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『Samurai Jack: Battle Through Time』プレイレビュー! 骨太アクションと隅々まで忠実な原作再現に心を打たれた一作
かつて、時間を支配した悪の妖怪、そしてそれに幾度となく立ち向かった彼を覚えているでしょうか? 国内では2002年にアニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」で放送されていたアニメ『サムライジャック』が、アクションゲームとなって現代に帰ってきました。
『サムライジャック』は魔法の刀を携えた正義の侍「ジャック」と悪の権化とも呼ばれている妖怪「アク」との、過去・現在・未来を又にかけた戦いが繰り広げられる作品です。2001年の初放送から10年以上の時を経てアニメは完結し、シーズン5ファイナルまで製作されていますが、日本においてはシーズン5が放送されておらず未完の状態となっています。魅力的な画風や設定から国内外から多大な人気を得ており、現在もシーズン5の日本語版を待ち望んでいる人も多いはず。
サムライジャックのアクションゲームは海外PlayStation 2やXbox、ゲームキューブで発売されていた『Samurai Jack: The Shadow of Aku』から数えて16年ぶりとなりましたが、原作らしさはもちろん、アクションゲームとしての面白さがしっかり詰まったものになっていました。幼い頃、原作が大好きでよく見ていた筆者がレビューしていきます。
オーソドックスなスラッシュアクションだが、
本作はステージクリア型のスラッシュアクションゲームになっています。プレイヤーは主人公「ジャック」となって、実際のアニメと同じようにさまざまな時代や場所を訪れながら戦いを経験することになります。基本的には3Dフィールドを歩き回りながら、出現する敵を倒したり、軽い探索や謎解きをすることになりますが、ステージ内の一部箇所によっては2Dビューに切り替わり横スクロールアクションになることもあります。
本作のストーリー時系列として位置するのは、ジャックとアクの娘と称される「アシ」が協力しながら、アクとの最終決戦中という、日本のプレイヤーにとってはネタバレでしかない場面から開始します。とっさの判断により時空間を超えることになったジャックとアシは、その途中でアクから妨害を受けてしまい、時空の狭間に陥ってしまうのです。
原作で印象的だった未来都市の風景や、湿地帯、アクの塔など、シーズンをまたいだシチュエーションで戦うことができるうえに、ジャックが携えるマジックソードはもちろん、旅の途中で扱った大斧や竹棍、弓矢やハンドガンなど数々の武器をプレイヤーが実際に使用できる点は、ファンの心をくすぐるものになっています。
登場するキャラクターはメインのジャックとアクだけではなく、アニメを見ていた方であれば「おおっ!」となるサブ・敵キャラクターが多数登場します。ジャックの盟友ともいうべき「スコットマン」とその娘たちや、遺跡研究家の犬「ロスチャイルド」、誇り高き狩猟民族「イマカンディー族」など、懐かしさを覚えること間違いなしでしょう。
通常敵として登場するロボットたちも、原作でバッタバッタと切られていた虫型やワニ型などがしっかり登場します。ボスキャラクターたちも、過去にジャックと因縁のあった者たちばかりで、原作の戦闘シーンを彷彿とさせるシチュエーションも存在しています。
イベントシーンも原作のカット演出を忠実に再現したものになっていて、戦闘開始前や緊迫した状況ではコマを割ってキャラクターの表情を描いたり、スローモーションで表現されていたりと再現度合いに気合が入っています。
面白い要素として、受けたダメージ量によってジャックの服装も変化していくのですが、ゲーム中のイベントシーンにも反映されるので、正装でイベントを迎えるためにダメージを極力少なくすることもできますし、熾烈な戦いを演出するためにわざとダメージを受ける遊び方もあります。どちらの場合であっても、ジャックが格好良いということは変わりません!
