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PC版『R-TYPE FINAL 2』レビュー:賛否あるものの横シュー新時代を描く新たなる出発点【オススメPCゲームレビュー】
2021年5月1日にPC版が発売されたグランゼーラ開発・販売の横スクロールシューティングゲーム『R-TYPE FINAL 2』。2019年にクラウドファンディングを実施し幾多の延期を経てリリースされた本作のレビューをお届けする。
初代『R-TYPE』は、アイレムが開発し1987年に初めてアーケードで稼働した人気作だ。フォースによる絶対的な防御はSTGだけでなく、1990年代にブームとなった『ストリートファイターII』で参考にされるほどジャンルを超えた影響力を持っている。前作『R-TYPE FINAL』でシリーズ終結宣言を出して以降の18年ぶりの新作となった本作を、シリーズ最新作しての視点からレビューする。
▲『R-TYPE』
まずフォースという絶対に破壊されない強化ユニットと、主人公機R-9が持つチャージ式の波動砲、1画面に収まらないほど巨大な戦艦、おどろおどろしい生物的な敵などだ。アーケードで展開した以上、インカムの関係から敵配置がそれなりに嫌らしく構成されている。
89年稼働の『II』では、新たに拡散波動砲という2段階チャージと、新レーザーとしてショットガンレーザーとサーチレーザーに加え、追尾ミサイルだけでなく対地ミサイルも実装されるなど、パワーアップバリエーションの増強が図られた。
▲『R-TYPEII』
シリーズが1つ進むごとに何らかの新要素が追加されていると言って良く、ナナオ開発の外伝『R-TYPE LEO』では波動砲とフォースがない代わりにサーチ攻撃できるサイビットが、SFC向けにリリースされた『R-TYPE III』ではそれぞれ特徴を持つラウンド/シャドウ/サイクロンフォースの3種類が実装された。
『R-TYPE DELTA』では、シリーズ初の3D表示になった事に加え、登場機体も3機に増えると共に、ボム的なDOSEシステムも初めて搭載している。2003年当時に最終作と宣言された前作『R-TYPE FINAL』では、101機という膨大な機体数とAI対戦、そしてステージ分岐のギミックが盛り込まれた。101機という機数は当時のシューティングゲームとしても膨大で、アンロック方式は機体の使用時間とそれなりに時間がかかるが確実に解除できるようになっていた。
▲『R-TYPE DELTA』
以降、コンソールやアーケードにおけるシューティング人気が下がってしまったことから、2019年に『R-TYPE FINAL 2』を発表するまでの間、シューティングゲームとしての展開はない。
機体のアンロック方法は前作と異なりステージクリア時に入手できる資源によって解除する。資源を集めるために何度も周回しなければならないのは、コンテンツが不足しがちなゲーム本編リリース当初において煩雑になっている気もするが、前作のように慣れない機体を無理に使わなければならないことを回避出来ているのは非常に嬉しい(難易度の高いステージに挑戦すれば通しでプレイする時での練習にもなる)。
しかしながら、『World of Tanks』や『War Thunder』など同じ機体ツリーを設けたタイトルと同じように、各機体のバリアントの先に開放される機種を確認できないのはもどかしさを感じる。
PC(Steam)版のバージョン1.03で実装されている機体数は55機。現時点で実装数は全体の半分ほどだが(R博物館の数値上では全99機になっている)、未だ実装されていない機体が追加されることを考えると定期的にアップデートを配信して最後まで完走しきって欲しいところだ。
他にも一度通しでゲーム本編をクリアするとタイトル画面とステージ名、そしてステージエディットが可能となる。タイトルは、予め用意された文字プリセットと背景を組み合わせるだけだが、それなりに自由度があり某人気RPGタイトルや人気シューティングの海外版タイトルのように組み合わせられる。
また撮影モードでは、ハンガー内でカスタマイズした愛機と共にキャラクターを配置して記念撮影も可能。他にも、階級章の確認や他のプレイヤーに向けた自己紹介文など設定も可能だ。
一方で本作のPC版はグラフィックの設定項目が少なく、解像度と最大fps設定、垂直同期、そして音量設定以外が変更できるのみだ。Unreal Engine 4を採用しているため描画は美麗だが負担はそれなりに高く、高難易度になると出現する敵数が多くなる事からフレームレートの落ち込みなどが発生してしまう。
