『THE KING OF FIGHTERS XV』Steam版が、2022年2月17日に発売された。『THE KING OF FIGHTERS』（以下『KOF』）シリーズは、1994年に発売された『KOF'94』から現在までナンバリングタイトルだけでも15作目を数える大ヒット対戦格闘ゲーム。そもそも『～'94』は『餓狼伝説 〜宿命の闘い〜』や『龍虎の拳』『怒』『サイコソルジャー』といった、同社の人気ゲームに登場したキャラクターたちが一堂に会する、オールスター作品といった位置付けだった。それに加えて2D対戦格闘ゲームとしての完成度も高かったため、一躍人気シリーズとなったのである。

そんな人気シリーズも2016年8月に発売されたPlayStation 4版『KOF XIV』からは3Dポリゴンを使ったビジュアルに変更され、今作はその続編という位置付けになる。グラフィックのテイストは変わっても、プレイ感は2Dグラフィック時代のシリーズに近づけて作られているため、過去シリーズのファンも違和感なく新シリーズに馴染むことができるだろう。


本作では前作『KOF XIV』からプレイアブルキャラクターを一部差し替えたほか、相手の攻撃を防ぎ、反撃をおこなう新システム「シャッターストライク」の追加やEX必殺技の発動条件を変更するなど、より対戦を白熱させる調整が施されている。そのため前作の経験者であればすんなりと馴染めるが、注目すべきは過去に対戦格闘ゲームを少しでも練習していたような人に対しても「久々に遊ぶ対戦格闘ゲーム」としてお勧めしたい作品に仕上がっているところ。詳しくは順を追って説明していこう。

▲歴代『KOF』シリーズのファンならお馴染み、草薙京「ボディが…」からの派生。つまりは『KOF'96』の草薙京がベース

『THE KING OF FIGHTERS XV』のポイント

• SNKの歴代人気ゲームキャラクターが大集合
• 1つのゲームで初心者から上級者まで楽しめる
• ストレス皆無なネットワーク対戦仕様

SNKの歴代人気キャラクターが大集合

『THE KING OF FIGHTERS XV』の特徴のひとつに、自分が使うキャラクターを3人選び、その3人がすべて倒される前に相手の3人を倒せば勝利というルールがある。

▲3人のキャラクター全員が負けるまで、闘いは続く

3人のキャラクターを選ぶ基準としては、勝ちを狙うのであれば自分が得意なキャラクター3人を選べばいいし、いろんな相手に対応するためにはタイプが違う3人を選ぶといい。勝ち負けよりもキャラクター愛が強い人は、キャラクターの声や見た目のかっこよさで選んでもいい。こういう自由度の高さも、本シリーズが多くの人に愛されてきた理由の一つなのだから。

ただしキャラクターごとのエンディングは存在せず、特定のチームでストーリーモードをクリアするとエンディングが変化する。

▲ハイデルンの養子であるレオナと、八神庵の対決。レオナがボルテックランチャーで庵の飛び込みを迎撃したところ

本作の魅力はなんといっても歴代のSNKゲームに登場するキャラクターを操作して対戦格闘ゲームが楽しめるという点。もはや、SNKゲーム界の「アベンジャーズ」と言っても過言ではない。現在となっては『KOF』が初出のキャラクターも目立つようにはなったが、改めて各キャラクターの初出ゲームをまとめてご紹介しよう。

この中に自分が過去にプレイしたゲームタイトルやキャラクターを見つければそれだけでも盛り上がるだろう。特に思い入れがあるキャラクターがいなかったとしても、初期状態で39キャラものキャラクターがいるというだけで、その中には自分の琴線に触れるキャラクターが何人かいるはずだ。

●デフォルトキャラクター
キャラクター名 ／ 初出ゲーム
－－－－－－－－－－－－－－－－－
シュンエイ ／ KOF XIV
明天君 ／ KOF XIV
二階堂 紅丸 ／ KOF'94
アッシュ・クリムゾン ／ KOF2003
ククリ ／ KOF XIV
エリザベート・ブラントルシュ ／ KOF XI
草薙 京 ／ KOF'94
八神 庵 ／ KOF'95
神楽 ちづる ／ KOF'96
K' ／ KOF '99
ウィップ ／ KOF'99
マキシマ ／ KOF'99
イスラ ／ 新登場
ハイデルン ／ KOF'94
ドロレス ／ 新登場
テリー・ボガード ／ 餓狼伝説 −宿命の闘い−
アンディ・ボガード ／ 餓狼伝説 −宿命の闘い−
ジョー・東 ／ 餓狼伝説 −宿命の闘い−
リョウ・サカザキ ／ 龍虎の拳
ロバート・ガルシア ／ 龍虎の拳
キング ／ 龍虎の拳
七枷 社 ／ KOF'97
シェルミー ／ KOF'97
クリス ／ KOF'97
麻宮アテナ ／ サイコソルジャー
不知火 舞 ／ 餓狼伝説2 -新たなる闘い-
ユリ・サカザキ ／ 龍虎の拳2 ※プレイヤーキャラとして
レオナ・ハイデルン ／ KOF'96
ラルフ・ジョーンズ ／ 怒
クラーク・スティル ／ 怒
アントノフ ／ KOF XIV
ラモン ／ KOF2000
キング・オブ・ダイナソー ／ KOF XIV
アンヘル ／ KOF2001
クローネン ／ 新登場
クーラ・ダイアモンド ／ KOF2000
ブルー・マリー ／ 餓狼伝説3 −遥かなる闘い−
ヴァネッサ ／ KOF2000 ※プレイヤーキャラとして
ルオン ／ KOF XIV

