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Amazon Gamesの基本無料ゲーム『Crucible』ファーストインプレッション! 魅力は少なからずあれど問題点も多め!?

ネット通販最大手アマゾンのゲーム会社、Amazon Gamesによる基本無料ゲーム『Crucible』(クルーシブル)が、2020年5月21日にSteamでリリースされました。TPSMOBAの要素を交えたゲームになっています。フィールドにはプレイヤーだけではなくモンスターも存在しており、試合中どのようにしてキャラクターを成長させていくのかが重要となってきます。

さまざまなスキルをもったキャラクターたちの中から一人選び、最大8人~16人(プレイするモードによって変わります)で行われるチーム戦が主です。ボスモンスターからドロップするアイテムを先に3つ集めたほうが勝利する「Hearts of Hives」、2人組チームx4の最大8人のバトルロイヤルモード「Alpha Hunters」、互いに拠点を制圧し合う「Harvester of Command」の3つのモードから選ぶことができます。

キャラクターの組み合わせとスキル選択による戦略の幅や、いかにして相手チームよりもレベルを上げていくのか、チームが一致団結して攻撃・防御のタイミングを見計らうのが楽しいゲームです!


……と、ここまで説明した中ではなかなかおもしろそうと感じるかもしれませんが、その実、現時点ではあまりおすすめできないものになっていました。本稿ではメインで遊ばれることが多い「Hearts of Hives」を中心にプレイしたインプレッションをお届けします。

※2020年5月24日時点でのプレイインプレッションになります。またこの時点で日本語には対応していません。


爽快感はあまりなく、ゲーム全編を通じて終始淡々と進んでいく

先述したように本作はTPSとMOBAを合体させたようなゲームシステムになっており、それぞれ能力・スキルの違う10キャラクターから一人を選びマッチングすることになります。チーム内におけるキャラクター・スキル選択の組み合わせや経験値を得るためにいかにして戦略を繰り広げていくかがポイントになっていきますが、その面白いポイントが全体的な作りの粗さに殺されてしまっています。



本作における操作キャラクターは「ハンター」と称され、人間やエイリアン、半魚人やロボット、猫のような生き物まで存在しておりデザインとして個性豊かです。それぞれアビリティは5つ所持しており、基本攻撃の手段となる武器、ダッシュやテレポート、範囲攻撃や防御、妨害スキルなどハンターたちの戦い方によって変わってきます。

本作はレベルアップに応じて能力・スキルを強化することができますが、その強化の方針をいくつか事前に選ぶことができます。たとえば、Toscaと呼ばれる猫のようなハンターがレベル1時点で得られる強化として、「メディキットの所持数を増やす」「テレポートの距離を伸ばす」「格闘攻撃の威力を上げる」の3つがあり、そのうち1つを選ぶことになります。これによりToscaの防御・回避能力を上げるか、戦闘能力を上げるかを選択するのです。


ほかにも、ハンターによっては「剣による近接攻撃力を上げる」か「シールド展開中、シールド範囲内で回復できるようになる」を選ぶ、「マガジンリロード後、最初の6発は攻撃力アップ」か「グレネードがナパームグレネードになる」とを選ぶといったように、強化の選択次第でキャラクターの立ち回りが変わっていきます。試合中は変更できないので、自身の戦い方もしくはチームメンバーにあったスキル選びが重要になります。


……ただ、こうしたハンター・スキル選択や戦略構築の魅力も、実際にゲームが始めるととても薄くなってしまいます。その原因はゲーム全体を通して見える作りの粗さ。肝心のゲームプレイ自体に爽快感があまりなく、攻撃を当てた際に発生するヒットエフェクトもかすかなもので、敵に当てた感触がほぼほぼありません。

道中、相手チームに遭遇し、戦いに発展したとしても戦闘のテンポや展開は基本的に全員で撃ち合う、もしくは逃げながら撃ち合うだけの非常に淡白なものなので、いまいち盛り上がりに欠けます。スキル使用による見た目の派手さもあまりなく、「すごいことが起きている!」ということが一見ではまるでわかりません。勝利・敗北したとしてもハンターのポージングや勝利・敗北画面が入るわけでもなく、ただ真っ暗になってスッと終わってしまう試合にはどうしても物足りなさが否めません。