戦闘中にメイン武器として使用できるカテゴリは刀、拳、棍棒、ハンマー、槍の5つで、ショップでゴールドを支払って鍛錬したり、スキルポイントや素材を使用してスキル習得することでコンボルートの増加や攻撃力を上昇させることができます。それぞれの武器には、広範囲の敵に攻撃できるが攻撃力は低い、攻撃力は高いが動きが鈍重のように長所と短所が設定されているうえ、敵によっては決まった武器が弱点となるものもいます。
サブ武器として使用できるのは主に弓矢やハンドガン、手裏剣といった遠距離攻撃するものになります。サブ武器によってはTPSのようにしっかり狙えるものもあるので、安全に攻撃を仕掛けたいときは重宝するでしょう。
敵や周囲に置いてあるオブジェクトの破壊により手に入る「オーギファイア」を一定量取得することにより、強力な攻撃を繰り出すことができる「奥義」が使用可能になります。発動した瞬間から連続攻撃が終わるまで完全に無敵状態になり、敵の無敵状態を無視してダメージを与えられることもあります。武器ごとの鍛錬により奥義中の攻撃回数が増えるので、使いやすい武器・気に入った武器は積極的に鍛え上げましょう。
一部の武器を除きそれぞれ耐久値が設定されていますが、武器が壊れてしまうことは決してデメリットだけではありません。壊れる際にはスキルの習得に必要な「ブシドーファイア」と呼ばれるアイテムが獲得できるので、積極的に多くの武器を使用する意味が生まれています。
これらの武器やサブ武器、アクセサリーやアイテム等は攻略中に拾ったり、武器を持っている敵を特定の技で倒したり、道中にいる味方キャラクターから手渡されることがあります。ほかにもステージ中にショップが存在しているので、集めたゴールドで購入することができます。壊れそうな武器を修理することもできるので、気に入った武器を長く使っていくプレイングもできます。
ゲームバランスは見た目に反して
本作のゲームバランスとしては、カートゥーンな見た目に反して非常に骨太で難しめです。一周目はノーマルでゲームをクリアしましたが、敵の攻撃力の高さと被弾時の仕様の理不尽さに何度もリトライしました。最初に遊ぶときは、素直にイージーモードからはじめるか、ノーマルでは同じステージを繰り返しクリアしてスキルを揃えてから進めていくほうが賢明です。
というのも、本作では一度大きなダメージを受けると後ろに吹き飛ばされながらノックバックします。普通のアクションゲームの場合、吹っ飛び中は無敵状態になるということが多いのですが、本作では無敵状態の持続時間が短すぎるせいで、連続して攻撃を受けてしまうことがほとんど。小さな攻撃を食らった直後であっても硬直時間がとても長く、回避行動へのキャンセルもしづらいため、短い間隔で繰り出される攻撃は続けて受けてしまうことがよくありました。
さらに、ボスの攻撃力はもちろん、後半に出現する通常敵の攻撃力が高く設定されているのか、防御力を上げるスキルを所有していたとしても、油断するとすぐに瀕死状態へと追い込まれてしまいます。
ノーマルまでの難易度であれば、体力がゼロになったとしても一定量まで復活することができ、回復アイテムの使用・取得により復活回数もリセットされるので、よほどのことがない限りゲームオーバーにはなりづらいです。それでも、敵の数が多かったり、マシンガンやレーザー、エネルギー弾などの連続した遠距離攻撃によって一方的にダメージを受けてしまうことも多々あるため、厄介な攻撃をしてくる敵を最優先して倒すことが必要です。
加えてボスキャラクターは、無敵時間の発生する行動が多いうえに、いつ無敵状態になっているかが判別しづらいことがほとんどなので、どうしても間合いを測る時間が長くなります。敵が無敵状態の場合は攻撃時に青いバリアのようなエフェクトともにキン! と音がなるので、敵の動作モーションをしっかり把握していくこと、無理して攻撃を仕掛けないことが攻略の近道になるでしょう。
上記のことから、本作ではスラッシュアクションで陥りがちなゴリ押しで立ち回るというよりも、ガードやパリング、ステップをはじめとしたいくつかある防御手段を的確に使い、敵の攻撃を捌いて対処するという戦い方が推奨されます。「ジャストガード」や「ジャスト回避」といったスキルも存在しており、タイミングこそ難しいですが、成功するとスローモーションになりすこしの間だけ一方的に攻撃できるようになります。タイミングがよりシビアになる弾きスキル「パリング」はスローモーションの効果に加えて、成功するたびに回復や状態強化アイテムが落ちるので、死地に追い込まれてしまったときにこそ狙っていく勇気を持つことが大切になってきます。
