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ターニングポイントで再起を目指して!EVO2019【ストーム久保の「プロ格闘ゲーマーのゲンバから」第10回】

ALIENWARE ZONEをご覧の皆さま、どうも! TEAM iXA所属 ストーム久保です。

今回のコラムは、2019年8月2~4日にかけてアメリカ・ラスベガスにて開催されたカプコンプロツアー(以下、CPT)の大会「EVO 2019」(以下、EVO)に関してのレポートになります。

まずはこれまでの成績表をご覧ください。


前回のコラムを執筆後、イギリスのCPT大会「VSFighting」に参加してきましたが、今年参加した大会の中で最も早く敗退しました。もしも「VSFighting」をレポートしていたら、たった2行の悲しみにまみれた感想に締めの言葉を付けざるを得ない内容になっていたと思います。それくらい伝えることが少なかった大会でした。

さて、今回のゲンバになっていますEVOは、普段私たちが参加しているCPT大会と少し違うところがあります。

CPT大会はランキング、プレミア、スーパープレミアと3つに分けられていて、ランキング→プレミア→スーパープレミアという流れで、獲得ポイントが高い大会になっています。得られるポイントが一番多いスーパープレミアは全部で3回開催されますが、その最初の大会がEVOです。

未だに5ポイントしか持っていない私にとって、一気にポイントを稼ぐため、3日前にラスベガス入りをして、大会まで現地で練習をしながら過ごしました。

EVOはTEAM iXAのオーナー並びに格闘ゲーム部門の所属選手が全員集まる大会なので、不甲斐ないところを見せるわけにはいきません。余計に気合いが入ります。

緊張とプレッシャーを活かすも殺すも自分次第

EVOは『ストリートファイターV アーケードエディション』だけでも約1900人が参加している超大型大会です。参加人数が多いということは、1回戦から猛者と当たる確率は少ないはずですが、私は運が悪いようで……。初戦は2017年の「Capcom Cup」に出場の経験がある春麗使いのCCL選手でした。

CCL選手に辛くも勝利した後も、グランドマスターランクの選手と連戦の険しい道のりが続きます。

そして4試合目でグランドマスターランクのコーディー使いの選手に負けてしまい、ルーザーズに落ちてしまいました。長いトーナメントの早い段階でルーザーズに落ちましたが、今までとは違ってこの大会において私の心に焦りはありませんでした。

EVO前の“2019年最速敗退”を経験したイギリス大会を終えてから、私はいったい何にプレッシャーを感じていて、克服するにはどうしたらいいのかをずっと考えていました。プレッシャーの根源は、プロゲーマーとして生活をさせていただいているチームやスポンサー様、ファンの皆さんに報いたかったからだと気がつきました。

そして「大会で勝つこと=報いる」とずっと考えていましたが、勝つことだけが方法ではないと私は考えるようになりました。もちろん勝つことは最重要です。ですが、いいプレイをして、プロゲーマーとしての生き様を見せて、普通では味わえない経験を共有していただくのも、1つの報いる方法なのではないかと。

勝手な解釈ですが、勝つだけに囚われなくなったことで何だか調子が良くなった気がします。緊張で体が引き締まる感覚も心地よく、私が感じていたプレッシャーが、さらにプレイに集中させてくれました。

ルーザーズに落ちてから、Mo-Joe選手、日本のネカリーノ選手、去年のEVOで負けた相手のGolden Censen選手に勝利して、加速しながら険しい道を進みます。


全てを賭けた心理戦

ルーザーズで勝ち上がっていったら、同じ日本人のRed Bull所属ガチくん選手が相手となりました。普段なら勝てる見込みは限りなく低い相手ですが、いつもガチくん選手から出ている明るく自信のある雰囲気が今回は感じられなかったので、なんだか勝てる気がしました。

とにかく強気に、今のメンタルだと止められないであろう選択肢を何度も使用します。格闘ゲームはメンタルが大事で、私は今年、それを嫌と言うほど実感しました。

うまくいったのか、普段は通らない選択肢も通って勝つことができました。相手の雰囲気を感じ取って動きを変える、大会力が付いてきている気がします。

次に対戦したのは、ララ使いのogyawn選手。ogyawn選手は自身をマゴさんに変わる新たな2D神「New 2D GOD」と称するほど、やる気に満ちている選手です。……が、MOV選手にウィナーズで負けたばかりだったので、顔どころか体全体から落ち込んでいることがわかりました。きっとつらい負け方をしたのでしょう……お察しします。しかし、そこを突かせてもらうことにしました。

