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『Valheim』レビュー! 月500万DLのインディーズ大作は、サバイバルクラフトアクションが苦手な人にこそ遊んでほしい!

2021年リリースの注目PCゲームをご紹介する連載「Alienware Zone的おすすめPCゲームレビュー」。

今回ご紹介するのは、公開からわずか1カ月間で500万ダウンロードを記録したインディーズゲーム、『Valheim』(ヴァルヘイム)です。

私は『マインクラフト』や『ARK』をはじめとしたサバイバルクラフトジャンルが大の苦手。これらのゲームを友人たちと遊んでいたときも、みな楽しく建造物を立てているなか、私はただひたすらに鉱物を掘り、生肉や食料を集めて倉庫に入れておく、という単純作業ばかりをしてその日のプレイを終わってしまうということが多くなりがちでした。

こうなってしまうのにははっきり理由があって、自分がゲーム内において明確な目的がないと途端にプレイに迷ってしまうこと、そして自分で目的を作るのが苦手ということに原因があります。しかし、今回『Valheim』をプレイしたことにより、そうした苦手意識を改めるきっかけを得ました。


現状は早期アクセスによる販売のため完成版ではないものの、現時点においても非常に遊びやすいゲームプレイとクオリティの高さを見せてくれました。2050円という価格の安さもあってか、発売から1ヶ月ほどで約500万本を売り上げ、Steamレビューでもさまざまなプレイヤーから「圧倒的な高評価」を得ています。

私自身プレイを続けていますがシングル・マルチを問わず気軽に楽しめる遊びやすさと、まだまだ終わりが見えてこないボリュームの多さからうれしさのあまり声を上げたくなるほどです!

今回はそんな本作で感じた多数の魅力と現時点でのレビューを紹介します。

さまざまなモンスターが跋扈する世界で生き残れ

本作は北欧神話とヴァイキングをモチーフに作られており、「戦で命を絶たれた戦士Valkyriesにより、あなたの魂は10個目の北欧の世界「Valheim」へ運ばれた。混沌とした生き物と古代の神々に囲まれたあなたは、オーディンの古代の宿敵を倒し、『Valheim』に秩序をもたらす任務を負う」というのが公式のストーリー。登場する神々やモンスターの名前や装備できるアイテムの外観など、ファンタジー要素が非常に強いものになっています。

プレイヤーは操作キャラクターを作成し、ランダム生成されるワールドへ足を踏み入れることになりますが、ゲーム開始当初はほぼ裸同然の装備しかなく、落ちている枝や石を拾いあつめることからはじまります。そこから生活や戦闘に必要なアイテムや拠点を作成していき、ワールドのどこかに存在するボスたちを倒していくことがプレイヤーの大きな目的です。


ワールドには鹿や猪といった動物たちだけではなく、トカゲや木の悪魔、トロルの巨人やグールなどさまざまなモンスターも生息しており、探索しているプレイヤーの行く手を阻んでくるはず。動物やモンスターの素材もこの世界で生き残るためには必要になってくるため、戦いは避けて通れません。モンスターたちを軽々と倒せるよう装備品の充実はつねに意識していきましょう。

しかし、戦いばかりではそのうちスタミナ切れを起こしてしまいます。ときには休息も必要、ということでプレイヤーは拠点の作成も行うことができます。

この拠点作成は武器防具をはじめとした各種装備品やアイテムを作るために必須なので、ある程度石や木を集めたらすぐに取り掛かることをおすすめしたいです。簡易的にベッドや作業台だけを配置しても良いですし、2階建てや広々した部屋を作れたりこだわりを持って建築できるので、プレイヤーの好みにあわせて作っていきましょう。壁や床などを間違って配置してしまっても、ハンマーを使って壊すことで素材は元通り戻ってくるため、試したいことはどんどん試していくと良いかもしれません。

さらに装備中に壊れてしまった武器や防具は、部屋の中に配置された作業台を使用することにより無償で修理することができます。しかし、道中では修理できる箇所が限定されるため、戦闘に必須となる武器はいくつか同じものを用意しておくと、長期戦になってしまった際に役立ちます。


