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『God of War』Steam版レビュー:非の打ち所がないアクションアドベンチャーを、グレードアップしたPC版でもう一度!

『God of War』は、SIEワールドワイド・スタジオのひとつ、サンタモニカスタジオが手掛ける、アクションアドベンチャーゲームだ。本作は2018年4月、PS4向けに発売され、その年のGame of the Yearに輝くなど、高い評価を受けた作品である。そして2022年1月15日、ウルトラワイドスクリーンや高解像度、NVIDIA DLSSなどへの対応を引っさげて、PCでの発売が実現した。本作はシリーズのリブート作品でありながら、過去作が関わってくるシーンは少なくないが、本作がシリーズへの入り口でもまったく問題はない。


『God of War』のポイント
  • 圧倒的な表現力で描かれる、父と子の物語
  • 重厚かつ爽快感のある、一新されたアクション
  • PlayStation Studiosタイトルのマルチプラットフォーム化

「父と子」心に響く普遍的な題材

本作は「父と子」というテーマが存在する。最愛の妻を亡くしたクレイトスが、「9つの世界の最も高い山の頂きから、遺灰を撒いて欲しい」という遺言を果たすため、息子アトレウスと共に旅に出るシーンから本作の物語は始まる。2人の関係はぎくしゃくしたもので、幼いアトレウスは事あるごとに「母上であれば」と愚痴をこぼし、子供との向き合い方を知らないクレイトスは、確かな愛を秘めつつも、それを上手く表現することはできない。彼らは過酷な旅を通じ、互いの持つ考えや信念を理解し合い、ぎこちない愛を溶かしていく。


この2人の関係性は誰しもが経験するものなのではなだいろうか。クレイトスの「いずれわかることだ」という重々しい言葉は、厳格な父や師のそれと重なる部分があるし、少年時代に感じがちな「ちゃんと説明してよ」という気持ちは、アトレウスの心情そのものだ。父と子という、現在にも通じる普遍的なテーマを据え、それを旅という長い時間を共に過ごす体験でプレイヤーに与えることで、ファンタジー世界を舞台としつつも、その世界と登場人物たちの息遣いに説得力を持たせている。また、登場人物のモーションアクターと、日本語吹き替えを担う声優陣の見事な演技もそれを手伝っていることに間違いはない。

また、この関係性を、アクションに落とし込んでいる点もポイントだ。具体的には、クレイトスの攻撃に合わせてアトレウスが敵に飛びかかりスタンさせるほか、アトレウスが敵を拘束してクレイトスに攻撃の機会を与えるシーンは、ゲームが進むことで見られるようになる要素だ。物語を通じて深まる関係性を、アクションシーンでも感じることができる。

どこを切り取っても絵になる世界

圧倒的なスケールで描かれる北欧神話の世界は美しく、フォトモードを起動するたびに、これは一枚の絵画なのではと思うほど。特にその魅せ方には気を遣われていると感じる。本作は湖を手こぎ船で移動するシーンが多いが、その際に大きな彫刻や建造物を煽るようなアングルに誘導したり、新たな世界へ通じる道などを、明暗の使い分けで表現したりと、世界観をプレイヤーに印象づける演出は素晴らしく、この旅を忘れられないものにしている。

ここで生きてくるのが、冒頭で触れたPC版へ向けたリファインだ。高フレームレートへの対応や、シャドウ解像度の向上、GTAOやSSDOによるアンビエントオクルージョンパイプライン(とてもざっくり言うと、光の当たり方による表現)の強化により、近年のハイエンドAAAタイトルと遜色のない表現を実現している。


本作はイベントシーンからプレイアブルシーンへの移行を含め、全編がワンカットで表現されている点も特徴的だ。映像作品では2020年公開の映画『1917 命をかけた伝令』などが全編ワンカットで表現され、次々と襲いかかる戦争のスケール感を見事に表現していたが、本作も同様に、2人の旅をプレイヤーと共有する「リアルタイム感」を表現し、前述の「世界に説得力を持たせる」という意味でも、有効に働いている。また、『God of War』ではお馴染みの巨大な敵も、クレイトスにフォーカスすることで、ダイナミックに描かれている。


