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「Worlds 2019」グループステージ直前! 韓国LCK代表3チームの強さを探る
『League of Legends』のプロシーンを語る上で、決して外せない地域が韓国「League of Legends Champions Korea」、通称「LCK」だ。
2013年、いまなお世界一のプレイヤーと呼ばれる天才、Fakerを擁するSK TelecomT1が「Worlds」を制してから2017年まで、チームは入れ替わるものの韓国代表チームが世界大会5連覇を達成。世界最強地域の名を欲しいままにし、「Worldsで優勝することよりもLCKで優勝するほうが難しい」と呼ばれるまでの王朝を築き上げた。
しかし昨年、ついに最強リージョンの牙城が崩れ、中国代表のInvictus Gamingが優勝。連覇を逃した韓国勢は、2017年覇者のGen.G(当時のチーム名はSamsung Galaxy)がグループリーグでまさかの最下位に沈み、ベスト8に残ったAfreeca Freecs、KT Rolsterもそれぞれ準々決勝で敗退と内容も悪く、惨憺たる結果だったと言えるだろう。
2018年の「Worlds」はパッチの影響でゲーム展開が早く、シンプルかつ自分たちの強みを押し付けるというメタゲームだったのに対し、韓国勢の強みは相手の作戦への対応力やリスクの少ない戦い方と、メタとは正反対の部分にあった。このギャップを埋めることができなかったことが、昨年の韓国勢の不振につながったと思われる。
さて、2019年の「Worlds」、韓国勢は昨年の雪辱を晴らし再び最強リージョンの名を取り戻すことができるのか、という疑問が皆さんの中にはあるだろうが、私は「十分に可能性がある」と思っている。
もちろん2013〜2017年の期間と比べると、韓国のレベルが落ちたというよりは世界のレベルが上がってきているので、「Worlds」優勝は簡単なことではない。が、王座奪還に十分な可能性をもった3チームが代表に選出され、見事に3チームともグループステージに進出を果たしている。
それでは、1チームずつ見ていこう。
主な大会成績
LCK Spring 優勝
MSI 3位タイ
LCK Summer 優勝
ロースター
トップ Khan
ジャングル Clid
ミッド Faker
ADC Teddy
サポート Effort
『LoL』の競技シーンを見る人なら知らない人はいないだろう、世界大会3回優勝の王者がついに「Worlds」に帰ってきた。
一昨年は「Worlds」決勝で敗れ涙を飲み、再起を誓った昨年はチーム内での若返りを図ったもののうまくいかず、結果韓国代表の3枠に入ることもできなかった。
2大会連続「Worlds」不出場は許されないSKTは今シーズン、Faker、Effort、Leoを除くすべてのプレイヤーを入れ替えるという大幅なチーム改革を行った。
スターぞろいのLCKトップレーナーの中でも最強に推す声も多いKhan、LPLで評価を上げた攻撃的ジャングラーClid、下位チームJinAirで奮闘していた不死身のADC Teddy、そしてライバルKT Rolsterから世界大会優勝経験をもつMata。他にもCrazy、Haruといった外部から優秀なプレイヤーを次々と獲得し、まさにLCKオールスターを呼ぶべきロースターを作り上げたのだ。
このチームの強みは主に2点ある。
1つ目は3人のキャリー、トップのKhan、ミッドのFaker、ADCのTeddyの全員がチームを勝利に導けるだけのポテンシャルを持っていること。多くのチームは得意な戦い方や強いサイド、弱いサイドを持っていて、それに基づいて作戦を立て、遂行する。しかし、今年のSKTはすべてのレーンがゲームをキャリーできる強さを持っているので、選択できる作戦の幅が莫大になるのだ。
2つ目は精神面と組織力の強さ。夏シーズン、SKTは「MSI」疲れもあってか連敗が続き、夏のプレーオフ出場も危ぶまれていた。しかしシーズン中盤以降にきっちりとチーム状態を立て直すと、そこからは連勝街道を邁進しギリギリでプレーオフ進出を決める。
プレーオフでは「キングオブヒル方式」と呼ばれる、下位側が圧倒的に不利なトーナメントを一番下から勝ち上がって優勝をなしとげた。そのパフォーマンスは圧巻の一言で、自分たちはミスをせず、相手のミスをきっちり咎めて勝つという横綱相撲っぷりだった。