全体的な負担を下げるために、テクスチャーやシャドウ、ライティングなど一般的なPCゲームのように、高・中・低の3段階ほどでいいから品質を切り替えられるようにして欲しいところだ(最低設定でNintendo Switch版ぐらいのグラフィック品質に出来ればと思う)。一方で入力に関しては、Xbox Oneなどのゲームパッドの他にHORIのリアルアーケードProなど接続可能で、細かなキー設定も可能だ。
▲PC版においてグラフィックの詳細設定があればプレイ環境はより広まるのだが……
ルート分岐の条件はとてもシンプルで、ステージ5.0で出現する輸送機が落とす4種類(3種類それぞれのルート+ランダム1種類)のクリスタルから1つを選ぶだけだ。前作のように特定の部位を破壊することで次回プレイ時に反映されたりすることはない。
本作の各ステージは、歴代シリーズを彷彿とさせるものが多いが、プレイ感覚で言えば前作『R-TYPE FINAL』をブラッシュアップさせたものに近い。本作が前作の続編であることを示唆する要素は多く、ステージ2.0に先のキートコローニアンが出現することや、前作のステージ「跳躍26次元」を彷彿とさせるステージ6.2にストロバルトボマーが現れること、そして本作でもバイド化してしまう自機が該当する。
前作『FINAL』ではステージ1.0の演出や、ステージ3.0の処理落ちなどゲームプレイの凡長化が目立ったが、本作では前作『FINAL』の持ち味を踏襲しているものの演出も控えめで、プレイヤーの心情を考慮しつつ敵やステージを構成しているのが見て取れる。そのため、前作よりかステージのテンポや緊迫感は良くなっている。
各ステージには多数のギミックが施されているが、敵に倒されて装備を全て失ったときに気付く場合が多い。例えばステージ2.0では、巨大食虫植物グラフロースと羽虫キートとの関係がより明らかとなってくる。
虫の巣であるキートコローニアンから放たれる羽虫キートは、グラフロースの花と波動砲/フォースに反応するため、装備全ロスト状態になってもプレイヤーが波動砲をチャージさえしなければ攻撃されることはない。つまり、その習性を利用し必要な敵だけを順序良く倒すことで突破するという攻略方法の組み立てが重要になる。この攻略方法の組み立て方は、『ダークソウル』などのゲームプレイに近く、コンティニューやステージクリア時には機体を再選択可能で、ステージやチェックポイントに応じた対応策を取れることも含めてだ。
本作のメインコンテンツの一つであるR博物館(R’s Museum)における機体開発は、ゲーム本編のみステージをクリアした時に入手できる資源を使用することで開発できるが、ステージ全体を繰り返し遊ぶ必要があるために食傷感を覚えすい。しかし、それらは敵のパターンや配置が変わった高難易度でのゲームプレイにおいてある程度解決される。高難易度に挑戦するにはそれなりに強い気持ちが必要だが、プレイヤー自身の腕前が上がってくることを実感すると自然と挑戦したくなる。
▲全ての機体が実装されていないため、空きスペースには現在開発中であることを示す文章が記載されている
なぜならR博物館で開発出来る機体はそれなりに世代が別れており、縦軸が機体のバリエーションなら横軸は機体の世代で、横方面に開発が進むと強力なレーザーや波動砲を発射できる機体にアクセス出来るからだ。強力な機体に乗り換えたなら、高難易度で撃破時に装備を全ロストしても比較的楽に復活しやすくなることに繋がる。
加えて、前作においてあまり活躍の機会が無かった機体が強化され、ステージ攻略や復活において有効になったことなど変更点も多い(例えば、テンタクルフォースは1段階目でも自律攻撃するようになっている)。つまり、ゲームプレイを続ければ続けるほど強力な機体が手に入り、高難易度へ挑戦しやすくなるのだ。
また、シリーズ過去作のステージを現代風にリメイク/アレンジした「オマージュステージ」ダウンロードコンテンツは全7ステージ追加されるため、ゲーム本編におけるステージ不足をある程度解消できるのが魅力だ。また、2021年末までの『R-TYPE FINAL 2』のロードマップもグランゼーラのライブストリーミング「グランゼーラの集い2」で発表。今後、多くの機体やステージ分岐の追加も予定され、最終的には『R-TYPE FINAL 3』へとアップデートされるのはこれまでにない展開だ。
本作では、自機の当たり判定が比較的大きく、プレイヤーの肌感覚と合わない事が多くのレビューや感想として指摘されている。実際に筆者自身もそう感じる瞬間が多く、見づらい敵弾や避けられると思っていた敵弾に当たってしまうこと、そして地形に引っかかってミスしてしまうことが多かった。
