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『STAR WARS: スコードロン』EP6と7のあいだの物語! 宇宙空間ならではのドッグファイトで堪能しよう【オススメPCゲームレビュー】

目次
  1. 長い歴史を持つ「スター・ウォーズ」のスペースコンバットゲーム
  2. 出撃前の仲間パイロットとの会話が生きるキャンペーン
  3. 「スター・ウォーズ」のドッグファイトを感じ取れるゲームプレイ
  4. 他のフライトゲームにはない戦い方が出来るマルチプレイ
  5. 価格も安くキャンペーンのみでも楽しめる作品
2020年10月2日にエレクトロニック・アーツより発売されたMotive Studio開発のスペースコンバット『STAR WARS: スコードロン』のレビューをお届けする。

本作は映画「STAR WARS」シリーズにおける戦闘機での戦いを題材としたタイトルで、「エピソード6/ジェダイの帰還」より4年後を舞台に据えている。


長い歴史を持つ「スター・ウォーズ」のスペースコンバットゲーム

映画「スター・ウォーズ」題材のスペースコンバット/フライトシューティングゲームは数多く存在する。古くは1983年稼働のAtariによるアーケードゲーム『Star Wars』がその筆頭に挙げられるだろう。プレイヤーはルーク・スカイウォーカーとなり、Xウイングを操縦してデス・スター破壊を目指すというものだ。

90年代から2000年代にかけては1993年に登場した『X-Wing』シリーズや、1998年の『出撃!ローグ中隊』を筆頭とした『ローグスコードロン』シリーズ、そして『Starfighter』シリーズがある。戦闘機や歩兵が絡んだ「スター・ウォーズ」ゲームにおいて戦闘機要素は新旧『バトルフロント』シリーズなどでもフィーチャーされていた。

▲画像はPC版『Rogue Squadron 3D(出撃!ローグ中隊)』から

その中で2015年に発売された新生『バトルフロント』では、空戦特化の「Fighter Squadron」モードやPSVRのみで本作の前身とも捉えられる「Rogue One: Xウィング VR ミッション」がリリースされている。同様に2017年発売の『バトルフロントII』でも「ヒーロー・スターファイター」や「スターファイター・アサルト」など戦闘機にフィーチャーしたゲームモードが実装された。

大雑把な説明だが、これらのことから本作は純粋な「スター・ウォーズ」のスペースコンバットゲームとしてみると、実に十数年ぶりにリリースされたジャンルのタイトルだ。

出撃前の仲間パイロットとの会話が生きるキャンペーン

キャンペーンは、銀河帝国軍のタイタン中隊と新共和国軍のヴァンガード中隊にそれぞれ視点を変えつつ進んでいく。2つの中隊における別々の物語を描くのでは無く、共和国軍が進める「スターホーク計画」にまつわる戦いを銀河帝国/新共和国の両視点から描くものだ。

キャンペーンを開始するとキャラクター作成画面に入り、帝国軍/新共和国軍からそれぞれ容姿や格好、ボイスを数種類のパターンから選べる。選択に制限は無く女顔に低い声や、男顔に高い声を当てる事も可能で、プレイヤー名も変更可能な他ランダム設定も可能だ。またキャンペーンにおいてプレイヤーが作成したキャラクターに独自のセリフは無いが被弾時に時々喋るようになっている。


物語の発端は、銀河帝国軍に所属しているものの方針に疑問を持つリンドン・ジェイブス大尉が、難民船団破壊という非情な命令に反発して帝国を裏切る所から始まる。プレイヤーとケリル中尉は裏切ったリンドン大尉を説得し追いかけるものの追跡に失敗。新共和国側のプレイヤーによってリンドン大尉を逃してしまうというのが序盤の「チュートリアルI/II」の内容だ。


物語はそのまま4年後の「EP6/ジェダイの帰還」の出来事を経てパルパティーン皇帝とベイダー卿を失い弱体化/統制が取れない銀河帝国と、新たに誕生した新共和国との戦いが本編の時間軸となる。


ゲームプレイの進行としては帝国/新共和国編ともに、ハンガー内での同中隊パイロットとの会話(会話自体は任意)→ブリーフィング→出撃前の会話(任意)→機体のカスタマイズ→出撃だ。

ハンガー内での会話は、仲間のパイロット達の過去や信条を語る場面で、プレイヤーの活躍によって変化した状況についてのコメントも含まれている。もう少し掘り下げると、帝国軍側では忠告だけでなく内部がまとまれない現状への歯がゆさを漏らす場面も多く語られる。一方の勢いを増す新共和国軍では元レーサーなど様々な種族や人物が参戦し、過去の戦いでどのような勝利を収めたかを述べる場面が多い。



