか。

おかず:『ASTRO BOT: RESCUE MISSION』がリリースされたことが大きいですね。3人称視点のVRゲームとして完璧な出来栄えで、「もう自分で作る必要はないんじゃないかな」と感じまして(笑)。仕事で忙しくて開発できなかったという理由もありますが……。

▲第4回UE4ぷちコンに応募した、3人称視点の脳筋系VRパズルゲーム『Variable Reflection』。コロプラの『Fly to KUMA』に触発されて作ったとのこと

▲C93では3人称視点のVR対応アドベンチャーゲーム『LEFT ORDERS』を頒布

──イベント駆動開発に無理があるのでは?

おかず:現在作っている『双腕のソルダート』には、イベント駆動開発のほかにも対策を打っています。それでなんとか……なれば……。

『双腕のソルダート』に込めた「好きなもの」

──まず、『双腕のソルダート』の簡単な紹介をお願いします。

おかず:『双腕のソルダート』は2本の「拡張腕」を操る女の子・レナが主人公の横スクロールアクションゲームです。拡張腕の力を駆使して街で起きる数々の問題に立ち向かうストーリーと、難しさよりも爽快感やカッコよさに振ったバトルを楽しめるよう開発しています。

▲『双腕のソルダート』のPV

──先ほど話した対策について教えてください。

おかず:個人開発で人手が足りないため、削れそうな工数は削ること。あと、至ってシンプルで恐縮ですが、「自分の好きなものを詰め込みまくる」です。サイバーパンクっぽいSFな世界からゲームシステムまで、自分の大好きな要素だけで構成しています。

オジサンと女の子のバディものが好きですし、ワイヤーアクション、ジャスト回避といったシステムも好みで入れています。手を抜いて作ってしまうと、好きになった元のアニメやゲームなどへ申し訳が立たないですし、プレイすると僕自身がコレジャナイと感じてしまいます。だから頑張るモチベーションがわいてくる、という算段です。


──工数削減できるポイントがつかめるのは、UE4のベテランだからこそできる技なのかもしれませんね。「好きな要素を詰め込む」はイベント駆動開発と合わせて、モチベーションに重きをおいているように見えます。お体ご自愛ください。そして先に挙げていただいた好みの要素は、好きになったきっかけの作品があると思います。

おかず:オジサンと女の子のバディものが好きになったのはアニメ「SoltyRei(ソルティレイ)」から。今でも大好きな作品ですね。

ジャスト回避、といいますかバトルの爽快感については『NieR:Automata(ニーアオートマタ)』の影響を大いに受けています。ポッドに複数の役割を持たせるアイデアも感銘を受けて、本作の拡張腕に生かしました。

ワイヤーアクションも『NieR:Automata』が好きで入れましたが、振り返ってみるとアニメ「DARKER THAN BLACK」の黒(ヘイ)がきっかけかも。

「ウルトラマン」などの特撮も好きで、アクションやストーリー・設定面で影響を受けまくっています。こまかなところですが、主人公のレナはヒーロー好き、とかですね。そのあたりが自分の趣味と少々リンクしていると話が書きやすく、説得力が増しやすそう。って理由づけてますが……まぁ、これも僕の趣味です(笑)。

あとは「PVや予告編で映えるシーンや要素を考え、該当箇所を逆算しながら制作すると良い」といった話を聞いてから実践するようにしています(特撮の監督が話していた気がしますが、うろ覚えです)。スケジューリングがやや複雑化する部分もありますが、満足のいくPVが作りやすくなりました。


──ほかのゲームから参考にしたアイデアはありますか。

おかず:本作は基本的に横スクロール画面のため、どのキャラも真横を向いていました。これだと見栄えが少し寂しくてどうにかしたいと悩んでいたんですが、『ストリートファイターV』の記事に載っていた「キャラをカメラ側に5度回す」レシピを読み、参考にさせてもらいました。

▲キャラごとに映える角度を探りながら調整している

──本作は2018年のデジゲー博で初披露で、2020年4月に公開したPVと比べると主人公のモデルが一新された印象です。

おかず:今までの主人公のモデルは仮置きというような状態で、より自分好みなアセットがあればと思って探していたところ、VRChat向けの3Dモデル「レナ・カクテル-Lena Cocktail-」を見つけました。即購入し、ぜひ本作で起用したく思い連絡を取ったところ、本作での使用許可をもらえました。

「レナ・カクテル」は一般販売されているモデルで、ユーザーさんがたくさんいます。ユーザーさんごとに「レナ・カクテル」に対する思いや「うちの子」観があるので、本作のワールドにおける「レナ・カクテル」は別の存在である点は強調したいですね。


▲2018年のデジゲー博に向けた『双腕のソルダート』のPV

▲2020年4月に公開した『双腕のソルダート』のPV

──主人公の操る拡張腕が手の形をしている理由は?

