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『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』Steam版レビュー:ゲームならではの形で物語を追体験! 「鬼滅の刃」入門コンテンツとしても最適な一作!!

累計発行部数1億5000万部を超える原作コミック、日本の興行収入を塗り替えた映画(アニメ)を双璧に、いまなお広がりを見せている「鬼滅の刃」が、ついにゲームにも登場。2021年10月14日に5つのプラットフォーム(PC(Steam)、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Xbox Series X|S)で発売された『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』も、発売から1カ月が経過する前に全世界累計出荷数100万本というヒットを達成し、多くのプレイヤーがゲームで「鬼滅の刃」の世界を体験している。


本記事ではSteam版『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』のプレイレビューをお届け。アニメ「鬼滅の刃」の物語と戦闘を非常に丁寧にアクションゲーム化させたソロプレイモード“ヒノカミ血風譚”、好きなキャラクターを選んでタッグバトルが行えるバーサスモード“対戦”の魅力に加え、2021年11月に行われた無償アップデートで追加された要素にも触れていきたい。

『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』のポイント
  • 劇場版“無限列車編”までの炭治郎たちの歩みを追体験
  • 簡単操作、最低限の練習でド派手なコンボを出せるバーサスモード
  • 無償アップデートで増加していくプレイアブルキャラクター

アニメのストーリーと戦闘に加え、
雰囲気までもゲームで表現した“ヒノカミ血風譚”

まずは本作のゲームタイトルそのものが冠されているゲームモード、“ヒノカミ血風譚”の魅力から紹介していきたい。

“ヒノカミ血風譚”の内容は、ひとことで言ってしまえば、アニメ『鬼滅の刃』のストーリーを追体験できるゲームモード。しかしこの、“追体験”の濃度がとんでもなく濃いのが特徴のひとつになっている。

まず、TVアニメ「竈門炭治郎 立志編」から劇場版「無限列車編」までに竈門炭治郎一行が経験する修業や鬼との戦いは、ほぼプレイヤーが直接操作できるアクションパートとして再現。原作のシチュエーションにあわせて戦闘の内容も1対1の剣戟(錆兎との修業)、1対複数(炭治郎vs沼の鬼)、トリッキーな広範囲攻撃を駆使した攻撃をしかけてくる敵との戦い(鬼全般)と変化していくため、アクションゲームとして起伏のある戦いが楽しめるようになっている。

▲“ヒノカミ血風譚”は、狭霧山から始まる炭治郎の修業の日々からスタート

▲序盤は格闘ゲームのような感覚の1対1の戦いが展開されるが、第3章以降は、敵の多彩な攻撃パターンを見極めてしのぎつつ、わずかな隙をついて攻撃を当てていく、アクションゲームへと変貌。操作こそ後述のバーサスモードと共通しているものの、プレイ中に味わう感覚は異なる

▲フィールドを探索するパートでは、褒賞盤(対戦ステージやキャラクターアンロック、衣装、名言、台紙などの褒賞)の開放に使う“キメツポイント”の収集や、達成することで褒賞盤パネルを開放できる“褒賞任務”の遂行ができる。入手ポイントはミニマップに表示されるため、取り逃す恐れはほぼない

▲一度クリアーした章の戦闘は、何度でも挑戦でき、より高ランクでクリアーすることで、褒賞盤パネルが開放される。さらに本編とは異なる敵と戦える、特別任務も発生。特別任務では、炭治郎以外のキャラクターを選んで戦うことも可能だ

加えて、グラフィックをはじめとした演出面も見事のひとこと。鬼殺隊の面々の呼吸と型(技)がゲームならではの自由なアングルとスピーディーさで堪能できるのはもちろんのこと、会話シーンも秀逸。

とくに驚かされたのが、シリアスな戦いの合間にときおり挟まれる、コミカルなシーンも全力で再現されている点。我妻善逸はコロコロ表情が変わるうえ、彼の魅力(?)でもある超早口かつ喜怒哀楽の激しいしゃべりもフルボイスで収録されているため、見ていて楽しかった。

