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『Ghostrunner』レビュー! 素晴らしいビジュアルとアクションの心地よさに、刺さる人にはトコトン刺さる名作

光り輝く街並み、瓦礫やゴミにまみれた道、高速で移動するプラットフォーム。全編を通じてしっかりと形作られたスタイリッシュなデザインと、刺さる人にはとことん刺さるゲームシステムが重なったサイバーパンクパルクールアクションゲーム『Ghostrunner』(ゴーストランナー)は、その難易度の高さとリプレイの素早さからトライ・アンド・エラーの達成感を求める人にうってつけのゲームとなっていました。筆者にとって好きな物がたくさん詰まっていた本作をレビューしていきます。


美しいビジュアルとアクション!
いつまでも“そこ”にいたくなる世界


本作はステージクリア型の主観視点型サイバーパンクパルクールアクションゲームになっています。プレイヤーは記憶喪失の主人公「ゴーストランナー」となって出現する敵をすべて倒し、目標地点へと進みゴールすることでステージクリアとなります。残機やリトライ時のペナルティなどは存在せず(「一度も死なずに1ステージクリア」をはじめとしたやりこみ要素はあります)、ひたすらアクションをこなしクリアすることだけに集中できます。

ゲーム開始時、その美麗なビジュアルに心を惹かれる人はきっと多いことでしょう。視界が徐々に開き、寂れた街の中で自身の義手化された右腕に反射する自分の姿を見たあと、おもむろに下層にいる敵を一撃で屠るというシーンからはじまる本作は、実に多くの謎に包まれながらもゲームプレイへとスムーズに導入していきます。


登場するステージがそれぞれ特徴的で、ビルの合間や看板を足場にどんどん飛んでいく場面もあれば、地下空間やダクトをスライディングで滑り抜ける場面、はたまたグラップルフックを使用し足場のない空間を忍者のように飛び越えていく場面などもあります。道中敵として登場するキャラクターたちも、サイバー忍者な見た目をしているものから、ビーム弾を放つドローンやメック、片言の日本語を話す剣士や爆弾を抱えて突進してくる生体兵器など、モデルをしっかり見たくなるくらいスタイリッシュなデザインをした敵が多いです。

全体を通してサイバーパンクに徹底したビジュアルとデザインはときには興奮し、ときには見惚れてしまうほど素晴らしいものに仕上がっています。


そんな魅力的なステージのなかを軽々と駆け巡るゴーストランナーのアクションは、操作がなかなかに難しく、ゲーム開始当初は記憶喪失ということもあり本来の能力もあまり開放されていません。しかし、その状態であったとしても決して足場にはならないだろう箇所を蜘蛛のように飛び歩き、一瞬にして敵を斬り伏せる心地よさは、従来からある主観視点型アクションゲームの中でもとくに秀でています。遊んでいくうちにいつまでも“そこ”にいたくなるくらい病みつきになってしまうことでしょう。

素晴らしいビジュアルとアクションの心地よさに、たとえ負け続けて悔しかったとしてもなお、何度も何度もトライしたくなる出来になっているのです。

軽快かつ美麗なアクションを習得するには
数え切れないほどの「死」が必要


ただ、本作でより華麗に動きより多くの敵を倒したいとなると、まずは操作の難しさになれる必要があります。FPSTPSを常日頃遊んでいる人であればキー操作に戸惑うことは格段に少なくなるはずですが、それでもなお特有の難しさは残ります。というのも本作は、適切な操作を行う判断を瞬時にできるかどうかに重点を置いているような感触を受けました。

どこへ向かってジャンプするのか、どの方向へ回避するのか、それら一瞬一瞬の迫ってくるスピードが本作では非常に早いテンポになっていて、操作・空間把握・敵位置や手助けになるギミックの場所などとっさに考えることが一度にたくさんあります。敵が放つ攻撃もかなり正確に狙ってくるため、常に無駄な動きが許されない状況へと追いやられることでしょう。


幸い、プレイヤーが操るゴーストランナーの運動能力はすさまじく、壁や看板を飛び移りながら走り回ることができ、高所から着地することがあってもまったくダメージを受けません。また、彼が持つ力として感覚を集中させることにより、すべてのものをスローモーションにでき、敵が放った攻撃を寸前で避けることも可能になります。比較的短めの間隔で再使用できるので危険を感じたら一度スローにしてみるのもひとつの手です。