●DLCキャラクター
ロック・ハワード ／ 餓狼 MARK OF THE WOLVES
B.ジェニー ／ 餓狼 MARK OF THE WOLVES
牙刀 ／ 餓狼 MARK OF THE WOLVES
ギース・ハワード ／ 餓狼伝説 −宿命の闘い−
ビリー・カーン ／ 餓狼伝説 −宿命の闘い−
山崎竜二 ／ 餓狼伝説3 −遥かなる闘い−

▲初期状態ですでに39人からキャラクターを選べる。これに加えて、テリー・ボガードとレオナ・ハイデルンは衣装DLCが用意されている

▲『餓狼伝説』テリーのコスチュームを「餓狼 MARK OF THE WOLVES」バージョンにできるDLCは、2022年3月9日までの早期購入特典

1つのゲームで初心者から上級者まで楽しめる「ラッシュ」システム

対戦格闘ゲームは、初めてプレイする人から世界一を目指すような人まで、さまざまなプレイヤーが購入対象のゲームだ。しかし対人戦で勝つためにはシステムを熟知し、連続技の練習を重ね、膨大な時間をこのゲームに注ぐ必要があるというのは誰しも理解していることだろう。

しかし、そこまで練習に時間は掛けられないし、そもそもアクションゲームは苦手だけれども、魅力的なキャラクターを動かしたくて本作を購入するという層も少なからずいるのではないだろうか。

本作はなんと、そんな人々に対する救済手段が用意されている。前作から採用された「ラッシュ」というシステムだ。

これは相手キャラと一定以上近い間合いでLP（弱パンチ）を4回押すだけで通常技×3＋必殺技のコンボが繰り出せるというシステムで、4段目は押すボタンで性能が変わるようになっている。4段目もそのままLPを押した場合はその時点のゲージ量に応じて最大の技を出し、LK（弱キック）だと必殺技、HP（強パンチ）だと超必殺技（ゲージ1本）、HK（強キック）だとMAX超必殺技（ゲージ2本）が発生する。これによりアクションゲームが苦手な人でも、ソフトに触れた初回プレイで中級者のような連続技を出せる。

▲敵の近くでLPを4回押しただけなのに、通常技×3キャンセル必殺技が出るという衝撃

しかもこのシステム、単に棒立ちのCPUキャラを殴るためだけのシステムではなく、きちんと対戦にも盛り込めるところに注目したい。ジャンプHP（強パンチ）またはHK（強キック）を当て、ヒットを確認したらLPを連打しているだけで連続技になる。対空必殺技を毎回は出せないような対戦相手や低レベルCPUであれば、これだけで十分に戦える。

ラッシュ最後の必殺技まで出し切ってしまうとガードされた時に長い硬直時間が発生してしまうため、少し上達してきたら、LP始動のラッシュがガードされた場合には2～3段目で連打を止めることを意識するようにすると反撃を受けづらくなるし、勝率もグンと上がる。

▲ジャンプ攻撃さえ当てられれば、着地後にLP始動のラッシュが繋がる。最初のうちは、ジャンプ攻撃を当てられる間合いの練習に専念すればいい

しかもLPは密着よりもやや離れた間合いでもラッシュが成立するため、相手の起き上がりにしゃがみLPを重ねておく戦法も強い。しゃがみLPがヒットすれば立ちLPが連続ヒットし、ラッシュが連続技になる。

逆に、相手からこれを狙われたら起き上がりに投げを入力しておけば投げで勝てるが、しゃがみLPと垂直ジャンプの二択を仕掛けられたら完全な読み合いになる。これらの戦法にしゃがみガードを崩す中段攻撃も織り交ぜられるようになれば、対戦格闘ゲームとして基本的な駆け引きは楽しめてしまう。

そう聞くと「対戦格闘ゲームは練習して上達するから面白いのに、そんな簡単なゲームは練習する価値がない」と感じてしまう人もいるだろう。だが、早とちりしないでほしい。このシステムはあくまで初心者の救済であり、初心者がこのゲームをプレイして「面白い」と感じるまで橋渡しをする目的のもの。より練習を重ねればLP派生以外の連続技はもちろん、必殺技キャンセル超必殺技というように、ワンチャンスで大ダメージを与えられるようになる伸びしろが用意されている。