勝ち方を知っているチームスタッフに、勝ち方を知っているプレイヤーが加わって、今季のSKTは「Worlds」優勝に一番近いチームといってもいいだろう。
スタッツ
KDA 3.3
キル関与率 62.3%
ダメージシェア 26.0%
チャンピオンプール
アジール、コーキ、アカリ、ニーコ など
世界最高のプレイヤーと称される天才ミッドレーナー。近年はミッドを徹底的にマークされる展開が多く、守備的なピックを強いられていた。Khan、Teddyという両翼を手に入れた今シーズンはアジール、コーキといったDPSタイプ、ニーコやサイラスといったユーティリティタイプ、アカリやキヤナ、ルブランといったアサシンタイプと、様々なスタイルのチャンピオンを自由にピックできるようになり、再び輝きを取り戻した。
ファーム重視のチャンピオンをピックした際にサイドへの動きが鈍いといった欠点が指摘されることもあったが、「Worlds」ではそれらのチャンピオンがあまりメタには上がらなさそうなこともあって、不安はほぼないと言っていいだろう。
スタッツ
KDA 6.0
キル関与率 63.9%
ダメージシェア 29.5%
チャンピオンプール
ヴァルス、ザヤ、シヴィア、エズリアル など
JinAirGreenWingsというLCKでは下位のチームからの移籍ということで、実績面を一部ファンの間では不安視されていたが、今季SKTに移ってその実力が本物だということを自ら証明してみせた。
彼の特徴はなんといってもデスの少なさで、シーズン9全体で見ても1試合平均デッド数がたったの「1」しかない。これはメインのスターターとして試合に出ている世界中すべてのプロプレイヤーのなかで最も少ない数字だ。
中でもエズリアルのパフォーマンスはすさまじく、ピックした試合でのKDAは17.7と驚異的なスタッツを残した。「Worlds」パッチではやや評価が下がっていそうなチャンピオンだが、その分バン漏れする機会も増えそうなので、ここぞというときに彼がエズリアルを出すのかも注目だ。
主な大会成績
LCK Spring 2位
LCK Summer 2位
ロースター
トップ Doran
ジャングル Tarzan
ミッド Chovy
ADC Viper
サポート Lehends
Griffinは2018年の夏シーズンにLCK1部に昇格したばかりの新しいチームだ。昇格直後にもかかわらず開幕からマッチ6連勝を果たし、そのままの勢いでレギュラーシーズンを2位で終える。プレーオフ、リージョナルファイナルではどちらも決勝で負けてしまい、「Worlds2018」の切符は逃したものの、ファンに強烈なインパクトを与えた。
多くのLCKチームのロースターが変更になった2019年、Griffinは1人もスターターが変わらずにシーズンをスタート。培ったチームワークを活かして春、夏ともにレギュラーシーズンでは1位となるものの、どちらもプレーオフ決勝でSKTに敗れシーズン制覇とはならなかった。
このチームの強みは、作戦遂行能力の高さだろう。
基本的に集団戦を好むチームで、ADCのViper選手にダメージディーラーを担わせ、ミッドのChovy選手にユーティリティ系のチャンピオンを使わせることが多いのだが、どんなピックにしたにせよ、自分たちの構成の強みが活かせるタイミングや環境を作り出すことが得意だ。
それを支えているのがジャングルのTarzan選手。ガンクやカバーのうまさはもちろんだが、不利なマッチアップのときに序盤をごまかす能力にも長けている。彼のこの能力のおかげで、Griffinは相手チャンプとの相性抜きに、自分たちの構成にマッチしたジャングルチャンピオンをピックできるという恩恵にあずかっている。
また、Griffinはゲーム内でのコール量も非常に少ないことで知られている。夏シーズン中盤からSword選手に代わって新人のDoran選手が出場しているが、昨年からほぼ同じメンバーで固定してプレイしてきていることもあって、わざわざコミュニケーションを取らずともスムーズに連携が取れるというわけだ。
昨年から課題のBo5(3試合先取)の脆さや、プレイヤー全員が若いうえ、初めての世界大会である点など不安要素はあるものの、チームワークと個人技のどちらも世界最高水準のものを持っており、実力を出し切れれば「Worlds」優勝も現実的と言えるだろう。
スタッツ
KDA 5.6
キル関与率 71.8%
視界スコア 1.98/分
チャンピオンプール
セジュアニ、オラフ、ジャーバンIV、エリス など
