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冥界脱出ローグライト『Hades』 美しいギリシャ神話世界でスタイリッシュアクション! 【オススメPCゲームレビュー】

ギリシャ神話の冥界を舞台に、スタイリッシュな戦闘が楽しめるローグライトアクション『Hades』が2020年9月17日に正式リリースされた。ランダム生成されたダンジョンを探索する「ローグライク」に他のジャンルの遊びや要素をプラスアルファする「ローグライト」は、デッキ構築型カードゲームとローグライクを組み合わせた『Slay The Spire』や、ローグライク×メトロイドヴァニア=ローグヴァニアを謳い2018年のGOTYのアクションゲーム部門でアワードも取った『Dead Cells』など、一世を風靡し、現在ではもはや定番のゲームジャンルとなりつつある。

人気ゆえにか最近のインディーゲーム界隈では少々乱造気味で、まさにローグライト戦国時代とも言えるような状況だが、その中でも名作タイトルに引けを取らない面白さを持つ『Hades』を詳しく紹介していこう。

プレイする度に大きく変わる一期一会の戦闘スタイル!
シンプルながらも洗練されたゲームデザイン

本作はギリシャ神話がモチーフの世界観で、冥界の神ハデスの息子である主人公ザグレウスが、母親に会いに行くために地上を目指し、冥界を駆け上っていくというストーリー。その壮大な家出の中で、他の神々の助けを得たり、父親に妨害されたり、冥界の住人と関わりながら冥界のダンジョンに何度でも挑んでいく。

クォータービュー(斜め上からの見下ろし画面)によるアクションゲームで、6種類の中から武器を1つ選んでからランダム生成ダンジョンに潜っていき、死んだら振り出しに戻るローグライトではお決まりのシステムとなっている。ダンジョンは部屋ごとに分かれていて、敵やトラップが待ち受けており、部屋をクリアするごとにアップグレードやアイテムが得られる。

基本操作は武器によって異なる「Attack(通常攻撃)」「Special(強攻撃)」と、全武器共通の「Cast(飛び道具)」「回避」の4ボタン。敵の猛攻を回避で避け、連続攻撃で戦うスピード感のある戦闘が持ち味だ。

▲選択できる6種類の武器。どれも独特な性能だが使いこなせると楽しい

▲敵の猛攻をかいくぐって反撃だ!

ゲームの根幹部分はシンプルだが、進めるにつれてランダムで得られる「Boon(神々の恩恵・賜物)」で上述の基本行動の性質が変化し、プレイするたびにまったく異なったプレイスタイルで戦うことになる。

「Boon」はギリシャ神話の神々に応じて10系統あり、基本操作のどれかひとつを強化するか、パッシブ効果を付与することができる。効果を具体的に挙げると、ゼウスなら敵に連鎖する雷を攻撃に付与する、ポセイドンなら水流で敵を吹き飛ばす、アテナなら盾を出して敵の攻撃を弾くなど、神々のモチーフに合わせた特殊効果が付与されるのだ。これらを組み合わせると自然とプレイスタイルが生まれていく。例として上述のものを組み合わせると、「ポセイドンの力が宿ったAttackで敵を吹き飛ばし一箇所にまとめ、ゼウスの力の宿ったSpecialで一網打尽にする」、といった具合だ。

さらには「Daedalus Hammer(ダイダロスのハンマー)」というアイテムを拾えば、基本行動そのものも変化していく。武器のひとつである弓で例示すると、デフォルトではチャージして放つ通常攻撃が、チャージ不可になる代わりに連射できるようになったり、3方向に矢が出るようになったり、チャージが遅くなる代わりに射程、威力が高くなる……などである。

この多彩な強化を組み合わせていくことでプレイスタイルがどんどん変わり、プレイヤーが即興で考えたシナジーを活かしていく。この「プレイスタイルの変化」がこのゲームのキモで、キャラクターの性能が「インフレ」していくのではなく、進めるほどに「洗練」されていくのが楽しい、というわけだ。

▲豊穣と飢饉の神デメテルの恩恵で遠距離攻撃がタレット設置に変化!ダメージは減るが敵の移動速度を低下させるレーザーを発射する

どの武器を選んでも共通で使える遠距離攻撃の「Cast」も独特なシステムになっている。射程、威力ともに強力だが、敵に一度撃つと弾が敵の体内に残り、その敵を倒して回収するか、一定時間経って排出されるまで撃てないという仕様になっている。この仕様のおかげでプレイヤーは、「敵と間合いを取って引き撃ちし続けるのが最適解」というこの手のゲームにありがちな問題点を解消している。武器の中には遠距離攻撃武器も存在するが、どれも個性的な性能を持っており、安全地帯からの地味な戦闘ではなく、シビアでリスキーな戦闘の面白さを巧みに引き出していると言えるだろう。

