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『バランワンダーワールド』レビュー! どんなアクションゲームにも似てないオンリーワンなタイトル【オススメPCゲームレビューゲームレビュー】
2021年リリースの注目PCゲームをご紹介する連載「Alienware Zone的おすすめPCゲームレビュー」。今回は、スクウェア・エニックスが新たに作ったアクションゲーム『バランワンダーワールド』だ。
ミュージカル的な演出と、カラフルに彩られたフィールド。そして、独特なデザインのキャラクターたち。そんな世界を冒険するアクションゲームとなっている。
ゲームの内容を過去の他ゲームに例えると……これが似たタイトルが見つからない。ゲーム黎明期から無数に生み出された「アクションゲーム」であっても、似たタイトルが見当たらないというのは、ゲーム好きであるほど、驚かれるに違いない。
では癖のある難解なアクションゲームかといえば、それも違う。ゲーム内ではほとんど文字が表示されず、プレイヤーは画面を見て促されるようにプレイしていくだけでクリアまで導いてくれる。アクションゲームへの慣れも、基礎知識も必要ない。このため、まだ文字を読めない未就学児でもプレイできるだろう。
これほどまでに独自性が強いゲームは、誰が作ったんだろう? そう疑問に思い、スタッフを調べてみて納得した。
本作のディレクターは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の生みの親であり、『NiGHTS into Dreams...』『ファンタシースターオンライン』など数々のゲームを世に送り出した中裕司氏。キャラクターデザインは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『NiGHTS into Dreams...』のデザインを担当した大島直人氏。メガドライブからドリームキャストという1980年代から1990年代に、セガの代表作とも呼べる名作ソフトを作ったドリームコンビが再び手を組んだ作品なのである。そう知ったら、アラフォーゲーマーの期待値は急上昇しているに違いない。
このゲームは開始直後にレオ(男の子)かエマ(女の子)という人間のキャラクターを選び、選んだ方のキャラクターを操作する。「ティムズエリア」と呼ばれる基本フィールドに加えて、悩みを抱えている12人の住民の心象世界に入ってすぐは、移動とジャンプができるだけだ。
心象世界の中に入ると、比較的早い段階で鍵と、施錠されたコスチュームボックスを発見できるはずだ。鍵を持った状態でボックスに触れると、そのコスチュームボックスに入った衣装へと変身できる。プレイヤーが一番最初に挑むことになる第1章「嵐と戦う男」アクト1では、「トルネードウルフ」と呼ばれる衣装を入手できる。名前の通りオオカミのような外観だが、歩いているだけでは人間の姿の時と何も変わらない。
このように、新たな衣装を手に入れた時は、さきほどまでジャンプに使っていたボタンを押してみるといい。
ピヨーン!
トルネードウルフの能力は身体を高速で回転させてジャンプし、トルネードで敵(ネガティ)を攻撃したり、敵がくりだすトルネードをはね返すことができるというもの。人間の姿では歩くこととジャンプすることしかできなかったが、フィールド内の敵を攻撃できるようになったのだ。
トルネードウルフの能力は、ネガティを倒すだけのものではない。フィールド内にある、ヒビの入ったブロックを破壊することもできる。ブロックの中には宝石「ドロップ」が入っていることが多いため、トルネードウルフを手に入れたら、ブロックを積極的に破壊していきたい。
もう少しフィールドを進んでいくと、今度は「ジャンピングジャック」という、カンガルーの衣装を手に入れられる。こちらの能力は、ジャンプしたあともボタンを押し続けると空中で足をばたつかせ、ジャンプの飛距離が伸びるというもの。トルネードウルフでは届かなかった、離れた場所へ飛び移れるようになるが、トルネードウルフのようなトルネードジャンプをすることはできない。
ここで、画面左上に注目してほしい。ここに取得した衣装が表示されている。円形の枠が全部で3つあるのは、衣装は最大で3つまで手元にストックし、逐次切り替えながらプレイするという感じ。
すでにお気づきの方もいらっしゃるだろうが、このゲームのコツは、フィールドの謎を解くなどして各ステージから3種類程度の衣装を入手。その能力を使って、ステージ内に隠されているアイテムを探したり、強敵が出現するステージでは、攻撃重視の衣装をストックし様々な能力でダメージを与えてみたり…というイメージだ。
特にステージ内に隠されている重要アイテム「バランスタチュー」は、一定数集めることが先のステージへ進める条件となっているため、ステージ内はくまなく探索する必要がある。そして探索した結果、「壁の向こう側に見えているあのアイテムを取るためには、●●の能力が必要だ」と気付くことがある。あとは、その能力がどのステージで入手できるかを思い出し、衣装を手に入れてから再び挑む、というのがゲーム全体の進行だ。
衣装のバリエーションは、実に80種類以上!