特に帝国軍側では、キャンペーンで帝国内部の連携が取れず勝手に攻撃を始める司令官や、司令官の間で融通が利かず物資の補給を受けられない場面があるために「末期戦」という言葉がピッタリとはまる。厳しい状況と味方パイロットとの信頼、そして足掻こうとするケリル艦長の姿が映される故に筆者個人としては帝国側に気持ちが傾く場面が多かった。


帝国の終焉や弱体化を感じさせるセリフはゲームプレイ中でも新共和国軍側の無線でも多く登場し、本作に関連した短編映像「Hunted」で新共和国軍パイロットの「帝国はもう負けだ」というセリフからも強く印象に残ってしまう。

帝国軍は、「エンドアの戦い」から約1年後の「ジャクーの戦い」での大敗から最終的に降伏するところまで至っている。「EP7/フォースの覚醒」までの時系列が決まっているとはいえ、なんだか物悲しさを感じてしまう。帝国軍の彼らの行く末、つまり敗北が開示されているために、より気持ちが入ってしまうのだ。


「スター・ウォーズ」のドッグファイトを感じ取れるゲームプレイ

キャンペーンは全14ミッション。視点が帝国/新共和国へと進行によって変わるのは前述の通りだが、実際に遊んでみると気持ちの切り替えが難しく、度々ゲームプレイを止めて気持ちを整理する時間が必要だった。


ミッションの進行や内容は、マルチプレイへ向けた登場機種のチュートリアルを感じさせるものが多かったが、バリエーションの豊かさを体験するのに役立っている。護衛戦や対艦戦、ドッグファイト、基地攻略、小規模だがトンネル的要素もある。

▲キャンペーンには「スター・ウォーズ」映画本編にも登場するウェッジも現れる

戦闘自体はシンプルで、敵機を照準近くまで捉えるとある程度照準補正が働くため、フライトシムの機銃戦のように繊細な操縦テクニックを求められないよう配慮されている。また照準近くで敵機を捉え続ければミサイルも発射できる。

しかしながら、ゲームプレイ中の視点はコックピット視点しか存在せず、3人称視点から眺められないのは強い閉塞感と疲労感を与えてしまっている。特に帝国側のTIEファイターは正面しか開口されていないため、機体の上下から敵機が迫ってもその位置を特定しづらいのだ(注視機能もないために敵機を視点で追いづらい)。


▲これら2つの写真のうち、上がXウイング、下がTIEファイターの視点。Xウイングはキャノピー上が透明であるため閉塞感が小さい

戦闘自体は、有視界のプロペラ戦闘機時代のようなものに感じられるが、「スター・ウォーズ」にはシールドの概念があるために、如何にシールドを剥がすかが焦点となり他のフライト系ゲームと差別化が図れているのが面白いポイント。

オールマイティな戦闘機的ポジションのTIE LNファイター/ T-65 Xウイング、重武装攻撃機なTIE SAボマー/ BTL Yウイング、高速戦闘のTIE INインターセプター/ RZ-1 Aウイング、支援機TIE RPリーパー/UT-60D Uウイングの4種類存在。さらに、これらの機種はある程度カスタマイズを受け付けており機体の性能や装備の変更だけでなく、コックピット内の装飾やマーキングも追加可能だ。


一つ残念な点を挙げるなら惑星内で戦闘が出来ないことだろう。デブリ地帯や様々な基地、そして背景色の違う多くのバリエーション豊かな宇宙空間で戦闘するものの、惑星の大気圏内で戦うマップもないために画一的な印象を受けてしまった。

他にも操作に関しては少し独特で、デフォルト設定だと左スティックが上下スロットルに左右ヨーで、右スティックが上下ピッチアップ/ダウンに左右ロールとなっている。なお、これらのキー配置はスティック含めカスタマイズも出来る。他にも本作はVRに対応している。筆者はPCVRを所有していないため検証が出来なかったが、ブリーフィングや会話シーンで定点位置に固定されていることや、出撃前には機体周辺を定点移動できるため、フラットモニターでもVR要素を強く意識しているようにも感じられた。


また先に書いたリンドン大尉だが、キャンペーン終盤に帝国軍側のプレイヤーと、新共和国側へ裏切り司令官となったリンドンと一騎打ちする場面が設けられている。プレイヤーとしては非常に盛り上がる傍ら切なさも覚える戦いで、苦労のすえ最終的にリンドンを倒し勝利を得られるものの、次の共和国側ラストミッションで突如として機体そのままに復活する展開が、少し前のプレイヤー側の努力や心情を不意にして気持ちを冷ましてしまうと言わざるを得ない。


