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『GRIME』Steam版レビュー:“パリィ”のロマンをユニークに強調した、意欲的な2DアクションRPG
2021年8月2日、イスラエル・ハイファに拠点を置くティルタン・デザイン・スクールの学生スタジオ「Clover Bite」が開発した『GRIME』が発売された。
なんと、本作の主人公の頭はブラックホールになっている。『GRIME』は、攻撃を弾くことが一般的なパリィを「吸収」という行為に置き換え、敵をパリィ(吸収)するたびに自身を強化していくことが特徴の高難易度2DアクションRPGなのだ。
パリィに魅入られたとしか思えないほどパリィ中心のシステムにはコアな魅力があるものの、筆者はパッチノート1.1.125プレイ時に進行不能バグに遭遇。5体目のボスまでしか進めなかった。このように、バグや惜しい点が多い作品となっている。本稿は途中までのレビューになってしまうことをご容赦いただきたい。
『GRIME』のポイント
ハイリスク・超ハイリターンなパリィ中心の戦闘は刺激的!
ブラックホールの頭を持つ主人公は、スタミナ制の中で攻撃やパリィ(吸収)、ダッシュを駆使して、歪な姿の敵を倒していく。マップ構成はメトロイドヴァニア的な部分もありつつ、ゲームのコア部分はソウルライクとなっており、操作感はスピーディーというよりは重々しい。
ソウルライクの源流のひとつ『DARK SOULS』では、パリィはハイリスク・ハイリターンな手段だ。ぎりぎりまで敵の攻撃を引き付けなければならない代わりに、成功すれば強力な追い打ち攻撃のための隙が生まれる。
『GRIME』においてもパリィの重要性は高いが、パリィによって生み出されるものは隙だけにとどまらない。プレイヤーはパリィで新たなスキルを獲得でき、回復や攻撃までまかなえる。つまり、今までにないほどパリィの頻度が増えるシステムなのである。
必然的に相手の攻撃までの「待ち」の時間が増えるため、地味な印象を受けるかもしれない。しかし、“ハイリスク・ハイリターン”から“ハイリスク・超ハイリターン”になったパリィを成功させるため、地味で危険な賭けに何度も挑戦することを楽しめる人には向いているだろう。マニアックかつ刺激的な魅力は確かにある。
▲敵の種類と彼らから獲得できるスキル
パリィをメインとした戦闘面を詳しく紹介していこう。まず、プレイヤーは敵の攻撃に合わせてパリィを行い(ゲームパッドならRBボタン)、敵を吸収することでさまざまなスキルを獲得できる。吸収する敵によって獲得できるスキルは異なり、吸収しなければならない数も決まっている。ちなみに、敵の攻撃のタイミングはかなりシビアだ。
スキルは「パリィに失敗した後に受けるダメージを軽減する」「敵の背中を攻撃した際のダメージがアップする」「パリィに成功すると敵にダメージを与える」など多岐にわたる。このスキルはアイテムで強化していくことが可能だ。パリィによって「ブレス」ゲージがたまり、満タンになると体力回復できるシステムも重要になってくる。
ちなみに、敵が何も攻撃していないときや離れた場所でパリィを行うと、パリィ動作をするだけで何もなし。敵に近い場所でパリィに失敗すれば、ダメージを食らうだろう。遠距離攻撃もパリィは可能で、飛び道具なら相手に投げ返してダメージを与えることができる。
▲蠢く歯や爪がついた「生物兵器」で戦う
▲「器」を強化して好みのプレイスタイルに育てよう
もちろん、通常の武器を用いた攻撃も欠かせない。パリィ(吸収)を一回するだけで倒せる敵もいるが、それだけでは倒せない敵が次第に増えていく。武器で体力を削り、ある程度弱ったらパリィで吸収するというモンスターボールのような方式が有効だ。武器だけで倒すとスキルを獲得できない(※一部の敵を除く)。パリィがとどめの一撃になっている点が面白く、武器での戦闘とのバランスも上手く取れている。
本作に登場する武器は「生物兵器」。爪や歯のついたグロテスクな見た目で、特殊攻撃を行うと生きているように動くものもある。武器を揃えるにあたっては、「体力」「気勢(スタミナ)」「強さ」「器用さ」「共鳴」で構成される自身の「器」を強化することが大切だ。「強さ」「器用さ」「共鳴」を上げると、それぞれに対応した武器のダメージがアップする。また、この数値が一定数に達しないと装備できない武器がある。
▲武器やアイテムは「塊」で取引できる
武器は敵を倒して獲得する「塊」で購入したり、強化することが可能だ。死亡すると塊を失うが、自分の死体の場所に再びたどり着けば回収できる。また、敵を倒せば倒すほど「情熱」が溜まっていく。「情熱」は倒した敵から獲得できる塊の量を最大100%アップさせるもので、ダメージを受けると失われてしまう。貪欲かつ巧みな立ち回りが求められる。
ユニークな戦闘システムや武器に惹かれる反面、本作には残念な点も多い。まず、このゲームにおいて最重要と言えるパリィのエフェクトが物足りない印象がある。成功したときの爽快感が微妙に弱いのだ。パリィの成否の分かりやすさにも関わってくるため、もう少し派手で明るいエフェクトやサウンドを使用した方が良かっただろう。
