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『ELEX II』Steam版レビュー:プレイヤー自身の旅にフォーカスした、清々しいほど古き良きオープンワールドゲーム

目次
  1. 前作をプレイしていなくてもなんとかなる
  2. 膨大な旅の選択肢
  3. ジェットパックの快適さ
  4. グラフィック周辺は微妙!?
  5. 弱点がだんだん愛嬌に!?
『ELEX II』は、ドイツ・エッセンを拠点に活動するゲームスタジオPiranha Bytesによって開発されたオープンワールドゲームだ。日本語版は、THQ Nordic Japanより発売。本作は広大なフィールドを舞台に、これでもかと詰め込まれた膨大な量のサブクエストと探索を、ジェットパックを活用した自由度の高いアクションで冒険するオープンワールドSFアクションRPGとなっている。前作に続き主人公ジャックスが、未知の惑星からの侵略を食い止めるべく奔走する姿が描かれていく。

そんな本作の見どころをチェックしていきたい。


『ELEX II』のポイント
  • 膨大な選択肢による「世界を旅する」感覚
  • 自由に探索できるジェットパックが最高
  • クセのあるグラフィックや造形が、徐々に愛おしくなっていく

前作をプレイしていなくてもなんとかなる

本作を開発するPiranha Bytesは、過去に『Gothic』や『Risen』を世に送り出してきたスタジオだ。その流れを継ぐ『ELEX』の続編が本作の立ち位置というわけだが、過去にリリースされたこれらの作品は日本語が公式に含まれていない。『ELEX II』は前作を未プレイでも楽しめるのかというのが、まず気になるところだろう。


結論から言うと、前作をやっていればより楽しめる程度だ。ゲーム冒頭に前作の振り返りムービーも挿入されている。わかりやすく丁寧……とは言い切れないが、とにかく「主人公は前作の英雄で凄いヤツ」という認識を持っていれば最低限問題ない。筆者自身、同スタジオのタイトルは初プレイであり、物語やサブクエストを進めているなかで、前作で絡みがあったと思われるキャラクターとも出会ったが、関係性は十分に想像できた。

もちろん本作の大きな魅力のひとつにメインストーリーがあることは間違いないが、本作の魅力はそれ以外にもある。それはゲーム全体のボリュームだ。

日本語公式サイトを見ると、そのボリュームを全面に押し出した「数字で見るエレックス2」という項がある。このページによると、ボイス付きのネームドNPCは約400人、登場するワードは、60万ワードであり、そのうち会話部分は40万ワードだという。THQ Nordicの『BIOMUTANT』が25万ワードなので、どれだけボリュームあるかが何となく想像できるであろう。

膨大な旅の選択肢

舞台となるのは、隕石の衝突によって文明が崩壊した惑星「マガラン」だ。いわゆるポストアポカリプスと呼ばれる世界観であり、過去の文明を感じる廃墟や遺構が残っている。


物語は、ジャックスの自宅が襲撃されるシーンから始まる。突然空から謎の爆音と共に何かが落下し、自宅が木っ端みじんにされてしまう。路頭に迷ったジャックスは、この星に住まう5つの勢力と力を合わせて、襲ってきた未知の生物へ立ち向かう……という展開だ。

そのため、複数の勢力の手助けをすることになる。だが、その道程は険しい。例えば勢力のひとつ、バーサーカーの拠点へ入ろうとすると、門番に止められ、別の奴らの手助けをしてこいと言われる。こういう手法でキャラクターとの出会いが生まれ、さらにその手助けをしたキャラクターからもサブクエストが複数生まれてくるなど、とにかくクエストが増えまくる。自分が今何をしているのかちょっと怪しくなる状況はちょくちょくあった。

また、その選択肢の豊富さも本作の魅力のひとつ。例えば、真面目に働かずに酒屋で飲んだくれる農民を連れ戻すミッションでは、正攻法であれば説得なり、彼らが求める待遇を交渉するといった選択肢があるが、暴力で解決しても良い。「わからせてやるだけだ」という選択肢を選べば、酒屋での戦闘が始まり、農民の体力を削って「わからせて」やれば、彼らはすごすごと仕事へ戻っていく。

