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策に溺れた久保と憧れのリング! CEO 2019!【ストーム久保の「プロ格闘ゲーマーのゲンバから」第9回】

ALIENWARE ZONEをご覧の皆さま、どうも! TEAM iXA所属 ストーム久保です。

今回のコラムは、2019年6月28~30日にフロリダ・デイトナビーチにて開催されたCPT大会「CEO 2019」(以下CEO)のゲンバレポートになります。

エピソードを語らせていただく前に、まずはコラムの更新タイミングと合わなかったため、載せることができなかった2つの大会の結果を反映させた成績表をご覧ください。


自分で言うとまたツライ言葉ですが、相変わらず勝てていません。海開きの季節になりましたが、私の心は冷え冷えでございます。今回行ってきました整った美しさがあるデイトナビーチとは真逆の、荒れた私の心境を交えながら、ゲンバで経験したことをお伝えしたいと思います!


デイトナビーチ1日目。海で溺れませんでしたが、策に溺れました

CEOの話を始める前に、別の大会で良い経験をした話から始めさせていただきたいと思います。

それは6月に開催された韓国のCPT大会でのことです。

poolを突破することも少なくなっていた私は、韓国大会にて同じpoolに居る強豪プレイヤーの動きを事前に調べてから大会に行くことにしました。『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』(以下『スト5AE』)ではオンライン対戦を行うと、オンライン上に自動的に対戦のリプレイがアップロードされる機能があります。そしてそのリプレイは、『スト5AE』を持っている人なら誰でも見ることができるので、上級者のリプレイを見て参考にすることも、大会であたる可能性がある相手がどんな動きをする選手なのかも事前に調べることができます。相手の動きや癖を知っておくのは、格闘ゲームにおいて大きなアドバンテージになります。とくに大会の場においては馬鹿にできません。

ただ、この方法に頼りすぎるのは日頃の練習や培ってきた対策が疎かになる危険性もあります。強さの根本がズレてしまう可能性があります。しかし、勝てていない現状を抜け出したい一心から、やってみることにしました。

少しばかり後ろめたさを感じながらも効果は抜群で、おかげで韓国大会のpoolを抜けることができました。

そこで今回のCEOでも同じように、同じpoolに居る強豪プレイヤーを調べることにしました。今回調べていった対戦相手はJustakid選手。スト5AEキャラクター別LPランキング1位のジュリ使いです。ジュリは大会であまり見かけないうえに、対戦経験も少ないキャラクターです。対策に不安があるキャラクターのランキング1位とは、正直怖い存在でした。

ホテルに到着してからJustakid選手の対戦履歴を確認してみると、ちょうど数日前にアビゲイルと対戦をしているリプレイを発見しました。そのリプレイを何度も見て、そこから得た情報、癖や弱点をまとめて「対Justakid選手メモ」を完成させて、まずは一安心です。

そして大会当日、Justakid選手と対戦する時が訪れます。対戦が始まる前に、準備していた対策メモを取り出し、繰り返し何度も確認します。この時点でアドバンテージを感じていた私は、「勝利80%はあるかもしれない……!」と内心ほくそ笑んでいたでしょう。周りに人が居なくて助かりました。

▲実際に作っていたメモの一部です

試合が始まった直後、私は遠めからジャンプをしました。私調べによると、この遠めからのジャンプに対してJustakid選手は上手く対応できません。しかし、しっかり対空をされて落とされました。この時点で違和感を感じていましたが、そういうこともあると自分を納得させて、思考を変えないまま対戦を続けました。

それならばと、飛び込みに頼り気味だった弱点を突いくために、対空技を準備しながら待つことにしますが、いつまで経っても飛び込んできませんでした。上をずっと意識していたので、主力技の風破刃のタメを見逃したり、ステップを止められなかったりと良いことが起きません。

そのまま1試合目を落とすと、さすがに目を背けることができなくなります。

リプレイで見た動きと、実際のJustakid選手の動きが全く違いました。弱点だと思っていた部分が見えない、癖だと思っていた行動が癖ではありませんでした。

「あれ? 予習した内容と全然違う!?」

まるでテスト前日に一夜漬けだけで乗り切ろうとした学生の様な、哀れな驚きだけが私の中に残ります。試合は当然負けました。メモの情報に頼りすぎていて、実際の動きについていけませんでした。そして負けた後に、ようやく私は「対戦している相手」を見ていないことに気がつきます。相手がどんな動きをするのか、癖や弱点はどこなのか、リアルタイムで察して動くのが格闘ゲームプレイヤーとしてのスキルの見せ所です。

それなのに私が見ていたのは相手ではなく、メモを。やっていたことは対戦ではなく、CPU戦の延長でした。

たまたまうまくいった一度の経験に味をしめて、過信しすぎました。本来ならば情報は勝つための手段の1つなのに、愚かにも情報だけで勝とうとしていました。負けた後に恥ずかしさと不甲斐なさ、これまで向き合ってきた格闘ゲームに対する裏切りのような感情が一斉に沸きます。

もう海に沈んでいたい気持ちで一杯でしたが、ここで折れてはそれこそ本当の終わりだと、気持ちを切り替えてルーザーズに向かいます。

周りに居た知り合いに相談、応援してもらいながら何とかルーザーズを勝ち抜いてpoolを突破して2日目に進みました。

2日目。本当の強さとは?