世界最高のジャングラーとの呼び声も高いGriffinのエースプレイヤー。ソロQフリークとしても知られており、世界最高レベルといわれる韓国サーバーにおいて、トップ10位内に複数のアカウントを所持していたというとんでもない実績を持つ。
リデンプション・オラフを採用したり、イブリンをプレイしたりとピック幅は広いが、韓国のジャングラーにしてはめずらしくあまりリー・シンを好まないという、ちょっと変わったプールの持ち主。
度重なるナーフを受けてもセジュアニを愛好し続けるプレイヤーだが、パッチ9.19でさらなる弱体化を受けた彼女を「Worlds」でも登用しつづけるのか、あるいは他の手札を用意してくるのか。プレイだけでなくピックにも注目したいプレイヤーだ。
スタッツ
KDA 5.0
キル関与率 59.7%
ダメージシェア 22.3%
チャンピオンプール
サイラス、イレリア、エイトロックス、アカリ など
GriffinのエースがTarzan、ポイントゲッターがViperだとすると、Chovyは扇の要、ミッドレーンを守る守護神といってもいい存在。
彼の特徴は何と言ってもレーンの強さで、15分までの対面とのCS差は平均+9と、LCKのミッドレーナーの中では堂々の1位。それでいてデスが少ないことでも有名で、シーズン中はKDAが100を突破し話題を呼んだ。
彼がレーンフェイズではミッドレーンを安定させることで、Tarzanが自由に動けるスペースを増やし、いざ集団戦となるとイニシエートやアグロピンポンで相手を翻弄する。
問題は上にも載せたピック上位4体が全てナーフを受けてしまったという点だ。
新しいカードが上手く機能するのか、あるいは上手くいかないのか、チームの浮沈は彼のプールにかかっている。
主な大会成績
LCK Spring 4位
LCK Spring 3位
LCKリージョナルファイナル 優勝
ロースター
トップ Nuguri
ジャングル Canyon
ミッド ShowMaker
ADC Nuclear
サポート BeryL
今年から1部に昇格したGriffin同様新しいチーム。同時に昇格したSANDBOX Gamingと共にLCK1部で暴れまわり、1期先輩のGriffinと合わせてLCKに新旋風を巻き起こした。
レギュラーシーズンでいうと春は5位、夏は2位と着実に力をつけてきている。SKTなどと比べるとまだ成長途上のチームともいえるかもしれない。
リージョナルファイナルでは破竹の勢いでトーナメントを駆け上がってきたKingzone Dragon Xを下し「Worlds」行き最後の切符を手にした。
このチームの特徴はなんといっても個人技の高さだろう。韓国ラダートップ10位内にスターター全員がランクインするという、SKTがLCKオールスターならDAMWON GamingはソロQオールスターとでもいうべきチームなのだ。
中でもトップのNuguri選手は2部時代からその圧倒的なレーンの強さで知られており、得意チャンピオンのジェイスはほぼ毎試合バンされるほど。ミッドのShowMaker選手もプレイメーカーとして知られており、この2人の強さを生かしてジャングルのCanyon選手が相手の領域を侵害していくというのが、DAMWON Gaming得意のスタイルだ。
若く勢いがあるという点ではGriffinと似ているが、サブメンバーにはFlame選手やPanch選手といった実績のあるプレイヤーが控えており、Kimコーチは前チームが昨年の世界覇者、Invictus Gamingと、バックアップ面の不安はより小さいと言っていいだろう。
このチームは第3シードのためプレイインステージから登場することになるが、はっきり言ってDAMWON Gamingはそのレベルにはない。グループステージ進出はもちろん、パリの決勝の舞台に立っていても何ら不思議ではない爆発力を持ったチームだ。
スタッツ
KDA 3.4
キル関与率 65.7%
ダメージシェア 30.4%
チャンピオンプール
ジェイス、カミール、ブラッドミア、フィオラ など
超攻撃的トップレーナー。この夏のメタでダメージシェア30%を越えるトップレーナーというのははっきりいって異常で、Nuguriのパフォーマンスの高さが数値面からでも見て取れる。特にブラッドミアとジェイスのパフォーマンスは圧倒的で、対戦相手は対策必須だろう。
一見リスク度外視のプレイをするので、ファーストブラッドの被害者になることも多く、時には相手のジャングルにキャンプされて極端なフィードをすることもあるが、最終的にはカムバックしてチームをキャリーする底力も持っている。
