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『Roguebook』レビュー:『マジック:ザ・ギャザリング』作者が放つローグライクとカードの融合! 運任せに何度もやり直すゲームデザインをどう楽しむか……!?

ようこそ「フェアリア」の世界へ。ひょっとしたらあなたはすでに『Faeria』でこの世界にやってきたことがあるかもしれない。

それはともかくこの世界には「Roguebook」という1冊の呪われた書物がある。“本書”は囚われる者を釘付けに、それも少なく見積もって20時間以上はその場にとどまらせる魔性の書物だ。抜け出すためには数々の智略、戦略が必要となってくる。

▲この作品世界は「フェアリア」と呼ばれており、Rouguebookはその世界に登場する呪われた書物という位置づけである

本作は2021年6月17日にリリースされた「デッキ構築型ローグライクゲーム」と銘打たれた作品で、『Slay the Spire』などに代表される昨今の人気ジャンルのひとつ。トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』の作者でもあるRichard Garfield氏が開発に関わっており、未知なるマップを探求していく雰囲気は、より「ローグライク」と言える。

具体的にはヘックスデザインのマップを持ち、未踏の地はそこに何があるのか見えないので、筆とインクというリソースを使って可視化および移動可能にして探索する。本のページを塗っていき見えないものをあらわしていく。探索はローグライク要素として、戦闘はカードデッキを構築したもので行うことから、「デッキ構築型ローグライクゲーム」と銘打たれている。

なお、本稿はゲームバージョン1.4.9で執筆した点に留意いただきたい。

『Rouguebook』のポイント
  • ゲーム中にカードをゲットし、自分のデッキを強く構築する楽しさ
  • 何度も最初からやり直しながらも少しずつ先に進めるようになる成長要素
  • ヘックスデザインのマップを筆やインクで解放していく独特な探索


探索でさえ戦略的で複雑なメカニクス


▲戦闘は2人のヒーローで行う

探索過程でシンボルエンカウントの戦闘が入り、2人のヒーローを操っていく。カードデッキからランダムドローされる攻撃タイプと防御タイプ、特殊タイプのカードを使い分けて、敵のHPを0まで減らせば勝ち、というもの。

戦闘においては前列後列の概念があり、前列がダメージを受けることになる。防御力は2人共用のポイントとなっており、敵の攻撃力以上の防御力になっていればダメージを負わない。カード効果によって前後列のポジションを入れ替えて攻撃するなどもできる。

こうして最終目的は各章のボスと戦って勝つこと、となっている。

本作においてどうやってカードのデッキを構築するかというと、探索で宝箱を見つければ3種のランダムなカードを提示されるので、そこから1枚選びデッキのカードを増やす。また通貨の概念があり、マップに散らばっている通貨を集めてショップでカードを買う、という方法もある(かなり割高だが)。

▲カードはおもに宝箱から得る。これはランダムとなっている

そして探索は無限に行えるわけではない。前述したとおり筆とインクというリソースを使ってマップを開拓しなければならず、これらは戦闘していくことで得ることができる。

▲画面下部中央にあるのが「筆」、その右隣のアイコンが「インク」だ

戦闘をするとHPが減る確率が高く、戦闘後のHP回復はマップのどこかにあるポーションを使う必要がある。万全な状態でボスに挑むためにはデッキ構築が重要なのでカードを増やしたいところだが、HPが減った状態で挑まざるを得ない可能性がある。

ボスは強敵で、このバランスは非常に悩ましくプレイヤーの取れる戦略の幅として機能している。探索にさえ戦略があるのだ。この点も緻密に計算されていて楽しく頭を悩ませてくれる点は好印象だ。

デッキを使う戦闘は運の要素も強く
魅力にも欠点にもなる

戦闘においてデッキ構築が重要だと書いたが、初期のデッキには攻撃と防御ぐらいしか用意されていない。探索で手に入れるカードの何を得られるかという運の比重は大きい。そして本作は繰り返しゲームオーバーになる。ローグライクなので、その度に「途中からやり直しではなく最初の第1章からプレイ再開」になり、デッキもほぼ初期化される。

