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『トーチライトIII』レビュー! ハクスラが持つ面白さと新要素は魅力バッチリなのに物足りない!?【オススメPCゲームレビュー】
目次
2021年リリースの注目PCゲームをご紹介する連載「Alienware Zone的おすすめPCゲームレビュー」。
今回ご紹介する「Torchlight」シリーズは、2009年に発売された初作から今作に至るまで実に11年の歴史を持つクォータービューのハック&スラッシュRPGです。ハクスラRPGとしてとても遊びやすく設計されている『Torchlight』は、そのファンタジーテイストでやわらかなビジュアルとユニークなクラス・装備とビルドシステム、気軽に遊べるマルチプレイなどから多くの人気を博しています。
作品ごとに時代は違いますが、どの作品においても一人の無名の兵士となり、魔物に支配・侵略されている地域を進みながら、復活を目論む魔神のもとへ目指すというのがおおまかなストーリーとなっています。今作はもともと『Torchlight Frontiers』として発表されていましたが、のちに『Torchlight III』と名称変更し、シリーズで初めてSteamのアーリーアクセスでの販売形態を取っていました。販売開始当初はバグの多さをはじめ、ゲームプレイにおける数々の点から賛否両論だった模様ですが、昨年の10月に本発売され製品版としてプレイできるようになりました。
今回は製品版として、そしてシリーズ作品としてどう仕上がっているのか評価をすべくレビューすることを決め、1,2とシリーズ作品を遊んできた筆者が今作の評価点・不満点を挙げていきます。
舞台は『Torchlight II』から約百年後の世界、ネザリムと呼ばれる魔界のような場所にいた悪の三姉妹が魔神の復活を目論んでおり、エンバー帝国へと侵攻を続けています。ネザリムのモンスターたちは大陸のモンスターたちと結託して城や街を侵略し続けており、それらを食い止めるためにプレイヤーは一人の兵士として派兵されてくることになります。数々のマップ・ダンジョンを攻略しながらクエストを進め、より強力な装備品を集めて立ちはだかる敵をどんどん倒していくハクスラRPGとなっています。
「Torchlight」シリーズにおいて、プレイヤーが使用できるクラスのなかに個性的なものが含まれているのは今作も変わりません。今回は蒸気を操るロボット兵士クラス「フォージ」。戦闘中にレールを敷いて列車を走らせながら攻撃することができるクラス「レールマスター」。使用時の特徴が異なった光と闇の魔法を使いこなせるクラス「ダスクメイジ」。遠距離攻撃武器の扱いに長け、スピリットも召喚しつつともに戦うことができるクラス「シャープシューター」の4つのなかから選ぶことになります。
また、今作からの新要素として、新たに「レリック」と呼ばれる属性スキルツリーが追加されました。これは5種類の属性ツリーのなかから一つ選べるようになっています。このレリックにより、同じクラスであってもさまざまな組み合わせのビルドが楽しめるようになっています。
ロボット兵士と列車を操る車掌!
今回のレビューではシングルプレイでロボット兵士のフォージと氷のレリック「コールドハート」、マルチプレイで列車使いのレールマスターと雷のレリック「エレクトロード」を選択しました。
フォージは熱と蒸気を巧みに操りながら、強力なスキルを繰り出すクラスです。燃石炭を発射し敵の集団を一網打尽にし、お腹から飛び出すチェストガンの連射、高速で繰り出すパンチ連打など動きもコミカルながら制圧力に長けるものが多いため、今作でより爽快感を得たい方はフォージをおすすめしたいですね。ともに選んだ氷のレリック「コールドハート」は敵モンスターを凍結、束縛させるスキルを中心に、状態異常を発生させるオーラやアイスゴーレムの召喚、広範囲にわたり吹雪かせることで大ダメージを与えるなど敵の動きを制限することに特化されています。
一方、レールマスターはコンパクトな列車を召喚キャラクターとして生成できるクラスです。列車はスキル習得によってさまざまな連結が可能になっており、タレットガン召喚後、自身の足跡を辿るように線路が自動で形成されていきます。
