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『The Riftbreaker』Steam版レビュー:掘って、作って、闘って、壊されて!? 小型ロボを操作して惑星開拓しよう!

2021年10月14日、Steam/PlayStation 5/Xbox Series X|S向けに『The Riftbreaker』(リフトブレイカー)が発売された。開発元はタワーディフェンス+シューティングという新境地を切り拓いた過去作『X-Morph: Defense』(エックス モーフ:ディフェンス)のEXOR Studiosなので、クオリティは安心してもらっていい。本作『The Riftbreaker』は、『X-Morph: Defense』をより発展させたものと考えて構わない。

『The Riftbreaker』を簡単に説明するならば、「リアルタイム惑星開拓シミュレーションを目的とした、アクション要素が強いタワーディフェンスゲーム」だ。シミュレーション、アクション、タワーディフェンスという3つのジャンル名を並べてしまったために「結局、どういうゲームなの?」と疑問に思う人も多いだろうから、順を追って説明していこう。


『The Riftbreaker』のポイント
  • 建築シミュレーション、アクション、タワーディフェンスのどれかが好きなら大丈夫
  • 引きのカメラアングルから感じられる「そこに実在しそうな」リアリティ
  • ゲームオーバー条件が甘く、失敗しながら学べる懐の広さ

人類移住プロジェクトの希望
それが「リフトブレイカー」

ゲームのストーリーは、地球に住んでいた人間が何らかの理由で植民地化できる惑星を旅している未来。天の川銀河のシコラックスベルトに存在する未知の惑星「ガラテア37」という、移住に適した惑星を発見した人類は、移住するための基地を建設しようとしていた。

主人公はエリート科学者アシュリー・S・ノワクキャプテンという女性。彼女は「ミスター・リッグス」と呼ばれるメカスーツに乗り込み、リフトブレイカーとしてこの惑星を開拓する任務に就く。開拓の目的は、地球とのワープホールを設置することだ。

メカスーツの詳細は、メインメニューの静止画とオープニングのCGムービーで登場するほかは特に詳細な説明はない。ムービーを見る限り、全長4m程度のサイズ感のようだ。ボディカラーは黄色なので建築機械らしさもあり、重機マニア受けも良さそう。

プレイヤーはこのメカスーツを操作し、惑星資源の採掘や設備の建設、戦闘を担うことになる。

画面はちょっと引きのクォータービューなので金属の質感など細かいディティールはわからないが、それだけに「遠くに見えている本物のメカスーツを動かしている」ようなワクワク感がある。

▲メインメニューで見られる、メカスーツの外観

▲オープニングムービーでは、高精細CGが見られる

「採掘」から始める植民地生活

アシュリーに出された最初の指示は「HQを建てろ」。HQ(ヘッドクオーター)とは、メカスーツの修理(HPの回復)や弾薬の補給を行える基地のこと。メカスーツが大ダメージを受けて行動不能になった場合も、HQへテレポートさせられる。HQがない状態でメカスーツが破壊されるとゲームオーバーとなってしまう。

では早速、建築メニューを開いてHQを建築しよう。「建築コスト」は十分に足りているが、建物のシルエットは赤い半透明表示=建築できないという表示。そこで右スティック(キーボード操作時はマウス)で建築場所を少し上にずらしてみたら建築できた(完成までの時間は13秒)。どうやら、鉱石の採掘場所の上には建設できないルールのようだ。

▲建築メニューからHQを選んだところ。画面左中段にある「建築コスト」がすべて揃わないと建築できない

HQに限らず、建築をするためには、その材料(リソース)が必要となる。リソースの一覧は、画面右上に表示されている。建築でもっとも大量かつほとんどの建築で必要となる材料は「カルボニウム鉱石」というもの。地面から鉱石が露出し、青く光っている場所から採掘できる。

採掘場所はすでに発見済なので、メカスーツを採掘場所まで移動させ、Xボタン(キーボード操作時はマウス左クリック)。するとメカスーツは地面にドリルを突き刺し「ウィーン!」というモーター音と共に、カルボニウム鉱石を掘り出す。