「Worlds」では一層マークがきつくなることが予想されるが、今のトップレーンはキャリーできるチャンピオンも多いので、DAMWON Gaming戦はNuguriを巡る攻防から目が離せない。
スタッツ
KDA 7.2
キル関与率 70%
ダメージシェア 23.3%
チャンピオンプール
コーキ、アカリ、ルブラン、カミール など
元々カタリナの名手として有名で、DAMWON Gamingが1部への昇格をかけたプロモーションシリーズでもゾーイのカウンターとしてピックしたというエピソードを持つ。さすがに今シーズンは公式戦でのカタリナのピックはないものの、アカリ、ルブラン、カミール、イレリアといった高機動チャンプを使いこなすキャリータイプのミッドレーナー。
ソロキル10回はFakerをも上回るLCK2位。攻撃的にプレイしているのに被ファーストブラッド率はリーグ最低の2.3%と、スタッツも彼のフィジカルの高さを裏付けている。
安全なマークスマンが軒並みナーフを受けたパッチ9.19のメタで、ShowMakerのアサシンが育てば、どんなチームにとっても脅威の存在となるだろう。
■関連リンク
SK Telecom T1 Twitter
https://twitter.com/T1LoL/
Griffin Twitter
https://twitter.com/TeamGriffinLoL/
DAMWON Gaming Twitter
https://twitter.com/DamwonGaming/
2013年、いまなお世界一のプレイヤーと呼ばれる天才、Fakerを擁するSK TelecomT1が「Worlds」を制してから2017年まで、チームは入れ替わるものの韓国代表チームが世界大会5連覇を達成。世界最強地域の名を欲しいままにし、「Worldsで優勝することよりもLCKで優勝するほうが難しい」と呼ばれるまでの王朝を築き上げた。
しかし昨年、ついに最強リージョンの牙城が崩れ、中国代表のInvictus Gamingが優勝。連覇を逃した韓国勢は、2017年覇者のGen.G(当時のチーム名はSamsung Galaxy)がグループリーグでまさかの最下位に沈み、ベスト8に残ったAfreeca Freecs、KT Rolsterもそれぞれ準々決勝で敗退と内容も悪く、惨憺たる結果だったと言えるだろう。
2018年の「Worlds」はパッチの影響でゲーム展開が早く、シンプルかつ自分たちの強みを押し付けるというメタゲームだったのに対し、韓国勢の強みは相手の作戦への対応力やリスクの少ない戦い方と、メタとは正反対の部分にあった。このギャップを埋めることができなかったことが、昨年の韓国勢の不振につながったと思われる。
さて、2019年の「Worlds」、韓国勢は昨年の雪辱を晴らし再び最強リージョンの名を取り戻すことができるのか、という疑問が皆さんの中にはあるだろうが、私は「十分に可能性がある」と思っている。
もちろん2013〜2017年の期間と比べると、韓国のレベルが落ちたというよりは世界のレベルが上がってきているので、「Worlds」優勝は簡単なことではない。が、王座奪還に十分な可能性をもった3チームが代表に選出され、見事に3チームともグループステージに進出を果たしている。
それでは、1チームずつ見ていこう。
SK Telecom T1(LCK Spring 1位)
出典:T1 LoL Twitter(https://twitter.com/T1LoL/status/1168295518524428288)主な大会成績
LCK Spring 優勝
MSI 3位タイ
LCK Summer 優勝
ロースター
トップ Khan
ジャングル Clid
ミッド Faker
ADC Teddy
サポート Effort
『LoL』の競技シーンを見る人なら知らない人はいないだろう、世界大会3回優勝の王者がついに「Worlds」に帰ってきた。
一昨年は「Worlds」決勝で敗れ涙を飲み、再起を誓った昨年はチーム内での若返りを図ったもののうまくいかず、結果韓国代表の3枠に入ることもできなかった。
2大会連続「Worlds」不出場は許されないSKTは今シーズン、Faker、Effort、Leoを除くすべてのプレイヤーを入れ替えるという大幅なチーム改革を行った。
スターぞろいのLCKトップレーナーの中でも最強に推す声も多いKhan、LPLで評価を上げた攻撃的ジャングラーClid、下位チームJinAirで奮闘していた不死身のADC Teddy、そしてライバルKT Rolsterから世界大会優勝経験をもつMata。他にもCrazy、Haruといった外部から優秀なプレイヤーを次々と獲得し、まさにLCKオールスターを呼ぶべきロースターを作り上げたのだ。
