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『Weird West』PC版レビュー: “奇妙に満ちた西部”で旅した時間を忘れられなくなる、ダークファンタジーな西部劇アクションRPG

「もし、西部劇の世界に“人ならざるもの”がいたら?」

そんなもしもの世界が構築された『Weird West』(ウィアード ウエスト)は、西部劇とファンタジーのどちらの要素も好きな人にとっては夢のような作品となっています。

指名手配犯を追って賞金を稼ぎながら、道中で遭遇するセイレーンやゾンビをはじめとした異形たちとのバトル。一見平和に見える街の中では犯罪や黒魔術・呪術がはびこり、強制的に身体と魂を組み替えられた呪いの豚男「ピッグマン」や、人の欲望を糧とし身体を乗っ取る欲鬼「ウェンディゴ」の存在など、さまざまな恐怖におびえる人々を助けるのか。それとも襲うのか。

プレイヤーの選択を柔軟に受け入れてくれる本作は、西部劇+ダークファンタジーなアクションRPGとして唯一無二のものに仕上がっていました。


PC Game Passでダウンロードし、ゲーム難易度はノーマルに設定、操作デバイスはキーボード&マウス、コントローラーパッドのどちらも使用したレビューとなります。

●『Weird West』のポイント
  • 個性豊かな主人公たちによって紡がれるダークファンタジー西部劇
  • プレイヤーの決断が、後のゲームプレイや物語にも影響を及ぼしていく
  • 現時点(2022年4月18日現在)では、大小問わずバグが散見される

賞金稼ぎ、守護者、豚男!?
個性豊かな5人の主人公

本作は西部に生きる人物たちが織りなす物語となっており、プレイヤーは複数の主人公を操ることとなります。ストーリーの進行によって順番に主人公が切り替わっていき、最終的に5名の人物が存在しています。


悪党の襲撃により子を失ってしまった元賞金稼ぎの「ジェーン・ベル」をはじめ、西部にはびこる欲鬼・ウェンディゴを討伐すべく追い求める守護者の一人「川を越えた男」。呪術により豚の身体に変えられてしまった存在「ピッグマン」など、各々が特徴的なバックグラウンドを背負う者たちです。


主人公によって使用できる一部アビリティが変わり、アビリティは道中で手に入る貴重品「ニンプの骨」を使用することで獲得が可能。

たとえば最初に操作するジェーン・ベルであれば、銃撃にまつわる強力なアビリティのほかに、魅力を用いて一定時間のみ敵を仲間にできたりします。豚男のピッグマンは持ち前の筋力と凶暴さを活かした突進攻撃や、地面を大きく踏み鳴らし周囲の敵を気絶させるといった近接戦特化のアビリティを獲得できます。


彼らの力をうまく扱いながら各々の目的=メインクエストを遂行していくのが、本作の主なゲームプレイです。

その一方で、この舞台である“奇妙な西部”(Weird West)では、プレイヤーの気の向くまま、自由に旅をすることができるので、キャラクターの設定に合わせたロールプレイも楽しめるでしょう。

プレイヤーの行動と決断により、
自分なりの物語が紡がれる

主人公たちにはそれぞれ復讐や討伐、真実の究明など各々の目的が存在し、それにもとづいてメインクエストが進んでいきます。その過程では、物語に大きく関わる重要な選択を迫られることもあります。何気なく選んだひとつの選択が、後々に多大な影響をおよぼすこともあるので、選択を求められたら慎重に選んでいきましょう。


また、普段の旅においてもプレイヤーの行動は各所に影響を及ぼします。通常戦闘の際に仕留め損なった敵は後に突如復讐しにきたり、種族の違い・関係性によっては友好的ではない人物から目の敵にされたりすることもあります。


そんな暴力からはどうしても逃げられない旅のなかであっても、善行に努めていけばいくほど「名声」があがっていきます。評判が各地に知れ渡っていった結果、商店などでは値引きをしてくれ、旅の途中で助けた人が「生涯の友」となってくれるのです。

生涯の友はプレイヤーのピンチの際にランダムで駆けつけてくれるようになるので、困っている人を見かけたらぜひ積極的に助けていきましょう。


一方、窃盗や不法侵入、殺人など犯罪を重ねてしまうと当然名声は下がっていきます。プレイヤーの行動により、殺されてしまった人の関係者が突如復讐しにくる、街の住人に敵視されてしまう……など、ゲーム進行にとってはほぼデメリットしかありません。

その分、金銭には余裕ができ、通常では手に入りづらい貴重なアイテムや謎を紐解く重要な情報を獲得することもあるので、思い切った行動をしてみるのも本作を楽しむためのひとつの手段です。


“奇妙な西部”におけるヒーロー、ヒロインを目指すも、極悪な指名手配犯を目指すも自由な本作では、プレイヤー各々の物語が紡がれていきます。

謎が謎を呼び、大きな陰謀が渦巻く
“奇妙な西部”

主人公たちは一見互いに関係がなさそう5人ですが、物語が進んでいくうちに意外な繋がりが見えてきます(実際にプレイしてみてほしいので、詳細は省きます!)。


クエストや会話、本や手紙など随所に散りばめられた情報から得られる人々や種族同士の関係性、数々の謎が少しずつつながっていく過程、陰でうごめく大きな陰謀が姿を現し西部を覆うとき、プレイヤーはどうするのか。

魅力的な各主人公のシナリオはもちろん、その裏ですこしずつ進行していくメインシナリオにも一見の価値ありです。

マップ構造やオブジェクトを利用し
多様な戦略を楽しもう

本作の戦闘において決まった攻略法はありません。プレイヤーの戦略、主人公・仲間キャラクターの特性や装備、マップの構造や配置されているオブジェクトを活かして、より有利に戦闘を進めることができます。


