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『Dreamscaper』Steam版レビュー:ローグライトでソウルライク! 夢と現実を行き来しながら何度も遊べる高難易度ゲーム

2021年8月6日にローグライトアクションSteam版『Dreamscaper』(ドリームスケーパー)が発売された。

プレイヤーとなる女性「キャシディ」が自宅のベッドで眠ると夢の世界へ降り立ち、武器と盾を手にして化け物たちと戦うアクションゲームが開始。そして、キャシディのHPが0になったら「うわっ!」と、悪夢から目覚めるように現実世界へ引き戻される。現実世界では街の人々と会話をしたりプレゼントを渡したりして交流し、自身のパラメーターを上げるといった感じで、2つの世界を行き来するゲーム進行になる。

▲自宅にあるベッドが、アクションゲーム世界への入り口

ゲームのジャンルは斜め上から見下ろしたクォータービューのアクションRPG。プレイヤーは「ジャンプ」という概念がないため、2Dアクションゲーム的な操作で楽しめる。特徴としては、システムがローグライトということ。プレイするたびにマップ構成が変わり、アイテムの配置やボスの居場所などが変化するほか、HPが0になったら最初からやり直しになるため、おのずとアクションゲームをプレイする時の緊張感は高まる。そんな本作の解説とレビューをお届けしよう。

▲自身の悪夢の中へ降り立ったキャシディ。ここで、さまざまな敵を倒さなくてはいけない

『Dreamscaper』のポイント
  • テクニックが要求されるアクション性
  • ローグライトで少しずつ着実に成長するプレイヤー
  • HPがなくなる=最初からやり直しという緊張感

やられたら最初からやり直しのローグライト

このゲームは、アクションゲームのマップが毎回変化する。フィールド同士はポータル(ワープホール)で接続されており、上下左右のどちらかへ移動するようになっているので、マップで迷うことはないし、敵を全滅させたフィールドであれば好きな場所へファストトラベルできるため、マップが自動生成でもとくに問題はない。

とは言え、フィールドに入るとポータルが赤く光り、他フィールドへの移動ができなくなる。そのフィールドにいるすべての敵を倒さなければ、他フィールドへのポータルは利用できなくなるので、HPが減っている場合などは事前に回復しておきたい。何しろ、失敗したら最初からやり直しになってしまうのだから。

▲ポータルが赤いのは、通行できない証拠。フィールド内の敵を全滅させれば再び青くなり、通行できるようになる

このゲームでは一部の例外を除いて、自分が今いる場所に隣接したフィールドには何があるかが表示される。ボスがいる場所なのか、それともパラメーターを強化できる場所なのかなど、マップ上に記されたアイコンでわかるのだ。このため「間違ってボスの部屋へ入ってしまい、心の準備がないままボス戦が始まった」なんていう事故はない。

では、簡単なゲームなのか? と言えば、そういうわけでもない。詳細は後述するが、アクションゲームとしての腕前は、それなりに要求されるからだ。

ちなみにステージのボスを倒すと次ステージへ進めるが、ここで「次ステージへ進む」または「セーブして終了」というメニューを選ぶことになる。

▲「セーブして終了」は、あくまでゲームの一時中断。再開後は、そのまま次ステージの戦闘が始まる

一般的なアクションRPGと大きく違うところは、この「セーブして終了」はあくまでゲームの「中断」でしかないというところ。次回、このセーブデータを使って再開すると、プレイヤーが次ステージへ降り立つところから始まる。

当然、次ステージにもボスがいて、ボスを倒すとさらに次ステージへと進めるわけだが、もし仮にここでプレイヤーが力尽きてしまったとしよう。

▲「!」と、悪夢から目覚めたキャシディ。夢の中では死んでしまった彼女だが、現実世界には何の影響も及ぼさない

次の瞬間、主人公の女性はベッドからガバッと起き上がる。まるで長い悪夢から覚めたように。主人公の女性が目覚めてからすぐ、再びベッドで眠りにつく=アクションゲームのステージへ向かうこともできる。しかし、そこで降り立てるのは最初のステージ。しかも、マップの構成はさきほどとは異なっている、といった具合だ。

