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【ブイブイラボ】平均年齢22歳の若手4人チームが贈る『シューフォーズ』。活動内容からメンバーの進路まで聞いてきた【インディーゲームインタビュー】

目次
  1. ゆるく集まり、本気で開発
  2. 約2年でゲームイベントに14回も出展
  3. 『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』について
  4. まとめ:ブイブイラボでゲームを作っていきたい思いは合致
「どんな人がどんなインディーゲームを作っているのか」に注目したインタビュー連載企画の8回目は、ゲーム開発チーム「ブイブイラボ」を取り上げます。大学生4年生のますだたろうさんを中心とした若手チームが制作しているのは、1対1の対戦アクション『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』。彼らのゲーム開発に関する思いや、本作に関する話、そして今後はゲーム開発とどう向き合っていきたいのか、といったことを聞いてきました。

▲ブイブイラボのロゴ

ブイブイラボのメンバーは以下の通り(名前・役割や担当・好きなゲームの順に記載)。

ますだたろう:代表、プログラム、ゲームデザイン、UIデザイン/『beatmania IIDX』シリーズ、『Splatoon2』『ボンバーガール』
椎名アクタロ:キャラクター・背景デザイン、アートワーク、シナリオ、ゲームデザイン/『Portal』シリーズ、『GRAVITY DAZE』シリーズ、『塊魂アンコール』
Syncfloat:サウンドデザイン、BGM、SE/『ロマンシング サガ』シリーズ、『カービィ』シリーズ、『ボンバーマンヒーロー ミリアン王女を救え!』
Sado:プログラム/『Splatoon2』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『Apex Legends

※2020年12月初旬にビデオ会議ツールを用いて取材し、2021年2月初旬に追加で取材を実施。
※『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』の画面は、すべて開発中のものです。

ゆるく集まり、本気で開発

──ブイブイラボはどんなつながりのメンバーが参加しているのでしょうか。

ますだたろう(以下、ますだ):3人とも、もともと僕の友達です。『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-(以下、シューフォーズ)』でプログラムのサポートをしてくれているSadoは小学校の同級生、キャラデザインなどを担当している椎名アクタロはSadoと別の小学校の同級生、音楽全般担当のSyncfloatは高校の同級生です。

▲ブイブイラボのメンバー。左側から、ますだたろう、Syncfloat、Sado、椎名アクタロ

──皆さんの加入時期はいつごろ?

ますだ:ブイブイラボは、中学生のころにSadoと一緒に立ち上げたゲームサークル「Team EMER」が元になっています。で、Team EMERの活動中にSyncfloatに加入してもらいました。その後、2018年10月に「Team EMER」を解体し、心機一転して同年11月にブイブイラボを起ち上げ。そのときに椎名アクタロを誘いました。

▲Team EMERからブイブイラボへ

──ますださん以外のメンバーが加入した経緯を教えてください。

Sado:僕はますだと中学2年のころから一緒にゲームを作っていて、ブイブイラボ結成のときもその延長線上の軽いノリで引き受けました。

ますだ:中学のときに同人ゲームの世界を知り、ゲームを作ってコミケに出せたらカッコいいんじゃないかと思って動こうとしたものの、プログラミングのことはさっぱりでした。なので、当時パソコン部に所属していたSadoに懇願して誘いました。ちなみに、今はそういった動機で開発はしていないです(苦笑)。Sadoとはそれからずっと一緒に開発しているので、かれこれ8年くらいの付き合いになりますね。

Syncfloat:僕の場合は、高校でますだと部活動を通じて知り合いました。このチームでは作曲を担当させてもらっていますが、当時はまったくの未経験でした。ますだと仲良くなったとき、ニンテンドー3DSの音楽ツール『KORG M01D』の存在や音楽制作のいろはを教えてもらってから、音作りにのめり込むようになりました。

チームには「ますだとゲームを作るのは面白そうだしやってみるか~」と軽い気持ちで入ったので、加入にあたって不安はありませんでした(笑)。ここまで長期にわたって同じゲームを作り続けることになるとは思いませんでしたが(苦笑)。

