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誰も死なない対戦TPS『ロケットアリーナ』レビュー! 思いも寄らない奥深さは、全対人ゲームファンが体験すべき!

ようこそ『ロケットアリーナ』のレビューへ! ここでは作品の評価を行うが、まず私の審美眼の傾向を明らかにしておこう。普段はストーリーゲームが好きで、RPG要素を含むものが得意。そして専門はFPSでRPG要素を含むとなおよいといった感じだ。しかしビジュアルノベルなども遊ぶしプレイの幅は広く、これまでに遊んできたタイトルは少なくない。そんな私が本作をどう評するのか。それは「どれだけきちんと遊べるか」といった“製品チェック”的な部分に「遊んだ先に喜びはあるか」といった“遊ぶご褒美”と「アップデートの可能性を感じるか」といった“継続性”という点に絞って評していきたい。


『ロケットアリーナ』とは?

本作は3vs3のTPSで、「EA Originals」というインディーゲーム支援プログラムでパブリッシュされた。本作は大きく分けて3種類のゲームモードがあり、ベーシックなゲームモード「アリーナ」に、キル数を競う「ノックアウト」とPvEの「ロケットボットアタック」が用意されている。

プレイヤブルキャラクターは本稿執筆時点で10名となる。それぞれ「ホバーボードに乗って駆け回るパンクス」みたいな女性や「カレイのような海洋生物になって移動できる水の女王」のようなキャラクター、さらには「ロケットを背負い空中から一斉放火できるご老人」など、個性の付け方がまったく異なるようデザインされたキャラクターが満載。

さきほど便宜上「キル数」と書いたが、本作はロケットで一定のダメージを与えると場外へ吹っ飛ばすことができ、これが一般的なFPS/TPSで言うところの「キル」に当たる。倒すという概念はなく、ロケットで追撃してピヨらせて、そこからさらに攻撃して吹っ飛ばすことで、場外に放り出されたキャラは一定時間操作できなくなり、決められた場所にリスポーンする仕組みとなっている。


10名のうちからお気に入りを見つけるまでにいろいろとピックするだろうが、必ずお気に入りは見つかる。そのくらい多様性があり魅力的なキャラクターが用意されていると言っていいだろう。後述する、用意されている実際のゲームプレイも含め「製品チェック的な意味合い」で見ると充分なパッケージングといえる。また魅力的と感じるのはベーシックのゲームプレイで映えるからだが、それも後述する。

▲ほかには「プレシーズンリーグ」がありリーグ挑戦者向けのものも用意されている。また「練習」モードに「プライベートマッチ」も存在する

ベーシックなゲームプレイにはどんな楽しみがあるか

プレイの際、ホーム画面でデカデカと表示される「今すぐプレイ」と書かれているボタンを押すことになるだろう。これは「アリーナ」に繋がるボタンで3vs3の対戦マッチングをすぐに検索し始められる。ただしルールセットはランダムに選ばれ、それが飽きさせないようにする工夫として有効的に働いている。

▲重要なのは「PC版でもプレイステーションなどとクロスプレイが可能」という点

気になるアリーナのルールセットだが「メガロケット」はいわゆる“キング オブ ザ ヒル”形式で所定のポイントをキャプチャーし続けるモードだ。「ロケットボール」という疑似ラグビーを行うものや、「トレジャーハント」というモードではステージ上のコインをより多く集めた方が勝ちというもの。最後に「ノックアウト」モードでは純粋にキル数を稼いだほうが勝ちというルールになっている。

これらのルールセットは重ねて言うがランダムに選ばれるためプレイしていて飽きない。また重要なことに「事前ビルド」として「アーティファクト」というものも存在している。これは3つまで装着可能で、キャラクターの能力を増幅したりさまざまな効果を発揮する。このアーティファクトはマッチを重ねれば重ねるほど成長するので、前述した「戦ったご褒美」としてバッチリだし、キャラクターのスキンやマッチの際に表示される「トーテム」のカスタマイズも、戦いを重ねて手に入るポイントで行う。