▲HPが0になったら悪夢から目覚め、一番最初の「一新」ステージへと戻されてしまった

HPが0になったところで、ゲームオーバーになるわけではない。しかし、これまでクリアしてきたステージを最初からやり直す必要がある。一応、一度でも倒したことがあるボスは二度目以降のボス部屋で「ボス戦をスキップ」することもできるが、倒せればアイテムをたくさんドロップしてくれるため、倒せる自身があるなら積極的に挑みたいところ。

▲一度倒したボスは、戦わずにスキップし、次ステージへと進んでもOK。ただし、ボスから入手できるアイテムのことを考えると再戦したくなる

持ち越せるアイテムと自身のテクニックで攻略していくアクションゲーム

ローグライトの多くはHPが0になってプレイヤーが死亡すると、完全に最初からやり直しになるものもある。しかし、このゲームには成長要素やアイテムを集めて持ち越せるという要素がある。たとえば武器や盾などの装備系アイテムは、一度でも入手するとプレイヤーの装備品一覧画面に追加される。現実世界ではプレイヤーの初期装備を選べるため、強力な装備を手に入れたら、次以降のプレイではかなり有利にゲームを進められる。

▲「ロードアウト」画面では、夢の中に降り立った初期状態での装備を選べる

ゲーム内では次々と新しい装備品を入手できる。新しい装備品を見つけたらとりあえず入手し、手持ちの装備品と入れ替えるだけで、少しずつではあるが成長している。

また、ゲーム内通貨を使って強化したキャラクターのパラメーターは死亡後も引き継がれるために、基本的には毎回少しずつ先のステージへと進み、キャラクターを強化したり、新しい装備を手に入れたり……というのがこのゲームの進め方となる。

▲装備アイテムを装備すると、現在装備しているアイテムを捨てなければいけない。しかし、一度でも入手したアイテムは初期装備選択画面に登場するようになる

装備品の武器は、ボクシンググローブや木製バットのような近接武器のほか、リーチが長い刀など、バリエーションはかなり豊富。リーチが長い武器の方が被ダメージは減るが、短い武器のほうが攻撃力は高い。各武器の上位互換となる武器も存在するため、どちらが一概にいいとは言い切れない。

また、近距離武器には3回連続で出せる弱攻撃と、単発だが強力な強攻撃という2種類の攻撃が設定されている。弱攻撃は攻撃ボタンを連打していても3回連続で出せるが、攻撃を出したあとに身体が光る瞬間を狙って次の攻撃を出すとダメージが増加する。単発のダメージは低くても、このジャストタイミング入力がしやすい武器を選んで、トータルのダメージを増やすという考え方もある。

このゲームは一般的なアクションゲームと較べて、ゲームスピードはやや抑え目の印象を受ける。にも関わらず、ジャストタイミングの受付時間はシビア。装備する武器ごとに受付時間が変わるのも関係しているのだが、敵の攻撃を回避しながらジャストタイミングでの入力ができるようになるには、かなりの練習が必要となっている。

なお、中には強攻撃で相手を空中へと打ち上げ、反撃できない相手へ弱攻撃×3を入れられる武器もある。強攻撃→弱攻撃×3は簡単なので、これが主力コンボとなるだろう。

▲リーチが長い刀の弱攻撃。身体が光る瞬間にボタンを押すと、2~3段目の攻撃が強化される。ただし、タイミングはかなりシビア!