おかず:なるべく工数を減らしたいと考えた末のアイデアです。拡張腕は複数の機能を有し、機能を発揮するときにフォルムが変わったほうが見栄えが良くて操作していて楽しいのですが、工数がかかってしまいます。

そこで手の形です。これなら、たとえば拡張腕が弾を発射するなら手の形を「銃を撃つポーズ」を取らせるだけで済みます。『スマブラ』シリーズのマスターハンドみたいなものを想像いただけるとわかりやすいかもしれません。これでかなりの工数削減になっているうえに見た目も良くなりました。



──本作はゲームとしてどう進行するのでしょうか。ステージクリア型ですか?

おかず:街を探索しながらメインステージとサブミッションのステージをクリアしていくスタイルです。


──街やダンジョンをいくつも渡り歩くことになると、かなり手間暇がかかりそうです。

おかず:街は一つだけで、街中からバーチャル空間のバトル用ステージに飛ぶように実装する予定です。これは、街とステージの往来をワンボタンで実行できる『バトルネットワーク ロックマンエグゼ』シリーズから着想を得ています。同シリーズの世界と相性が良く、工数も削れている良いシステムだと改めて感じ入りました。

──PVを拝見したとき、会話シーンも印象に残りました。

おかず:3Dモデルを使っていると苦労するポイントの一つが会話シーンです。キャラが棒立ちになったままだとカッコつかないし、カメラカットも工夫しないと飽きる絵になってしまったり。工数が重いことが予想できます。

解決策として、会話シーンはテキストアドベンチャーゲームでよく見られる「キャラを横に並べる」形にしました。年齢制限の設けられたPC用ゲームも含めてテキストアドベンチャーはよくプレイしていたので、勘所はわかるかなと思い着手しました。


──キャラのイラストを並べて話す手法にしなかったのは?

おかず:僕は絵が描けないのと、3Dモデルとイラストの雰囲気が乖離してしまうと「君、3Dとイラストでなんか違うね」と違和感を持たれてしまいかねません。3Dモデルだと表情差分やアニメーションなどに幅を持たせるのも比較的容易という理由もあり、今の方法が合っています。

3Dモデルを使ったインディーゲームでは意外と見ない手法なので、会話シーンで迷っているインディーゲーム開発者の皆さんにもオススメです。システムについて詳しく知りたい方は、解説記事をご覧ください(宣伝)。

──本作はUE4で作っていますが、ビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」とC++の使用比率はどのくらいでしょう。

おかず:ほとんどブループリントで組んでいます。95%、うーん、もっと多いかも。UE4を触ってない人にとっては「ブループリントってあまり役立たないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、意外となんでもできます。C++で組んでいる部分もブループリントで実装できますが、C++のほうが処理が軽くなりそうだから使っています。UE4、オススメです(宣伝)。


──おかずさんといえばUE4用の疑似物理プラグイン「Kawaii Physics」の開発者としても有名ですよね。インディーゲームだけでなく『真・女神転生Ⅴ』『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER』『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』など有名タイトルでも採用されています。

おかず:UE4をデフォルトで使っていると挙動がリアルすぎで、違和感を覚える方が僕を含めて多いみたいです。本プラグインは手軽にセットアップできるよう開発した甲斐もあり、多くの方に採用いただけてうれしいですね。UE4を採用しているゲームのチェックついでにKawaii Physicsが使われているかも調べてしまいます(笑)。

Kawaii Physicsのせいで悪影響を与えているのを見たときは、自分のゲームではないのにヒヤッとしました。告白すると、『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』でプラットフォームごとに少し挙動が異なっていたのはKawaii Physicsの調整不足のせいですね……。あ、その後に調整したので今は問題ありません。

▲髪やスカートなど揺れるものを「かんたんに」「かわいく」揺らす「Kawaii Physics」。UE5(早期アクセス版)にも対応している。なお、本プラグインはおかずさんが個人開発したもので、Epic Gamesとは関係ない

──そもそも、Kawaii Physicsを開発した理由はなんでしょうか。

おかず:知人に頼まれて作りはじめたんですが、結局使ってくれなかったですね……。しかも彼はUE4じゃなくて別のゲームエンジンを使ってますし(笑)。

──その方のおかげで多くの開発者の助けになっているのは面白いですね。

イベント出展、Webサイトの開設、
SNS活用はやっぱり大事

──『双腕のソルダート』のPRや露出についても聞かせてください。2021年の6月には「INDIE Live Expo2021」、9月には「asobu INDIE SHOWCASE 2021」と「BitSummit THE 8th BIT」と、2021年だけでもかなりの数のゲームイベントに出展していました。

おかず:イベントに積極的に参加して進捗を生む、イベント駆動開発の一環ですね。どのイベントも反響があり、課題や発見もあったので開発の活力が出てきます。

▲デモの展示で気付きも得られた

──どのゲームイベントの反響がとくに大きかったでしょうか。

おかず:INDIE Live Expoです。オンラインのゲームイベントでは波に乗っている、注目度の高いイベントに出展できた効果は高いように思います。

ゲームイベント以外では、開発の進捗を報告するツイートも反応が良いですね。英語も併記してツイートすると海外の方が反応してくれるので、ちょっと手間でも書くようにしています。拙い英語でちょっと恥ずかしいですが、書いたことの効果は確実にあると実感しています。