このチームの強みは主に2点ある。
1つ目は3人のキャリー、トップのKhan、ミッドのFaker、ADCのTeddyの全員がチームを勝利に導けるだけのポテンシャルを持っていること。多くのチームは得意な戦い方や強いサイド、弱いサイドを持っていて、それに基づいて作戦を立て、遂行する。しかし、今年のSKTはすべてのレーンがゲームをキャリーできる強さを持っているので、選択できる作戦の幅が莫大になるのだ。
2つ目は精神面と組織力の強さ。夏シーズン、SKTは「MSI」疲れもあってか連敗が続き、夏のプレーオフ出場も危ぶまれていた。しかしシーズン中盤以降にきっちりとチーム状態を立て直すと、そこからは連勝街道を邁進しギリギリでプレーオフ進出を決める。
プレーオフでは「キングオブヒル方式」と呼ばれる、下位側が圧倒的に不利なトーナメントを一番下から勝ち上がって優勝をなしとげた。そのパフォーマンスは圧巻の一言で、自分たちはミスをせず、相手のミスをきっちり咎めて勝つという横綱相撲っぷりだった。
勝ち方を知っているチームスタッフに、勝ち方を知っているプレイヤーが加わって、今季のSKTは「Worlds」優勝に一番近いチームといってもいいだろう。
SKT注目選手(※スタッツは夏シーズンのもの)
ミッド Faker
出典:T1 LoL(https://twitter.com/T1LoL/status/1165551169562767361)スタッツ
KDA 3.3
キル関与率 62.3%
ダメージシェア 26.0%
チャンピオンプール
アジール、コーキ、アカリ、ニーコ など
世界最高のプレイヤーと称される天才ミッドレーナー。近年はミッドを徹底的にマークされる展開が多く、守備的なピックを強いられていた。Khan、Teddyという両翼を手に入れた今シーズンはアジール、コーキといったDPSタイプ、ニーコやサイラスといったユーティリティタイプ、アカリやキヤナ、ルブランといったアサシンタイプと、様々なスタイルのチャンピオンを自由にピックできるようになり、再び輝きを取り戻した。
ファーム重視のチャンピオンをピックした際にサイドへの動きが鈍いといった欠点が指摘されることもあったが、「Worlds」ではそれらのチャンピオンがあまりメタには上がらなさそうなこともあって、不安はほぼないと言っていいだろう。
ADC Teddy
出典:T1 LoL(https://twitter.com/T1LoL/status/1156850786162266112)スタッツ
KDA 6.0
キル関与率 63.9%
ダメージシェア 29.5%
チャンピオンプール
ヴァルス、ザヤ、シヴィア、エズリアル など
JinAirGreenWingsというLCKでは下位のチームからの移籍ということで、実績面を一部ファンの間では不安視されていたが、今季SKTに移ってその実力が本物だということを自ら証明してみせた。
彼の特徴はなんといってもデスの少なさで、シーズン9全体で見ても1試合平均デッド数がたったの「1」しかない。これはメインのスターターとして試合に出ている世界中すべてのプロプレイヤーのなかで最も少ない数字だ。
中でもエズリアルのパフォーマンスはすさまじく、ピックした試合でのKDAは17.7と驚異的なスタッツを残した。「Worlds」パッチではやや評価が下がっていそうなチャンピオンだが、その分バン漏れする機会も増えそうなので、ここぞというときに彼がエズリアルを出すのかも注目だ。
Griffin(サーキットポイント 1位)
出典:Griffin(https://twitter.com/TeamGriffinLoL/status/1169188739454685184)主な大会成績
LCK Spring 2位
LCK Summer 2位
ロースター
トップ Doran
ジャングル Tarzan
ミッド Chovy
ADC Viper
サポート Lehends
Griffinは2018年の夏シーズンにLCK1部に昇格したばかりの新しいチームだ。昇格直後にもかかわらず開幕からマッチ6連勝を果たし、そのままの勢いでレギュラーシーズンを2位で終える。プレーオフ、リージョナルファイナルではどちらも決勝で負けてしまい、「Worlds2018」の切符は逃したものの、ファンに強烈なインパクトを与えた。