ただ、一部の要素等を引き継いでプレイすることができる仕組みが用意されている。一度のゲームプレイで戦闘や探索を行えば行うほどゲームオーバー時に経験値のようなものが割り振られ、レベルが上がれば初期デッキが増える。またRouguebookのマップには「ページ」がそこかしこに落ちていて、これを所定数集めればスキルツリーのようにアンロックさせていくことができる。繰り返し遊べばそれだけエンディングに辿り着きやすくなる……というわけだが、しかし重ねていうが運の要素は強い。

▲「ページ」を使って引き継ぎ要素を強化

▲ヒーローごとに特色がある

具体的に戦闘では何を行うかというと、1ターンごとに出せるカードは持っているポイント(通常は最大3ポイント)からカードに割り振られたコストを支払って出す、という伝統的なカードゲームと同じ仕組みだ。例を挙げると、コスト1の攻撃2回に防御1回、といった風になる。

攻撃と防御のカードに加えて、特殊な枠となる「味方カード」が本作では特筆すべき強力なカードで、攻撃カードを使わなくてもターンエンド時に加えている味方が攻撃を与えてくれる。防御に徹さなければいけないときでも攻撃をしてくれるので重要度は高い。このカードを1ゲームでどれだけ得られるかが勝敗に強く関わってくると言ってもいいだろう。味方カードを得られたときの喜びは大きい反面、まるで得られない時には憂鬱な気持ちになってくる。ボスに挑んでも負けそうだと思ってしまうからだ。

このバランスは攻撃カードの種類とダメージの数値をより増やして調整してもよいように感じられる。味方カードを出すだけ出して、あとは配られた(ランダムゆえ配られない可能性もあるが)防御カードに頼るという戦法が安パイになってしまうからだ。

▲味方カードのコストは基本的に2で余裕がある

しかしこの運の要素こそ本作を「ローグライク」と言わせているようにも思わせられるし、1回ゲームオーバーになると最初からやり直しになる点もその通りだ。もしも飲み込みづらいと思うのなら、それは本作をカードゲームとして強く意識するときになる。戦略を運も見越して練らねばならず、その場で機転を利かせていくことになるが、引きが悪いときは負けを見越すことになるしあまり楽しめない。

このバランスの評価は非常に悩ましいが、あくまでローグライクとして勝てたり死んだりやり直すことを念頭に置いてプレイしていけばきっと楽しめるはずだ。

▲エピローグから本番といえるかもしれない

また、本作の懐の深さは全3章からなるプレイを終えてもまだニューゲームプラスのようなものが用意されていて楽しめる点にある。それぞれ不利となるデバフを選んでプレイすることで、『Rouguebook』からの真の解放が得られるデザインだ。ひたすら黙々とプレイしていたいプレイヤーにはうってつけのタイトルだろう。この夏の課題図書として“本書”は挑むべき価値はある。

(C)2021 Nacon and Abrakam Entertainment SA. (C)2021 Published by Nacon and developed by Abrakam Entertainment SA.

●タイトル:Rougebook
●ジャンル:デッキ構築型ローグライクカードゲーム
●発売元:Nacon
●開発元:Abrakam Entertainment SA
●プラットフォーム:PC(Steam
●発売日:2021年6月17日
●価格:2570円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 7
プロセッサー: Intel Core i5-650 または AMD Phenom II X4 965
メモリー: 6GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 650 / 1GB または AMD Radeon HD HD 6950 / 2GB
ストレージ: 3GB
●推奨スペック
OS: Windows 10
プロセッサー: Intel Core i5-2300 または AMD FX-6300
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 660 / 2GB または AMD Radeon HD 7970 / 3GB
ストレージ: 3GB
●公式サイトURL:https://roguebook.net/ja-JP/
●ダウンロードサイトURL:
https://store.steampowered.com/app/1076200/Roguebook/

【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

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