──Twitterアカウントは、普段使っているものと『双腕のソルダート』用に分けているのですね。

おかず:そうですね。本作用のアカウントを新たに作って運用しています。せっかく進捗ツイートしても、僕の普段のツイートで埋もれてしまうのはもったいないです。「本作の最新情報はこちらで確認できます」と案内しやすいのもメリットだと思います。

──Webサイトもしっかりしていますよね。プレスキットを提供しているインディーゲーム開発者さんは増えてきましたが、透過の有り無しの画像まで置いている方は珍しいです。

おかず:WebサイトはINDIE Live Expoに申し込むときに必要でしたし、一條さん(※)もWebサイトやプレスキットの重要性についてよく話していました。Webサイトは開発の初期段階から用意しておくと便利だと思います。

▲Webサイトを用意していないことで詰められるおかずさん

※一條さん:ヘッドハイ代表 一條貴彰さんのこと。 Steam/Nintendo Switch向けゲーム『デモリッション ロボッツ K.K.』を開発中。ほかにも「インディーゲーム・サバイバルガイド」(技術評論社)を執筆し、インディーゲーム開発者向けインキュベーションプログラム「indie Game incubator」の運営にも携わる

──本作はUIデザイナーの「すね」さん(@sunege32)にロゴ制作を依頼しています。ほかに外注しようと思っているパートはありますか?

おかず:BGMですね。購入を考えていた楽曲があったのですが、最近発売した某インディーゲームが使っていることを知りまして……。現在は誰かに発注しようかと考え中です。

▲すねさんが作ったロゴ

──おかずさんのWebサイトを見るとリリース時期は「2021年度(仮)」との記載があります。2022年の3月だとしたら今から探して発注って間に合います?

おかず:そもそも発売時期はそこに間に合わない気がします(苦笑)。2022年はUE5の本リリースがあるので大変忙しくなることが予想されますが、2022年内に販売しないといろいろと詰みそうです。

──販売価格はもう決めていますか。

おかず:セールしたときのことも考えて値付けすると良いと聞きますし、高くても1500円程度にとどめたいです。2000円を超えるとボリュームも求められそうという理由もあります。『Elechead』(980円)や『LIBLADE』(718円)なんて、クオリティの高さに反して安すぎてビックリしました。ああいったゲームと比較されるんだなと思うと怖いです(笑)。

──ストーリーモードのボリュームはどのくらいを想定しているのでしょうか?

おかず:4~5時間ほどを予定しています。ストーリークリア後はタイムアタックが可能なモードをプレイできるようにしたいです。RTAを見るのが好きなので(笑)。

──リリースするプラットフォームはSteam以外で考えていますか。Epic Games Storeでは出しませんか?

おかず:いろいろなプラットフォームでリリースする経験は、仕事でもプライベートでも役立ちそうです。チャンスがあれば複数のプラットフォームへのリリースは挑戦したいとは思います。

Epic Games Storeはセルフパブリッシング機能のクローズドベータが開始しているのでチャレンジはできますね。社員が応募できるのかは僕も知りたいところですが(笑)、ロイヤリティが安く済みますし、可能だったら挑戦してみようかなと思っています。

まぁどれも希望の話でして、話をまとめると一旦はSteamのみ、と考えていただければ。

──直近で『双腕のソルダート』に触れられる機会はありますか?

おかず:2022年2月開催予定の「Steam Nextフェス」に参加します。そのときに体験版を配信するので、ぜひ触っていただければと思います。

──体験版といえば2021年6月に体験版を公開するって話があったような……?

おかず:本当にごめんなさい! 「できたらいいなぁ~」と希望込みの発言だったんですが、あんなにメディアさんに取り上げられるとは思わず……! Steam Nextフェスでは配信します! その際にはDiscordコミュニティも立ち上げますので、興味のある方はぜひご参加ください。

──Discordコミュニティを運営するのって大変そうです。

おかず:興味・関心のある方の声を聞きやすい場所を作る開発者さんは増えつつありますね。体験版のバグ報告・フィードバックも得られやすいでしょうし、その後のテストプレイを募集する際にも活用できたらと思います。コミュニティが活性化すれば僕もやる気がでます。

──ありがとうございます。次はEpic Games JapanやUE4/5の話も少し聞かせてください(次回に続きます)。

©2021 bocchi-neko

『双腕のソルダート』
ジャンル:横スクロールアクションゲーム
発売日:2022年予定
プラットフォーム:Steam(Windows)
ゲームモード:ストーリーモード、タイムアタックモード(クリア後プレイ可)
プレイヤー数:1人
価格:未定


ぼっち猫 Webサイト
https://www.bocchi-neko.com/
ぼっち猫 Twitter
https://twitter.com/BocchiNeko_UE
おかず Webサイト
https://pafuhana1213.hatenablog.com/
おかず Twitter
https://twitter.com/pafuhana1213
【連載】インディーゲーム開発者インタビュー

WRITER RANKING プロゲーマーやゲーム業界人などの人気ライターランキング