多くのLCKチームのロースターが変更になった2019年、Griffinは1人もスターターが変わらずにシーズンをスタート。培ったチームワークを活かして春、夏ともにレギュラーシーズンでは1位となるものの、どちらもプレーオフ決勝でSKTに敗れシーズン制覇とはならなかった。
このチームの強みは、作戦遂行能力の高さだろう。
基本的に集団戦を好むチームで、ADCのViper選手にダメージディーラーを担わせ、ミッドのChovy選手にユーティリティ系のチャンピオンを使わせることが多いのだが、どんなピックにしたにせよ、自分たちの構成の強みが活かせるタイミングや環境を作り出すことが得意だ。
それを支えているのがジャングルのTarzan選手。ガンクやカバーのうまさはもちろんだが、不利なマッチアップのときに序盤をごまかす能力にも長けている。彼のこの能力のおかげで、Griffinは相手チャンプとの相性抜きに、自分たちの構成にマッチしたジャングルチャンピオンをピックできるという恩恵にあずかっている。
また、Griffinはゲーム内でのコール量も非常に少ないことで知られている。夏シーズン中盤からSword選手に代わって新人のDoran選手が出場しているが、昨年からほぼ同じメンバーで固定してプレイしてきていることもあって、わざわざコミュニケーションを取らずともスムーズに連携が取れるというわけだ。
昨年から課題のBo5(3試合先取)の脆さや、プレイヤー全員が若いうえ、初めての世界大会である点など不安要素はあるものの、チームワークと個人技のどちらも世界最高水準のものを持っており、実力を出し切れれば「Worlds」優勝も現実的と言えるだろう。
注目選手
ジャングル Tarzan
出典:Griffin(https://twitter.com/TeamGriffinLoL/status/1167680095097692166)スタッツ
KDA 5.6
キル関与率 71.8%
視界スコア 1.98/分
チャンピオンプール
セジュアニ、オラフ、ジャーバンIV、エリス など
世界最高のジャングラーとの呼び声も高いGriffinのエースプレイヤー。ソロQフリークとしても知られており、世界最高レベルといわれる韓国サーバーにおいて、トップ10位内に複数のアカウントを所持していたというとんでもない実績を持つ。
リデンプション・オラフを採用したり、イブリンをプレイしたりとピック幅は広いが、韓国のジャングラーにしてはめずらしくあまりリー・シンを好まないという、ちょっと変わったプールの持ち主。
度重なるナーフを受けてもセジュアニを愛好し続けるプレイヤーだが、パッチ9.19でさらなる弱体化を受けた彼女を「Worlds」でも登用しつづけるのか、あるいは他の手札を用意してくるのか。プレイだけでなくピックにも注目したいプレイヤーだ。
ミッド Chovy
出典:Griffin(https://twitter.com/TeamGriffinLoL/status/1167680095097692166)スタッツ
KDA 5.0
キル関与率 59.7%
ダメージシェア 22.3%
チャンピオンプール
サイラス、イレリア、エイトロックス、アカリ など
GriffinのエースがTarzan、ポイントゲッターがViperだとすると、Chovyは扇の要、ミッドレーンを守る守護神といってもいい存在。
彼の特徴は何と言ってもレーンの強さで、15分までの対面とのCS差は平均+9と、LCKのミッドレーナーの中では堂々の1位。それでいてデスが少ないことでも有名で、シーズン中はKDAが100を突破し話題を呼んだ。
彼がレーンフェイズではミッドレーンを安定させることで、Tarzanが自由に動けるスペースを増やし、いざ集団戦となるとイニシエートやアグロピンポンで相手を翻弄する。
問題は上にも載せたピック上位4体が全てナーフを受けてしまったという点だ。
新しいカードが上手く機能するのか、あるいは上手くいかないのか、チームの浮沈は彼のプールにかかっている。
DAMWON Gaming(リージョナルファイナル優勝)
出典:DWG_official Twitter(https://twitter.com/DamwonGaming/status/1149514856162217986)主な大会成績
LCK Spring 4位
LCK Spring 3位
LCKリージョナルファイナル 優勝
ロースター
トップ Nuguri
ジャングル Canyon
ミッド ShowMaker
ADC Nuclear
サポート BeryL
今年から1部に昇格したGriffin同様新しいチーム。同時に昇格したSANDBOX Gamingと共にLCK1部で暴れまわり、1期先輩のGriffinと合わせてLCKに新旋風を巻き起こした。