ステージを進めていくうちに手に入るアビリティには、剣戟によるエネルギー波を飛ばして敵を一掃する「サージ」、手から衝撃波を発生させて敵を吹き飛ばすのみならず弾丸さえも弾き返すことのできる「テンペスト」など強力なものが揃っており、敵を倒したり一定時間経つことによりで自然と増加する「集中力ゲージ」を消費することで発動できます。


ステージを進めることで手に入る強化物はアビリティだけではなく、主人公の能力をプレイスタイルの好みに合うよう強化することができるアップグレードも手に入ります。

アップグレード画面はブロックを組み合わせるパズルのような盤面になっており、それぞれのアビリティに付加できる能力に応じたブロックの形になっています。これらをパネルにはめ込むことにより新たな能力が得ることができます。ダッシュ回数の増加や、敵の弾を相手に向かって弾き返せるようになるなどさまざまですが、便利なものであればあるほどブロックの形は大きかったり複雑だったりします。

このブロックは配置時に回転させることもできるため、うまくはめ込むことにより複数の能力を付加することも可能です。一方、ブロックをあえてはめない、いわゆるデフォルト状態にすることもできます。この場合、ブロックに応じた能力の強化は望めないものの、空いたマスの分だけ集中力ゲージの自然回復量が増えていきます。


しかし、このような驚異的な能力を持ちながらも、本作では敵からの攻撃を一撃でも受けてしまうとゲームオーバーになってしまいます。次々に登場する新たな敵もほとんどの場合においては対処法の説明がなされないため、接触した当初はいわゆる初見殺しになってしまうことが多いです。リトライは一瞬でできるため、一度倒されてみたうえで、いままで手に入れたテクニックやスキルからどう戦うのかを考えていくというのが本作のプレイスタイルになっています。


主観視点の高速アクションに慣れている人であればすべてのステージクリアで5,6時間ほどのボリュームになります。しかし、本作ではじめてこうしたパルクールアクションに触れる人ですと、おそらくもっともっと時間がかかるのは間違いないくらいには難易度が高めに設定されています。どちらにせよ、数え切れないほどの死を経験することは間違いありません。

ステージ構成は人によって好みが分かれる
難易度が急激に跳ね上がる箇所も


本作におけるステージ構成やレベルデザインは、敵の攻撃をかいくぐりながら倒していくステージと、サイバー空間で行われるジャンプアクションやパズルステージが織り交ぜられています。また、随所にはボス戦も含まれており、それぞれ攻略の仕方がゲームのコンセプトが変わったのではないかと思ってしまうくらいユニークなものになっています。たとえるなら、ジャンプアクションから音ゲーに切り替わるような印象でしょうか。


最初こそ戸惑うものの、だんだんと倒されては復活を繰り返すことでステージのコンセプトが把握でき、いまあるプレイヤースキルを駆使していくことで自然と攻略法が見つかる、というのが個人的に考えているアクションゲームにおける理想の構成のひとつです。
本作ではそれらの構成を実現できているとは感じましたが、残念なことにゲームの進行度合いとプレイヤーの操作習熟の度合いがうまく合致していないようにも思えました。

というのも、序盤の2,3ステージ目をクリアしたあとからプレイヤーに要求する操作がとたんに複雑になり、後半にいたっては敵が持つ能力や特徴も説明されぬまま会敵することが多いです。戦闘面・パズル面においても突然なにかをさせられる・新たなギミックが増えるといったことが頻繁にあるため、初見で対処できないことはざらになります。

基本的な操作を学ぶための一周目と捉えるのであれば、この構成は間違っていないとは思います。ですが、それにしてもステージ自体の難しさ、要求される操作の難しさが跳ね上がる場面も多々あったため、もう少し緩やかに上げていってもよかったのではと感じています。


咄嗟の判断と速度を要求されるために「うまく操作ができない」、「敵の照準が正確すぎる」、「画面外から飛んでくる攻撃に対処できずにやられてしまう」など、そうしていくうちにイライラしたり怒ってしまったりすることもあるものの、そんなネガティブな感情を一気にふっとばしてしまうくらいクリアしたときの達成感は素晴らしいものになっています。

物語や設定が作り込まれているが
理解する余裕がない

ここまで美麗なビジュアルやアクションの面白さ・難しさ、ステージ構成における意見を述べてきましたが、本作はストーリーについてもより深く知りたくなるような手法を取っています。ステージ攻略中はゴーストランナーや彼を手助けするアーキテクト、ダーマ・シティの支配を目論む監査官マーラなど登場キャラクターがたくさん会話をしながら、それぞれのの背景や目的、舞台となるダーマ・タワーや周辺の現状などが語られていきます。