それに加え、本記事執筆時は、試合中におけるボイスチャット・チャット未搭載ということもあり、他プレイヤーとのコミュニケーション手段がピンを指すだけでした。チーム戦に非常に重きを置くゲーム性であるにも関わらず、ゲーム内で本来体験できるべきもの(スキルツリーの相談やチーム連携)ができない点についてとても惜しく感じます。

チャット関連に関しては、野良で遊ぶプレイヤーには必須なものです。こちらからアクションをしないにしても、味方からの指示を受けるためにも、意思疎通の手段として必要なので今後のアップデートで早急に追加するべきです。


ゲームコンセプトが不鮮明に感じられるバランス調整

そもそも、本作はTPS&MOBAという別ジャンルを組み合わせてはいるものの、それぞれの良さを活かすことができていないように感じました。TPSにしてはリスポーンが長めなのに、MOBAにしてはマップが広すぎるため、復活後合流するにしても相当の時間がかかってしまいます。一度でも自チームが全滅してしまうと、相手チームは好きなように動けるため、逆転の手段は非常に少なくなるのです。

リスポーン時間はレベルによって変動せず、最序盤にやられてしまったとしても25秒ほど待たなければいけません。その危険を避けるため地道にレベルを上げようとするも、モンスターを倒すより序盤からプレイヤーを倒しにいくプレイングのほうがガンガン貯まるので、チーム一丸となって動くほかなくなります。拠点制圧組とモンスター討伐組に分かれて動いたりしても、すぐにやられてしまうことも多く、現状は戦略の幅が狭まっている印象です。


MOBAの基本要素として存在する、自陣から敵陣へ侵攻する雑魚モンスターが本作にはいないので、マップに点在するモンスターたちを狩るか、いくつかある拠点を占拠して常時経験値を得られるようにするしかありません。

しかし、それらの方法で得られる経験値量は少ないので、ソロやデュオでモンスターを狩るメリットがあまり感じられず(何よりモンスター戦は面白さもなにもなく作業感がすごいです……)敵チームを探す道中にいたら皆で倒す、もしくはあとほんの少しでレベルアップできるタイミングで狩るくらいでしか有効利用できないように思えました。

さまざまな戦闘で受けたダメージを回復するために必要なメディキットも、一度使ってしまうとリスポーン時には復活せずマップ上で拾わなければなりません。リスポーン地点の近くにあれば幸いですが、少し離れた場所にあることが多く。拾うのにも使うのにも時間がかかるので、敵が近くにいるときはとっさに拾えず、迎撃を余儀なくされてしまいます。


また、メインモードとして存在するであろうHeart of Hives(ランダムで出現するボスモンスターのドロップアイテムを先に3つ確保したチームが勝利)も、出現するボスモンスターの出現位置に法則性がしっかり定まっていないのか、マップの端から端へと出現することもあれば、ときにはほとんど同じ場所に3回連続で出てくることもありました。後者のケースに当たってしまった場合は最悪で、試合の後半に陣取られてしまったらもう何もできません。

逆転要素の意味合いも大きい試合によって発生するさまざまなランダムイベントは、ダメージ量アップアイテムのドロップやモンスターの大量スポーンなどゲームの展開にメリハリを持たせてくれています。ですが、そのイベントが発生している位置を確認するためにはしゃがむことで行えるスキャニングモードを起動するか、画面のほぼすべてを覆うほどのマップを毎度開かなければならず、ゲームのテンポが下がりがちになります。画面HUDにミニマップさえあれば、イベント把握や戦闘中味方がどこにいるのかなど、なにが起きているのかがわかりやすくなって助かるのですが……。


上記のようなことから、この『Crucible』ではTPSをやらせたいのか、MOBAをやらせたいのか、コンセプトの通りジャンルを複合させたものをやらせたいのか、クリエイターが『Crucible』をどうしていきたいのか、プレイヤーにどうプレイしてほしいのか…… いまいち明確に伝わってこないのです。

