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『Myst』Steam版レビュー:良質な「謎」の脱出ゲームをプレイしているような、名作ADVリメイク!
2021年8月27日に『Myst』がSteamやXbox向けにリリースされた。このタイトルに、聞き覚えのある方も少なからずいらっしゃるだろう。今作は1993年に発売された同名タイトルのリメイク版となる。本作のゲーム内容や設定は1993年に発売された内容そのままなので、まずは初代『Myst』についての説明をしつつ、今回のリメイク版『Myst』についてじっくり解説・レビューしていきたいと思う。
『Myst』のポイント
▲「MYST」と書かれた本を拾い、開くところから始まるオープニング。自分が誰なのか。何をすればいいのかなどは一切語られない
▲オープニング終了後、プレイヤーの操作を受け付け始める初期画面がここ。1993年に発売されたMac版でも画面構成は同じ
当時「アドベンチャーゲーム」というジャンルは珍しくはなかったが、『Myst』がズバ抜けていたのはグラフィック面。当時のパソコンはまだグラフィック性能が貧弱だったため、リアルタイムで美麗な3DCGを描くには性能が不足していた。そこで『Myst』は作り込んだCGを1枚絵として表示させる方式で、当時のPCでも美麗な画面でプレイできるゲームを実現した。
世界的大ヒットとなった『Myst』はその後、セガサターンやPlayStation、3DO、Atari Jaguarなど、当時のゲーム機へ次々と移植されたばかりか、続編もナンバリングだけで4作、さらにはスピンアウトタイトルも作られた。
今回、新たに発売されたリメイク版『Myst』は、当時に較べてPCスペックが進化しているため、グラフィックの描画をUnreal Engineによりリアルタイムで行うように変更。しかし、それ以外の要素はほとんど変更せず、初代『Myst』の世界を味わえるようにしている。
▲スタート地点から右を見ると、船が沈んでいるのがわかる。1993年版では静止画だったが、リメイク版では水面がリアルタイムに揺れているなど、表現面が大きく進化した
新しいヒントを見つけて
『Myst』が大ヒットした理由は、グラフィック面だけではない。ゲーム内にはまざまさま「謎」が存在し、これを悩み、考え、解いていくプロセスこそ、このゲーム最大の魅力と言っても過言ではない。
アドベンチャーゲームの謎は、難しいほどゲームのプレイ時間を引き伸ばせるため、「簡単にはクリアさせない」謎を設定している作品もある。筆者の経験では、どうしても謎がわからず、回答を見て「そんなの、わかるわけない」と不満を漏らしたことも何度かあった。しかし『Myst』の中に登場する謎は違う。
このゲームでは最初、「フィールド内を捜索中にボタンやスイッチを発見し、操作したら扉が開いた」という経験をする。中に入ってみると操作パネルがあり、こちらの操作で数値を変更できることがわかる。でも、どんな数を設定していいのかわからず、悶々とした気持ちのまま部屋を出る。こんな経験を何度もすることになる。
▲何の説明もなく表示される操作パネル。一番下の4桁は左2桁が0~23、右2桁は0~59が入力できるので、何らかの時刻を入力するものだというところまではわかった
▲手前のレバーを動かすと、向こう側に見える時計台の時刻が動かせる。でも、何時に合わせればいいのか最初はわからない
そんなとき、たまたま入った建物の壁に表示されている金色のパネルを発見。そこには、「7,2,4」という3つの数字が書いてあった。これは3桁の数字なのか、それとも3回入力するタイプの数値なのかはわからないが、とりあえずコレをメモしつつ先に進んでみる。
なお、こうしたヒントはもちろんのこと、「今はわからないけど、後で考えたい」パズルなどがあった場合、簡単にスクリーンショットを保存し、写真アルバムからその写真を確認する機能がある。キーボード+マウスで操作する場合、Spaceバーを押すだけで撮影でき、ESCキーを押すと撮影した写真の一覧を表示できるため、積極的に使いたい。
▲建物の2階に上がると、鍵マークと共に「7,2,4」という数字が表示されていた。この3桁の数字は、どこで使うヒントなのだろうか?
▲撮影した写真の一覧。謎を解き終わり、不要になった写真は消すこともできるので、使い勝手は良好
▲ボイラーがある部屋に入ったら、3桁の数字を入力する金庫のようなものがあった。まさか、さきほど知った3桁の数字を入力したら……?