こうした防御手段のほとんどはスキル習得が必要なので、スキルポイントや素材が揃ったら最優先で取得しておくと良いでしょう。スキルはツリー形式になっているため、防御スキルを手に入れる過程でジャックの体力増加や防御力アップといった能力上昇系のスキルなども一緒に手に入ります。
そのなかでもゲーム後半に手に入れることが多くなるであろう「ヒットガード」というスキルは、使い手によってはよりアグレッシブに動けるようになる、そして今まで述べてきたゲームバランスを変えられる可能性を持ったものとなっています。
このスキルは攻撃がヒット時にタイミングよくガードすることで、硬直をキャンセルできるものになっており、スキル強化をすることにより万が一攻撃をガードされた場合でもキャンセル可能となります。自身の攻撃はガードされることが多く、攻撃後の硬直を回避でキャンセルしづらい本作での生存率を上げるために有効な手段となっています。
こうして本作が持つゲームバランスを振り返ってみると、アクションゲームの要素に加え、格闘ゲームらしい要素を随所に感じました。敵のモーションを読んだり、攻撃時に発する音をしっかり聞いていないと防御が間に合わなかったりする点。こちらが無駄に攻撃をするだけリスクが発生するうえに、プレイヤーにとって有利になる防御スキルはタイミングが命となるものが多く、発生させるタイミングは緩和できるといえどもシビアなことには変わりありません。
相手の動きに対応しながら、複数の敵に囲まれた時は厄介な相手から遠距離攻撃や範囲攻撃で巻き込んで倒していく。そして1対1の状況に持ち込んだら、適切にガードをしながら間合いを詰めて、相手の隙を的確についていく。静かに相手の出方を待つ時間と、連続攻撃のチャンスを見逃さず叩き込むという「静と動」を味わうことができます。
ストーリーモードを終えても
ストーリーモードのボリュームはアクションゲームとしても短めで、すべてのステージを通してクリアしたとしても5時間ほどで終わると思います。しかし、探索や簡単な謎解き要素もあるうえに先述した難易度もあるので、たとえノーマルであっても後半は苦戦必至です。どうしても勝てないときは、過去にクリアしたステージを繰り返しプレイしてアイテムやスキルを充実させることも必要になるでしょう。しっかり成長させたジャックでより高難易度のステージを攻略する楽しみもあります。
見た目に反した骨太な難易度と隅々まで忠実に再現された世界を体験した結果、私自身サムライジャックがこんなに好きだったのか再確認するとともに、このゲームに心を打たれました。「静と動」を使い分けるサムライらしさと、集団の敵をバッタバッタとなぎ倒すカートゥーンらしさも味わえるアクションが同時に楽しめるうえに、ジャックのスキルや武器ごとの育成要素、全ステージに散らばる家紋を集める収集要素やクスッと笑える謎解き、クリア後にはお題形式で連続戦闘を行うミッションモードもあり、いつまででも「ジャック」としてプレイしたくなる気持ちにさせてくれます。
同時に、国内未放送のシーズン5をこれほどまでに見たいと思わせてくれるゲームもめったにありません。大変残念なのは、シーズン5を視聴する方法が現状ほぼ皆無な点です(現状英語版のDVD・Blu-rayを輸入するくらいしか思いつきません)。
当時『サムライジャック』を見たことがある方はもちろん、骨太バランスなアクションゲームを望んでいるプレイヤーにもぜひチェックしてほしい本作、現在SteamとEpic Games Storeで購入可能です(※)。皆さんも「ジャック」となって時空を越え、悪の権化「アク」の野望を打ち砕きましょう!
※他のプラットフォームでは、国内だとXbox OneとApple Arcadeでプレイ可能です。
『SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME』 software © 2020 Cartoon Network.