ほかのモードについても面白くなりそうな部分もあるものの、マップの広さや展開の遅さはそのままにバトルロイヤルに近いモードが実装されていたりするので、「もしや、いま流行りの要素をとりあえず集めてみたのではないか?」と邪推してしまいそうなほど……。

ここまで中途半端になってしまうのであれば、いっそのことTPSかMOBAどちらかのジャンルにもっと寄せたほうがよかったのではないかとも思います。

TPSに寄せるのであれば、リスポーン時間を短く、マップロケーションをよりわかりやすくする、1対2の状況であってもどうにか戦えるようなハンターの能力バランスにするなど、戦闘の回数や面白さにより重きを置く内容にしたり。

MOBAに寄せるのであれば、チーム全滅で得られる経験値はそのままにモンスターから得られる経験値をある程度上げてみたり、試合展開が最序盤で決定しづらくしたりするなどしてチームによる戦略での勝利へと導く内容にしたり……いくらかやりようはあったはずだと思うのですが。

全編を通じて魅力は少なく、研究意欲が湧きづらい

そうした中で本作の魅力を問われると、以下の点になります。

・ハンターたちの個性
・無料で楽しめる
・事前にチームを組んで遊ぶ(コミュニケーションを取れるもの同士で通話をしながら)と面白い

魅力的な部分はあるにはあるのです。実際にDiscord上でフルメンバーを集めて遊んだときは、キャラクターの組み合わせやどの拠点を取っていくのかといった戦略を考えるのは楽しかったし、それぞれの試合でランダムに発生するイベント群も、連携を取りつつうまく活用することができれば逆転の一手としても機能していました。


しかし、ゲーム性や戦略をより深く研究したいと思わせるには、その欲求を生み出すに値する十分な魅力が必要だと私は考えています。少なくとも、現時点ではその意欲は湧きづらく、研究や練習をしようにもモチベーションを維持するにはとても難しく感じました。ゲーム開始時に行われるチュートリアルも十分ではなく、あくまでも基本的なルールを教えてもらえるものにとどまっています。トレーニングモードもハンターのアビリティが確認できる練習場のみで、実際の試合形式の模擬戦モードは用意されておりません。

淡々と進む試合運びや当たったかどうかが分かりづらいヒットエフェクト、一度畳み掛けられると復帰が厳しいゲームバランス。MOBAジャンルに存在するハラス(戦闘の前線に立ち、タイミングを見計らって相手を牽制する行動)が本作では存在せず、モンスターはあらかた無視して敵チームを倒しに行くという、もはや殲滅前提の行動に繋がっているのです。

こうなるとTPSの腕を問われる部分が大きすぎるような気がしますし、MOBAというジャンルがもつ面白さを現状ではほとんど感じることができません。TPS or MOBA初心者プレイヤーに向けての配慮があまりにも足りなく感じてしまううえに、「ほかのゲームで遊んできたのだろうし、このゲームもできるでしょう?」といわんばかりの説明のなさは、ゲームへのモチベーションをプレイヤーへ委ねすぎている節があります。


現状ではあくまでもアルファ版を抜け出たばかりのベータ版という印象で、ベータであったとしても本作の随所から漂う作りの粗さはいかがなものかと感じてしまうのが正直な感想です。言うなれば、ある種の見切り発車のような印象も受けてしまっています。

それでも、一緒に通話しながらプレイできるメンバーを探すことができれば(プレイ自体は無料のため、誘いやすくもあります)楽しむことはできる作品ではあります。逆に言い換えてしまえば、少なくともコミュニケーション面がアップデートで改善でもされない限り、私はソロで遊ぼうとは思いません。


今後アップデートを重ねていくらしいので、それに期待したいとは思いつつ、リリース当初の印象を覆すような劇的な変化が伴わないと新規ユーザーの確保、強いては本作の運営継続も難しいのではないかとも思っています。

ともあれ、本稿のためにけっこう遊び込んだので、今後のアップデートには注目したいですね。

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『Crucible』公式サイト(英語)
https://www.playcrucible.com/en-us
『Crucible』Steamページ
https://store.steampowered.com/app/1057240/Crucible/
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2020年版>

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