もし、戦闘や素材集め・建築中の事故で死亡してしまった場合は、その場に墓石が立ち、所持していたアイテムはすべて没収されてしまいます。リスポーン地点となるベッドの配置を拠点の作成・移動のたびにしておかないと大変な旅路になってしまうことがあるので注意しましょう。無事墓石の場所へ戻ることができれば、所持品はすべて回収できます。

しかし、すこしでも危険を感じたら、無理をせず拠点へ戻ったり、ある程度の装備品を整えてから没収アイテムの回収をおすすめします。

拠点・装備品の充実を済ませたら、いよいよボスとの対決となります。ボスに出会うためにはまず、ワールド生成時フィールドのどこかに作られた祭壇を見つける必要があります。その祭壇に特定の供物を捧げることでボスを召喚することができ、直接対決できるようになります。必要になる供物のヒントは祭壇近くにある石碑に暗号として記されているので、しっかり読み解いてボスとの対決に備えましょう。


見事ボスを退治できた暁には、さまざまなメリットを得ることができます。その結果プレイヤーが作成できる物やアクセスできるエリア、ダンジョンが増えるので、新たな素材の収集やより遠方の探索、拠点や装備品作成を行いながら次のボスを探しに行く、というのが本作のおおまかなゲームの流れになっています。

グラフィックやゲームシステムをはじめ、
こだわりを随所に感じる


本作のグラフィックは凝っていて、どことなくプレイステーション1やセガサターンの時代のポリゴンを感じさせつつ、美麗なライティングやシャドウで彩られているので、どこか懐かしさを感じつつも綺麗な世界を堪能することができます。

また、ゲームシステムとしてもこだわりを随所に感じました。たとえば、家や拠点などを作る際に配置するオブジェクトも細かく左右の角度を付けることができたり、ある程度柱で壁や床などを補強していかないと自然と崩れていってしまったりと、適当に物を置くだけではうまく拠点は作れないようになっている点です。


なかでも面白いと思ったのが、建造物内に焚き火やたいまつなどの煙が充満してしまうと体力がどんどん削られていく点。煙の挙動をシミュレートしているため、建造物を作る際は窓や煙突など煙の通り道をしっかり作っておかないといけなくなります。

このように建築時に生まれる問題をはっきり示してあることで、建築計画を自分のなかで考えていったり、友人たちとのマルチプレイ時には相談しながら作り上げていったりするのがより充実したものになっています。建築中というのはどうしても作業感が生まれがちな時間ですが、上記のような建築時のこだわりからふとした瞬間にハプニングが起こったりすることも多々あるため、楽しくプレイすることができるでしょう。


ほかにも、被写界深度をうまく使った風景の描き方や、ちゃんと風向きを考えて動かさなければならない帆船の存在、うまく木々たちを倒して足場にすることにより道を作り出せる物理演算など、昨今のサバイバルクラフトゲームでは珍しい1GBという容量の中によくここまで詰め込んでいるな! と感心してしまうほどの出来です。

これからプレイする方は、ぜひ天気の良いときに海辺へと向かってみたり、ふと空を見上げてみたり、気ままに生活してみてください。その先には壮大かつこだわりを持って構築された世界が広がっています。

目的がはっきりしていながら、ほどよい間隔で配置


私がドハマリした大きな理由として、ゲーム内で示してくれる目的のほどよさがあります。冒頭にも述べたように、私はこうしたクラフトアクションゲームにおいて目的を自分で作ることが大の苦手でした。しかし、本作では目的ややるべきことをその大小を問わず定期的に示してくれます。

そのチュートリアルの役目として登場するのが、カラスの精霊「フジン」。ことあるごとに手助けしてくれるのですが、プレイヤーが行う行動の要所要所で登場し助言を与えてくれます。最初のうちは新しいことができるようになるたびに登場するので、まずはアイテムを使ってみたり、素材を拾ってみたりしてみましょう。