椎名アクタロ(以下、アクタロ):僕は沖縄出身で、沖縄の小学校でたろうと友達になりました。その後たろうは沖縄から離れてしまいましたが、僕が東京の大学に進んだ際に再会し、ブイブイラボのゲーム開発に誘われました。趣味である絵の勉強にもなると思ったので、とくに悩まずにOKしました。

ますだ:正確に言うと開発の人手が足りなかったので、僕のほうから誘いました(笑)。入ってくれて本当にありがたいです。

▲ますださんとSyncfloatさんはブイブイラボとは別に「ぐぬぬレコーズ」という同人音楽レーベルを作って活動している

──ますださん以外はお互い面識がない状態でチームに加入して、3人の仲がうまくいかないといったことがあるかも……と思ってしまいます。

ますだ:時折、お互いの性格や制作時におけるこだわりなどがつかみ切れていなくて衝突することもありましたが、出会った当初から、うまくやれていたと思います。結成から2年も経った今では、皆で仲良く開発できています。……よね?

──話に挙がったTeam EMERのことも聞かせてください。このチームでは縦スクロール型STG(シューティングゲーム)の『EMER』とアクションゲーム『土下侍』を開発していました。2人のまま新作を作らなかった理由はあるのでしょうか。

ますだ:理由は単純で、Syncfloatとアクタロという才能あふれた友人がいるのだから、2人を巻き込んだほうがもっと開発を楽しめると思ったからです。

──Team EMERを解散してからブイブイラボを作り直した事情も聞かせてください。

ますだ:当時はまたすぐにチームを作るとは考えていなかったのも大きいですが、『土下侍』制作時の体制がぐちゃぐちゃになってしまい、誰が何のタスクを担当しているのかわからなくなってしまいました。話し合った結果、同作品の開発も中断してTeam EMERも解散することにしました。

▲『土下侍』体験版

──STG『EMER』は大学受験のために開発中止したとお聞きしましたが、ブイブイラボとして作る予定はなかったのでしょうか。

ますだ:『EMER』はSadoと2人で作っていたゲームで、ブイブイラボとして活動していくなら皆で一から新しいゲームを作っていきたいという思いがあり、開発の再開には至っていません。

▲マウスホイールを回してスコアを消費しながら攻撃する縦スクロール型STG『EMER』

約2年でゲームイベントに14回も出展

──ブイブイラボさんは「東京ゲームショウ(以下、TGS)」「コミックマーケット」「BitSummit」「デジゲー博」「TOKYO SANDBOX」など、さまざまなゲームイベントに出展しています。これまで何回ほど出展したのでしょうか。

ますだ:ブイブイラボを起ち上げてから約2年で14回出展しています。

▲ブイブイラボは2018年11月に設立し、2年が経過している

──ここまで出展しているインディーゲーム開発者さんはかなり少ないと思います。なぜ14回も出展したのですか?

ますだ:ブイブイラボ結成当初は、存在を知ってもらうためという意味合いが大きかったです。結成してからコロナ禍になるまでは、出られるイベントはすべて出ようとメンバーの皆にお願いしながらイベントに積極的に出展していました。イベント出展という目的に向けて開発スピードが上がる効果はあったものの、イベントの準備などでかなり時間を取られてしまい、進捗が悪くなったこともあったように思います。

アクタロ:急ごしらえで作ってしまうと、バグとか不具合が出ちゃうこともありますし。僕の担当範囲で言えば、イベントに間に合わせて大急ぎで作ったキャラが没になっちゃったこともありますね(苦笑)。

ますだ:それは本当に申し訳ないことをした……。

▲2019年のデジゲー博で披露したキャラ「トドロキ」は泣く泣く没にしたという

──14回も出展したら、時間だけではなくお金も相当かかっているような気がします。

ますだ:そうですね……。イベントが遠い場所で開催となると、当たり前ですが交通費・宿泊費などがかさみます。そのため、メンバーが欠けた状態で出展したこともあります。出展にかかる費用も痛手で、メンバーで折半していました。

