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これが500円は驚き!孤島×探偵×美少女で送る珠玉のミステリー『シロナガス島への帰還』【Steamジャケ買い1本勝負 第68回】

今日もSteamという名の大海原から、直感勝負で一本釣り! 今回は謎めいたタイトルと、黒髪ロングで目つきの悪いヒロインのビジュアルに惹かれて買って大当たりだったこちら。


TABINOMICHIから500円で配信中の『シロナガス島への帰還』です。ジャンルはミステリーアドベンチャーで、主人公はニューヨークで探偵業を営むオジサンの「池田戦」と、一度見た物を完璧に覚えることができる助手の天才少女「出雲崎ねね子」の2人。


舞台は連絡手段が限られた「シロナガス島」という孤島の洋館。あちこちから集められた富豪の関係者たちと、依頼を受けてそこに紛れ込んだ池田とねね子。そして館の主から「裏切者がいる」という謎のメッセージが告げられ、恐ろしい殺人事件が幕を開ける……。閉鎖された舞台でのミステリー。いわゆる「クローズド・サークル」作品ですね。

基本はテキストを読んで進め、たまに画面をクリックしてあちこち調べるパートが挟まる構成で、選択肢によってはバッドエンドになるのでマメなセーブは必須。

システムも設定もお約束な作りになっていますが、王道ながら雰囲気たっぷりの舞台設定と、謎が謎を呼ぶ人間関係と凄惨な事件。蠢く陰謀、魅力的な登場キャラでグイグイと引っ張るシナリオです。


貧乏だがスゴ腕の探偵である池田と、陰キャでコミュ症でまともに会話ができないねね子の、ドッジボールのような会話には脱力。金髪ツンツンお嬢様に鉄面皮の従者、弱気な内科医、クールなメイドに不思議なリボンの女の子と、クセのある女性キャラ満載で華やかな構成です。ねね子を筆頭に、胸の小さい痩せた女の子が多いところに制作者のこだわりを感じる……!


遊んでいるプレイヤーをジワジワと追い詰める不気味な空気の出し方に、凄惨なシーンをあえて「見せない」演出の上手さ。プレイヤーが自然と「違和感」に気付ける会話構成。終盤に挟まる緊張感のあるギミック。テンポを崩さない程度に清涼剤として挟まれるギャグ会話など、シナリオ構成と会話運び、演出の巧みさは特筆モノ。


犯人は誰なのか? 犯行方法は? 屋敷に隠された謎とは? 「シロナガスの悪魔」とは?

続きが気になって一気に遊びたくなるシナリオです。いろんな意味でミステリーとしてはどうか? というぶっ飛んだ要素も多く、ご都合主義なところも目立つ作風ではあるのですが、それ以上に怒涛の展開が続く気持ち良さと、登場キャラ達それぞれの見せ場にくぎ付け。オープニングからエンディングまでの芯の通った構成に惹かれる作品でしたね。

また、クリア後にはテイストの異なるエクストラシナリオも楽しめる作り。こちらは水着あり、色んな意味で汚いネタあり、ホラーあり。本編では趣味を抑えていた制作者が、「いよいよ拘束具を破壊して本気を出したな!」という勢いが感じられる面白さでした。

大満足の作品で、不満点はスキップ機能がやや使いにくいくらいでしたね。

【ラー油的適正価格:1400円(Steam価格500円)】
クリアまでは10時間掛からない程度。シナリオの完成度もさることながら、挿入される一枚絵も数十枚というボリュームで、これで定価500円はありえないだろ?! という作り込み。90年代のアドベンチャーゲームを彩った『ポリスノーツ』『学校であった怖い話』などの匂いも色濃く感じられる良作でした!

Ⓒ2020 HYOGO ONIMUSHI/TABINOMICHI

■ラー油のプロフィール
SIMPLEシリーズなどを応援するゲームブログ『絶対SIMPLE主義』を運営するブロガー。完全新作ソフトとダウンロード専用ソフトに目が無い。宇宙人キャラをウリにしつつあるがキャラは固まっていない。
Twitter:https://twitter.com/daikai6
「シシララTV」連載コラム:http://sisilala.tv/myarticles/432

Steam『シロナガス島への帰還』のページ
https://store.steampowered.com/app/1156990/
【連載】ラー油のSteamジャケ買い1本勝負

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