当たり判定は、前作と本作のゲームプレイ画面を実際に見比べてみると、肌感覚だが前作と大きな差が無いように思える。ここから考えると、本作の当たり判定の大きさは4:3という画面比率かつ低解像度において弾幕STGが主流化する以前では問題の無かった。しかし、前作から18年という歳月を経ていると、解像度も演出方法も変化しているためどうしても前作と同じ大きさだと違和感を覚えてしまう。
▲前作『R-TYPE FINAL』におけるTX-Tエクリプス
▲本作『R-TYPE FINAL 2』におけるTX-Tエクリプス
本作の敵出現数はシリーズを振り返ってみても大量で、特にステージ7.2のバイドシステムαの大群が上下埋め尽くすほど現れることが象徴的だ。敵出現数や敵弾は00年代や10年代の弾幕STGの流れを踏襲しているものの、自機の当たり判定のみが変わらなかったためバランスが取れなかったように思えるのだ。
この大きい当たり判定を意識して最高難易度でも遊ぶことは可能だが、どうにも大きさを意識してしまい気持ち良く操作できないことが最後まで引っかかってしまった。この当たり判定は今後のアップデートで小さく改修されることを望みたい。
18年ぶりのシリーズ最新作として『R-TYPE FINAL 2』を見てみると、ゲームシステムやデザインはところどころ現代のゲームに追従できているものの、一方で過去作から変わらなかった要素が悪目立ちしているゆえに本作の評価を左右していることへ繋がっているとも言えるだろう。
今後のコンテンツの追加と、最新版『FINAL 3』アップデートでどこまで煩雑な部分に手を入れられるかが勝負所だが、『R-TYPE FINAL 2』は美麗なグラフィックと復活パターン構築の面白さから、2021年6月現時点で難点は複数あるもののシューティングゲームファンならプレイしておくべきタイトルだ。
(C)Granzella Inc. Licensed by IREM SOFTWARE ENGINEERING INC
●タイトル:R-TYPE FINAL 2
●ジャンル:横スクロールシューティングゲーム
●発売元:グランゼーラ(PC版はNIS America)
●開発元:グランゼーラ
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Gamesストア、DMM GAMESストア、Microsoftストア)、PlayStation 4、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch
●発売日:2021年4月30日
●価格:6380円
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: デュアルコア AMD もしくは Intel プロセッサー 3.0GHz
メモリー: 4GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 950 もしくは AMD Radeon R9 280
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: クアッドコア AMD もしくは Intel プロセッサー 2.8 GHz
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 もしくは AMD Radeon RX 580
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://rtypefinal2.com/ja/
●ダウンロードサイトURL:Steam / Epic Games ストア / DMM GAMES ストア / Microsoft ストア
初代『R-TYPE』は、アイレムが開発し1987年に初めてアーケードで稼働した人気作だ。フォースによる絶対的な防御はSTGだけでなく、1990年代にブームとなった『ストリートファイターII』で参考にされるほどジャンルを超えた影響力を持っている。前作『R-TYPE FINAL』でシリーズ終結宣言を出して以降の18年ぶりの新作となった本作を、シリーズ最新作しての視点からレビューする。
STGの人気トレンドを取り込んできた『R-TYPE』シリーズ