▲筆者はリスポーン時に壁の中に閉じ込められる進行不能バグに遭遇、どこにも行けなくなってしまった
パリィで回復が可能なものの、回復手段がほぼパリィしかない点も厳しすぎる。一応回復アイテムはあるが、アイテム購入場所までのアクセスが悪いのだ。進行不能バグなどの不具合も素通りできない。ただパッチノートが頻繁に配信されているため、早期の解決に期待したいところである。
▲空中の光る物体に自分を引き寄せながら戦うアクロバティックなボス戦
ボスを倒すと、空中ダッシュや空中の物体に自身を引き寄せたり、移動に役立つスキルを獲得できる場合が多い。そのため後半は、アスレチック要素の強いボスステージも登場してくる。戦闘とアスレチック要素が組み合わさった、アクロバティックなボス戦だ。
マップは広大で探索しがいがあるが、
本作のマップはとても広く、アイテムや敵が豊富に配置されている。知らない国の神話のような、美しくグロテスクな世界観も良い。さらにアスレチック要素やパズル要素があったり、凶悪なトラップまで登場する。これらの試練を乗り越える際にも、パリィが必須な場面があるのが流石だ。
▲広大なマップの一部
▲上から槍が落ちてくるため、パリィ必須の移動する足場
マップの各所には「ビーコン」があり、起動すると周辺の地図を解放できる。また、「サロゲート」では器やスキルの強化、体力の回復を行うこともできる。ただし、使用すると倒した道中の敵が復活してしまうので気をつけたい。サロゲートはリスポーン場所としての役割もある。
残念だった点は、マップの広大さに対してファストトラベル地点が少なすぎることだ。筆者が確認できた範囲に限るが、ファストトラベル地点は9つの区画の中に3つしかない。そもそもザコ敵との戦闘の難易度が高いこと、移動速度が遅いこともあり、探索欲が湧きづらかった。アイテム・武器の購入場所や強化ができる場所へすぐ行けないというデメリットも、難易度を無意味に上げてしまっている。
▲住人たちとの交流によって、この世界や主人公についての謎を読み解く
本作のストーリーについても触れておこう。筆者は最後までプレイできていないためその全貌を知ることはできなかったが、ブラックホール頭の主人公の存在意義や世界の謎を知る、という大筋があるようだ。独自の信仰を持った奇妙な住人たちの言葉がヒントになっている。彼らの言葉は難解で、ストーリーは考察を誘う。
『GRIME』は「危険な賭け」というパリィのロマンを、吸収するブラックホールというモチーフ、そして超ハイリターンな仕様で強調した唯一無二の作品だ。しかし、たくさんの不具合やバグによって、筆者はその魅力を十分に感じることはできなかった。小まめなアップデートから開発側の熱意が伺えるため、今後の改善や「Clover Bite」の次回作に注目しておきたい。
(C) 2020-2021 Clover Bite - Team Malignant
●タイトル:GRIME
●ジャンル:アクションRPG
●発売元:Akupara Games
●開発元:Clover Bite
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Game ストア)
●発売日:2021年8月2日
●価格:2570円
●必須スペック
OS: Windows 7
プロセッサー: Intel Core i5-3470 または同スペック相当のAMDプロセッサー
メモリー: 4GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX960 または同スペック相当のAMDグラフィックボード
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://www.grimegame.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1123050/GRIME/
Epic Game ストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/grime
なんと、本作の主人公の頭はブラックホールになっている。『GRIME』は、攻撃を弾くことが一般的なパリィを「吸収」という行為に置き換え、敵をパリィ(吸収)するたびに自身を強化していくことが特徴の高難易度2DアクションRPGなのだ。
パリィに魅入られたとしか思えないほどパリィ中心のシステムにはコアな魅力があるものの、筆者はパッチノート1.1.125プレイ時に進行不能バグに遭遇。5体目のボスまでしか進めなかった。このように、バグや惜しい点が多い作品となっている。本稿は途中までのレビューになってしまうことをご容赦いただきたい。
『GRIME』のポイント
- 吸収するパリィで自身の強化、攻撃、回復まで行うシステム
- 幻想的かつグロテスクな世界観
- バグや不満点が多いが、パッチノートは頻繁に配信されている
ハイリスク・超ハイリターンなパリィ中心の戦闘は刺激的!
