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『Necrobarista』甘くほろ苦い、生と死が交差するカフェでのひととき!【Steamジャケ買い1本勝負 第73回】

暑い暑いと言っていたらもう夏が終わる……。
今年も夏らしいことを何もできなかった……。

そんな時でも慌てず騒がずゲームを買えッ! Steamジャケ買い一本勝負第73回! 今回はタイトルとビジュアルの雰囲気で、個人的に発売前から注目していたこの1本。


Route 59が開発した『Necrobarista』です。

舞台は「ターミナル」というコーヒーショップ。あの世とこの世の狭間にあり、生者と死者の両方が客としてやってくる場所で、死者があの世に行くまでの24時間を過ごす場所となっています。


そこにやってきたのは死にたてホヤホヤで、まだ状況が理解できていないキシャンという男。彼が出会ったのはショップの若きオーナーであるバリスタのマディ、カフェイン中毒で義手の天才少女アシュリー、元オーナーで見た目以上に経験豊富なチェイ、悪名高き「死の評議会」の執行人ネッド。

個性豊かな面々が紡ぐ物語を、コーヒーの香りと共にゆっくりと楽しむゲームです。


ストーリー分岐などは無く、ボタンを押して読み進めるだけのゲームですが、目を見張るのはその演出力。クリックしてテキストを送る度に、3Dで表現された登場人物の動きや表情、カメラワークが細かく変化。バシッと決まった動きのある画が次々に飛び出す構成で、それでいてプレイヤーがクリックをしなければ画面は先に進まない。このムービーともノベルゲームとも一味違うプレイ感覚が本作最大の特徴ですね。


ひとつひとつの文章を程良い長さで区切ってあるのでじれったくなく、しかし登場人物が感情を爆発させるような場面では長セリフを効果的に使う。この匙加減の見事さにも唸る作りです。

テキストと演出が一体となり、皮肉や言葉遊びの効いた会話が繰り広げられる本作を、しっかりと日本語化しているローカライズのレベルがまた凄まじい。

ネクロマンサーや悪魔が存在し、時間を取り立てに来る「死の評議会」が大手を振っている世界感。次々に顔を出す独特な設定とコーヒーショップ運営の楽しいドタバタで引っ張りつつ、登場人物たちの後悔と不安、そして未来に向けた選択が胸に響く内容になっています。


印象的なのは実在の人物がモチーフになっているネッド・ケリー。非情な執行人でありながらも人間味がにじみ出た言動と、発光するゲーミングマスク(俺が命名)を被っているのに表情豊かなところがキュート。

ややローポリながら雰囲気あるビジュアルと、カクカクッとしたメガネの主人公にピンと来ての購入でしたが満足できました。

難点はエピソード終了毎に挟まる探索パートとサブシナリオ。サブシナリオは純粋に文章を読むだけの作りで個々の質は高いものの、読むには本編を繰り返し遊んで単語を集める必要があり、探索パートも唐突。ゲームに噛み合ってないように感じられたのが惜しい仕様でした。

【ラー油的適正価格:1980円(Steam価格1980円)】
クリアまでは3時間ほど。サクッと終わるボリュームで、設定や序盤のストーリー展開もやや散漫ではあるものの、演出とBGM、そして終盤にかけての人物描写が絶品。コーヒーを味わうように、じっくりとひとつひとつの会話を楽しみたくなる1本でした。一味違ったノベルゲームを遊びたい方はぜひ!

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■ラー油のプロフィール
SIMPLEシリーズなどを応援するゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を運営するブロガー。完全新作ソフトとダウンロード専用ソフトに目が無い。宇宙人キャラをウリにしつつあるがキャラは固まっていない。
Twitter:https://twitter.com/daikai6
「シシララTV」連載コラム:http://sisilala.tv/myarticles/432

Steam『Necrobarista』のページ
https://store.steampowered.com/app/725270/Necrobarista/
【連載】ラー油のSteamジャケ買い1本勝負

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