前日の行いの悪さに反省しながらも、乗り切るために奮起して会場に向かいます。


2日目の初戦は、同じ日本のもけ選手です。前々回の台湾大会でもルーザーズで当たり、その際は何とか勝ちましたが、まさか今回もルーザーズで遭遇するとは……。急遽もけ選手と同じラシード使いの京都スサノオのyasu選手、レッドブルのガチくんにお願いして、対策に付き合ってもらってから試合に挑みます。

今回は情報戦ではなく、キャラクター対策をしっかりやったおかげか、もけ選手に勝利することができたので、少しだけ救われた気がしました。


息つく間もなく、ルーザーズ2戦目の相手である、ベガ使いのToi選手が背後から現れます。ルーザーズのほとんどは配信が無いので、連戦になるのが恐ろしいところです。

1試合目はアビゲイルのVトリガー2「ハイブリットチャージ」が上手く機能して、すんなり勝つことができました。我ながら良くやったと自分を褒めながら、TOI選手の方に目を向けてみます。普通なら負けた直後は落ち込んで顔を伏しているか、思い悩んだ表情でスマホの対策メモを見ている場面なのですが……、TOI選手は私に笑いかけてきました。

ルーザーズでいきなり1試合取られて、もう後が無い状況でピンチのはずなのに、怖かったです……。

▲画面左端で微笑んでいるのがTOI選手

1試合目をストレート負けしたので、もう笑うしかないといった感情なのでしょうか? 考えても仕方ありません。余計なことは考えないようにして2試合目に進みました。しかし、続く2試合目からTOI選手の動きが劇的に良くなります。これまで通じていた連携を咎められ、立ち回りは圧倒されます。緊張が解れたのでしょうか、明らかに動きのキレが違います。

1試合目と2試合目の落差に、今度は私が精神的に追い詰められます。

ここは私も一度切り替えて3試合目に挑みたかったのですが、私はTOI選手の様に笑う余裕も、引き出しもありませんでした……。結果は巻き返すことができずに3試合目も負けてしまい、CEOは49位タイで敗退となりました。結果、0ポイントです!


完全に実力負けで、言い訳の余地もない負け方でした。情報に頼っていた分とやり込み不足の分、サボってきたツケを今回2日間で払わされた気がします。さすがに堪えたので、負けたあとはホテルに帰りました。ここ最近参加した大会の中で一番反省した大会となりましたCEO、一度自分を見つめなおす時期が来たようです。

次回のイギリス大会、そして来るべく「EVO 2019」に向けて、自分の中の甘い部分を無くして行きたいと思います。ファンの皆さま、図々しいとは思いますが今後も応援よろしくお願い致します!

最終日。憧れのリングの前で観戦と戒め

最終日は観戦にきましたので、一部を紹介させていただきます。CEO最終日はプロレスのリング上で、各ゲームのTOP8が繰り広げられます。


このリングはCEO2日目の夜に、同じ会場内で催されるプロレスにて実際に使用されたリングが、そのまま最終日の舞台として使用されます。

またCEOのTOP8の入場シーンは、毎年恒例となっているこの大会の見所の一つです。選手が自分の好きな音楽を流して、各々パフォーマンスを決めながら入場して行きます。

▲アメリカのDualKevin選手は、出身ゲームのプレイヤーを大勢引き連れて入場するなど、個性が溢れる演出をしています

選手は入場シーンを終えると、そのままリングインして試合が始まります。私はリング近くに座ることができたので、間近で推しプレイヤーのりゅうせい選手を応援していました。


りゅうせい選手の活躍を眺めながら、不意に「この舞台に上がりたかった……」と頭に浮かんでしまいました。去年も観客席でまったく同じことを思っていた気がします。毎回TOP8を会場に行って見る理由は、負けた自分への一種の戒めなのかもしれません。悔しさをバネに、次こそは高く飛びたいです。

目を覚ました久保、事態の好転を目指していきます。

以上、ゲンバからお伝えしました。


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【コラム】ストーム久保の「プロ格闘ゲーマーのゲンバから」

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