アクタロ:旅費を抑えるために移動は高速バスを使ったり、宿泊場所はネットカフェにしたりしていました。たろうはバスの狭い席でも開発してたね(笑)。

ますだ:間に合ってなかったから……。苦しい状況でしたが、「京都eスポーツゲーム大賞」で大賞を受賞して開発支援金50万円をいただけたことで、ずいぶんと助けられました。

──話に挙がった、対戦型インディーゲームを対象にしたイベント「京都eスポーツゲーム大賞」に応募した理由は?

ますだ:まさにブイブイラボのためのイベントだと思って申し込みました。『シューフォーズ』は誰でもプレイできる難易度だけど対戦しがいのあるゲーム、「ゆるeスポーツ」をコンセプトに掲げています。eスポーツを題材にしたインディーゲーム開発者向けのコンテストはこれまでなかったので、とくに気合を入れて臨みました。

──結果として大賞を受賞し、開発支援金50万円もいただけたと。そのお金を使い、これまでの出展費などに充てたのですね。開発支援金はほかのことも使いましたか?

ますだ:これまで僕はMacBookで開発していて、Windowsを使ったビルドができていませんでした。なので、Windows機が必要だろうというメンバーの後押しもありまして、PCを買っています。残りのお金は、今後のイベント出展やリリースに向けて必要な機材などが出てきたら使おうと思います。

自分たちが作ったゲームで賞を取り、多額のお金をいただける経験は初めてでした。資金があると心にゆとりが生まれますし、出展のためにバイトを増やすなどしなくて済むのが本当にありがたいです。

──大きな括りでいうとゲームイベントではありますが、ほかの出展イベントと毛色が異なるなと感じたのがLANパーティの「C4 LAN」です。このイベントの反応はいかがでしたか。

ますだ:2018年のデジゲー博に出展しているとき、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンさんからお誘いいただいてC4 LANに出ることになりました。C4 LANでは「GALLERIA GAMEMASTER Challenge」ブースで出展させていただきました。同ブースではほかにもインディーゲームが出展されていましたが、それらよりも全然人気が出ず、悔しい思いをしました。

出展時の『シューフォーズ』は今と比べると遊びに深みのない出来栄えで、そのことに気付けたのがC4 LANです。イベント終了後は悔しさをバネにより改良を重ねるようになり、今の『シューフォーズ』を形成する要因の一つになりました。

▲C4 LAN出展時の様子

──出展してもっとも思い出に残ったイベントを教えてください。

ますだ:出展するインディーゲーム開発者それぞれが主催となる珍しいイベント「東京電脳特区」が印象に残っていますが、岐阜県岐阜市で開いたイベント「ぜんため」も同じくらい思い入れがあります。ぜんための出展エリアは商店街と地下があり、事前にどちらを優先して出展したいかを申請することになっていました。僕は商店街のほうが人通りも多いだろうと踏んでそちらを選んだのですが、8月の岐阜県は想定外に暑かったですね……! いろいろなハプニングがありつつも、お客さんたちと仲良くなりつつ楽しんでもらえたのは記憶に深く残っています。

▲ぜんため出展時の様子

アクタロ:BitSummit後にすっごい泣いてた話はしないの?