他のフライトゲームにはない戦い方が出来るマルチプレイ

最後はマルチプレイだ。本作の情報が公開された際に多く出てきたのが本モードで、今まで広くアピールされていた要素とも言える。10月2日発売から約2ヶ月経過した現在においてマッチング率は高くなく、5分以上経過しても戦えないこともあったが、カジュアルなマルチプレイのスペースコンバットシムとして注目すべき点があることがわかった。

本作の試合で他のフライトゲームと異なる要素としては、宇宙空間であるために飛行中に一時停止が出来る事だろう。この一時停止は、基地やデブリ漂う宇宙空間や入り組んだ基地内において有効で、敵機への待ち伏せ攻撃にも活用出来る。一方でゲームシステム自体はキャンペーンモードと同じだが、敵機の殲滅などがメインとなると戦い方は大きく変わってくる。


しかしながら、HUD上において味方機のアイコンがわかりにくいため、ボイスチャットなどで連絡を取っていない限り連携の難しさが目立った。例えば後方から敵機に狙われている味方機の救出や支援への判別が難しくとっさの行動がとりにくいといったところだ。また3人称視点がないというのも難しさに拍車をかけており、死角からわけもわからず倒されてしまうことも多々あった。


マップも惑星表面での戦いがないため高度の概念に捉えられず楽しめるものの、新生『バトルフロント』シリーズで実装されていたデス・スターの「トレンチラン」のような、様々なトンネルが設けられた遊び心あふれたマップが欲しくもある。他にも、1マッチが終わると自動的にルームが解散されてしまうため継続して戦えないのが残念だ。

それでも同ジャンルのタイトルは多くないために、遊んでいると他にない新鮮なゲームプレイを体験する機会が多く、マルチプレイを遊びきるのは難しいが、アップデートが継続していることからそれなりに継続して遊びたいモードだ。

価格も安くキャンペーンのみでも楽しめる作品

先の新生『バトルフロントII』やソウルライクな『ジェダイ: フォールン・オーダー』に目を向けてみると、『STAR WARS: スコードロン』は「スター・ウォーズ」に登場する戦闘機のみを扱うニッチなタイトルであることは否定できない。

キャンペーンは、現代的でドラマチックなフライトシューティングを作る難しさを感じ取れたが、「スター・ウォーズEP6/ジェダイの帰還」後の世情を感じ取れる様々なセリフや演出は一見の価値がある。他にも前述の短編映像や公式サイトに掲載されている2つの短編小説も本作のキャンペーンの魅力を引き出した。


マルチプレイに関しては、時間が経過するとプレイ人口が減ってしまい遊ぶ機会が減ってしまうのはどうしようもないが、もし遊べたなら十分に堪能してみてみよう。

本作の国内価格も4300円という昨今のタイトルとしては非常にリーズナブルであることに加え、VRに対応した新時代のフライトゲームの演出ということを踏まえ、少しでも興味があるなら手を出してみても損はしないタイトルだ。

Lucasfilm, the Lucasfilm logo, STAR WARS and related properties are trademarks and/or copyrights, in the United States and other countries, of Lucasfilm Ltd. and/or its affiliates. © & TM 2020 Lucasfilm Ltd. All rights reserved.

●タイトル:STAR WARS: スコードロン
●ジャンル:スペースコンバット/フライトゲーム
●発売元:エレクトロニック・アーツ
●開発元:Motive Studio
●プラットフォーム:PC(ORIGIN、SteamEpic Gamesストア)、PlayStation 4、Xbox One
※PC版、PS4版はVR対応
●発売日:2020年10月2日発売
●価格:4300円
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-6600K または AMD Ryzen 3 1300X
メモリー: 8GB
グラフィック:Nvidia GeForce GTX660 または AMD Radeon HD 7850
ストレージ: 40GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i7-7700 または AMD Ryzen 7 2700X
メモリー: 16GB
グラフィック:Nvidia GeForce GTX1060(VRの場合はGTX1070) または AMD Radeon RX 480(VRの場合はRX 570)
ストレージ: 40GB
●公式サイトURL:https://www.ea.com/ja-jp/games/starwars/squadrons
●ダウンロードサイトURL:
https://www.ea.com/ja-jp/games/starwars/squadrons/buy/pc
https://store.steampowered.com/app/1222730/STAR_WARS/
https://www.epicgames.com/store/ja/product/star-wars-squadrons/home
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2020年版>

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