衣装が80種類以上もあると聞いて「そんなにたくさんの能力がどこにあったのかなんて、覚えているのが大変そう」と、不安になった人もいるだろう。だが、衣装の中には、エラスティプラントが持つ「身体を伸ばして高所にあるアイテムを入手できる」能力は、ダブルジャンパー のジャンプ能力を使えばいいなど、代用できる能力も少なくない。
ある場所に置かれたアイテムを取るための専用衣装を探すのではなく、「これを取るためには、●●系の能力が必要になる」と、過去に入手した衣装の中から、どの能力が適していたかを思い出せれば問題ない。
困った時に攻略サイトを検索するのではなく、自分で考え、試し、成功できれば、それはプレイヤー自身の喜びとなる。そんな楽しさを思い出させてくれるゲームなのだ。
もちろん、衣装の中には性能的に突出したものもある。たとえば攻撃が得意な衣装だと、トルネードウルフはジャンプ中にネガティと接触すれば攻撃できる。しかし、動きが早い敵を攻撃する場合は、デインティドラゴンの衣装を使いたい。この能力は、ジャンプできなくなる代わりに口からブレスを吐けるようになるほか、ボタンを長押しすると連続でブレスを発射できるからだ。デインティドラゴンの能力を足場の上などで使いたい場合には、ジャンプできる衣装で足場に登っておき、足場の上で衣装チェンジすれば問題ない。
こうした突出した性能の衣装を使って倒してもいいし、汎用で使える攻撃系衣装を使って倒してもいい。その方法すら、プレイヤーに判断が委ねられている。攻略方法は、いくつもあるというわけ。
アクションゲームから得られる快感には「何度か失敗したが、創意工夫をしたら、やっと先に進めた」という達成感が大きい。もちろん『バランワンダーワールド』にも達成感はあるが、アクションの腕前ではなく衣装の準備から得られる快感のほうが大きい。アクションゲームの腕前さえあれば先に進めるというタイプではなく、ステージに用意された敵やギミックに対して、どんな衣装を持ち込むかという戦略性の比重が大きなゲームとなっている。
そのため、アクションゲームがそれほど得意でなくても先に進めるようになっているし、間口は間違いなく広がっている。
かつてゲーム好きの少年少女たちが大人になった時に、美麗なグラフィックや壮大な音楽。そして戦略性を楽しめる「新しい魅力を持ったアクションゲーム」として誕生した『バランワンダーワールド』。ぜひ一度、ワンダーワールドへ降り立ってみてほしい。
(C) 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
●タイトル:バランワンダーワールド
●ジャンル:ワンダーアクション
●開発:スクウェア・エニックス/アーゼスト
●制作・販売:スクウェア・エニックス
●プラットフォーム:PC(Steam)、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch
●発売日:2021年3月26日
●価格:7678円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 8.1、10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-4430 または AMD Ryzen 3 1200
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 760 または AMD Radeon R9 270X
DirectX: Version 11
ストレージ: 20GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-6400 または AMD Ryzen 5 1400
メモリー: 8 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 または AMD Radeon RX 480
DirectX: Version 11
ストレージ: 20 GB
●公式サイトURL:https://www.balanwonderworld.com/JP/
●ダウンロードサイトURL:
https://store.steampowered.com/app/1341050/
ミュージカル的な演出と、カラフルに彩られたフィールド。そして、独特なデザインのキャラクターたち。そんな世界を冒険するアクションゲームとなっている。
ゲームの内容を過去の他ゲームに例えると……これが似たタイトルが見つからない。ゲーム黎明期から無数に生み出された「アクションゲーム」であっても、似たタイトルが見当たらないというのは、ゲーム好きであるほど、驚かれるに違いない。