レギュラーシーズンでいうと春は5位、夏は2位と着実に力をつけてきている。SKTなどと比べるとまだ成長途上のチームともいえるかもしれない。
リージョナルファイナルでは破竹の勢いでトーナメントを駆け上がってきたKingzone Dragon Xを下し「Worlds」行き最後の切符を手にした。
このチームの特徴はなんといっても個人技の高さだろう。韓国ラダートップ10位内にスターター全員がランクインするという、SKTがLCKオールスターならDAMWON GamingはソロQオールスターとでもいうべきチームなのだ。
中でもトップのNuguri選手は2部時代からその圧倒的なレーンの強さで知られており、得意チャンピオンのジェイスはほぼ毎試合バンされるほど。ミッドのShowMaker選手もプレイメーカーとして知られており、この2人の強さを生かしてジャングルのCanyon選手が相手の領域を侵害していくというのが、DAMWON Gaming得意のスタイルだ。
若く勢いがあるという点ではGriffinと似ているが、サブメンバーにはFlame選手やPanch選手といった実績のあるプレイヤーが控えており、Kimコーチは前チームが昨年の世界覇者、Invictus Gamingと、バックアップ面の不安はより小さいと言っていいだろう。
このチームは第3シードのためプレイインステージから登場することになるが、はっきり言ってDAMWON Gamingはそのレベルにはない。グループステージ進出はもちろん、パリの決勝の舞台に立っていても何ら不思議ではない爆発力を持ったチームだ。
注目選手
トップ Nuguri
出典:DWG_official Twitter(https://twitter.com/DamwonGaming/status/1139897217467088898)スタッツ
KDA 3.4
キル関与率 65.7%
ダメージシェア 30.4%
チャンピオンプール
ジェイス、カミール、ブラッドミア、フィオラ など
超攻撃的トップレーナー。この夏のメタでダメージシェア30%を越えるトップレーナーというのははっきりいって異常で、Nuguriのパフォーマンスの高さが数値面からでも見て取れる。特にブラッドミアとジェイスのパフォーマンスは圧倒的で、対戦相手は対策必須だろう。
一見リスク度外視のプレイをするので、ファーストブラッドの被害者になることも多く、時には相手のジャングルにキャンプされて極端なフィードをすることもあるが、最終的にはカムバックしてチームをキャリーする底力も持っている。
「Worlds」では一層マークがきつくなることが予想されるが、今のトップレーンはキャリーできるチャンピオンも多いので、DAMWON Gaming戦はNuguriを巡る攻防から目が離せない。
ミッド ShowMaker
出典:DWG_official Twitter(https://twitter.com/DamwonGaming/status/1139897217467088898)スタッツ
KDA 7.2
キル関与率 70%
ダメージシェア 23.3%
チャンピオンプール
コーキ、アカリ、ルブラン、カミール など
元々カタリナの名手として有名で、DAMWON Gamingが1部への昇格をかけたプロモーションシリーズでもゾーイのカウンターとしてピックしたというエピソードを持つ。さすがに今シーズンは公式戦でのカタリナのピックはないものの、アカリ、ルブラン、カミール、イレリアといった高機動チャンプを使いこなすキャリータイプのミッドレーナー。
ソロキル10回はFakerをも上回るLCK2位。攻撃的にプレイしているのに被ファーストブラッド率はリーグ最低の2.3%と、スタッツも彼のフィジカルの高さを裏付けている。
安全なマークスマンが軒並みナーフを受けたパッチ9.19のメタで、ShowMakerのアサシンが育てば、どんなチームにとっても脅威の存在となるだろう。
■関連リンク
SK Telecom T1 Twitter
https://twitter.com/T1LoL/
Griffin Twitter
https://twitter.com/TeamGriffinLoL/
DAMWON Gaming Twitter
https://twitter.com/DamwonGaming/
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