ますだ:あれ言うの恥ずかしいんだよ……。えーと、振られてしまったので話しますが、BitSummitは『シューフォーズ』が認められたように実感できた初めてのイベントだったんです。イベント出展期間も2日と長く、ほかの開発者さんたちともお話できたこともあり、濃密な経験でした。帰りのバスでそのことを思い出していたら感極まってしまい、ずっと泣いていました(苦笑)。

アクタロ:それを見ていたら、僕ももらい泣きしちゃいました(笑)。

──ますださん以外はいかがですか。

Sado:僕たちは直接関わっていないのですが、ファンの方に大会を開いていただいたことです。ちゃんと世間からゲームとして認められた・受け入れられたのだと感じ、これを機にモチベーションが一気に上がりました。

▲ファンの方が開いた大会

Syncfloat:僕としてはTGSです。小学生のときに初めてTGSに行って「こんな大きな場所にどこもかしこもゲームだらけ! すげー!」と感動したのをずっと覚えていまして。TGSの審査に通った知らせを聞いたときは「あのイベントに自分たちが出展する側に立てる! 生きててよかった!」と感慨深くなりました。

東京電脳特区も思い出深いです。『シューフォーズ』の大会を開き、アクタロと一緒に司会を務めたこのイベントは死ぬほど楽しかったです。僕らのゲームで楽しんでくれる人たちがこんなにいるのだと間近で感じられ、ゾクゾクしました。

▲TGS出展時の様子

アクタロ:僕も東京電脳特区が印象的ですね。プレイヤーだけでなく観客の方々と一緒に盛り上がれたのは最高の体験でした。同イベントでは入場者特典として缶バッジを配布しており、そのデザインを僕に任せてもらえたのも思い出に残っています。この経験で、自分のイラストに自信が持てるようになりました。

▲東京電脳特区では、入場券代わりの缶バッジをデザインした

ますだ:東京電脳特区での盛り上がりは皆のモチベーションにつながっています。製品版でもあのときを超える白熱した対戦ができるようにするにはどうしたらいいか、今でも考えながら作っています。

▲大会は1フロアほぼすべてが観客で埋まるほど注目を集めた

──イベント出展時に工夫していることはありますか?

ますだ:『シューフォーズ』は1プレイ5分もかからずに終わる設計なので、もとから試遊向きなタイトルです。なので、試遊版などは作らずそのままの状態のものを遊んでもらっています。

あとは、2019年のBitSummitからコロナ禍になるまではメンバーによる実況を行い、得点が入ればタンバリンを鳴らして場を盛り上げるようにしていました。楽しそうにプレイしてもらえるので、こちらとしては非常に幸せな気持ちになりますね。

Syncfloat:方向キーと2つのボタンで遊べるので、そこだけ説明してあとは自由に楽しんでもらうよう心がけていました。誰でも簡単に遊べることを体感してもらいたくて。

ますだ:ゲーム内のチュートリアルがきちんと理解されるかもチェックしているので、説明は必要最低限にとどめているやり方は良いと思います。

▲試遊中に実況を付けて場を盛り上げるブイブイラボのメンバー

アクタロ:展示スペースに設置するポップなどに関しては開発ペースに影響が出ないよう、イベント前日にガッと作ってしまいます。スペースを飾る際に気を付けている点としては、とにかく「にぎやかさ」を演出すること。目に入りやすくすると自然と注目されるようになったり、ゲーム慣れしていない方やお子さん連れの方にも気軽に試遊してもらえたりするようになります。

▲制作したポップ

──コロナ禍の状況でイベント開催は厳しいかもしれませんが、今後のイベント出展予定はいかがでしょうか。

ますだ:今のところイベント開催の話を聞かないので、ゲーム開発に集中したいと思います。製品版をリリースして、新型コロナウイルスも落ち着いたらオフライン大会を開けたらうれしいですね。

『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』について

──『シューフォーズ』の紹介をお願いします。

ますだ:1対1で戦うUFO対戦アクションスポーツです。パンチと「シューシュー」(トラクタービーム)を使ってアイテムを奪い合い、ゴールに入れると勝利するシンプルなルールのゲームです。

▲『シューフォーズ』の紹介PV

──キャッチーなドット絵でローカル対戦がメイン、そして学生チームが制作したインディーゲームというと『BATTLLOON - バトルーン(以下、バトルーン)』が思い浮かび、『シューフォーズ』に近いものを個人的に感じています。実際に『バトルーン』は参考にしたのでしょうか。