▲カルボニウム鉱石が露出している場所まで移動し、採掘を開始

ただし、メカスーツによる採掘はそれほど効率がいいわけではないし、採掘中は他の行動が一切できなくなる。そこで提案されるのが、「カルボニウム採掘機」の建設だ。建築コストは「カルボニウム鉱石50個」(建築時間は14秒)、建築条件は「HQがあること」。採掘スピードは秒間1個なので、メカスーツが戦闘など別のことをしているあいだも、自動的にカルボニウム鉱石が蓄積されていく。

こうした一連の流れは「次はこれをやれ」とゲーム側から指示される。それに従っていくだけで自然と採掘方法を理解できたので、チュートリアルとしてかなり優れていると感じた。

▲カルボニウム鉱石が地面に露出している場所に、カルボニウム採掘機を建築。よく見ると、2本のアームを動かして地面からカルボニウム鉱石を掴んでいるのが芸コマ

設備が増えるほど必要となる「電力」
そして設備が充実すると敵襲が怖くなる

こうして材料が集まってくると、少しずつではあるが新しい施設の建設が可能になってくる。そんなときに障害となってくるのが電力の問題だ。画面右上にある雷アイコンが「現在の発電量/必要電力量」で、必要電力量を上回るだけの発電機が必要になる。建物に雷アイコンが表示されていたら、それは電力が不足しているという合図だ。じつにわかりやすく親切。

建設できる発電施設の選択肢は3つあり、「風力タービン」、「ソーラーパネル」、「カルボニウム発電所」のどれを作るかはプレイヤーの好み次第だ。風力タービンは風力によって発電するが、当然ながら無風の日は発電量がゼロになる。ソーラーパネルは晴れた日には発電量が増える反面、夜間には発電量がゼロになる。カルボニウム発電所は、カルボニウム鉱石が地面に露出しているところにしか建設できないが、風量や日光の強さなどに関係なく発電できる。ただし、カルボニウム鉱石がゼロになるまで採掘と発電を繰り返してしまうため、目先の発電量に目がくらんで建設してしまうと、気付いた時にはカルボニウム鉱石が枯渇している可能性がある。

結論から言えば、風力タービンとソーラーパネルをどちらも1~2個ずつ作ることで、昼夜共に発電量が安定する。エネルギー源を何かに一極集中させるリスクを回避するという考え方だ。筆者がそう思うようになったのは、最初に風力タービンばかりを大量に設置し、夜間に電力量がカスカスになった経験があったから。でも、そういう「建築における失敗」は、自分で失敗の原因が理解できればいくらでもやり直しが利くという気軽さも気に入った。

▲いくつかある発電施設のうち、安定しているのは「風力タービン」。まずは、これをいくつか設置するといい

必要電源量を超える発電設備を設置したら、次に促されるのは「センチネルタワー」。これは敵モンスターが基地を襲撃した際に、自動的にモンスターを迎撃してくれる、砲撃機能を備えた監視塔のこと。

しかし、センチネルタワーを作るにはカルボニウム鉱石が不足していることがわかり、カルボニウム採掘機だけではなくメカスーツも採掘に協力。採掘速度のスピードアップを図り、センチネルタワーの建設を急ぐ。

▲センチネルタワーは防衛の要。6個と言わず、8個でも10個でも設置したい

ところが今度は、センチネルタワーの製造には「アイロニウム鉱石」と呼ばれるパーツが必要になることがわかり、規定の6個を製造できない。アイロニウム鉱石はカルボニウム鉱石と似ているが、赤色の鉱石が露出している場所を探す必要がある。ここまで見つけた鉱石の採掘場所はすべてカルボニウム鉱石だったが、ここからアイロニウム鉱石を探す旅が始まる。

時刻はすでに23時過ぎ(画面右下のマップ上端に、24時間制のデジタル時計が表示されている)。明朝6時頃までは太陽が出ないため、メカスーツに装備されたライトで地面を照らしながらのアイロニウム鉱石探しの旅へ。