ただストイックすぎる印象も
ブラックホールの頭を持つ主人公は、スタミナ制の中で攻撃やパリィ(吸収)、ダッシュを駆使して、歪な姿の敵を倒していく。マップ構成はメトロイドヴァニア的な部分もありつつ、ゲームのコア部分はソウルライクとなっており、操作感はスピーディーというよりは重々しい。
ソウルライクの源流のひとつ『DARK SOULS』では、パリィはハイリスク・ハイリターンな手段だ。ぎりぎりまで敵の攻撃を引き付けなければならない代わりに、成功すれば強力な追い打ち攻撃のための隙が生まれる。
『GRIME』においてもパリィの重要性は高いが、パリィによって生み出されるものは隙だけにとどまらない。プレイヤーはパリィで新たなスキルを獲得でき、回復や攻撃までまかなえる。つまり、今までにないほどパリィの頻度が増えるシステムなのである。
必然的に相手の攻撃までの「待ち」の時間が増えるため、地味な印象を受けるかもしれない。しかし、“ハイリスク・ハイリターン”から“ハイリスク・超ハイリターン”になったパリィを成功させるため、地味で危険な賭けに何度も挑戦することを楽しめる人には向いているだろう。マニアックかつ刺激的な魅力は確かにある。
▲敵の種類と彼らから獲得できるスキル
パリィをメインとした戦闘面を詳しく紹介していこう。まず、プレイヤーは敵の攻撃に合わせてパリィを行い(ゲームパッドならRBボタン)、敵を吸収することでさまざまなスキルを獲得できる。吸収する敵によって獲得できるスキルは異なり、吸収しなければならない数も決まっている。ちなみに、敵の攻撃のタイミングはかなりシビアだ。
スキルは「パリィに失敗した後に受けるダメージを軽減する」「敵の背中を攻撃した際のダメージがアップする」「パリィに成功すると敵にダメージを与える」など多岐にわたる。このスキルはアイテムで強化していくことが可能だ。パリィによって「ブレス」ゲージがたまり、満タンになると体力回復できるシステムも重要になってくる。
ちなみに、敵が何も攻撃していないときや離れた場所でパリィを行うと、パリィ動作をするだけで何もなし。敵に近い場所でパリィに失敗すれば、ダメージを食らうだろう。遠距離攻撃もパリィは可能で、飛び道具なら相手に投げ返してダメージを与えることができる。
▲蠢く歯や爪がついた「生物兵器」で戦う
▲「器」を強化して好みのプレイスタイルに育てよう
もちろん、通常の武器を用いた攻撃も欠かせない。パリィ(吸収)を一回するだけで倒せる敵もいるが、それだけでは倒せない敵が次第に増えていく。武器で体力を削り、ある程度弱ったらパリィで吸収するというモンスターボールのような方式が有効だ。武器だけで倒すとスキルを獲得できない(※一部の敵を除く)。パリィがとどめの一撃になっている点が面白く、武器での戦闘とのバランスも上手く取れている。
本作に登場する武器は「生物兵器」。爪や歯のついたグロテスクな見た目で、特殊攻撃を行うと生きているように動くものもある。武器を揃えるにあたっては、「体力」「気勢(スタミナ)」「強さ」「器用さ」「共鳴」で構成される自身の「器」を強化することが大切だ。「強さ」「器用さ」「共鳴」を上げると、それぞれに対応した武器のダメージがアップする。また、この数値が一定数に達しないと装備できない武器がある。
▲武器やアイテムは「塊」で取引できる
武器は敵を倒して獲得する「塊」で購入したり、強化することが可能だ。死亡すると塊を失うが、自分の死体の場所に再びたどり着けば回収できる。また、敵を倒せば倒すほど「情熱」が溜まっていく。「情熱」は倒した敵から獲得できる塊の量を最大100%アップさせるもので、ダメージを受けると失われてしまう。貪欲かつ巧みな立ち回りが求められる。
ユニークな戦闘システムや武器に惹かれる反面、本作には残念な点も多い。まず、このゲームにおいて最重要と言えるパリィのエフェクトが物足りない印象がある。成功したときの爽快感が微妙に弱いのだ。パリィの成否の分かりやすさにも関わってくるため、もう少し派手で明るいエフェクトやサウンドを使用した方が良かっただろう。
▲筆者はリスポーン時に壁の中に閉じ込められる進行不能バグに遭遇、どこにも行けなくなってしまった
パリィで回復が可能なものの、回復手段がほぼパリィしかない点も厳しすぎる。一応回復アイテムはあるが、アイテム購入場所までのアクセスが悪いのだ。進行不能バグなどの不具合も素通りできない。ただパッチノートが頻繁に配信されているため、早期の解決に期待したいところである。