負けを引きずって落ち込んでいるときに対戦すると、相手が自信満々なプレイをしてくると余計にプレッシャーを感じて本来の動きができない、そんな経験をしたことがあります。おそらくogyawn選手がそれと同じ状況だと思い、ひたすら徹底した立ち回りをして、寄せ付けないまま勝利しました。

そして次の相手は本当の2D神である、マゴ選手です。マゴ選手もルーザーズを長い時間をかけて勝ち進んできたうえに、前の試合はフルセット・フルラウンドの長期戦を行っていたので、疲れていると想定しました。マゴ選手が使用するかりんはとても集中力が必要で、さらに私が使用するアビゲイルに対して勝つには、普段以上に集中するために体力的にも精神的にも負担が増えます。

対して私は、マゴ選手側が対応しなければいけない、対応をミスすると大きなダメージを負ってしまうリターン重視の立ち回りでこの試合も勝利しました。



次はかずのこ選手。かずのこ選手は私と対戦する前まで、「EVO2019」で開催されている『SAMURAI SPIRITS』大会の決勝戦で争っていました。他のゲームの決勝戦を終えて来たということは、まだ頭は『ストV AE』に切り替わっていないと考察します。対して私はルーザーズを勝ち進んで来て勢いがあると、自分でも感じている状態です。

ゲーム性が違うゲームをプレイしていた後なので、勘を取り戻される前なら倒せると思い、強気な選択肢を繰り返して勝利しました。


ここまで相手を、シチュエーションを、場の流れを見て戦法を変えてきたのがうまくいった気がします。少し卑怯な気がしますが、これも技術だと納得させて走ってきました。あとは走り切るだけです。

心理戦が通用しないふ~ど選手にどう立ち向かうか

次の相手は同じく早い段階でルーザーズに落ちたものの、勝ち進んできたCYG BST所属ふ~ど選手です。ここまでの道中と同じく、どこか突けそうな弱点があるか、ふ~ど選手を観察しましたが、焦りも、疲れも、暗い雰囲気も感じられませんでした。

心理戦で先に有利は取れそうになかったので、真っ向から倒すしかないと切り替えて対戦に挑みます。

ふ~ど選手は最初にレインボー・ミカを使用してきました。ミカに対して……というか、ふ~ど選手に対して2つの対策を練っていました。

ミカ側が繰り出すめくり気味のジャンプ大Pに対して、アビゲイル側は見てから落とすことができません。通常技で落とそうとしても潰されてしまい、頼みの綱の当て身も機能しません。なので「前もって対空技を置いておく」という対策をするのですが、置いていた対空技に対して、ふ~ど選手は発生の早いEXピーチボンバーで差し返しを狙ってくるので、適当に技を置くこともままなりません。めくり気味の軌道のジャンプでなければ、いつも通り見てから対空技を出せば落とせるので、近づかないで距離を保ち続ける「間合い管理」で対策しました。

しかし、この対策は下がりながら戦うことになるために、自分から画面端に行ってしまいます。そして端に到達すると対空ができない距離になります。それに、ダメージを取りに前に行くことができない欠点もあって、結局対応ができずに1試合目を落としました。

2試合目は逆に、「前に出続ける」対策で対戦してみます。めくり気味ということは、さらに前に出れば、飛んできたミカの下をくぐる形になってかわすことができます。対空しなければいけない集中力を他の選択肢に使えて、前に出ることでダメージを取りに行くこともできるこの対策がうまくいって、2試合目を勝つことができました。

手ごたえを感じたので、このまま勝てそうな気がしましたが、ふ~ど選手はバーディーにキャラクターを変更しました。

バーディーを相手にした場合、焦らないことが大事です。下手に飛び込んだり、前に無理やり出ようとすると手痛いカウンターをもらいます。それはわかっていたのですが、直前のミカ対策の「前に出続ける」に考えが引きずられてしまいました。

体力リードをした状態で、もうバーディー相手に無理に攻めにいかなくていい場面で前に出たところに、しっかりカウンターを合せられて3試合目を落として、敗退となりました。

自分の未熟さが出てしまいました。悔しいけれど、少しだけ成長を実感できた試合でした。

今後は私もふ~ど選手のように、あの場面でキャラクターを、戦力を切り替えることができるようになりたいものです。


ということで今回の私の順位は「25位タイ」、獲得ポイントは50ポイント、これで合計55ポイントです。


これまでの苦い経験をフルに活かせた結果だったので、恥ずかしながら25位という順位でしたが嬉しさで一杯でした。

EVOをきっかけに調子を上げていき、年末に開催される「Capcom Cup」に出場できるように頑張ります!

以上、ゲンバからお伝えしました。


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【コラム】ストーム久保の「プロ格闘ゲーマーのゲンバから」

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