このゲームを解く楽しみは、ヒントを見つけて入力するだけでなく、さらにパズルを解くような場面もたくさんある。そこでこのゲームでは、過去にクリアしたことがある人でももう一度楽しめるようにと、パズル部分の解法をランダム化するオプションが用意されている。
▲クリア経験がある人向けの新設定。「ランダム」を選ぶとパズルの解法が変化するため、以前の回答が通用しなくなる
ところが『Myst』にはそんな謎は存在しない。すべての謎には必ずヒントがあり、納得感のある解法がある。簡単すぎず、難しすぎず、謎の中でも良質な謎ばかりを揃えた珠玉のソフトというのが筆者の評価である。
▲自転車のチェーンロックのようなギミックのパズルに遭遇。このパズルを解くためには、手元に紙と鉛筆を用意しないといけなさそう
それに加えて本作では、ゲームオーバーという概念がない。謎を解くための操作をしても「正解」はあっても「失敗」がないため、気軽にいろんな可能性を試せる。崖から足を滑らせて海に落ちることもないため、進めるところはグイグイ進んでいけばいい。その先に、悩んでいる最中の謎のうち、どれかの回答が隠されているかもしれないからだ。
当時を知る人も知らない人も、アドベンチャーゲームの歴史を語るうえで外すことができない1本なので、ぜひ体験してみてほしい。
▲細い足場を進むのに、恐れることはない。謎がわからなくて進めなくなることはあっても、ゲームオーバーになることはない
(C) 1993, 2021 Cyan Worlds, Inc., All rights reserved. Myst is a registered trademark of Cyan Worlds, Inc.
●タイトル:Myst
●ジャンル:アドベンチャーゲーム
●発売元:Cyan Worlds Inc
●開発元:Cyan Worlds Inc
●プラットフォーム:Steam、XBOX SERIES X|S
●発売日:2021年8月27日
●価格:Steam、Epic Games 3090円[税込] 、Microsoftストア 3500円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core i3-6100 または AMD Ryzen 3 1200, FX4350
メモリー:8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti または AMD Radeon RX 570
ストレージ:20GB
対応VRゴーグル:Valve Index、HTC Vive、Oculus ※Microsoftストア版はVR非対応
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core i5-4590 または AMD Ryzen 5 1500X
メモリー:16GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon Vega 56
DirectX: Version 12
ストレージ:20GB
対応VRゴーグル:Valve Index、HTC Vive、Oculus ※Microsoftストア版はVR非対応
●公式サイトURL:https://cyan.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1255560/Myst/
Epic Gamesストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/myst
Microsoftストア https://www.microsoft.com/ja-jp/p/myst/9p6pqlfp9bn0#activetab=pivot:overviewtab
『Myst』のポイント
- 次々と出現する謎と、それぞれに対応したヒント。解けたときの「!」体験
- 絶対にゲームオーバーにならないという安心感
- VRゴーグルを接続すればVRモードでも動作可能
▲「MYST」と書かれた本を拾い、開くところから始まるオープニング。自分が誰なのか。何をすればいいのかなどは一切語られない
1993年の名作を、最新技術で2021年に蘇らせる
初代『Myst』が発売されたのは1993年。最初はMac用として発売され、すぐにWindowsへ移植された。それぞれのOSバージョンは漢字Talk 7.1.xと、Windows 3.x。ゲーム内容は、マウスでカーソルを動かしてクリックするという操作だけで謎を解いていくというアドベンチャーゲームだ。▲オープニング終了後、プレイヤーの操作を受け付け始める初期画面がここ。1993年に発売されたMac版でも画面構成は同じ
当時「アドベンチャーゲーム」というジャンルは珍しくはなかったが、『Myst』がズバ抜けていたのはグラフィック面。当時のパソコンはまだグラフィック性能が貧弱だったため、リアルタイムで美麗な3DCGを描くには性能が不足していた。そこで『Myst』は作り込んだCGを1枚絵として表示させる方式で、当時のPCでも美麗な画面でプレイできるゲームを実現した。
世界的大ヒットとなった『Myst』はその後、セガサターンやPlayStation、3DO、Atari Jaguarなど、当時のゲーム機へ次々と移植されたばかりか、続編もナンバリングだけで4作、さらにはスピンアウトタイトルも作られた。
今回、新たに発売されたリメイク版『Myst』は、当時に較べてPCスペックが進化しているため、グラフィックの描画をUnreal Engineによりリアルタイムで行うように変更。しかし、それ以外の要素はほとんど変更せず、初代『Myst』の世界を味わえるようにしている。
▲スタート地点から右を見ると、船が沈んでいるのがわかる。1993年版では静止画だったが、リメイク版では水面がリアルタイムに揺れているなど、表現面が大きく進化した
新しいヒントを見つけて
「あそこで使う…?」と考えているときが幸せ
『Myst』が大ヒットした理由は、グラフィック面だけではない。ゲーム内にはまざまさま「謎」が存在し、これを悩み、考え、解いていくプロセスこそ、このゲーム最大の魅力と言っても過言ではない。アドベンチャーゲームの謎は、難しいほどゲームのプレイ時間を引き伸ばせるため、「簡単にはクリアさせない」謎を設定している作品もある。筆者の経験では、どうしても謎がわからず、回答を見て「そんなの、わかるわけない」と不満を漏らしたことも何度かあった。しかし『Myst』の中に登場する謎は違う。
このゲームでは最初、「フィールド内を捜索中にボタンやスイッチを発見し、操作したら扉が開いた」という経験をする。中に入ってみると操作パネルがあり、こちらの操作で数値を変更できることがわかる。でも、どんな数を設定していいのかわからず、悶々とした気持ちのまま部屋を出る。こんな経験を何度もすることになる。
▲何の説明もなく表示される操作パネル。一番下の4桁は左2桁が0~23、右2桁は0~59が入力できるので、何らかの時刻を入力するものだというところまではわかった
▲手前のレバーを動かすと、向こう側に見える時計台の時刻が動かせる。でも、何時に合わせればいいのか最初はわからない
そんなとき、たまたま入った建物の壁に表示されている金色のパネルを発見。そこには、「7,2,4」という3つの数字が書いてあった。これは3桁の数字なのか、それとも3回入力するタイプの数値なのかはわからないが、とりあえずコレをメモしつつ先に進んでみる。
なお、こうしたヒントはもちろんのこと、「今はわからないけど、後で考えたい」パズルなどがあった場合、簡単にスクリーンショットを保存し、写真アルバムからその写真を確認する機能がある。キーボード+マウスで操作する場合、Spaceバーを押すだけで撮影でき、ESCキーを押すと撮影した写真の一覧を表示できるため、積極的に使いたい。
▲建物の2階に上がると、鍵マークと共に「7,2,4」という数字が表示されていた。この3桁の数字は、どこで使うヒントなのだろうか?