『R-TYPE FINAL 2』をレビューする前にシリーズの歴史と特徴ここで振り返ってみよう。1987年にアーケードで稼働したアイレム開発の『R-TYPE』は、横スクロールシューティングとして強烈な特徴を持ち揃えていた。▲『R-TYPE』
まずフォースという絶対に破壊されない強化ユニットと、主人公機R-9が持つチャージ式の波動砲、1画面に収まらないほど巨大な戦艦、おどろおどろしい生物的な敵などだ。アーケードで展開した以上、インカムの関係から敵配置がそれなりに嫌らしく構成されている。
89年稼働の『II』では、新たに拡散波動砲という2段階チャージと、新レーザーとしてショットガンレーザーとサーチレーザーに加え、追尾ミサイルだけでなく対地ミサイルも実装されるなど、パワーアップバリエーションの増強が図られた。
▲『R-TYPEII』
シリーズが1つ進むごとに何らかの新要素が追加されていると言って良く、ナナオ開発の外伝『R-TYPE LEO』では波動砲とフォースがない代わりにサーチ攻撃できるサイビットが、SFC向けにリリースされた『R-TYPE III』ではそれぞれ特徴を持つラウンド/シャドウ/サイクロンフォースの3種類が実装された。
『R-TYPE DELTA』では、シリーズ初の3D表示になった事に加え、登場機体も3機に増えると共に、ボム的なDOSEシステムも初めて搭載している。2003年当時に最終作と宣言された前作『R-TYPE FINAL』では、101機という膨大な機体数とAI対戦、そしてステージ分岐のギミックが盛り込まれた。101機という機数は当時のシューティングゲームとしても膨大で、アンロック方式は機体の使用時間とそれなりに時間がかかるが確実に解除できるようになっていた。
▲『R-TYPE DELTA』
以降、コンソールやアーケードにおけるシューティング人気が下がってしまったことから、2019年に『R-TYPE FINAL 2』を発表するまでの間、シューティングゲームとしての展開はない。
着実な進歩を見せる『R-TYPE FINAL 2』のゲームシステム
『R-TYPE FINAL 2』のゲームシステムは、AI対戦が無いことを除けば基本的に前作の『R-TYPE FINAL』を踏襲している。機体のカスタマイズは、機体とキャノピーのカラー変更だけでなく、機体に対してのデカール貼り付けも可能だ。機体のアンロック方法は前作と異なりステージクリア時に入手できる資源によって解除する。資源を集めるために何度も周回しなければならないのは、コンテンツが不足しがちなゲーム本編リリース当初において煩雑になっている気もするが、前作のように慣れない機体を無理に使わなければならないことを回避出来ているのは非常に嬉しい(難易度の高いステージに挑戦すれば通しでプレイする時での練習にもなる)。
しかしながら、『World of Tanks』や『War Thunder』など同じ機体ツリーを設けたタイトルと同じように、各機体のバリアントの先に開放される機種を確認できないのはもどかしさを感じる。
PC(Steam)版のバージョン1.03で実装されている機体数は55機。現時点で実装数は全体の半分ほどだが(R博物館の数値上では全99機になっている)、未だ実装されていない機体が追加されることを考えると定期的にアップデートを配信して最後まで完走しきって欲しいところだ。
他にも一度通しでゲーム本編をクリアするとタイトル画面とステージ名、そしてステージエディットが可能となる。タイトルは、予め用意された文字プリセットと背景を組み合わせるだけだが、それなりに自由度があり某人気RPGタイトルや人気シューティングの海外版タイトルのように組み合わせられる。
また撮影モードでは、ハンガー内でカスタマイズした愛機と共にキャラクターを配置して記念撮影も可能。他にも、階級章の確認や他のプレイヤーに向けた自己紹介文など設定も可能だ。
一方で本作のPC版はグラフィックの設定項目が少なく、解像度と最大fps設定、垂直同期、そして音量設定以外が変更できるのみだ。Unreal Engine 4を採用しているため描画は美麗だが負担はそれなりに高く、高難易度になると出現する敵数が多くなる事からフレームレートの落ち込みなどが発生してしまう。
全体的な負担を下げるために、テクスチャーやシャドウ、ライティングなど一般的なPCゲームのように、高・中・低の3段階ほどでいいから品質を切り替えられるようにして欲しいところだ(最低設定でNintendo Switch版ぐらいのグラフィック品質に出来ればと思う)。一方で入力に関しては、Xbox Oneなどのゲームパッドの他にHORIのリアルアーケードProなど接続可能で、細かなキー設定も可能だ。