ますだ:はい、影響をかなり受けています。2018年にブイブイラボを結成してからデジゲー博に申し込んだものの、どんなゲームを作るかまだ決めていませんでした。そんなときに、TGSで『バトルーン』を試遊して皆で盛り上がったことに衝撃を受けました。また、ローカル対戦ゲームの音楽格闘ゲーム『PHRASEFIGHT(フレーズファイト)』も参考にしています。この2本が、『シューフォーズ』をローカル対戦を主にしたゲームにしようと思ったきっかけですね。

──皆さんがそれぞれ担当した箇所で、推したいところを教えてください。

アクタロ:とにかくキャラがかわいいところです! 各キャラに使う色だけはますだからオーダーがあるので、それに合うようにデザインしています。主人公のルルちゃんはとくに推しですね。描いた自分が言うのもなんですが、どのキャラもかわいいです。しかし開発してから2年も経つことで自分の腕が上がり、初期に描いた絵と今の絵ではクオリティに差が出てしまって統一感が崩れてきているのが悩みではありますが...…。

▲主人公のルルちゃん

Sado:僕は『シューフォーズ』に足りない機能の追加などを担当しているので、そういった独自性のあるものは思い浮かばないかなぁ。

ますだ:バトルシステム、キャラクターの性能・挙動など、ゲームの各パーツは僕が作れるのですが、それらをゲームとして通して遊べるよう一つにまとめあげるのは本当に苦手です。そういった部分をSadoにやってもらっています。彼がいないとゲームとして成り立っていませんね。あと、Sadoがこっそり隠しキャラを入れています。出現条件は隠しているので、製品版を遊ぶときはぜひ見つけて楽しんでください。

Syncfloat:『シューフォーズ』らしさが詰まった曲が、タイトル画面に流れるテーマソング。ぜひ聞いてほしいですね! この曲ができてから『シューフォーズ』の世界に合う曲を見つけられるようになりました。

ますだ:効果音・楽曲を含めた音源は、ほぼすべてSyncfloatに作ってもらったのもアピールポイントですね!

Syncfloat:全部自作できればいいのですが、2つだけフリー音源を使っています。具体的に言うと、ターゲットをゴールに入れたときの音と、歓声の音。どちらも悩んでいます……。

▲テーマソングが流れるPV

ますだ:僕は『シューフォーズ』の色彩が気に入っています。目が痛くなるくらいビビッドな色味が好きで、グラフィックの彩度を限界まで上げています。バキッとしたビジュアルが最高で、いつ見ても惚れ惚れします。

──『シューフォーズ』はローカル対戦がメインのゲームですが、ネット対戦は可能でしょうか。

ますだ:僕らの技術ではネット対戦機能の導入は難しいと考えており、開発当初から入れる予定はありませんでした。しかしファンの方から要望が多く寄せられ、パブリッシングを担当していただける企業さんからも強い後押しを受けているので、制作できないか探ってみたいと思います。

──2020年のデジゲー博出展時には、一人用のストーリーモードが追加されていました。なぜ追加するようになったのですか。

ますだ:CPU戦の実装が難しく、開発スタート時には用意するつもりはなかったのです。しかし僕もアクタロと同じく開発中に腕を上げていたみたいで、あるとき思いついて組んでみたらCPU戦が実現可能になりました。そこから、ストーリーモードを追加するようになりました。

アクタロ:僕がストーリーモードを主に担当しています。デジゲー博出展時にはストーリーを7割ほど作っていたのですが、全部没にしました(苦笑)。

──それはなぜでしょうか。

アクタロ:当時はノベルパートとバトルを順に繰り返す仕様だったのですが、試遊の様子を眺めるたび「ノベルパートが長すぎてバトルに移行するまで時間がかかりすぎ……!!」と頭を抱えてしまいまして。

ますだ:ですので、いったん白紙に戻して違った形で展開するようにしています。

▲リメイク中のストーリーモード画面

──作り直しているストーリーモードについて教えてください。

アクタロ:現在検討中ですが、「読み物」と「遊び」の調和が取れたモードになるよう目指しています。ゲームを楽しみながら、『シューフォーズ』の世界観にも触れられるようなものになると思います!