ところが旅立ってすぐに、正体不明の敵に囲まれて総攻撃を受けることに。メカスーツの右腕に装備されたソード(近接攻撃武器)を振り回しながら後退。斬り損ねた敵は、左腕に装備された飛び道具で片付けつつ、20匹ほどの敵を殲滅。生えていた草はソードによって切り刻まれ、取り囲んでいた敵たちは射撃を受けて血を吹き出し、大地を染める。引きのカメラアングルが功を奏し、そこに本当の血液が溜まっているかのようにも見えるリアル感に息を呑む。

軽い罪悪感を抱きながらも、先へ進むアシュリー。こうして自分から能動的に敵を倒しておくことで、後日基地に襲撃してくる敵の数も減らせるという通信内容が届いた。

しかし、敵を倒しに行くにしても、夜間は本当に視界が悪い。さらに言えば早朝と夕方は太陽光が斜めから差し込むため影が長くなり、敵を見落とす可能性が出てくる。そんな、時間経過すら攻略要素になり得るということに感動してしまった。

▲アイロニウム鉱石を探してHQを離れたすぐそばで、正体不明の敵モンスターの大群に囲まれた

▲安全のために近接攻撃ではなく、飛び道具を中心に闘っていたら、弾切れしてしまった。HQに戻って補給したい

敵襲から建設物を守るのは、
防御壁+プレイヤーの腕前

施設を建築していると、突然センチネルタワーから射撃が始まるときがある。これは一定範囲内に敵モンスターが接近している証拠だ。BGMも戦闘用のものに切り替わり、ここからはプレイヤーのアクションゲームの腕前が試される。

基本操作はツインスティックシューティング。左スティックで移動し、右スティックでメカスーツの向きを変更。左右それぞれの腕に装備している武器を使い、施設の破壊を狙う敵モンスターを一掃するのがプレイヤーの目的。

あくまでモンスターの狙いは「建設済の施設」なのがポイント。たとえば、カルボニウム鉱石の採掘場所にHQをはじめとする拠点を建築しながら、少し離れた場所にあるアイロニウム鉱石の採掘場所にも採掘機と発電機を設置しておいたとしよう。この場合、敵モンスターはどちらの施設を狙ってくるかはわからない。「BGMが変わったのに、敵が来ないな」などとのんびり構えていたら、アイロニウム鉱石の採掘場だけが襲撃を受けていたというケースもある。

こうして、プレイヤーは失敗の中からモアベターな選択肢を発見し、どんどん建設の効率などについて学んでいける……というのが非常に楽しい。それもすべて、建設でトンチンカンなことをやって大失敗してもHQさえ残っていればゲームオーバーにならないという「失敗を許容されるシステム」がそうさせてくれるのだ。

▲メカスーツのソードで斬った+センチネルタワー射撃で倒したモンスターの血液が噴出し、血の海ができている。画面右上には、まだまだ大量の敵が迫っている

▲アイロニウム鉱石の採掘場に採掘機を作り、風力発電所も設置。これで自動的に採掘してくれるかと思っていたら、夜に敵モンスターの襲撃を受け、建設物は何ひとつ残らず

▲敵モンスターに施設を破壊された経験を活かし、次からは「基礎的な壁」を施設周辺に設置。不安なら二重、三重に壁を作ってもいい

このように、敵襲から建設物を守るためにはガード性能(耐久値)を持った壁などを作り、建設物を守るということを覚えていく。だが、基地を防衛するためには、これに加えてプレイヤーの腕前も必要になってくる。いかに被ダメージを抑えつつ、敵の大群を一掃するかのテクニックが問われてくるのだ。

たとえば近接攻撃「ソード」はメカスーツの前面すべてに対して横薙ぎするために広範囲を一度に攻撃できるが、攻撃と攻撃の間に硬直時間が存在する。このため大群の敵モンスターに取り囲まれてしまうと、気分良く敵モンスターをズバズバ斬っているのに、気付けば自分のHPが皆無ということも。

これを避けるためには、たとえば遠距離では飛び道具を使って敵の数を減らしながら、敵の進行方向に向かって後退。これで敵の数を減らしつつ、敵の接近も防げる。敵に追いつかれてしまい、後退できない場所まで来てしまったら近接攻撃で残りを片付ける。それでも敵モンスターに数で圧倒されそうになったら、敵モンスターの進行方向から少し軸をずらして、横から攻撃するというのもテクニックだ。もちろん、施設を守る壁があり、少しは敵モンスターの攻撃に耐えられるという前提があればこそだが。