各ステージには道中にアイテムが落ちていることがあり、そのなかには本作のキャラクターや世界観をより深く知ることのできる「品物」や「オーディオログ」があります。ときには、主人公ゴーストランナーが持つ刀のデザインを変更できるようになるアイテム「刀」を見つけることもできるかもしれません。


ですが、本作が持つ難易度に加え、音声が英語のため会話を字幕で追わなければならないということもあいまって、ストーリーがどうしても頭に入ってこないことがよくありました。会話の途中で死亡すると時々音声が一つ前に戻ることもありますが、その配慮があったとしても戦闘中はとてもじゃないですが余裕はまったくありません。会話シーンで熱い展開が来ていたとしても、それどころではない!といわんばかりの敵の猛攻に、すこし時間がほしい! と何度思ったことでしょうか……。よそ見した瞬間に死を迎える本作では、「せめて日本語音声があれば……」と思ってしまったことがたくさんありました。


難易度調整等に粗さを感じるものの
非常にクオリティーの高い名作

ステージ構成の粗さやステージ・操作・敵など諸々を含めた難易度調整、プレイ中の忙しさによるストーリーへの導入の難しさには正直思うところもありますが、アクションゲームとして、サイバーパンクを表現したゲームとして、パルクールを体験できるゲームとして非常に高いクオリティに仕上がっており、一度クリアしてもなおタイムアタックや実績解除のためのやりこみに加え、どれだけスタイリッシュに敵を殲滅できるかを動画に収めようと頑張りたくなるくらいにはこの『Ghostrunner』の虜になりました。


本作を遊ぶ際、上達のために必要なことは手持ちの手段をいろいろ試してみることです。ステージによっては正面突破だけではなく、横や裏から迂回して敵を殲滅するルートがあったり、意外な場所にグラップルフックできるポイントや敵の猛攻からひとやすみができるような安全地帯があったりします。


そして何より一番重要なことは、幾度の死を乗り越える勇気と努力です。イライラしたり、悔しくなったりしたとしても、死から何度も蘇るゴーストランナーのように、プレイヤーにも必ず立ち上がっていってほしいです。そうしたさまざまな感情を乗り越えた先にはクリアできたぞ!という心にずっしり残る素晴らしい達成感があなたを待っているはず。


一度ゲームをクリアしたあとは道中で得られる能力をすべて開放した状態で遊ぶことができるので、どの順番で敵を倒していくのか、どのアビリティが有効なのかなど、自分なりの攻略法を見つけるのも楽しいです。たとえばブロッキングで敵の攻撃をすべて弾いたり、アップグレードを一切行わないデフォルトの状態でどこまでステージクリアができるかを試したりと、自身でルールを設定して遊ぶこともできます。スタイリッシュに敵を倒すプレイ動画を取ってみるのもいいですね。Steamのフレンドのなかに本作を遊んでいる人がいれば、その人のタイムスコアや死亡数がステージクリアごとに表示されるので、一番になりたい……! というプレイヤーにもおすすめできます。


本作『Ghostrunner』は2020年10月28日にPC版がSteamやEpic Games ストアなどから、コンシューマー機ではXbox One(もちろんXbox Series X|Sでも動作します)でリリース中です。2021年1月28日にはPlayStation 4版とNintendo Switch版の発売が予定されています。

ぜひゴーストランナーとなり、縦横無尽に飛び回りながら敵を屠り続ける戦士として戦いをはじめましょう。

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●タイトル:Ghostrunner
●ジャンル:ファーストパーソンアクション
●発売元:505games
●開発元:One More Level、3D Realms
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games ストアなど)、Xbox One、PlayStation 4、Nintendo Switch
●発売日:2020年10月28日(PlayStation 4とNintendo Switch版は2021年1月28日発売予定)
●価格:3980円
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: Intel Core i3-2100 または AMD A8-5600K
メモリー: 8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce630 または AMD Radeon 6570
ストレージ: 22GB
●推奨スペック
OS: Windows 7、8.1、10 SP1
プロセッサー: Intel Core i7-6700K または AMD Ryzen 5 1500K
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX970(4GB) または AMD Radeon RX5700(8GB)
ストレージ: 20GB
●公式サイトURL:https://ghostrunnergame.com/home-ja/
●ダウンロードサイトURL:
https://store.steampowered.com/app/1139900/Ghostrunner/
https://www.epicgames.com/store/ja/product/ghostrunner/home
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2020年版>

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