上質で丁寧なアクション

本作は物語やスケール感もそうだが、アクションも上質だ。最終的には4つの攻撃方法が存在し、プレイヤーはそれらをリアルタイムで切り替えながら戦うことになるが、メインとなるのは、リヴァイアサンと呼ばれる斧だ。これは殴りつけて攻撃することはもちろん、投てきすることで相手に突き刺し、その後手元へ飛んで戻ってくるという性質も持っている。青くファンタジックなエフェクトを放ちながらざっくざっくと敵を殴るのはシンプルに気持ちよく、斧が手に戻る際は、木の柄を感じるサウンドも相まって、プレイヤーの手によく馴染む。

旅の中でアクションが増えるほか、スキル(ルーンアタック)によるアクションの拡張など、最後まで飽きることを知らない。


また、クレイトスは左腕に盾を装備している。敵の攻撃を防ぐことはもちろんだが、タイミングよくガードすることでジャストガードが発生し、強力なカウンター攻撃が可能だ。盾をメインに戦うことも可能で、敵をスタン状態にさせれば、特別なモーションで大ダメージを与えることもできる(過去作でいう、CSアタック)。


本作のバトルは、中々難しい。筆者はノーマルでプレイしたが、敵の攻撃のひとつひとつは重く、敵に囲まれて袋叩きにされることも少なくはない。しっかりとガードで敵の攻撃をいなす必要があり、落ち着いたゲームプレイが求められる。大胆かつ慎重に攻撃することが攻略のカギとなる。なお、難易度をイージーへ落とせば、さほど苦労することはない、ちょっとした無双気分を味わうこともできる。

PlayStation StudiosタイトルのPC進出

本作をはじめ、『Horizon Zero Dawn』や『Days Gone』といったPlayStaitonプラットフォームでのみ販売されてきたタイトルが、徐々にPCへの進出を始めている。こうした動きの源について、SIE社長兼CEOのジム・ライアン氏はメディアのインタビューに対し、開発コストの高騰と、IPへの認知拡大を挙げている。ユーザーとしては、より多くのプラットフォームでの展開による選択肢の拡大はシンプルに喜ばしいことだ。とりわけ本作はPCへのリファインと充実したゲーム内容が要因か、Steamの評価は「圧倒的に好評」であり、IPの認知拡大へ一役買ったことに間違いない。

ここまで述べてきたように、はっきり言って、本作は非の打ち所がない上質なアクションアドベンチャーだ。累計1950万本を売り上げたスマッシュヒットであることも頷ける。2022年には続編『God Of War Ragnarok』の発売も予定されている。こちらは執筆時点でPS4/PS5のみでの展開だが、今作同様にPC版への移植も期待されている。いずれにせよ、続編も楽しみな作品だ。

(C) 2018, 2021 Sony Interactive Entertainment LLC. God of War is a registered trademark or trademark of Sony Interactive Entertainment LLC and related companies.

●タイトル:God of War
●ジャンル:アクションアドベンチャー
●発売元:PlayStation PC LLC
●開発元:Santa Monica Studio
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games ストア)、PlayStation 4
●発売日:2022年1月15日(PS4版は2018年4月20日)
●価格:4900円(PS4版は2189円)
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-2500K または AMD Ryzen 3 1200
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX960 または AMD R9 290X (4 GB)
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-6600K または AMD Ryzen 5 2400 G
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX1060 または AMD RX570
ストレージ: 20GB
●公式サイトURL:https://www.playstation.com/ja-jp/god-of-war/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1593500/God_of_War/
Epic Games ストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/god-of-war
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2022年版>

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