スキルのオン・オフによりその場で自動移動を取りやめて固定砲台のような使い方もできるので、体力の多い敵や大きなボス戦など集中攻撃を行いたいときはうまく場所を誘導していきましょう。こちらのキャラで選択した雷のレリック「エレクトロード」は全体攻撃とダメージ重視のレリックという印象で、ランダムな方向にほとばしる雷をいくつも落としながら、敵をショック状態に陥らせることもできます。確率で周囲の敵に連鎖する電撃を発生させることができるパッシブスキルなど、複数の敵をたくさん巻き込みながら攻撃したい人におすすめです。
レリックはほかにも毒属性の「ベイン」、炎属性の「フレーミング・デストロイヤー」、吸血属性「ブラッドドリンカー」が選択できますし、それぞれが持つスキルも選択時に説明を確認できるので自分の好みに合うものを選びましょう。
今作から追加された要素により、
今作から追加された要素に、プレイヤーが自由にカスタマイズできる領地として、複数の自キャラクターが共有のエリアとして利用できる「要塞」が存在します。これは序盤のクエストを攻略していくうちにアクセス可能になるもので、この要塞内にさまざまな施設を建設・配置していくことでプレイヤーにいくつか恩恵が与えられます。
施設の建設には、マップ中に点在する収集ポイントから手に入る丸太や金属といった素材アイテムが必要になるため、見かけ次第確保しておくと良いでしょう。配置できる施設の中には特別なポイントを消費してスキルのリセットを行えるものや、装備品の能力をそのままに外見のデザインだけを変えるスタイルステーションなどありますが、特に注目したいのは装備品を捧げることによって成長する木です。これは木の成長具合によって、プレイ中に装備品がドロップする確率を恒常的に上げてくれるもので、レアな装備であればあるほど、成長がより早く進みます。
ほかにも、倒したモンスターの種族によって手に入るアイテムを捧げることで防御力・属性耐性・金運など各種パラメータを上げるものもあるので、ある程度攻略を進めたら一度要塞に戻ってみるといいかもしれません。さらにペットの寝床や家具、装備品を飾ることができるマネキンやさまざまなテーマを持った設置物など、要塞をより楽しく美麗に彩るものが多くあるので、自分の秘密基地を作る楽しみもあります。
注意点としては、シングルプレイとマルチプレイとではキャラクタースロットが別枠扱いのため(詳細は後述します)、要塞もそれぞれ別個のものとなります。たとえば、シングルプレイで要塞をしっかりカスタマイズしても、マルチプレイには反映されませんのでご注意ください。
そしてもう一つ、新要素として注目したいものが、レジェンドスキルの付け替え機能です。ハクスラRPGの醍醐味といえば、より強力な装備品を追い求めることといっても過言ではないでしょう。今作はその醍醐味がより充実しており、レアリティを問わず序盤からさまざまな装備品がドロップします。なかでも、最高レアリティ:レジェンドアイテムに付与されている特別な能力は強力なものが多い代わりに、その装備品をつけているときにしか効果は発揮されませんでした。
しかし、今作ではそのレジェンドスキルが装備品の着脱に関わらず、自由に付け替えられるようになっています。キャラクターのレベルが一定数上がるごとに最大3つまで付けることが可能で、手に入れたレジェンド装備のものからどんどん選べるようになっていきます。このシステムによって、より自由なレジェンドスキル効果の組み合わせを実現できるようになり、クラススキルやレリックスキルとの相性も含めビルドを組み上げる楽しみが増えています。
ただ、セットアイテムの効果については残念ながらスキルスロットにつけても代替できないため、しっかりレジェンドアイテムを装備する必要があるので注意してください。
日本語対応表記はあるものの、
今作は日本語対応と商品ページに記載はあるものの、すべての要素に行き渡ってはいません。製品版発売から数多くのアップデートを重ねてきましたが、なかにはシステムUIやプレイ中に手に入る装備品やスキルの説明などが日本語化も含まれていたはずにも関わらず、ムービーシーンや探索中に入手できる資料音声についてはいまだに字幕が表示されていないのです。