▲キャラクターのスキンは、レベルで解放されていくものが多い

また現状どのキャラクターもヒットスキャン(銃弾が物理的に出ずに射撃するとその先で当たった判定が出るシステム)ではなく、プロジェクタイル(たとえばクロスボウの矢のように実際に銃弾が物理的に出て当てるシステム)というのもポイントだ。このためキャラクターの基本攻撃を理解する必要があり、研究しがいがあるようになっている。

戦闘においても敵を吹っ飛ばしてノックアウトしたときの快楽はすごく爽快感があるし、やられた際もあまり嫌な気持ちにならないよう作られている。前述のとおり本作に明確な死亡表現はなく、単純に場外に吹き飛ばされるだけだからだ。これはとても巧妙だと感じさせる。

▲ブラストゲージが最大になると場外に吹き飛ばされる

もっともっと宣伝して、みんなに知ってほしい!

EA Originals作品ではコマーシャルに力を入れていない作品も多く、本来この手のゲームは公式サイトに書いてあるようなことは毎日各国にローカライズされた公式Twitterがつぶやくべきだし、人気ストリーマーにプロモーションとしてプレイしてもらったり「ググらなくてもわかる」ように情報が入ってきたりするべきだと思う。そういった意味では、本作は恵まれていないように感じている。

▲スケボーで縦横無尽に駆け回るキャラクターは位置取りのおもしろさがあるしスケボーを敵にぶつけることすらできる

だからこそ、本稿では大きな声で言いたい。本作はもっと遊ばれるべきポテンシャルを持った良作である!と。設計には多様性を目的としているような思想がみえるし、キルされて死ぬような描写を用いなかったのはプレイヤーのストレスを和らげ継続性を持たせるためだろうし、そもそも10名用意されたキャラクターの使い方を探るだけですごくおもしろい。

本作はゲーム内で説明されないことが多々あるが、公式サイトでキャラクターのさまざまな使い方や特定ルールにおける勝ち方指南などが記載されている。このサイトは全『ロケアリ』プレイヤーはしっかりチェックすべきだろう。これを読めば、各ルールセットへの対応の仕方がわかり、さらなる奥深さに気付く。それからが本作の始まりといえる。

こういった技術を知らないまま戦っていると、遠距離から何となくスキルを使って撃ち続けるようなプレイになってしまう。ところが技術を知った途端、縦横無尽に動いてもいいことがわかり、本作での立ち回りの広さを理解し始める。すると「プレイヤースキル」の重要さがわかって、すべてのマッチが楽しくてたまらなくなる――私の未熟な筆致では本作がいかに奥深いか10分の1すら描写できていないかもしれないのが悔やまれる。

だから最後に言おう――ようこそ『ロケットアリーナ』へ!

©︎ 2020 Final Strike Games, Inc. [EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc.] Trademarks are the property of their respective owners.

●タイトル:ロケットアリーナ
●発売元:エレクトロニック・アーツ
●開発元:Final Strike Games
●ジャンル:3人称ヒーローシューター
●発売日:2020年7月14日
●価格:通常版 3100円、ミシックエディション 4300円
●必須スペック:
OS: Windows 7 64 Bit
プロセッサー: Intel Core i3、AMD Phenom X3 8650
メモリー: 4 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 460 / AMD Radeon HD 4850
DirectX: Version 11
ストレージ: 30GB
●推奨スペック:
OS: Windows 10 64 Bit
プロセッサー: Intel Core i5、AMD Phenom II X3
メモリー: 6GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 / AMD Radeon RX 480
DirectX: Version 11
ストレージ: 30GB
●公式サイトURL:https://www.ea.com/ja-jp/games/rocket-arena
●ダウンロードサイトURL:
https://www.origin.com/jpn/ja-jp/store/rocket-arena/rocket-arena
https://store.steampowered.com/app/1233550/


条件および制限が適用されます。 www.ea.com/ja-jp/legalでご覧ください。
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2020年版>

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