▲戦闘シーン以外の会話パートや演出も丁寧に作りこまれている。各章で入手できる“想いの欠片”の鑑賞とあわせれば、本作だけでも「鬼滅の刃」の物語は十分に理解できる

▲シリアスとコミカルなシーンの切り替わりのテンポのよさ、緩急のつけかたといった、原作漫画、アニメの両方が持つ“空気感”も、十二分に表現されている

このように演出面も隅々まで作りこまれているおかげか、(アニメが)原作再現系のゲームにありがちな、お話的に重要なポイントを端折っているダイジェストっぽさも感じない。そのため“ヒノカミ血風譚”で『無限列車編』までを履修し、今年末から来年にかけて放映予定の『遊郭編』でアニメに合流……なんて入り方で「鬼滅の刃」に触れてみるのもアリな遊び方だろう。

ド派手なコンボの応酬と
独自のセオリーが光るバーサスモード

もうひとつの目玉であるバーサスモード“対戦”は、なんといっても好きなキャラクターを選んで戦えるのが魅力。“ヒノカミ血風譚”の本編では使う機会がない、柱のふたり(冨岡義勇、胡蝶しのぶ)や狭霧山で炭治郎を鍛える面々(鱗滝左近次、錆兎、真狐)、さらには公式スピンオフ、『中高一貫!!キメツ学園物語』バージョンの主要キャラなども、“対戦”であれば自由に使える。

▲バーサスモードでは好きなキャラクターを2名選んでタッグを結成。試合で操作するのはつねに1名、体力ゲージは2キャラで共用という仕様なので、最低1キャラクターの攻撃方法を覚えれば戦える


▲ソロプレイモードでは操作する機会がなかったキャラクターも、バーサスモードなら存分に活躍する

対戦ゲーム的な視点から本作を見ると、キャラクターを動かせて形になるまでの敷居が低く作られているのが特徴的。基本的にどのキャラクターも、通常攻撃はボタン連打で連続ヒットし、派手で強力な技や奥義もワンボタンもしくは方向キー+ボタン、ボタン2つを同時に押すだけでくり出せる。

さらに対戦中にまとまったダメージを奪うために必要なコンボ(連続技)の難度も低めなのもありがたい。

たとえば炭治郎であれば、通常攻撃か「水の呼吸 捌ノ型 滝壺」がヒットしたらそのまま通常攻撃ボタンを連打→コンボの締めに「陸ノ型 ねじれ渦」を当ててダウンを奪う……といった感じのコンボを覚えてしまえば、とりあえず実戦で困ることはない。通常攻撃からなんらかの技につないでいくコンボは、他のキャラクターを操作している際でもほぼ同じ感覚で使っていける。

そしてこういった簡単なコンボでも、見た目がカッコいいうえに、相手の体力をごっそり奪える。対人戦はともかく、CPUが相手であればほぼ練習なしで気持ちよく大ダメージコンボを決められるはずだ。

▲通常攻撃から技(呼吸、型)、技から技が次々とつながる本作。ヒット数の横に表示されるコンボ可能な時間を示すゲージを意識すると、より確実にコンボを決められる

▲画面下のゲージを消費して放つ大ダメージの一撃、奥義も通常攻撃からそのままつないだり、技で浮かせたところに奥義の始動モーションをヒットさせたりすることで、手軽にコンボに組み込める。決まれば大ダメージが見込める(奥義のレベルによって変動)

高火力コンボを簡単に決められる機会が多い本作の対戦だが、人間どうしの対戦となってくると、防御関連のシステムが充実していることにも気づかされる。

まず大きいのは、待機中のパートナーに助けてもらえる「緊急離脱」の存在。緊急離脱は共闘ゲージを消費して発動するシステムのため乱用はできないが、発動すれば相手のコンボから逃れたうえで距離を取れるため、ほぼ確実に五分以上の状況で仕切り直せる強力な回避手段だ。

▲コンボの威力が高く繋げやすい本作だが、「緊急離脱」が存在するおかげで、“コンボの始動技が当たった時点で試合終了”みたいなシチュエーションに陥ることはない

▲しかし緊急離脱に必要な共闘ゲージは、攻めの起点として強力な共闘技を使うことでも減少する。共闘技と緊急離脱、どちらに重きを置いて立ち回るかは、プレイヤーの考えの違いの出るポイントだ

さらに本作には、ガードボタンを使ったアクションが「通常ガード」、「押し返し」、「捌き」と3つも用意されており、押し返しと捌きに関しては成功することで攻守を逆転させられる。

本作は接近戦時の展開の早さと一度に奪えるダメージが大きいため、まちがいなく攻めが強いゲームではあるが、システムを使いこなせれば、守勢に回った際も考えること、やれることは多い。