たとえば装備品やスキル説明のいくつかが未翻訳、ということであれば「ああ、バグか」くらいの印象で済むのですが、ここまで大幅に字幕が存在していないと、製品版としてどうなのか?という気持ちが生まれてきてしまいます。
……この「製品版としてどうなのか?」という気持ちから、ひとつ記しておきたいことがあります。これは筆者の邪推であると思いたいのですが、ゲームを進めていくうちに、途中から制作体制が変更されているということを感じてしまう箇所がありました。ACT1時点ではイベントシーンで流れるムービーはカラー表示なのですが、ACT2以降、彩色が非常に少なくなり、セピアな色調がメインになります。
これがストーリー上必要な演出ということであれば納得も行くのですが、最後のポストクレジットシーンまでセピア色のため、イベントシーンの調整まで手が回っていないような印象が残りました。これが今後のアップデートで差し替えられるのかはわかりませんが、チェックしておくポイントかもしれません。
マルチプレイは不安定なうえ、
ハクスラRPGにおけるマルチプレイは、レベリングと宝探しが非常に捗りながら、強大な敵に協力して立ち向かうという楽しい要素が詰まっています。にもかかわらず、今作に置いてはバグやフリーズなどでゲームプレイが阻害されてしまうことが比較的多くなっており、プレイへのモチベーションが下がってしまいがちです。おそらく今作で搭載されたクロスプレイによって独自のゲームサーバーを介しているせいなのか、不安定かつマップ間のロードが長くなりがちなのです。最悪の場合、ロードしたまま固まってしまい、強制的にタイトルへ戻されてしまうことが何度かありました。
マルチプレイではパーティプレイだけではなく、各地のプレイヤーが組み立てた要塞にランダムで訪れることもできるため、マップを攻略していくのがより楽しめるようになっています。しかし、そのマップ移動にバグが起きてしまうリスクが発生するとなると、あまり快適なプレイとはいえません。今後のアップデートで特になくしてほしいバグの一つです。
そして、私が今作で一番不満に思ってしまったのは、シングルプレイとマルチプレイとでキャラクター枠が別に設定されている点です。いままでのシリーズではシングルプレイで育てたキャラクターをマルチプレイにも連れていけたのですが、今作では大幅な仕様変更が行われ、シングルとマルチとのデータ進捗を共有できないようになりました。
要塞についても、シングルとマルチでは別枠のため、シングルで集めた装備や強化した施設を使用することもできません。そのため、事前に友人たちと遊ぶつもりで購入した方、ふらっとマルチプレイを楽しみたい方は最初からマルチプレイでキャラ作成しておくことをおすすめします。
物足りなさこそ否めないが、
気軽に遊べるハクスラRPGとして、ゲーム内容自体はシリーズで培われたノウハウがしっかり活かされ、とても良い出来に仕上がっていると思います。また、気軽さという点ではパッド操作の最適化もされており、ベッドに寝転がりながらダンジョン攻略もできてしまいます。ところどころに見える物足りなさとクリア後にアクセスできるエンドコンテンツの少なさは本当に残念に思いますが、それでもゲームプレイをしているときは自然と時間が経ってしまっているくらい、モンスターを退治し装備品・アイテムのドロップを心待ちにしながら強力なビルドを見つけ出すという楽しみがちゃんと生まれています。
この楽しさをより充実させるために今後のアップデートを期待したくなりますし、エンドコンテンツの拡充やバグ取り、完全なローカライズ対応やイベントシーンの調整等、気になる部分を解消できれば、より深く没頭できるゲームになるでしょう。
(C) 2020 Perfect World Entertainment Inc. All rights reserved. Published by Perfect World Entertainment Inc. Ⓒ 2020 Echtra Games, Inc. All rights reserved. Developed by Echtra Games, Inc. Torchlight and Torchlight III are trademarks, service marks and logos owned by Runic Games, Inc.