▲パワーゲージがあるならLPを連打しているだけでも超必殺技に繋がるが、最終段後に手入力でアドバンスキャンセル超必殺技などは出せば、さらに追加ダメージが期待できる

それに、対人対戦においてジャンプ攻撃からの攻めばかりになると対空技で迎撃しやすく、対空技を持つ相手には迂闊に使えない。あくまで、ゲームを始めたばかりでガチャプレイになってしまい「上手く動かせないから、ゲームがつまらない」と感じる層に向けて、このゲームを続けてもらうモチベーションを与えるためのシステムなのだ。

▲単調にジャンプ攻撃からの派生だけで攻めていても、対人対戦では迎撃されてしまう

ストレス皆無なネットワーク対戦環境「ロールバック式」を採用

いくら昨今のインターネット環境が高速化されているとはいえ、ネットワークを介した2人のプレイヤー同士が対戦するゲームでは、少なからず通信タイムラグが生じる。ネットワーク対戦が導入されたばかりの対戦格闘ゲームをプレイしていた人ならば、通信遅延による「ガクガクしたゲーム進行」は、ほぼ全員が体験しているに違いない。

そこで、ネットワーク対戦を実装したゲームではソフトウェア的に改良が加えられ、本作では「ロールバック式」が採用されている。

ロールバック式とは、通信ラグがあっても相手プレイヤーからの返答を待たずに「先読み」で相手キャラクターの動きを数フレームほどスキップして描画する方式のこと。対戦している相手のネットワーク速度が遅くてもローカルのCPU戦と同じ速度で進行できるようになり、違和感のない通信対戦ができる。

もちろん、極端にネットワーク速度が遅い相手とプレイすれば相手キャラクターの動きはぎこちなくなるが、対戦時の設定で一定以上遅いネット回線の相手とはマッチングしない設定も可能だ。

▲1P側の画面上部に表示されている「19ms」とはPING値のこと。おおむね30ms以内であれば問題ない。2P側の画面上部に表示されている「Rollback flames: 1」という表示は、1フレーム間引いて表示しているという表示。3フレーム程度までなら違和感は感じなかった

SNK公式大会が早くも2022年3月6日（日）に開催

PS5/PS4版『THE KING OF FIGHTERS XV』を使用した日本地域対象の公式オンライン大会の開催が決定している。大会上位32名は、2022年3月13日（日）開催の「KOF XV Online Tournament Japan Final」に招待されるとのこと。PS5/PS4版を持っている人は実力を試す良い機会だ。



https://www.snk-corp.co.jp/press/2022/021704/

SNKは自社の対戦格闘ゲーム大会（オンライン大会/オフライン大会ともに対象）を開催する個人や団体、企業に対して、規模に応じて賞品の提供や、SNKによる大会の告知協力、ロゴや画像などの使用を許可する「SNK eSPORTSサポートプログラム」を行っている。


●SNK eSPORTSサポートプログラム
https://www.snk-corp.co.jp/sesp/

「強くなりたい」と考え、練習を重ねるためには、こうした大会がモチベーションになるだろうから、格闘ゲーム上級者にとって現在はつらい状況だろう。しかし快適なネットワーク対戦機能が用意されている本作なので、オンラインで大会を主催する人も出てくるのではないだろうか。

なお、本作はPS4/5、Xbox Series X|S、PC向けに同時発売はされたものの、クロスプラットフォームによる対戦はできない。Steam版では対戦相手はやや少ない印象で、平日の午前中は15分ほど待っていても対戦相手が見つからなかった。ネットワーク対戦を楽しみたいのであれば、ユーザー数が多そうな平日夜や週末を狙うようにしよう。

▲「相手の強さ」や「回線速度」の条件を甘くすれば、より多くの対戦相手が見つかる

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●タイトル：THE KING OF FIGHTERS XV
●ジャンル：対戦格闘ゲーム
●発売元：SNK
●開発元：SNK
●プラットフォーム：PC（Steam、Microsoft Store、Epic Games Store）、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox Series X|S
●発売日：2022年2月17日
●価格：
Standard Edition 7920円[税込]
Deluxe Edition 10890円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 7以降
プロセッサー： Intel Core i5
メモリー：8GB
グラフィック： NVIDIA GeForce GTX 770 2GB または AMD Radeon R9 280 3GB
DirectX: Version 11
ストレージ：65GB
●推奨スペック
OS: Windows 10以降
プロセッサー：Intel Core i7
メモリー：16GB
グラフィック： NVIDIA GeForce GTX 1060 6GB または AMD Radeon RX 480 4GB
DirectX: Version 11
ストレージ：65GB
●公式サイトURL：https://www.snk-corp.co.jp/official/kof-xv/
●ダウンロードサイトURL：
Steam https://store.steampowered.com/app/1498570/THE_KING_OF_FIGHTERS_XV/
Microsoft Store https://www.microsoft.com/ja-JP/p/the-king-of-fighters-xv-standard-edition/9ntdx0kxkzbs
Epic Games Store https://www.epicgames.com/store/ja/p/the-king-of-fighters-xv