また、フィールド上に点在する「ルーンストーン」と呼ばれる石碑にも、よりよい生活をするためのヒントが書いてあるので、見かけたらチェックしておくと良いでしょう。


先述したように、プレイヤーの目的としてボスを倒すことが大きなひとつの柱として存在していますが、そのために必要な細かな目的となる拠点設営や新たな素材の確保、装備作成や動物の狩猟といったものが、その進捗具合も含めてどれもちょうどよいペースで設定されているので、探検や戦い、建築など本作での生活を飽きさせない工夫がゲーム側からしっかりもたらされています。

作成したキャラクターはシングルプレイ・マルチプレイの進捗を共有しているため、自身が作成したワールド以外にも訪れることができます。うまくゲームが進められなくて困っている友人を手助けしたり、協力してもらって手に入れることが難しい素材の確保やダンジョンの攻略など、さまざまなマルチプレイの形式を楽しめます。さらに本作では「フレンドリーファイア」(仲間同士の攻撃でダメージが与えらえること)の設定ができるので、人数を集めてPVPをすることも可能です。最大人数である10人揃えば、チームに分かれて拠点を作り攻城戦を行う…… なんてこともできるかもしれません!


ゲームを進めていくほど、
マルチプレイが推奨されるものに

本作はシングルプレイ・マルチプレイのどちらでも楽しむことはできますが、ゲームの序盤こそシングルプレイでも難なくこなせるものの、第2のボスと遭遇するあたりから、徐々に人手が欲しくなってきます。最初に降り立つ場所から離れていけばいくほど、強い敵が出てきますが、一対一であればそこまで問題はありません。

しかし、ボス戦はどうやっても長期戦を強いられる状況になるほか、道中出現する普通のモンスターでさえも数を使って襲いかかってくるため、一人だとタコ殴りにされてしまうことがザラにあるのです。ターゲットが自分しかいないため、攻撃が集中してしまったり、逃げたところでいつまででも追いかけてくることもあります。


もし一人での探索が厳しく感じてきたら、シングルプレイで素材や拠点を充実させてから友人を招待したり、マルチプレイでほかのプレイヤーが開いているワールドに参加し協力しながら未獲得の素材を集めて帰るといったことも必要になってくるでしょう。全編ソロでゲームをプレイしたい! ということもおそらく不可能ではありませんが、素材や装備品の作成、大きな荷物の持ち運びなど、相応の時間がかかることを念頭に置いておいたほうが良いですね。

今まで敬遠しがちだった人にこそ
遊んでもらいたいサバイバルクラフトアクション

開発者のこだわりが感じられる建築システムやグラフィック・ライティング。全編を通じてほどよく与えられる目的をこなすための素材集めやフィールド散策。できるかぎり遊びやすさを追求しているゲームシステム。非常に盛り上がるモンスターとの戦闘やダンジョン探索。それらのすべてが合致してとても遊び心地のよい世界が構築されている『Valheim』は、私自身苦手意識を持っていたサバイバルクラフトアクションというジャンルへの理解を深めてくれました。まだまだ私も未知の世界や素材、モンスターがこの先に待っていると思うとワクワクが止まりません!

そして、私と同じように今までこのジャンルを敬遠しがちだった人にこそ、いちど遊んでもらいたいタイトルとなっています。北欧神話をモチーフとした舞台で、プレイヤーそれぞれが紡いでいく冒険譚をぜひ楽しんでみてください!


●タイトル:Valheim
●ジャンル:サバイバルクラフトアクション
●発売元:Coffee Stain Publishing
●開発元:Iron Gate Studio
●プラットフォーム:PC(Steam)
●発売日:2021年2月2日
●価格:2050円
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: Quad Core 2.6 GHz
メモリー: 8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 950 または AMD Radeon HD 7970
ストレージ: 1GB
●推奨スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: Intel core i5 3GHz または AMD Ryzen 5 3GHz
メモリー: 16GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 または AMD Radeon RX 580
ストレージ: 1GB
●公式サイトURL:https://www.valheimgame.com/
●ダウンロードサイトURL:https://store.steampowered.com/app/892970/Valheim/

【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

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