では癖のある難解なアクションゲームかといえば、それも違う。ゲーム内ではほとんど文字が表示されず、プレイヤーは画面を見て促されるようにプレイしていくだけでクリアまで導いてくれる。アクションゲームへの慣れも、基礎知識も必要ない。このため、まだ文字を読めない未就学児でもプレイできるだろう。
これほどまでに独自性が強いゲームは、誰が作ったんだろう? そう疑問に思い、スタッフを調べてみて納得した。
本作のディレクターは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の生みの親であり、『NiGHTS into Dreams...』『ファンタシースターオンライン』など数々のゲームを世に送り出した中裕司氏。キャラクターデザインは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『NiGHTS into Dreams...』のデザインを担当した大島直人氏。メガドライブからドリームキャストという1980年代から1990年代に、セガの代表作とも呼べる名作ソフトを作ったドリームコンビが再び手を組んだ作品なのである。そう知ったら、アラフォーゲーマーの期待値は急上昇しているに違いない。
3D視点のアクションゲームで、基本操作は1ボタンのみ
厳密に言えば、コスチュームを変更するためのボタン操作はあるが、メインとなる操作はキャラクターの移動操作+1ボタン。その1ボタンに割り当てられている操作は、はじめはジャンプ操作。この「はじめは」というのがポイントだ。このゲームは開始直後にレオ(男の子)かエマ(女の子)という人間のキャラクターを選び、選んだ方のキャラクターを操作する。「ティムズエリア」と呼ばれる基本フィールドに加えて、悩みを抱えている12人の住民の心象世界に入ってすぐは、移動とジャンプができるだけだ。
心象世界の中に入ると、比較的早い段階で鍵と、施錠されたコスチュームボックスを発見できるはずだ。鍵を持った状態でボックスに触れると、そのコスチュームボックスに入った衣装へと変身できる。プレイヤーが一番最初に挑むことになる第1章「嵐と戦う男」アクト1では、「トルネードウルフ」と呼ばれる衣装を入手できる。名前の通りオオカミのような外観だが、歩いているだけでは人間の姿の時と何も変わらない。
このように、新たな衣装を手に入れた時は、さきほどまでジャンプに使っていたボタンを押してみるといい。
ピヨーン!
トルネードウルフの能力は身体を高速で回転させてジャンプし、トルネードで敵(ネガティ)を攻撃したり、敵がくりだすトルネードをはね返すことができるというもの。人間の姿では歩くこととジャンプすることしかできなかったが、フィールド内の敵を攻撃できるようになったのだ。
トルネードウルフの能力は、ネガティを倒すだけのものではない。フィールド内にある、ヒビの入ったブロックを破壊することもできる。ブロックの中には宝石「ドロップ」が入っていることが多いため、トルネードウルフを手に入れたら、ブロックを積極的に破壊していきたい。
もう少しフィールドを進んでいくと、今度は「ジャンピングジャック」という、カンガルーの衣装を手に入れられる。こちらの能力は、ジャンプしたあともボタンを押し続けると空中で足をばたつかせ、ジャンプの飛距離が伸びるというもの。トルネードウルフでは届かなかった、離れた場所へ飛び移れるようになるが、トルネードウルフのようなトルネードジャンプをすることはできない。
ここで、画面左上に注目してほしい。ここに取得した衣装が表示されている。円形の枠が全部で3つあるのは、衣装は最大で3つまで手元にストックし、逐次切り替えながらプレイするという感じ。
すでにお気づきの方もいらっしゃるだろうが、このゲームのコツは、フィールドの謎を解くなどして各ステージから3種類程度の衣装を入手。その能力を使って、ステージ内に隠されているアイテムを探したり、強敵が出現するステージでは、攻撃重視の衣装をストックし様々な能力でダメージを与えてみたり…というイメージだ。
特にステージ内に隠されている重要アイテム「バランスタチュー」は、一定数集めることが先のステージへ進める条件となっているため、ステージ内はくまなく探索する必要がある。そして探索した結果、「壁の向こう側に見えているあのアイテムを取るためには、●●の能力が必要だ」と気付くことがある。あとは、その能力がどのステージで入手できるかを思い出し、衣装を手に入れてから再び挑む、というのがゲーム全体の進行だ。
衣装のバリエーションは、実に80種類以上!