▲PC版においてグラフィックの詳細設定があればプレイ環境はより広まるのだが……
前作『R-TYPE FINAL』の続編としての『R-TYPE FINAL 2』
『R-TYPE FINAL 2』は、シリーズ最新作であるが基本的なシステムに違いは多く無い。フォースは3段階でパワーアップするし、敵弾などでゲージが蓄積するDOSEシステムも搭載している。ステージは全部で7つだが、分岐として6.0/7.0と6.1/7.1、そして6.2/7.2のそれぞれ3ルートが存在する。ルート分岐の条件はとてもシンプルで、ステージ5.0で出現する輸送機が落とす4種類(3種類それぞれのルート+ランダム1種類)のクリスタルから1つを選ぶだけだ。前作のように特定の部位を破壊することで次回プレイ時に反映されたりすることはない。
本作の各ステージは、歴代シリーズを彷彿とさせるものが多いが、プレイ感覚で言えば前作『R-TYPE FINAL』をブラッシュアップさせたものに近い。本作が前作の続編であることを示唆する要素は多く、ステージ2.0に先のキートコローニアンが出現することや、前作のステージ「跳躍26次元」を彷彿とさせるステージ6.2にストロバルトボマーが現れること、そして本作でもバイド化してしまう自機が該当する。
前作『FINAL』ではステージ1.0の演出や、ステージ3.0の処理落ちなどゲームプレイの凡長化が目立ったが、本作では前作『FINAL』の持ち味を踏襲しているものの演出も控えめで、プレイヤーの心情を考慮しつつ敵やステージを構成しているのが見て取れる。そのため、前作よりかステージのテンポや緊迫感は良くなっている。
各ステージには多数のギミックが施されているが、敵に倒されて装備を全て失ったときに気付く場合が多い。例えばステージ2.0では、巨大食虫植物グラフロースと羽虫キートとの関係がより明らかとなってくる。
虫の巣であるキートコローニアンから放たれる羽虫キートは、グラフロースの花と波動砲/フォースに反応するため、装備全ロスト状態になってもプレイヤーが波動砲をチャージさえしなければ攻撃されることはない。つまり、その習性を利用し必要な敵だけを順序良く倒すことで突破するという攻略方法の組み立てが重要になる。この攻略方法の組み立て方は、『ダークソウル』などのゲームプレイに近く、コンティニューやステージクリア時には機体を再選択可能で、ステージやチェックポイントに応じた対応策を取れることも含めてだ。
本作のメインコンテンツの一つであるR博物館(R’s Museum)における機体開発は、ゲーム本編のみステージをクリアした時に入手できる資源を使用することで開発できるが、ステージ全体を繰り返し遊ぶ必要があるために食傷感を覚えすい。しかし、それらは敵のパターンや配置が変わった高難易度でのゲームプレイにおいてある程度解決される。高難易度に挑戦するにはそれなりに強い気持ちが必要だが、プレイヤー自身の腕前が上がってくることを実感すると自然と挑戦したくなる。
▲全ての機体が実装されていないため、空きスペースには現在開発中であることを示す文章が記載されている
なぜならR博物館で開発出来る機体はそれなりに世代が別れており、縦軸が機体のバリエーションなら横軸は機体の世代で、横方面に開発が進むと強力なレーザーや波動砲を発射できる機体にアクセス出来るからだ。強力な機体に乗り換えたなら、高難易度で撃破時に装備を全ロストしても比較的楽に復活しやすくなることに繋がる。
加えて、前作においてあまり活躍の機会が無かった機体が強化され、ステージ攻略や復活において有効になったことなど変更点も多い(例えば、テンタクルフォースは1段階目でも自律攻撃するようになっている)。つまり、ゲームプレイを続ければ続けるほど強力な機体が手に入り、高難易度へ挑戦しやすくなるのだ。
また、シリーズ過去作のステージを現代風にリメイク/アレンジした「オマージュステージ」ダウンロードコンテンツは全7ステージ追加されるため、ゲーム本編におけるステージ不足をある程度解消できるのが魅力だ。また、2021年末までの『R-TYPE FINAL 2』のロードマップもグランゼーラのライブストリーミング「グランゼーラの集い2」で発表。今後、多くの機体やステージ分岐の追加も予定され、最終的には『R-TYPE FINAL 3』へとアップデートされるのはこれまでにない展開だ。
本作では、自機の当たり判定が比較的大きく、プレイヤーの肌感覚と合わない事が多くのレビューや感想として指摘されている。実際に筆者自身もそう感じる瞬間が多く、見づらい敵弾や避けられると思っていた敵弾に当たってしまうこと、そして地形に引っかかってミスしてしまうことが多かった。