▲強攻撃を当てて、敵を空中へ浮かせたところ。敵が浮いている間は反撃を受けないので、弱攻撃×3発のコンボを決めやすくなる

次に盾を使った防御について。盾を構えている方向からのダメージは完全に防いでくれるため、うまく使えればキャシディの生存率は飛躍的に上昇する。ただ、盾を構えている間は極端に移動速度が落ちるうえ、当然だがこちらからの攻撃はできない。敵からの攻撃を防いで敵が次の攻撃を出すまでのあいだに反撃、という当たり前のセオリーを徹底しなければ、不必要なダメージを受けることになる。

盾ガードで特筆すべきことは、パリィ要素があること。敵の攻撃をぎりぎりまで我慢してから盾を構えると、敵の攻撃を弾き返すことができる。おもに飛び道具を使ってくる相手に有効で、飛び道具をパリィできれば180度方向転換をして跳ね返り、発射してきた敵を倒す攻撃となる。

ただ、繰り返しにはなるが「HPが0になったら最初からやり直し」となるこのゲームにおいては、無理して狙っていく要素ではない。普段は気持ちに余裕があるタイミングで盾を構えておき、盾を構えるタイミングが遅れた時に、たまたまパリィで弾き返せた、くらいの方が安全だ。

▲敵の攻撃に対してジャストタイミングで盾を構えると、敵の攻撃を弾き返せる。飛び道具を放ってくる敵にはとくに有効

▲ステージ1のボス「恐怖」は、普段は水中を移動している。そこで、あちこちに浮いている魚雷を攻撃すると1秒後くらいに爆発。魚雷のダメージはプレイヤーも受けるため、ジャストタイミングでの前転回避が必要。魚雷の衝撃波がボスに触れるとボスが水上へ出現し、そのあいだに攻撃しないとダメージを与えられない

現実世界で贈り物をクラフトすれば、
新しい能力が解放!

ここまではローグライトなシステムや戦闘シーンのことばかり紹介してきたが、現実世界での過ごし方についても説明しておこう。

キャシディは重度のうつ病という設定(ゲーム内のアイテムで、うつ病患者向けの薬も登場する)。内向的で、他人との交流は苦手。人の顔を見て会話できないためか、自分を含めて登場人物すべての「顔」はのっぺらぼうとして描かれる。

バーや公園、ジムなどへ移動すると、それぞれの場所で人と出会う。それら登場人物に話しかけてみると、他愛のない会話から相手の名前や趣味がわかる。しかし、それ以上仲良くなるためにはプレゼントを贈る必要がある。

▲人へ話しかけているところ。内向的なキャシディにとっては、見知らぬ人に話しかけるだけでも大変な勇気が必要になる

▲見知らぬ人だった「タマル」の興味がキャンプだとわかった。キャンプに関するクラフトを作って贈れば、友好関係が深まる

プレゼントの入手手段は、街中で手に入れた「レシピ」を使い、自宅で「クラフト」すること。こうして、話し相手が興味を持ちそうなプレゼントを作り、渡すことでお互いの関係が深まる。こうして現実世界で交友関係を広めていけば、新しい装備やアイテム、能力などがアンロックされていくというわけ。

▲街中ではレシピも発見できる。レシピがあれば、自宅でプレゼントをクラフトできるようになる

▲現実世界で交友関係を広めていくと、「空想」の内容が増える。空想とは、アクションゲームのステージ内にキャラクター強化など、キャシディが有利になるフィールドを追加してくれる要素だ

少しずつキャラ性能はアップするものの、
それでも高難易度なボス戦!

総評としては、敵を打ち上げて空中コンボを決める爽快感であったり、ぎりぎりまで敵の攻撃を待ってから盾を構えるパリィであったりと、とにかくアクションが楽しい。とくにボス戦は、複数種類の攻撃を前転回避できっちり回避すると、「回避が成功しました」と言わんばかりにゲーム進行がスローモーションになる演出が入る。うまい人ほど「よっしゃ!」と、小さくガッツポーズをしたくなる瞬間が連発するゲームだ。

しかしその一方で、このゲームはローグライトならではの「HPが0になったら最初からやり直し」という要素ゆえ、プレイヤーの手綱を締める。

「パリィや前転回避をきっちり決めて、格好良く戦いたい」という気持ちと、「でも死んだらやり直し」という恐怖に板挟みされるプレイヤーの感情。この両要素が、非常にバランス良くミックスされているゲームだ。