▲撮影した写真の一覧。謎を解き終わり、不要になった写真は消すこともできるので、使い勝手は良好
▲ボイラーがある部屋に入ったら、3桁の数字を入力する金庫のようなものがあった。まさか、さきほど知った3桁の数字を入力したら……?
クリア経験がある人も、もう一度チャレンジしたくなるオプション設定
これだけ大ヒットしたタイトルなので、過去にプレイしたことがあるプレイヤーは少なからずいるはずだ。もちろん、28年前のゲームソフトなので回答どころか、どんな謎があったかしらも覚えていない人は多いだろうが、そんな人でも新たに楽しめる仕掛けが用意されている。それは「パズルのランダム化」モードだ。このゲームを解く楽しみは、ヒントを見つけて入力するだけでなく、さらにパズルを解くような場面もたくさんある。そこでこのゲームでは、過去にクリアしたことがある人でももう一度楽しめるようにと、パズル部分の解法をランダム化するオプションが用意されている。
▲クリア経験がある人向けの新設定。「ランダム」を選ぶとパズルの解法が変化するため、以前の回答が通用しなくなる
良質な「謎」と、ゆっくりじっくり向き合える
このゲームの謎を解き進めていくうち、かつて体験した何かの経験に近い感情を持っていることに気がついた。それは「リアル脱出ゲーム」だ。リアル脱出ゲームは、主催者から配られた資料やフィールド内にあるヒントを組み合わせて考え、先へ進むためのアイテムを探すという流れだ。ただ、リアル脱出ゲームで解く謎の中には不条理な解法の問題があったり時間制限もあったりで、脱出に失敗した経験も少なくはない。ところが『Myst』にはそんな謎は存在しない。すべての謎には必ずヒントがあり、納得感のある解法がある。簡単すぎず、難しすぎず、謎の中でも良質な謎ばかりを揃えた珠玉のソフトというのが筆者の評価である。
▲自転車のチェーンロックのようなギミックのパズルに遭遇。このパズルを解くためには、手元に紙と鉛筆を用意しないといけなさそう
それに加えて本作では、ゲームオーバーという概念がない。謎を解くための操作をしても「正解」はあっても「失敗」がないため、気軽にいろんな可能性を試せる。崖から足を滑らせて海に落ちることもないため、進めるところはグイグイ進んでいけばいい。その先に、悩んでいる最中の謎のうち、どれかの回答が隠されているかもしれないからだ。
当時を知る人も知らない人も、アドベンチャーゲームの歴史を語るうえで外すことができない1本なので、ぜひ体験してみてほしい。
▲細い足場を進むのに、恐れることはない。謎がわからなくて進めなくなることはあっても、ゲームオーバーになることはない
(C) 1993, 2021 Cyan Worlds, Inc., All rights reserved. Myst is a registered trademark of Cyan Worlds, Inc.
●タイトル:Myst
●ジャンル:アドベンチャーゲーム
●発売元:Cyan Worlds Inc
●開発元:Cyan Worlds Inc
●プラットフォーム:Steam、XBOX SERIES X|S
●発売日:2021年8月27日
●価格:Steam、Epic Games 3090円[税込] 、Microsoftストア 3500円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core i3-6100 または AMD Ryzen 3 1200, FX4350
メモリー:8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti または AMD Radeon RX 570
ストレージ:20GB
対応VRゴーグル:Valve Index、HTC Vive、Oculus ※Microsoftストア版はVR非対応
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core i5-4590 または AMD Ryzen 5 1500X
メモリー:16GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon Vega 56
DirectX: Version 12
ストレージ:20GB
対応VRゴーグル:Valve Index、HTC Vive、Oculus ※Microsoftストア版はVR非対応
●公式サイトURL:https://cyan.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1255560/Myst/
Epic Gamesストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/myst
Microsoftストア https://www.microsoft.com/ja-jp/p/myst/9p6pqlfp9bn0#activetab=pivot:overviewtab
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