当たり判定は、前作と本作のゲームプレイ画面を実際に見比べてみると、肌感覚だが前作と大きな差が無いように思える。ここから考えると、本作の当たり判定の大きさは4:3という画面比率かつ低解像度において弾幕STGが主流化する以前では問題の無かった。しかし、前作から18年という歳月を経ていると、解像度も演出方法も変化しているためどうしても前作と同じ大きさだと違和感を覚えてしまう。
▲前作『R-TYPE FINAL』におけるTX-Tエクリプス
▲本作『R-TYPE FINAL 2』におけるTX-Tエクリプス
本作の敵出現数はシリーズを振り返ってみても大量で、特にステージ7.2のバイドシステムαの大群が上下埋め尽くすほど現れることが象徴的だ。敵出現数や敵弾は00年代や10年代の弾幕STGの流れを踏襲しているものの、自機の当たり判定のみが変わらなかったためバランスが取れなかったように思えるのだ。
この大きい当たり判定を意識して最高難易度でも遊ぶことは可能だが、どうにも大きさを意識してしまい気持ち良く操作できないことが最後まで引っかかってしまった。この当たり判定は今後のアップデートで小さく改修されることを望みたい。
さらなる『R-TYPE』の新作がリリースされることを願って
『R-TYPE FINAL 2』は、リリース後に公開された各種レビューで指摘されている通り調整不足気味であるが、何度も挑戦したくなる面白さに溢れている。『R-TYPE』シリーズは『R-TYPE III』以降全てコンソール向けにリリースされてきたことから、アーケードSTGという存在を脇目に見つつ、時間がかかったもののようやく『R-TYPE FINAL 2』でPC/コンソールでリリースされるSTGとして成り立ったようにも思える。しかしながら、PC版についてはグラフィックの詳細設定がないなど足りないところも多い。18年ぶりのシリーズ最新作として『R-TYPE FINAL 2』を見てみると、ゲームシステムやデザインはところどころ現代のゲームに追従できているものの、一方で過去作から変わらなかった要素が悪目立ちしているゆえに本作の評価を左右していることへ繋がっているとも言えるだろう。
今後のコンテンツの追加と、最新版『FINAL 3』アップデートでどこまで煩雑な部分に手を入れられるかが勝負所だが、『R-TYPE FINAL 2』は美麗なグラフィックと復活パターン構築の面白さから、2021年6月現時点で難点は複数あるもののシューティングゲームファンならプレイしておくべきタイトルだ。
(C)Granzella Inc. Licensed by IREM SOFTWARE ENGINEERING INC
●タイトル:R-TYPE FINAL 2
●ジャンル:横スクロールシューティングゲーム
●発売元:グランゼーラ(PC版はNIS America)
●開発元:グランゼーラ
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Gamesストア、DMM GAMESストア、Microsoftストア)、PlayStation 4、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch
●発売日:2021年4月30日
●価格:6380円
●必須スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: デュアルコア AMD もしくは Intel プロセッサー 3.0GHz
メモリー: 4GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 950 もしくは AMD Radeon R9 280
ストレージ: 10GB
●推奨スペック
OS: Windows 7 64bit
プロセッサー: クアッドコア AMD もしくは Intel プロセッサー 2.8 GHz
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 もしくは AMD Radeon RX 580
ストレージ: 10GB
●公式サイトURL:https://rtypefinal2.com/ja/
●ダウンロードサイトURL:Steam / Epic Games ストア / DMM GAMES ストア / Microsoft ストア
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