オーソドックスにリボルバーとショットガンで接近戦を仕掛けていくもよし。ライフルとダイナマイトで遠距離からチクチクと攻めていくもよし。あるいは弓矢やステルスアタックを利用して隠密行動を心がけていくのもよし。

もしくは天候や地形を利用して雷や炎上といった属性効果の発動や、樽や箱を投げるといったオブジェクト利用、崖やベランダなどの高所から蹴落とすといった環境キルも行えます。

ゲーム全体を通じて、受けてしまうダメージは高めなうえ、敵は物音や一定時間視界に入ったプレイヤーを発見し追いかけてきます。ただ、幸い敵AIもそれほど賢くはなく、視界も狭いのでステルスプレイもしやすめ。プレイヤーが考えうる手段をできる限り実現可能なバトルバランスとなっています。


アビリティやパークの強化で
より柔軟なゲームプレイが可能に

主人公の特徴的な能力を強めるアビリティやパークは、前項で述べた戦闘をより柔軟なものにしてくれる要素です。


アビリティは各キャラクター固有のものが最大4つ、武器種ひとつにつきそれぞれ4つずつ存在しており、獲得には各地に存在する「ニンプの骨」が必要になります。

使用には、敵を倒したりベッドでの睡眠で溜まる「APゲージ」が必要だったりしますが、状態異常の付与や体力回復、範囲攻撃アビリティなど優位に進めるものが揃っています。得意とする武器や戦闘スタイルによって、自由に選択していきましょう。

キャラクターを強化するもうひとつの要素であるパークは、主人公が切り替わっても強化能力が継続される優れもの。体力の最大値増加やしゃがみ時の移動速度の増加等、おもに基礎能力を高めてくれるものとなっています。獲得には「黄金のスペードのエース」というアイテムを消費しなければならず、要求個数もアビリティと比べて多いので、積極的にマップを探索していきましょう。


パークのなかには、仲間のHP・攻撃力を底上げしてくれるものやジャンプ力の強化、不意打ち時の攻撃力倍率が増加するものなど、殲滅や仲間との協力、ステルスといった戦闘スタイルの強化にもつながるものがあります。計画的に取得することで、プレイヤーの戦略をより柔軟に実現してくれることでしょう。

現状は大小問わずバグが散見
笑えるものから重大なものまで

本作のプレイにおいて遭遇するバグはおそらく読者の想像を超えて多く、どんなプレイヤーであっても避けては通れないものになっています。建物の横で休んでいた馬がいつの間にか屋根の上に登っていたり、蹴った樽が勢いよくぶっ飛んだり、といったものだったらまだ笑えるバグなので許せるのですが……。


残念ながら、メニュー画面のカーソルが表示され続けてしまい移動できなくなる、クエスト進行に必要な人物がいなくなってしまうなど、重大なバグも発生しています。プレイ中のこまめなセーブは必須でしょう。

アップデートによりセーブスロットの数もいくつか増加しているほか、今後も細かな修正は入っていくはずなので、進行を妨げるバグが改善されていくことを願いましょう。

いつの間にか、この奇妙な西部での旅を
忘れられなくなっている

本作のレビューのまとめにあわせてひとつ告白させてもらいます。私はこのゲームをプレイし始めた当初、どうしてもとっつきにくい印象を持っていました。


西部劇、ダークファンタジー、オカルトや復讐譚など本作を構成する要素として十二分の魅力はあるのですが、ジェーン・ベル編の導入があまりにも西部劇モノの作品では定番中の定番であったことに加えて、戦闘難度も同じRPGジャンルの中で比較しても少し高い印象を受け、いまいち気持ちがのれていない自分がいたのです。

しかし、ゲームを進めて各キャラクターのメインクエストをクリアしていくうちに本作の世界観や主人公、登場人物たちにいつの間にか愛着が湧いていきました。そしてこのゲームが持つ旅・戦闘の自由度に気づいたときにはもう、私は“奇妙な西部”で旅をする一人の人間になっていたのです。


これから本作をプレイする人には、最初の主人公キャラクターであるジェーン・ベルの物語をクリアするまでは、なんとか頑張ってプレイしてほしいと切に願います。種族も旅の動機もバラバラな主人公たちの生き様が、そしてプレイヤーの選択の結果がこの“奇妙な西部”にどのような結果をもたらすのか……ぜひその目で見届けてみてください!


今後のアップデートでバランス調整・バグ取りはもちろん、時限イベントの開催やMOD機能なども実装予定とのことなので、一度クリアしたあとでも楽しめる要素がこの先も増えていきます。私もまだこの“奇妙な西部”からは離れたくない気持ちでいっぱいなので、クリア後も引き続き旅を楽しんでいきますよ!

Copyright 2021 Wolfeye. All Rights Reserved.

●タイトル:Weird West
●ジャンル:アクションRPG
●発売元:Devolver Digital
●開発元:WolfEye Studios
●プラットフォーム:PC(Steam、Microsoft Store)、PlayStation 4、Xbox One、Xbox/PC Game Pass
●発売日:2022年3月31日
●価格:
Steam版 4100円
MS Store版 4650円
PS4版 4620円
Xbox版 4650円
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-2380 または AMD FX-6100
メモリー: 6GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX650Ti(1GB) または Radeon HD7770(1GB)
ストレージ: 16GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i7-6950 または AMD Ryzen7 2700
メモリー: 12GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX1050(2GB) または Radeon RX460(4GB)
ストレージ: 16GB
●公式サイトURL:https://www.weirdwest.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1097350/Weird_West/
MS Store https://www.xbox.com/ja-jp/games/store/weird-west/9p8jgtjtqqf4
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2022年版>

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