──キャラの性能とキャラ同士の強さのバランスで苦労していそうです。

ますだ:僕がキャラ性能の調整を担当しています。最初のほうに実装したルルちゃんはバランスタイプ、アキュートちゃんはスピードタイプ、アダムスちゃんはパワータイプと、スタンダードな性能差で個性を演出しています。残りの3キャラは性能差で個性を出してしまうと、先ほどの3キャラが目立たなくなります。そのため、別の部分で個性を出すようにしていますが、調整になかなか手間取っています。2キャラまではおおよそ特徴が固まりましたが、残り1キャラは絶賛開発中です。

Syncfloat:2019年のTGSのときにDr.ガウを初お披露目したとき、あまりに強くて開催期間のうち2日目以降は徐々にナーフしてたね(笑)。

アクタロ:僕たちが『シューフォーズ』に慣れ過ぎてしまったからか、調整がうまくいっていなかったのだと思います。ゲームイベントは、テストプレイの意味も兼ねて出展しています。

ますだ:昨今は出展が難しいので外部の方を募り、テストプレイに協力してもらえる体制を整えられたらと思っています。

▲遠距離攻撃が可能な代わりにシューシューの範囲が狭いDr.ガウ(左側)とオブジェクトに手裏剣を刺せるニンニン

──ステージ上に出現するアイテム・ターゲットのモチーフ決め方について知りたいです。

アクタロ:スタート時の担当は僕だったので、僕から説明しますね。アイテム・ターゲットは『塊魂』を意識していて、どういったモノを採用すべきかという着眼点やシュールさを参考にしています。

また、開発時に流行ったモノも適時実装しています。ハンドスピナーとかタピオカとか(笑)。せっかくの対戦ゲームなので、対戦相手と話が弾むようなツッコミどころがあるモノを多く取り入れています。今は黒と緑の市松模様が入ったアイテムを入れたいですね。(笑)。

ますだ:2019年に開催したTOKYO SANDBOXでは、ちょうど令和を迎えたこともあり、「令和」と書かれた墨書をターゲットとして実装しました。フットワークが軽いとメディアさんに褒められてうれしかったですね(笑)。

▲TOKYO SANDBOXで実装した「令和」

──ステージも複数用意していますが、各ステージの違いを教えてください。

ますだ:『シューフォーズ』に登場するキャラそれぞれをイメージした6個のステージを用意しています。ステージ内のギミックはそれぞれ異なり、Dr.ガウのステージだと貨物船が横切り、アダムスのステージだと水が噴き出し、プレイヤーを妨害します。

Syncfloat:BGMもキャラになじむようにしているので、ステージのBGMでありつつもキャラソングであるように目指して作りました。

▲キャラ、ステージ背景、BGMの一体感が生まれるように注力したという(6ステージ目は制作中)

──パブリッシャーさんはすでに決まっているのでしょうか。

ますだ:Twitter経由でお声がけいただいたパブリッシャーさんに決まっています。僕たちのことを熟知していましたし、ゲームイベントで直接お会いしたときには熱意を持って接してもらえました。どこまで開発が進んだら相談するべきなのかわからなかったところに声をかけていただいたので、ありがたく思っています。

また、技術的な問題が出たらサポートもしてくれるとの話も伺ったので、安心して開発できるのもうれしいですね。

──開発者目線でパブリッシャーさんに期待していることはありますか。

ますだ:メイン開発以外の諸々に手が回っていないので、サポートいただけると助かりますね。多国語対応ですとか、国内外への宣伝・販促などなど……。Steam版『シューフォーズ』ストアページのウィッシュリストを見ると、海外の方もちらほら登録していただいているのですが、プッシュが足りないと感じています。とくに海外向けへのPRはお願いしたいです。

もっと言えば、先ほど申し上げた技術的なアドバイス・サポートもあれば助かります。

──『シューフォーズ』の発売時期は決まっているのでしょうか?