Adult Swim、そのロゴ、サムライジャックおよび関連するすべてのキャラクターならびに要素は、WarnerMedia社©Cartoon Networkの商標です。
●タイトル:Samurai Jack: Battle Through Time
●ジャンル:アクションゲーム
●発売元:Adult Swim Games
●開発元:Soleil
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games Store)、Xbox One、Apple Arcade
●発売日:発売中(2020年8月21日)
●価格:4100円~
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: 第3世代 Intel Core i5
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX750 Ti または AMD Radeon HD7750
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: 第7世代 Intel Core i7
メモリー: 16GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX1080
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://www.adultswim.com/games/samurai-jack
●ダウンロードサイトURL:
https://www.epicgames.com/store/ja/product/samurai-jack-battle-through-time/home
https://store.steampowered.com/app/1150590/Samurai_Jack_Battle_Through_Time/
『サムライジャック』は魔法の刀を携えた正義の侍「ジャック」と悪の権化とも呼ばれている妖怪「アク」との、過去・現在・未来を又にかけた戦いが繰り広げられる作品です。2001年の初放送から10年以上の時を経てアニメは完結し、シーズン5ファイナルまで製作されていますが、日本においてはシーズン5が放送されておらず未完の状態となっています。魅力的な画風や設定から国内外から多大な人気を得ており、現在もシーズン5の日本語版を待ち望んでいる人も多いはず。
サムライジャックのアクションゲームは海外PlayStation 2やXbox、ゲームキューブで発売されていた『Samurai Jack: The Shadow of Aku』から数えて16年ぶりとなりましたが、原作らしさはもちろん、アクションゲームとしての面白さがしっかり詰まったものになっていました。幼い頃、原作が大好きでよく見ていた筆者がレビューしていきます。
オーソドックスなスラッシュアクションだが、
『サムライジャック』らしさは存分に表現
本作はステージクリア型のスラッシュアクションゲームになっています。プレイヤーは主人公「ジャック」となって、実際のアニメと同じようにさまざまな時代や場所を訪れながら戦いを経験することになります。基本的には3Dフィールドを歩き回りながら、出現する敵を倒したり、軽い探索や謎解きをすることになりますが、ステージ内の一部箇所によっては2Dビューに切り替わり横スクロールアクションになることもあります。本作のストーリー時系列として位置するのは、ジャックとアクの娘と称される「アシ」が協力しながら、アクとの最終決戦中という、日本のプレイヤーにとってはネタバレでしかない場面から開始します。とっさの判断により時空間を超えることになったジャックとアシは、その途中でアクから妨害を受けてしまい、時空の狭間に陥ってしまうのです。
原作で印象的だった未来都市の風景や、湿地帯、アクの塔など、シーズンをまたいだシチュエーションで戦うことができるうえに、ジャックが携えるマジックソードはもちろん、旅の途中で扱った大斧や竹棍、弓矢やハンドガンなど数々の武器をプレイヤーが実際に使用できる点は、ファンの心をくすぐるものになっています。
登場するキャラクターはメインのジャックとアクだけではなく、アニメを見ていた方であれば「おおっ!」となるサブ・敵キャラクターが多数登場します。ジャックの盟友ともいうべき「スコットマン」とその娘たちや、遺跡研究家の犬「ロスチャイルド」、誇り高き狩猟民族「イマカンディー族」など、懐かしさを覚えること間違いなしでしょう。
通常敵として登場するロボットたちも、原作でバッタバッタと切られていた虫型やワニ型などがしっかり登場します。ボスキャラクターたちも、過去にジャックと因縁のあった者たちばかりで、原作の戦闘シーンを彷彿とさせるシチュエーションも存在しています。
イベントシーンも原作のカット演出を忠実に再現したものになっていて、戦闘開始前や緊迫した状況ではコマを割ってキャラクターの表情を描いたり、スローモーションで表現されていたりと再現度合いに気合が入っています。
面白い要素として、受けたダメージ量によってジャックの服装も変化していくのですが、ゲーム中のイベントシーンにも反映されるので、正装でイベントを迎えるためにダメージを極力少なくすることもできますし、熾烈な戦いを演出するためにわざとダメージを受ける遊び方もあります。どちらの場合であっても、ジャックが格好良いということは変わりません!