ボスとの戦いは創意工夫に富んでいる
ボス戦では、とどめを刺す方法が通常攻撃でもパリィでもスキルを獲得することができる。しかし、パリィの重要性は変わらない。パリィなら大ダメージを与えることができるし、部位破壊することも可能だ。ダッシュとパリィを絶妙なタイミングで連続使用しなければならない攻撃を放つボスもいて、パリィの存在感を強める工夫に富んだ戦いを楽しめる。▲空中の光る物体に自分を引き寄せながら戦うアクロバティックなボス戦
ボスを倒すと、空中ダッシュや空中の物体に自身を引き寄せたり、移動に役立つスキルを獲得できる場合が多い。そのため後半は、アスレチック要素の強いボスステージも登場してくる。戦闘とアスレチック要素が組み合わさった、アクロバティックなボス戦だ。
マップは広大で探索しがいがあるが、
それを活かしきれていない
本作のマップはとても広く、アイテムや敵が豊富に配置されている。知らない国の神話のような、美しくグロテスクな世界観も良い。さらにアスレチック要素やパズル要素があったり、凶悪なトラップまで登場する。これらの試練を乗り越える際にも、パリィが必須な場面があるのが流石だ。▲広大なマップの一部
▲上から槍が落ちてくるため、パリィ必須の移動する足場
マップの各所には「ビーコン」があり、起動すると周辺の地図を解放できる。また、「サロゲート」では器やスキルの強化、体力の回復を行うこともできる。ただし、使用すると倒した道中の敵が復活してしまうので気をつけたい。サロゲートはリスポーン場所としての役割もある。
残念だった点は、マップの広大さに対してファストトラベル地点が少なすぎることだ。筆者が確認できた範囲に限るが、ファストトラベル地点は9つの区画の中に3つしかない。そもそもザコ敵との戦闘の難易度が高いこと、移動速度が遅いこともあり、探索欲が湧きづらかった。アイテム・武器の購入場所や強化ができる場所へすぐ行けないというデメリットも、難易度を無意味に上げてしまっている。
▲住人たちとの交流によって、この世界や主人公についての謎を読み解く
本作のストーリーについても触れておこう。筆者は最後までプレイできていないためその全貌を知ることはできなかったが、ブラックホール頭の主人公の存在意義や世界の謎を知る、という大筋があるようだ。独自の信仰を持った奇妙な住人たちの言葉がヒントになっている。彼らの言葉は難解で、ストーリーは考察を誘う。
『GRIME』は「危険な賭け」というパリィのロマンを、吸収するブラックホールというモチーフ、そして超ハイリターンな仕様で強調した唯一無二の作品だ。しかし、たくさんの不具合やバグによって、筆者はその魅力を十分に感じることはできなかった。小まめなアップデートから開発側の熱意が伺えるため、今後の改善や「Clover Bite」の次回作に注目しておきたい。
(C) 2020-2021 Clover Bite - Team Malignant
●タイトル:GRIME
●ジャンル:アクションRPG
●発売元:Akupara Games
●開発元:Clover Bite
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Game ストア)
●発売日:2021年8月2日
●価格:2570円
●必須スペック
OS: Windows 7
プロセッサー: Intel Core i5-3470 または同スペック相当のAMDプロセッサー
メモリー: 4GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX960 または同スペック相当のAMDグラフィックボード
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://www.grimegame.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1123050/GRIME/
Epic Game ストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/grime
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