●タイトル:トーチライトIII
●ジャンル:ハック&スラッシュRPG
●発売元:Perfect World Entertainment
●開発元:Echtra Games
●プラットフォーム:PC(Steam)、PS4、Xbox One
●発売日:2020年10月20日
●価格:4100円
●必須スペック
OS:Windows 7, 8.1, 10 (64bit)
プロセッサー:クアッドコアのプロセッサー 2.5Ghz以上
メモリー: 4GB
グラフィック: NVIDIA GeForce 470 GTX または AMD Radeon 6870 HD シリーズ
ストレージ: 4GB
●公式サイトURL:https://www.torchlight3.com/
●ダウンロードサイトURL:https://store.steampowered.com/app/1030210/Torchlight_III/
今回ご紹介する「Torchlight」シリーズは、2009年に発売された初作から今作に至るまで実に11年の歴史を持つクォータービューのハック&スラッシュRPGです。ハクスラRPGとしてとても遊びやすく設計されている『Torchlight』は、そのファンタジーテイストでやわらかなビジュアルとユニークなクラス・装備とビルドシステム、気軽に遊べるマルチプレイなどから多くの人気を博しています。
作品ごとに時代は違いますが、どの作品においても一人の無名の兵士となり、魔物に支配・侵略されている地域を進みながら、復活を目論む魔神のもとへ目指すというのがおおまかなストーリーとなっています。今作はもともと『Torchlight Frontiers』として発表されていましたが、のちに『Torchlight III』と名称変更し、シリーズで初めてSteamのアーリーアクセスでの販売形態を取っていました。販売開始当初はバグの多さをはじめ、ゲームプレイにおける数々の点から賛否両論だった模様ですが、昨年の10月に本発売され製品版としてプレイできるようになりました。
今回は製品版として、そしてシリーズ作品としてどう仕上がっているのか評価をすべくレビューすることを決め、1,2とシリーズ作品を遊んできた筆者が今作の評価点・不満点を挙げていきます。
個性的なクラス&レリックシステムを有したキャラクターでエンバー帝国を守ろう
舞台は『Torchlight II』から約百年後の世界、ネザリムと呼ばれる魔界のような場所にいた悪の三姉妹が魔神の復活を目論んでおり、エンバー帝国へと侵攻を続けています。ネザリムのモンスターたちは大陸のモンスターたちと結託して城や街を侵略し続けており、それらを食い止めるためにプレイヤーは一人の兵士として派兵されてくることになります。数々のマップ・ダンジョンを攻略しながらクエストを進め、より強力な装備品を集めて立ちはだかる敵をどんどん倒していくハクスラRPGとなっています。
「Torchlight」シリーズにおいて、プレイヤーが使用できるクラスのなかに個性的なものが含まれているのは今作も変わりません。今回は蒸気を操るロボット兵士クラス「フォージ」。戦闘中にレールを敷いて列車を走らせながら攻撃することができるクラス「レールマスター」。使用時の特徴が異なった光と闇の魔法を使いこなせるクラス「ダスクメイジ」。遠距離攻撃武器の扱いに長け、スピリットも召喚しつつともに戦うことができるクラス「シャープシューター」の4つのなかから選ぶことになります。
また、今作からの新要素として、新たに「レリック」と呼ばれる属性スキルツリーが追加されました。これは5種類の属性ツリーのなかから一つ選べるようになっています。このレリックにより、同じクラスであってもさまざまな組み合わせのビルドが楽しめるようになっています。
ロボット兵士と列車を操る車掌!
特徴的なふたつのクラスをチョイス
今回のレビューではシングルプレイでロボット兵士のフォージと氷のレリック「コールドハート」、マルチプレイで列車使いのレールマスターと雷のレリック「エレクトロード」を選択しました。
フォージは熱と蒸気を巧みに操りながら、強力なスキルを繰り出すクラスです。燃石炭を発射し敵の集団を一網打尽にし、お腹から飛び出すチェストガンの連射、高速で繰り出すパンチ連打など動きもコミカルながら制圧力に長けるものが多いため、今作でより爽快感を得たい方はフォージをおすすめしたいですね。ともに選んだ氷のレリック「コールドハート」は敵モンスターを凍結、束縛させるスキルを中心に、状態異常を発生させるオーラやアイスゴーレムの召喚、広範囲にわたり吹雪かせることで大ダメージを与えるなど敵の動きを制限することに特化されています。
一方、レールマスターはコンパクトな列車を召喚キャラクターとして生成できるクラスです。列車はスキル習得によってさまざまな連結が可能になっており、タレットガン召喚後、自身の足跡を辿るように線路が自動で形成されていきます。