さまざまな武器を駆使して、敵に立ち向かえ
ジャックはサムライでありながら、過酷な旅路で会得した武芸により多彩な武器を扱うことができます。戦闘中にメイン武器として使用できるカテゴリは刀、拳、棍棒、ハンマー、槍の5つで、ショップでゴールドを支払って鍛錬したり、スキルポイントや素材を使用してスキル習得することでコンボルートの増加や攻撃力を上昇させることができます。それぞれの武器には、広範囲の敵に攻撃できるが攻撃力は低い、攻撃力は高いが動きが鈍重のように長所と短所が設定されているうえ、敵によっては決まった武器が弱点となるものもいます。
サブ武器として使用できるのは主に弓矢やハンドガン、手裏剣といった遠距離攻撃するものになります。サブ武器によってはTPSのようにしっかり狙えるものもあるので、安全に攻撃を仕掛けたいときは重宝するでしょう。
敵や周囲に置いてあるオブジェクトの破壊により手に入る「オーギファイア」を一定量取得することにより、強力な攻撃を繰り出すことができる「奥義」が使用可能になります。発動した瞬間から連続攻撃が終わるまで完全に無敵状態になり、敵の無敵状態を無視してダメージを与えられることもあります。武器ごとの鍛錬により奥義中の攻撃回数が増えるので、使いやすい武器・気に入った武器は積極的に鍛え上げましょう。
一部の武器を除きそれぞれ耐久値が設定されていますが、武器が壊れてしまうことは決してデメリットだけではありません。壊れる際にはスキルの習得に必要な「ブシドーファイア」と呼ばれるアイテムが獲得できるので、積極的に多くの武器を使用する意味が生まれています。
これらの武器やサブ武器、アクセサリーやアイテム等は攻略中に拾ったり、武器を持っている敵を特定の技で倒したり、道中にいる味方キャラクターから手渡されることがあります。ほかにもステージ中にショップが存在しているので、集めたゴールドで購入することができます。壊れそうな武器を修理することもできるので、気に入った武器を長く使っていくプレイングもできます。
ゲームバランスは見た目に反して
骨太かつ難しめ
本作のゲームバランスとしては、カートゥーンな見た目に反して非常に骨太で難しめです。一周目はノーマルでゲームをクリアしましたが、敵の攻撃力の高さと被弾時の仕様の理不尽さに何度もリトライしました。最初に遊ぶときは、素直にイージーモードからはじめるか、ノーマルでは同じステージを繰り返しクリアしてスキルを揃えてから進めていくほうが賢明です。 というのも、本作では一度大きなダメージを受けると後ろに吹き飛ばされながらノックバックします。普通のアクションゲームの場合、吹っ飛び中は無敵状態になるということが多いのですが、本作では無敵状態の持続時間が短すぎるせいで、連続して攻撃を受けてしまうことがほとんど。小さな攻撃を食らった直後であっても硬直時間がとても長く、回避行動へのキャンセルもしづらいため、短い間隔で繰り出される攻撃は続けて受けてしまうことがよくありました。
さらに、ボスの攻撃力はもちろん、後半に出現する通常敵の攻撃力が高く設定されているのか、防御力を上げるスキルを所有していたとしても、油断するとすぐに瀕死状態へと追い込まれてしまいます。
ノーマルまでの難易度であれば、体力がゼロになったとしても一定量まで復活することができ、回復アイテムの使用・取得により復活回数もリセットされるので、よほどのことがない限りゲームオーバーにはなりづらいです。それでも、敵の数が多かったり、マシンガンやレーザー、エネルギー弾などの連続した遠距離攻撃によって一方的にダメージを受けてしまうことも多々あるため、厄介な攻撃をしてくる敵を最優先して倒すことが必要です。
加えてボスキャラクターは、無敵時間の発生する行動が多いうえに、いつ無敵状態になっているかが判別しづらいことがほとんどなので、どうしても間合いを測る時間が長くなります。敵が無敵状態の場合は攻撃時に青いバリアのようなエフェクトともにキン! と音がなるので、敵の動作モーションをしっかり把握していくこと、無理して攻撃を仕掛けないことが攻略の近道になるでしょう。
上記のことから、本作ではスラッシュアクションで陥りがちなゴリ押しで立ち回るというよりも、ガードやパリング、ステップをはじめとしたいくつかある防御手段を的確に使い、敵の攻撃を捌いて対処するという戦い方が推奨されます。「ジャストガード」や「ジャスト回避」といったスキルも存在しており、タイミングこそ難しいですが、成功するとスローモーションになりすこしの間だけ一方的に攻撃できるようになります。タイミングがよりシビアになる弾きスキル「パリング」はスローモーションの効果に加えて、成功するたびに回復や状態強化アイテムが落ちるので、死地に追い込まれてしまったときにこそ狙っていく勇気を持つことが大切になってきます。
こうした防御手段のほとんどはスキル習得が必要なので、スキルポイントや素材が揃ったら最優先で取得しておくと良いでしょう。スキルはツリー形式になっているため、防御スキルを手に入れる過程でジャックの体力増加や防御力アップといった能力上昇系のスキルなども一緒に手に入ります。
そのなかでもゲーム後半に手に入れることが多くなるであろう「ヒットガード」というスキルは、使い手によってはよりアグレッシブに動けるようになる、そして今まで述べてきたゲームバランスを変えられる可能性を持ったものとなっています。