▲選択肢を選ぶには、能力値が求められることもある

このように、自分の選択次第で結末が変わることがとても多く、「自分がこれを選んだらどうなるだろう」という感覚が面白い。意味不明な選択肢が存在する『絶体絶命都市』シリーズに似た感覚だ。自分がおかしなことをしても良いし、人間として正しいと思う行動をしても良い。それによって人々との関わりや物語が分岐していく。

ジェットパックの快適さ

また本作を語る上で欠かせないのが「ジェットパック」だ。本作は旅の始まりからジェットパックを入手しており、高い場所に登れるほか、アイテムを入手してアップグレードすれば自由に飛び回ることもできる。一般的なオープンワールドゲームでは、マップだけ見て直進したら回り込む必要があった、という経験も多いのではないだろうか。本作はジェットパックでスッと飛んでしまえば、ぐるりと回り込む必要はない。


また、戦闘からの離脱にも便利だ。誤って明らかに歯が立たない敵に喧嘩を売ってしまってもスッと飛んでいってしまえば良い。ジェットパックは本作がストレスなく遊べるひとつの要因であり、楽しさのひとつだ。

グラフィック周辺は微妙!?

冒頭のムービーが終わって、いざプレイアブルシーンへ進むと……。ゲーム中のグラフィックは「ひと世代前」な雰囲気は否めない。筆者のPCはCore i5-10400FのRTX3090と推奨以上の環境なのだが、ゲーム中とイベントカットのグラフィックの差は正直激しく感じてしまった。日本語ローカライズも一部不自然な箇所が残っているようだ。

▲ゲームオーバーこと「終了」

さらにいうと、本作は(意図的なのかもしれないが)説明不足に感じる部分が多い。落ちているものや、ジェットパックや武器の錬成をする作業台などはハイライト表示されておらず、それがインタラクトできるものかわからない。筆者は肝心のジェットパックをアップグレードする作業台になかなか気づくことができず、数時間は半ば縛りプレイになっていた。

弱点がだんだん愛嬌に!?

プレイ開始時はグラフィックに少々「うーむ」と感じていたが、時間を重ねていくに連れ、この世界にさまざまな人や勢力が住まうことを実感。人々との関わりに膨大な選択肢が用意されていることで、ジャックスの旅がプレイヤー自身の旅へと昇華されていく感覚にハマり、すっかり虜になっていた。


するとどうだろう、弱点かなと感じていた部分はすっかり気にならなくなった。過酷で陰鬱とした雰囲気から始まる旅も、唐突に始まる音楽ライブやラブシーンなど、どこか笑ってしまうシュールさが、過酷な世界を笑い飛ばす魅力としてしっかり機能している。

「昔のオープンワールド」ってこうだったよね、と笑いながら遊べる本作を、全ての人に勧めることができるかと問われれば否である。だがしかし、本作が持つ奇妙でシュールな魅力は、一度踏み入れてみても良いかもしれない。

© 2022 THQ Nordic AB, Sweden. Developed by Piranha Bytes, published by THQ Nordic GmbH, Austria. THQ, THQ Nordic, ELEX, Piranha Bytes and their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of THQ Nordic AB. All rights reserved. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners.

●タイトル:ELEX II(エレックス2)
●ジャンル:オープンワールドRPG
●発売元:THQ Nordic
●開発元:Piranha Bytes
●プラットフォーム:PC(Steam)、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One
●発売日:2022年3月1日
●価格:
PS4/5版 パッケージ版・ダウンロード版 7590円
Xbox版 7600円
PC版 6550円
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-7400 または AMD Ryzen 3 3100
メモリー: 12GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX1060 または AMD Radeon RX 5600 XT
ストレージ: 45GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-9500F または AMD Ryzen 7 2700
メモリー: 16GB
グラフィック: NVIDIA GeForce RTX 2060 または Radeon RX 5700 XT
ストレージ: 45GB
●公式サイトURL:https://sites.google.com/view/elex2-jp/
●ダウンロードサイトURL:https://store.steampowered.com/app/900040/ELEX_II/
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2022年版>

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