防御に関しては、実戦もしくは“戦術指南”で戦えるCPU相手に、あえて攻めないことで経験を積む必要があるが、通常ガードと回避の重要性、そして押し返しの使いどころをなんとなく把握できれば、本作の対戦ならではの攻防を楽しみつつ、好きなキャラクターを活躍させられるようになるはずだ。

▲ガードボタンを使った3アクションと回避の活用は、“ヒノカミ血風譚”モードプレイ時よりも重要。とくにリターンが大きい割には失敗時のリスクが極めて小さい、押し返しは多用したほうがいい

無償アップデートで広がる遊びの幅

最後に、無償アップデートで追加される鬼側のキャラクターにも触れておきたい。

先日行われた第一弾で追加された鬼は、TVシリーズで登場した「累」(るい)と、劇場版「無限列車編」で登場した「猗窩座」(あかざ)の2体。鬼はバーサスモードのみで操作が可能で、人間側のキャラクターのように共闘を行うことができないといった、原作の世界観に基づいた制約はあるものの、緊急離脱に代わるコンボからの脱出手段は用意されているため、操作に関しては人間側のキャラクターとほぼ同じように使っていける。

ただ、実戦での使い勝手というか、得意とする戦い方は大きく異なる。累も猗窩座も技の1つがいわゆる飛び道具系の攻撃になっているため、人間側のキャラクターではできない遠距離からの牽制が可能。しかし累は移動速度や通常攻撃の発生が遅め、猗窩座は素手で戦うため、通常攻撃のリーチが短いという短所があるため、接近戦~弐ノ型 水車のような突進技が当たるような距離感の攻防では、人間側に対して後手に回りやすい。

そのため、本作では人間よりも鬼のほうが、肉体に受けるダメージに注意を払いつつ繊細な立ち回りが要求される。弱いわけではないが、実戦での勝ちやすさは、(筆者の腕前の問題もあって)本作で強いと評価されている鬼殺隊の面々には(炭治郎や煉獄杏寿郎)、一歩劣っているように感じられた。


▲累、猗窩座はタッグが組めない代わりに自力での緊急離脱や、緊急離脱に必要なゲージを消費して放てる特殊技など、固有のシステムが用意されている


▲いかに近づいてコンボを決めるかが勝ちにつながりやすい鬼殺隊隊士の面々に比べ、累、猗窩座で安定して勝つには遠距離から攻撃しつつ、要所で接近戦に移行、もしくは近づいてきた相手の隙にコンボを叩き込むといった、臨機応変な立ち回りが要求される

なお、無償アップデートでのプレイアブルキャラクターの追加は第3弾まで予定されており、11月24日の第2弾では「矢琶羽」(やはば)と「朱紗丸」(すさまる)が追加されることが判明している。第3弾でも2体が追加される予定だ。


原作アニメをこれ以上にないぐらい丁寧にアクションゲーム化したソロプレイモードと、「鬼滅の刃」に登場するキャラクターを簡単な操作で動かせつつ、本作独自のセオリーに基づいた攻防が楽しめるバーサスモードが搭載されている『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』。ファン向けゲームとして完成度が高いのはもちろんだが、対戦ツールとして、そして「鬼滅の刃」入門用コンテンツとしても楽しめる内容になっている。

原作漫画終盤から『無限列車編』公開時のブームには乗り損ねたものの、「鬼滅の刃」が気になっている人、質が高くてリッチなアクション&対戦ゲームを探している人にこそオススメしたい作品だ。

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
(C)「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」製作委員会

●タイトル:鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚
●ジャンル:鬼殺対戦アクション
●発売元:アニプレックス ※Steam版はセガ
●開発元:サイバーコネクトツー
●プラットフォーム:PC(Steam)、PlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Xbox Series X|S
●発売日:2021年10月14日 ※Steam版は2021年10月16日
●価格:8360円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 8.1
プロセッサー: Intel Core i5-2400 または AMD Phenom ll X6 1100T
メモリー: 6GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX660 2GB または AMD Radeon HD 7950 3GB
ストレージ: 25GB
●推奨スペック
OS: Windows 10
プロセッサー: Intel Core i5-3470 または AMD FX-8350
メモリー: 6GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX760 2GB または AMD Radeon R9 280 4GB
ストレージ: 25GB
●公式サイトURL:https://game.kimetsu.com/hinokami/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/1490890/_/?l=japanese
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

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