ますだ:より良いものを皆さんにお届けしたい一心で、現在ブラッシュアップを重ねております。2021年内にリリースできるよう、チーム一同がんばっています!

──『シューフォーズ』をリリースするプラットフォームを教えてください。

ますだ:先ほどお話したSteam以外だと、Nintendo Switchでのリリースも視野に入れています。

──Nintendo Switchでリリースしたい理由は?

ますだ:Joy-Conをおすそわけして2人プレイが可能になることです。おすそわけはローカル対戦ゲームと相性が良く、『シューフォーズ』の魅力が伝わりやすいプラットフォームだと考えています。『シューフォーズ』は子どもにも楽しんでもらいたいゲームなので、Steamだと届きづらいというのもあります。

──『シューフォーズ』をリリースしたあとの話になりますが、発生した売上をどうやって分けるのかはもう決めましたか。

ますだ:きちんとした話はしていないですね……。そろそろ皆で話し合うべきだと思っています。

アクタロ:データ量に応じて取り分を決めようかと話したこともあります(笑)。

Syncfloat:音楽はいくらでもデータ量を増やせるので9割もらえるぜ! などと言っていました(笑)。

Sado:こんな冗談を交わすくらいで、具体的な話は進んでいないですね(苦笑)。

まとめ:ブイブイラボでゲームを作っていきたい思いは合致

──ブイブイラボの皆さんと同年代の若い開発者さんは少ないと思います。皆さんが意識している・尊敬している同年代の開発者さんを教えてください。

ますだ:話に挙げた『フレーズファイト』を作った、「超OK」の「クルステ」さんです。クルステさんはパワーに満ちあふれた方で、ゲームをリリースするペースもすごく早い。僕はクルステ狂と言えるくらい彼と彼のゲームが好きですし、ゲーム開発に対するスタンスなども影響を受けています。

Sado:同年代ではありませんが、『洞窟物語』の作者である天谷大輔さんを尊敬しています。Team EMERのときはコンパクトなシステム作りをしたいと心がけていて、そのときに参考になる部分はないかとよく観察していたのが『洞窟物語』でした。

アクタロ:同年代で言ったら『バブルパフ』の「DARANDY」さん。とにかくイラストが素敵でSNSでの求心力もある方なので、意識しちゃいますね。精力的に活動している姿勢も尊敬しています。勝手にライバル視していて、いつか追いつけるようがんばりたいです。

Syncfloat:同年代でゲーム音楽作っている人が少ないっぽいので、あまり思いつかないですね……。年齢関係なくライバル視している方は、『星のカービィ』シリーズの「石川淳」さん。僕が『星のカービィ』シリーズが好きですし、BGMも効果音も作っている存在として一方的に対抗意識を燃やしています。

──大学卒業を控えるメンバーも多いのでお聞きしたいのですが、今後の進路に関して皆さんの考えを教えてください。

ますだ:ブイブイラボでゲームを作り続けてきたことで、ゲーム制作における自分の得意分野が見えてきました。ゲーム開発で食べていく、独立という形も少しだけ現実味を帯びてきたような気もします。

といってもいきなり独立は難しいのかなとも思っていて、プランナー志望で就職活動も始めています。大学は実質留年みたいなものなので、ほかのメンバーより遅れを取りますね……。ちなみに卒業制作は今年出してもOKなので作っていました。卒業制作展では「僕だけ卒業できないのかぁ~」と疎外感を感じるのは必至なので、今から胃がキリキリしています(笑)。

Sado:僕はゲーム開発やIT分野のことを仕事にしようとはあまり考えていません。ブイブイラボの規模感や動き方が自分に合っていて、それ以上の大きなプロジェクトに参加できるビジョンが思い浮かばないのが理由ですね。本職は別で持ち、趣味の延長線上のような形でブイブイラボに関わり続けたいと思っています。