このスキルは攻撃がヒット時にタイミングよくガードすることで、硬直をキャンセルできるものになっており、スキル強化をすることにより万が一攻撃をガードされた場合でもキャンセル可能となります。自身の攻撃はガードされることが多く、攻撃後の硬直を回避でキャンセルしづらい本作での生存率を上げるために有効な手段となっています。
こうして本作が持つゲームバランスを振り返ってみると、アクションゲームの要素に加え、格闘ゲームらしい要素を随所に感じました。敵のモーションを読んだり、攻撃時に発する音をしっかり聞いていないと防御が間に合わなかったりする点。こちらが無駄に攻撃をするだけリスクが発生するうえに、プレイヤーにとって有利になる防御スキルはタイミングが命となるものが多く、発生させるタイミングは緩和できるといえどもシビアなことには変わりありません。
相手の動きに対応しながら、複数の敵に囲まれた時は厄介な相手から遠距離攻撃や範囲攻撃で巻き込んで倒していく。そして1対1の状況に持ち込んだら、適切にガードをしながら間合いを詰めて、相手の隙を的確についていく。静かに相手の出方を待つ時間と、連続攻撃のチャンスを見逃さず叩き込むという「静と動」を味わうことができます。
ストーリーモードを終えても
なお「ジャック」でいたくなる!
ストーリーモードのボリュームはアクションゲームとしても短めで、すべてのステージを通してクリアしたとしても5時間ほどで終わると思います。しかし、探索や簡単な謎解き要素もあるうえに先述した難易度もあるので、たとえノーマルであっても後半は苦戦必至です。どうしても勝てないときは、過去にクリアしたステージを繰り返しプレイしてアイテムやスキルを充実させることも必要になるでしょう。しっかり成長させたジャックでより高難易度のステージを攻略する楽しみもあります。見た目に反した骨太な難易度と隅々まで忠実に再現された世界を体験した結果、私自身サムライジャックがこんなに好きだったのか再確認するとともに、このゲームに心を打たれました。「静と動」を使い分けるサムライらしさと、集団の敵をバッタバッタとなぎ倒すカートゥーンらしさも味わえるアクションが同時に楽しめるうえに、ジャックのスキルや武器ごとの育成要素、全ステージに散らばる家紋を集める収集要素やクスッと笑える謎解き、クリア後にはお題形式で連続戦闘を行うミッションモードもあり、いつまででも「ジャック」としてプレイしたくなる気持ちにさせてくれます。
同時に、国内未放送のシーズン5をこれほどまでに見たいと思わせてくれるゲームもめったにありません。大変残念なのは、シーズン5を視聴する方法が現状ほぼ皆無な点です(現状英語版のDVD・Blu-rayを輸入するくらいしか思いつきません)。
当時『サムライジャック』を見たことがある方はもちろん、骨太バランスなアクションゲームを望んでいるプレイヤーにもぜひチェックしてほしい本作、現在SteamとEpic Games Storeで購入可能です(※)。皆さんも「ジャック」となって時空を越え、悪の権化「アク」の野望を打ち砕きましょう!
※他のプラットフォームでは、国内だとXbox OneとApple Arcadeでプレイ可能です。
『SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME』 software © 2020 Cartoon Network.
Adult Swim、そのロゴ、サムライジャックおよび関連するすべてのキャラクターならびに要素は、WarnerMedia社©Cartoon Networkの商標です。
●タイトル:Samurai Jack: Battle Through Time
●ジャンル:アクションゲーム
●発売元:Adult Swim Games
●開発元:Soleil
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games Store)、Xbox One、Apple Arcade
●発売日:発売中(2020年8月21日)
●価格:4100円~
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: 第3世代 Intel Core i5
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX750 Ti または AMD Radeon HD7750
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: 第7世代 Intel Core i7
メモリー: 16GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX1080
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://www.adultswim.com/games/samurai-jack
●ダウンロードサイトURL:
https://www.epicgames.com/store/ja/product/samurai-jack-battle-through-time/home
https://store.steampowered.com/app/1150590/Samurai_Jack_Battle_Through_Time/
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