ローグライトで定番のプレイするたびに新要素がアンロックされていき、前よりも進みやすくなっていく要素も本作には存在する。ダンジョンを攻略していくことで得られるリソースを使い、主人公や武器を強化したり、冥界の住人や神々と交流することで攻略の助けとなる装備アイテムをもらったりすること可能だ。

とくに武器の性能を大きく変える「Aspects」という要素は、『Hades』の楽しさのコアである戦闘スタイルの変化と洗練をより面白いものとしてくれる。「Aspects」では前述の「Daedalus Hammer」のように武器の性能を変化させられるが、ランダム要素に左右されずダンジョン探索前に自分で設定できるので、これでスピード感のある連続攻撃特化なのか、1発の火力特化するのかというようなざっくりとした戦い方の指針を生み出してくれるのである。

「Boon」、 「Daedalus Hammer」、「Aspects」の3つの要素がうまく組み合わされば、「コレとコレの相乗効果でこの攻撃がヤバい!」というようなキャラクタービルドの楽しさがローグライトのランダムから生まれるカオスの中で体感でき、毎回「今回限りの唯一無二の戦闘スタイル」を体験できるため、何度も飽きること無くプレイできるのである。

▲強化の結果、剣の強力な一撃と遠距離攻撃を交互に行うヒットアンドアウェイが得意なプレイスタイルに

独創的で美しいビジュアルと世界観に引き込まれろ!

ここまで『Hades』のゲームシステムの面白さについて紹介してきたが、細かく描き込まれたグラフィックの美しさももうひとつの大きな魅力だ。Supergiant Gamesはもともと美麗なアートワークで高い評価をデベロッパーで、『Bastion』や『Transistor』といった、良い雰囲気のグラフィックやBGM、独創的なゲームシステムを兼ね備えた作品を世に送り出してきた。もちろん本作『Hades』でもその「らしさ」は健在である。

神話の幻想的な雰囲気と冥界のシビアな雰囲気が溶け合う世界に合うハードロック調のBGM、世界を眺めている(そんな余裕はないけれども)だけでもワクワクすること間違いなし。

▲細かく描き込まれた背景。神話の幻想的な世界をうまく表現している

▲舞台は冥界なのでときには荒々しいマップも

▲ギリシャ神話の冥界といえばケルベロス。描き込まれたイラストのようなグラフィックがなめらかに動く

アクションゲームとしての純粋な操作の爽快感、ランダムの中での一期一会のキャラビルドの楽しさ、アートワークの雰囲気の良さと、どの側面から見ても非常に完成度の高い本作。キャラクター同士の掛け合いやフレーバーテキストなども魅力のひとつなので日本語に2020年10月現在で非対応なのはとても惜しいが、2020年冬にはNintendo Switchで日本版が発売予定なので、そのタイミングでPC版も日本語ローカライズが行われる可能性がある。公式Discordではローカライズ支援の募集も行っているので、ゲームにハマった人はぜひ参加してみてほしい。

操作感の良いアクションゲームが好きな人はもちろんのこと、ゲームプレイの難易度を大幅に下げるモードも搭載されているので、激しいアクションゲームは苦手だけどグラフィックに惹かれた、という人にもおすすめの作品だ。

© 2020 Supergiant Games, LLC. All rights reserved.

●タイトル:Hades
●ジャンル:ローグライトアクションゲーム
●発売元:Supergiant Games
●開発元:Supergiant Games
●プラットフォーム:PC
●発売日:発売中(2020年9月17日)
●価格:2570円
●必須スペック
OS: Windows 7 SP1
プロセッサー: Dual Core 2.4 GHz
メモリー: 4GB
グラフィック:1GB VRAM / Direct10以上をサポート
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 7 SP1
プロセッサー: Dual Core 3.0 GHz以上
メモリー: 8GB
グラフィック: 2GB VRAM / Direct10以上をサポート
ストレージ: 20GB
●公式サイトURL:https://www.supergiantgames.com/blog/hades-now-out-of-early-access
●ダウンロードサイトURL:https://store.steampowered.com/app/1145360/Hades/

【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2020年版>

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