アクタロ:ゲーム会社で働こうと思い就職活動をしていまして、2021年の春からプランナーとして働くことになりました。まずはしっかりゲーム作りのノウハウを学びたいですね。プランナーを目指す方は多いと思うのですが実際に作った方は少ないようで、ゲームを作ったこと自体を評価していただくことが多かったように感じました。チームで作ったことも影響していたかもしれません。

Syncfloat:大学院に進むことは決めていて、その先のことはここ2年以上悩みっぱなしです(笑)。ゲーム会社に就職できればいいのですが、物理系の学科なのであまりゲーム楽曲と関係ないんですよね……。どんな道に進んだとしても、音楽は作り続けるつもりです。

──ゲーム開発の魅力を教えてください。

ますだ:生きた証を世の中に残せることです。僕たちの人生で得たものがすべてゲームにアウトプットされ、僕たちが死んでも作ったゲームは残り続けます。そんなゲームが皆さんの手にわたることはとても感動的なことだと思っています。

Sado:チーム開発の魅力の話になりますが、一人ではとても作れないような大きな作品に携われることです。自分の場合、一人だと一つの作品に対してそこまで力を注げません。こうした共同作業だと皆のおかげでやる気も出てきて集中できます。

アクタロ:いろいろな人とつながる機会が増えることでしょうか。ブイブイラボのメンバー+3人で「Unity1週間ゲームジャム」というイベントに参加できましたし、ゲームイベント出展時などに開発者さんや試遊していた方たちともお話できました。普段は話すのが苦手な僕でも、ゲーム制作を通じてならここまで交流できるようになった点は、ゲーム開発の大きな魅力です。

▲Unityを使って1週間でテーマに沿ったゲームを作るイベント「Unity1週間ゲームジャム」では、『密密(ひそひそ)-ステルスタイピングゲーム』を開発・公開した

Syncfloat:ゲーム内の楽曲は記憶に残りやすく、かなり昔にプレイしたゲームの楽曲だとしても、今も口ずさめるという方は多いですよね。これは、ゲーム内の世界に漂う雰囲気は楽曲によって決まり、ゲーム体験とセットで結びつきやすいからだと思っています。言語化するのは難しいのですが、ゲームに深みを与え、プレイヤーの記憶に残せるところがゲーム楽曲の良さで、僕が魅力に感じている点です。

──『シューフォーズ』をリリースしたあと、ブイブイラボの活動は継続しますか?

ますだ:メンバーの皆はまたゲーム開発がしたいと言ってくれているので、続けていこうと思っています。新たに誰か迎えるなどしながら、ゲーム作りを楽しみたいです。

「インディードリーム」とはよく聞く言葉ですが、初めてその言葉を実感できた出来事が『天穂のサクナヒメ』の大ヒットでした。同ゲームを制作した「えーでるわいす」さんは老舗サークルで、実力も僕たちとは段違いに高いのですが、企業でなくても世間に響くゲームは作れるのだと感じました。そういったゲームに勇気や刺激をもらえたので、僕たちもチャレンジを続けていきたいですね。

©2018-2021 vvlabo

『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/1277870/SUPER_UFO_FIGHTER/


『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』
ジャンル:スポーツ対戦アクションゲーム
発売日:2021年予定
プラットフォーム:Steam(Windows/Mac)
ゲームモード:ストーリーモード、対戦モード
プレイヤー数:1~2人
価格:未定

『シューフォーズ-SUPER UFO FIGHTER-』 Webサイト
http://vv-labo.com/ufosports-jp/
ブイブイラボ Twitter
https://twitter.com/vvlabo
ますだたろう Twitter
https://twitter.com/succeed_msd
椎名アクタロ Twitter
https://twitter.com/shina_akutaro
Syncfloat Twitter
https://twitter.com/siinnncccc
Sado Twitter
https://twitter.com/sadous65
【連載】インディーゲーム開発者インタビュー

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