▲前転による回避の無敵時間中に敵の攻撃判定に触れると、画面の進行がスローモーションになる。回避が成功したという演出

自分でプレイしていて驚いたのは、アクションゲームでHPが0になり、現実世界へ引き戻された時の感情だ。一般的なアクションゲームであれば、戦闘でミスをしてやり直し……となると「やっちまった!」という、自分を責める感情が生まれてくる人が多いだろう。

しかし、このゲームはアクションゲーム上での死亡=やり直し、という印象が非常に薄い。

ゲーム上での演出では「悪夢から目覚めた」だけだし、先程までプレイしていたアクションゲームパートで、わずかながらでもキャラクターが成長していること。そしてプレイヤーを優しく包むキャシディの自室BGMと、散らかった自室のビジュアル。「やっちまった!!」というネガティブな感情よりも「よし、次は頑張ろう」といった、ポジティブな感情が生まれるゲームデザインになっている。

ゲーム進行に伴って街中での行動範囲が広がっていき、現実世界でのキャシディの交友関係も広がっていくのも楽しい。重度のうつ病で苦しんでいた彼女が少しずつ心を開き、人と交流し、さまざまな記憶を少しずつ思い出していく。現実世界で流れる、アクションゲームパートとはまったく違ったゆっくりとした時間が、高まっていた心拍数を優しく下げてくれるような印象すら受けた。

▲「!」マークが出ている場所が、新たに行けるようになった場所、またはレシピなどのアイテムが出現している証拠

強化できる装備やパラメーターの種類が多く、
名称がわかりづらい部分も

このゲームにも、唯一と言っていい難点がある。それは装備品や成長要素といった、要素が多すぎるところだ。

ゲーム内通貨を使って武器を強化できる要素は、武器を選んでレベル上げを行う。しかしこのゲームには近接攻撃用の武器だけでも数十種類ある上、遠距離武器についても10数種類といった具合に、装備できるアイテムの種類が非常に多い。それこそゲームに深みを出しているという意見もあるが、筆者はやや混乱した。

それに加えて、このゲーム内通貨はキャラクターのパラメーターを上げるための購入にも使うし、パラメーターも種類が多いことに加えて、「ロイヤルフラッシュ」など独自の名称が付けられているパラメーターも多く、どれを上げていいのか迷ってしまった。

結局「装備品は次々と新しいものを拾うので、強化しても無駄になる可能性がある。ならば、パラメーターを片っ端から上げていくことを優先しよう」などという方針でゲームを進めていったが、多くのプレイヤーがここで困惑するに違いない。

しかし、そんな難点は時間が解決してくれる。各パラメーターの意味がわからなくても、片っ端から強化していけばいいからだ。「まずはクリティカル率を上げて、防御力アップは後回しに……」などと考える真面目タイプのプレイヤーは、もしかしたらストレスを感じてしまうかもしれない。でも、そんなことで悩むよりも、まずは自分の腕前を磨けばいい。

このゲームでもっとも強力な成長要素は、アクションゲームの腕前なのだから。

▲プレイヤーの基本パラメーターの一つ「クリティカルヒットの確率アップ」を購入しているところ

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●タイトル:Dreamscaper
●ジャンル:アクションRPG
●発売元:Freedom Games, Maple Whispering LimitedDevolver Digital
●開発元:Afterburner Studios
●プラットフォーム:PC(Steam、EPIC Games Store)、Nintendo Switch
●発売日:2021年8月6日
●価格:
Steam:2570円[税込]
EPIC Games Store:2580円[税込]
Switch:2499円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー:Intel Core i3
メモリー: 3GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GT640
ストレージ: 6GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5
メモリー: 4GB RAM
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX970
ストレージ: 6GB
●公式サイト:https://www.freedom.gg/dreamscaper
●ダウンロードサイトURL:
Steam
https://store.steampowered.com/app/1040420/Dreamscaper/
EPIC Games Store
https://www.epicgames.com/store/ja/p/dreamscaper
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

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