スキルのオン・オフによりその場で自動移動を取りやめて固定砲台のような使い方もできるので、体力の多い敵や大きなボス戦など集中攻撃を行いたいときはうまく場所を誘導していきましょう。こちらのキャラで選択した雷のレリック「エレクトロード」は全体攻撃とダメージ重視のレリックという印象で、ランダムな方向にほとばしる雷をいくつも落としながら、敵をショック状態に陥らせることもできます。確率で周囲の敵に連鎖する電撃を発生させることができるパッシブスキルなど、複数の敵をたくさん巻き込みながら攻撃したい人におすすめです。
レリックはほかにも毒属性の「ベイン」、炎属性の「フレーミング・デストロイヤー」、吸血属性「ブラッドドリンカー」が選択できますし、それぞれが持つスキルも選択時に説明を確認できるので自分の好みに合うものを選びましょう。
今作から追加された要素により、
レア装備を集めるメリットが向上
今作から追加された要素に、プレイヤーが自由にカスタマイズできる領地として、複数の自キャラクターが共有のエリアとして利用できる「要塞」が存在します。これは序盤のクエストを攻略していくうちにアクセス可能になるもので、この要塞内にさまざまな施設を建設・配置していくことでプレイヤーにいくつか恩恵が与えられます。
施設の建設には、マップ中に点在する収集ポイントから手に入る丸太や金属といった素材アイテムが必要になるため、見かけ次第確保しておくと良いでしょう。配置できる施設の中には特別なポイントを消費してスキルのリセットを行えるものや、装備品の能力をそのままに外見のデザインだけを変えるスタイルステーションなどありますが、特に注目したいのは装備品を捧げることによって成長する木です。これは木の成長具合によって、プレイ中に装備品がドロップする確率を恒常的に上げてくれるもので、レアな装備であればあるほど、成長がより早く進みます。
ほかにも、倒したモンスターの種族によって手に入るアイテムを捧げることで防御力・属性耐性・金運など各種パラメータを上げるものもあるので、ある程度攻略を進めたら一度要塞に戻ってみるといいかもしれません。さらにペットの寝床や家具、装備品を飾ることができるマネキンやさまざまなテーマを持った設置物など、要塞をより楽しく美麗に彩るものが多くあるので、自分の秘密基地を作る楽しみもあります。
注意点としては、シングルプレイとマルチプレイとではキャラクタースロットが別枠扱いのため(詳細は後述します)、要塞もそれぞれ別個のものとなります。たとえば、シングルプレイで要塞をしっかりカスタマイズしても、マルチプレイには反映されませんのでご注意ください。
そしてもう一つ、新要素として注目したいものが、レジェンドスキルの付け替え機能です。ハクスラRPGの醍醐味といえば、より強力な装備品を追い求めることといっても過言ではないでしょう。今作はその醍醐味がより充実しており、レアリティを問わず序盤からさまざまな装備品がドロップします。なかでも、最高レアリティ:レジェンドアイテムに付与されている特別な能力は強力なものが多い代わりに、その装備品をつけているときにしか効果は発揮されませんでした。
しかし、今作ではそのレジェンドスキルが装備品の着脱に関わらず、自由に付け替えられるようになっています。キャラクターのレベルが一定数上がるごとに最大3つまで付けることが可能で、手に入れたレジェンド装備のものからどんどん選べるようになっていきます。このシステムによって、より自由なレジェンドスキル効果の組み合わせを実現できるようになり、クラススキルやレリックスキルとの相性も含めビルドを組み上げる楽しみが増えています。
ただ、セットアイテムの効果については残念ながらスキルスロットにつけても代替できないため、しっかりレジェンドアイテムを装備する必要があるので注意してください。
日本語対応表記はあるものの、
ローカライズはいまだに穴あり
今作は日本語対応と商品ページに記載はあるものの、すべての要素に行き渡ってはいません。製品版発売から数多くのアップデートを重ねてきましたが、なかにはシステムUIやプレイ中に手に入る装備品やスキルの説明などが日本語化も含まれていたはずにも関わらず、ムービーシーンや探索中に入手できる資料音声についてはいまだに字幕が表示されていないのです。
たとえば装備品やスキル説明のいくつかが未翻訳、ということであれば「ああ、バグか」くらいの印象で済むのですが、ここまで大幅に字幕が存在していないと、製品版としてどうなのか?という気持ちが生まれてきてしまいます。
……この「製品版としてどうなのか?」という気持ちから、ひとつ記しておきたいことがあります。これは筆者の邪推であると思いたいのですが、ゲームを進めていくうちに、途中から制作体制が変更されているということを感じてしまう箇所がありました。ACT1時点ではイベントシーンで流れるムービーはカラー表示なのですが、ACT2以降、彩色が非常に少なくなり、セピアな色調がメインになります。