▲敵モンスターは施設へまっすぐ向かってくるので、少しズレた角度から攻撃するのもテクニックの一つ

要素の渋滞に「自分にできるのか?」
と感じた不安はすぐに消えた

最初にこのゲームを起動した直後は、建設もしなきゃいけないのに、タワーディフェンス要素となる敵モンスターの動線も考慮して迎撃武器の設置や、防御壁の設置をしなければいけないとのチュートリアル。「そんなに一度にたくさんのことを要求されても、覚えられるはずがない」と、多すぎる要素を前に不安になった。

しかし、実際にプレイしてみると、まずは「建築」、そして「敵襲」、その結果破壊された施設を守るために迎撃武器や防御壁を設置するという順番で、このゲームに少しずつ慣れていくことができた。

筆者はどちらかといえばアクションゲームが得意なので、敵襲があると盛り上がるタイプ。とは言うものの、メカスーツの迎撃だけで敵襲を100%抑えられるわけではないので、建築に関する知識も必要になってくるし、建築物を敵襲から守るためのタワーディフェンス的な考え方についてもあるに越したことはない。

つまり、アクション、建築シミュレーション、タワーディフェンスという3要素のうち、どれか1つでも得意なものがあれば、残りの要素は遊びながら、失敗しながら学んでいける……という懐の広さが気に入った。

最初から理想の本拠地を作りたいと考える完璧主義者にはお勧めしづらいが、増設に増設を繰り返し、不格好でも戦いの履歴を感じられる「自分だけの」本拠地を作り上げていくゲームというのが、このゲームの本質だと感じた。

ネガティブな側面を挙げるとするならば、グラフィックが非常に細かく描画されているのはいいのだが、たとえば数ドットしか見えない木の根などにも判定が存在するため、一見何もないようなところで「何かに」引っかかって動けなくなってしまうのがややストレスとなった。あとはマップ表示が、自分の現在位置周辺以外はグレーアウトしてしまうので、マップとして不便なこと(ゲームを進めていくと、これを少しだけ改善してくれるアイテムも生産可能になるが)。

一番改善してほしいところは、テキスト関係はすべて自然な言葉で日本語化されているものの、音声は英語となっていること。このため、ゲーム中に「衛星からのデータダウンロードが終わった。次のダウンロードを指定しろ」など、テキストログの表示がない音声のみのアラートは、警告を聞き漏らしてしまう危険性があることだ。

これが、筆者が感じたネガティブ要素トップ3である。しかしこれらはアップデートで対応してくれれば嬉しいというレベルであって、ゲームの評価を落とすものではない。つまり、気に入ったということだ。

▲建設やタワーディフェンスに関することを考えるのが苦手な人でも、アクションゲームの腕前があればどうにかなるし、その逆もまた然り

(C)2021 EXOR Studios, the EXOR Studios logo, Schmetterling Engine, X-Morph, Zombie Driver, Riftbreaker and the Riftbreaker logo are trademarks or registered trademarks in the United States, European Union and other countries.

●タイトル:The Riftbreaker
●ジャンル:基地建設サバイバルアクション
●発売元:EXOR Studios, Surefire.Games(国内のPS5版発売元はマーベラス)
●開発元:EXOR Studios
●プラットフォーム:Steam、PlayStation 5
●発売日:
2021年10月14日
●価格:
Steam 3000円[税込]
PS5 3300円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 8.1
プロセッサー:Intel Core i5(第2世代)または AMD Bulldozer(4コア)
メモリー:8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX750 2GB または AMD R7 265 2GB
DirectX: Version 11
ストレージ:8GB
●推奨スペック
OS: Windows 10
プロセッサー:Intel Core i7(第2世代)または AMD Ryzen
メモリー:12GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX2080 6GB または AMD Radeon 6800
DirectX: Version 11
ストレージ:8GB
●公式サイトURL:https://www.riftbreaker.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/780310/The_Riftbreaker/
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

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