新たな能力を求めて、衣装を探す楽しみ
衣装が80種類以上もあると聞いて「そんなにたくさんの能力がどこにあったのかなんて、覚えているのが大変そう」と、不安になった人もいるだろう。だが、衣装の中には、エラスティプラントが持つ「身体を伸ばして高所にあるアイテムを入手できる」能力は、ダブルジャンパー のジャンプ能力を使えばいいなど、代用できる能力も少なくない。ある場所に置かれたアイテムを取るための専用衣装を探すのではなく、「これを取るためには、●●系の能力が必要になる」と、過去に入手した衣装の中から、どの能力が適していたかを思い出せれば問題ない。
困った時に攻略サイトを検索するのではなく、自分で考え、試し、成功できれば、それはプレイヤー自身の喜びとなる。そんな楽しさを思い出させてくれるゲームなのだ。
もちろん、衣装の中には性能的に突出したものもある。たとえば攻撃が得意な衣装だと、トルネードウルフはジャンプ中にネガティと接触すれば攻撃できる。しかし、動きが早い敵を攻撃する場合は、デインティドラゴンの衣装を使いたい。この能力は、ジャンプできなくなる代わりに口からブレスを吐けるようになるほか、ボタンを長押しすると連続でブレスを発射できるからだ。デインティドラゴンの能力を足場の上などで使いたい場合には、ジャンプできる衣装で足場に登っておき、足場の上で衣装チェンジすれば問題ない。
こうした突出した性能の衣装を使って倒してもいいし、汎用で使える攻撃系衣装を使って倒してもいい。その方法すら、プレイヤーに判断が委ねられている。攻略方法は、いくつもあるというわけ。
「大人から子どもまで」「ゲーマーから初心者まで」がターゲット
しかし『バランワンダーワールド』が、メガドライブやセガサターンの時代からゲームを遊び続けてきたアクションゲーマーでも満足できるかと言えば、「思っていたゲームと違った」という意見も出てくるだろう。1ボタンのシンプル操作で遊べるがゆえに、物足りなく感じてしまう人もいるはずだ。アクションゲームから得られる快感には「何度か失敗したが、創意工夫をしたら、やっと先に進めた」という達成感が大きい。もちろん『バランワンダーワールド』にも達成感はあるが、アクションの腕前ではなく衣装の準備から得られる快感のほうが大きい。アクションゲームの腕前さえあれば先に進めるというタイプではなく、ステージに用意された敵やギミックに対して、どんな衣装を持ち込むかという戦略性の比重が大きなゲームとなっている。
そのため、アクションゲームがそれほど得意でなくても先に進めるようになっているし、間口は間違いなく広がっている。
かつてゲーム好きの少年少女たちが大人になった時に、美麗なグラフィックや壮大な音楽。そして戦略性を楽しめる「新しい魅力を持ったアクションゲーム」として誕生した『バランワンダーワールド』。ぜひ一度、ワンダーワールドへ降り立ってみてほしい。
(C) 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
●タイトル:バランワンダーワールド
●ジャンル:ワンダーアクション
●開発:スクウェア・エニックス/アーゼスト
●制作・販売:スクウェア・エニックス
●プラットフォーム:PC(Steam)、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch
●発売日:2021年3月26日
●価格:7678円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 8.1、10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-4430 または AMD Ryzen 3 1200
メモリー: 8GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 760 または AMD Radeon R9 270X
DirectX: Version 11
ストレージ: 20GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-6400 または AMD Ryzen 5 1400
メモリー: 8 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1060 または AMD Radeon RX 480
DirectX: Version 11
ストレージ: 20 GB
●公式サイトURL:https://www.balanwonderworld.com/JP/
●ダウンロードサイトURL:
https://store.steampowered.com/app/1341050/
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>
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