これがストーリー上必要な演出ということであれば納得も行くのですが、最後のポストクレジットシーンまでセピア色のため、イベントシーンの調整まで手が回っていないような印象が残りました。これが今後のアップデートで差し替えられるのかはわかりませんが、チェックしておくポイントかもしれません。
マルチプレイは不安定なうえ、
いままでと違う仕様に不満が残る
ハクスラRPGにおけるマルチプレイは、レベリングと宝探しが非常に捗りながら、強大な敵に協力して立ち向かうという楽しい要素が詰まっています。にもかかわらず、今作に置いてはバグやフリーズなどでゲームプレイが阻害されてしまうことが比較的多くなっており、プレイへのモチベーションが下がってしまいがちです。おそらく今作で搭載されたクロスプレイによって独自のゲームサーバーを介しているせいなのか、不安定かつマップ間のロードが長くなりがちなのです。最悪の場合、ロードしたまま固まってしまい、強制的にタイトルへ戻されてしまうことが何度かありました。
マルチプレイではパーティプレイだけではなく、各地のプレイヤーが組み立てた要塞にランダムで訪れることもできるため、マップを攻略していくのがより楽しめるようになっています。しかし、そのマップ移動にバグが起きてしまうリスクが発生するとなると、あまり快適なプレイとはいえません。今後のアップデートで特になくしてほしいバグの一つです。
そして、私が今作で一番不満に思ってしまったのは、シングルプレイとマルチプレイとでキャラクター枠が別に設定されている点です。いままでのシリーズではシングルプレイで育てたキャラクターをマルチプレイにも連れていけたのですが、今作では大幅な仕様変更が行われ、シングルとマルチとのデータ進捗を共有できないようになりました。
要塞についても、シングルとマルチでは別枠のため、シングルで集めた装備や強化した施設を使用することもできません。そのため、事前に友人たちと遊ぶつもりで購入した方、ふらっとマルチプレイを楽しみたい方は最初からマルチプレイでキャラ作成しておくことをおすすめします。
物足りなさこそ否めないが、
ゲームプレイ自体は良く出来ているハクスラRPG
気軽に遊べるハクスラRPGとして、ゲーム内容自体はシリーズで培われたノウハウがしっかり活かされ、とても良い出来に仕上がっていると思います。また、気軽さという点ではパッド操作の最適化もされており、ベッドに寝転がりながらダンジョン攻略もできてしまいます。ところどころに見える物足りなさとクリア後にアクセスできるエンドコンテンツの少なさは本当に残念に思いますが、それでもゲームプレイをしているときは自然と時間が経ってしまっているくらい、モンスターを退治し装備品・アイテムのドロップを心待ちにしながら強力なビルドを見つけ出すという楽しみがちゃんと生まれています。この楽しさをより充実させるために今後のアップデートを期待したくなりますし、エンドコンテンツの拡充やバグ取り、完全なローカライズ対応やイベントシーンの調整等、気になる部分を解消できれば、より深く没頭できるゲームになるでしょう。
(C) 2020 Perfect World Entertainment Inc. All rights reserved. Published by Perfect World Entertainment Inc. Ⓒ 2020 Echtra Games, Inc. All rights reserved. Developed by Echtra Games, Inc. Torchlight and Torchlight III are trademarks, service marks and logos owned by Runic Games, Inc.
●タイトル:トーチライトIII
●ジャンル:ハック&スラッシュRPG
●発売元:Perfect World Entertainment
●開発元:Echtra Games
●プラットフォーム:PC(Steam)、PS4、Xbox One
●発売日:2020年10月20日
●価格:4100円
●必須スペック
OS:Windows 7, 8.1, 10 (64bit)
プロセッサー:クアッドコアのプロセッサー 2.5Ghz以上
メモリー: 4GB
グラフィック: NVIDIA GeForce 470 GTX または AMD Radeon 6870 HD シリーズ
ストレージ: 4GB
●公式サイトURL:https://www.torchlight3.com/
●ダウンロードサイトURL:https://store.steampowered.com/app/1030210/Torchlight_III/
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>
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