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『Edge Of Eternity』レビュー:懐かしきJRPGを思い出させる現代風コマンド選択式RPG
『Edge Of Eternity』は、フランスのインディーメーカーMidgar Studioが制作したRPG。雰囲気としては、アクティブタイムバトル(ATB)を採用した日本のRPGを、最新の技術でリビルドしたイメージだ。
音声は英語となるが、文字はすべて日本語にローカライズされているので、プレイに問題はない。むしろ、字幕の洋画を観ているような雰囲気でゲームをプレイできる。その魅力の一端をレビューしていきたい。
『Edge Of Eternity』のポイント
アークリットが使う機械の兵器たちに立ち向かうのは、ヘリオンの人々が使う剣と魔法。そんなヘリオンの人々に対してアークリットが使った次の手は「腐食病」と呼ばれる、人間の身体を奇怪な姿に変える伝染病だった。
主人公の兵士・ダリオンは軍(コンソート)で腕を磨き、打倒アークリットに燃えていた。
そんなある日、ダリオンは妹からの手紙を受け取る。内容は、母親が腐食病に感染したので、彼女を治療するために家へ戻ってきてほしいというもの。家に帰りたいが、コンソートの仕事を離れるわけにもいかない。
そう悩んでいたとき、ダリオンたちの訓練所へアークリットの機械兵器が強襲され……というところから、この物語は幕を開ける。
自分が操作可能なキャラクターのATBゲージが満タンになったら、行動選択画面になる。この状態では時間の流れが止まっているので、ゆっくりコマンドを吟味して選択できる。
最初に選ぶのは、コマンドの大分類。「アクション」(呪文以外)と「呪文」、ATBゲージが溜まっている他キャラクターを先に動かす「時間を進める」、「キャラクター切り替え」という4つから選ぶことになる。ここで「アクション」を選ぶと、今度は小分類のコマンド選択へと進む。
小分類のメニューは、左右4つずつの中から選ぶことになる。左側の4つは、あらかじめセットしたアイテムを使用するためのメニューなので、実質的には右側の3つを使うことになる。
右側は「攻撃」、「移動」、「ターンスキップ」という3種類。このうち「攻撃」と「移動」をどう使うかが、戦闘における重要なポイントとなってくる。
このゲームの戦闘は、六角形のマスで区切られたフィールドを使って行われる。剣を使った攻撃を当てるためには敵と隣接するマスまで移動する必要があるが、魔法攻撃であれば離れたマスから攻撃できるため、物理攻撃系キャラクターを前衛に、魔法攻撃系キャラクターは後衛にするというフォーメーションが理想的だ。
この「移動」という概念が戦闘に及ぼす影響は、敵と自分との距離関係だけではない。すべてのキャラクターには向いている「方向」という概念もあり、背後から攻撃を受けると不意打ちを受けた扱いとなり、攻撃で大ダメージを受ける。
そのほか、敵が大技を使ってくる時には事前に攻撃対象となるマスが赤く着色されるため、そのマスにいたキャラクターは早く移動したほうがいいなど、シミュレーションゲーム的な要素も盛り込まれているのがこのゲームの特徴だ。
絶望と不条理。別離と死。
主人公のダリオンは、妹から「母親が腐食病に感染したので、帰ってきてほしい」という手紙を受け取る。しかし、コンソートの兵士である彼は、激化するアークリットとの戦いの中、休暇を取りたいとは言い出せない雰囲気。とは言え、同じ小隊の女性・シルに好意を寄せられており、平和な生活を送っていた。
そんなある日、ダリオンを襲う突然の轟音。洞窟の中に作られていた待機所からどうにか逃げ出したが、ダリオンに手紙を届けてくれた仲間のキノは瓦礫の下敷きになって戦死。ダリオンたちを襲う機械兵器「ストーカー」との戦闘中、仲間の女性兵士・ザンドラはストーカーが放った槍「ロンギヌス」を左胸に受けて即死。
逃げ込んだ山では、仲間のオルドが腐食病を発症。「迷惑をかける前に自分を殺してくれ」と懇願されたダリオンは仕方なく、自らの刃を仲間に向ける……。
そして、ようやく最高司令官のいる建物へ逃げ込んだと思えばさらなる敵の追撃。入り口の扉を開閉する機構が故障しており、扉を閉めるには建物の外に出て鎖を斬る必要がある。だが、ダリオンは直前の戦闘で負傷中のため、反撃できない。そんなときダリオンに好意を寄せていた女性兵士のシルが笑顔で建物を出ていき、外から鎖を断ち切った。
こうして仲間全員を失いながらも、保護した請願師を最高司令官へ届けたダリオン。ところが、最高司令官はその請願師を含む8名の命を生贄に魔力を召喚。アークリットの戦艦を撃墜した。そればかりか、ダリオンの命すら奪おうとする最高司令官。
次にダリオンが目覚めた時、周りには誰もいなかった。自分が信じ、所属していたコンソートの最高司令官ですら、自分の命を奪おうとした。そんな絶望に打ちひしがれたダリオンは、自分の母親が住む家に向けて歩き始めるのだった。
プロデューサーは筋金入りのJRPGマニア!
ここまでの説明を呼んできた読者の方々の中には「こういう戦闘システムで、絶望シチュエーションから始まるRPGって、昔よくあったかも……」などと感じている人もいるだろう。
それもそのはず、本タイトルのプロデューサー兼ナラティブ・デザイナーのGuillaume Veer氏は、メディアでのインタビューでゲームシステムやシナリオは『ファイナルファンタジー』シリーズ、『ブレス オブ ファイア』シリーズ、『グランディア』シリーズ、『シャドウハーツ』等からインスパイアされた要素を本作に盛り込んでいると解答。ビジュアル面では『ゼノブレイド』から影響を受けているとも語っている。
その影響もあってかメインテーマや戦闘曲などの作曲は、『クロノ・トリガー』『ゼノギアス』『クロノ・クロス』などの作曲家として知られる光田康典氏へ依頼。このため本ゲームをプレイしていると、初めてのプレイにも関わらず「あの日に遊んだRPG」の感覚が蘇り、懐かしい気持ちにさせられる。
テキストメッセージは、
ここまでは本タイトルの良質な部分を取り上げて紹介してきたが、欠点がないわけではない。グラフィックは非常に美麗だし、家庭用ゲーム機とは違って3440×1440ピクセルなどの高解像度表示にも対応しているのはさすが。
しかしストーリー重視のRPGにおいて、セリフの中にいくつも「直訳っぽいな……」と感じさせる文章が残っているのが残念でならない。テキスト関係はほとんど日本語化されており、プレイする上では問題ないが、音声は英語なので英語がわからないユーザーにとっては日本語の文章を読むしかない。
そこで「間違ってはいないけど、こういう言い回しをする人はいないよな」と感じられる文章がいくつもあり、キャラクターのため息を「*ため息*」。負傷した苦しみの声に「*あえぎ声*」と字幕が表示されると、物語への没入感を奪われてしまう。願わくは日本人のシナリオライターに見直してもらい、テキストだけでもアップデートしてほしい。
この部分さえ気にならない方であれば、「あの時代の日本製RPG」好きな方を笑顔にするゲームに仕上がっていることを保証しよう。
(C)2017 Playdius Trademarks belong to their respective owners. All rights reserved
●タイトル:Edge Of Eternity
●ジャンル:コマンド選択式RPG
●発売元:Dear Villagers, Maple Whispering Limited
●開発元:Midgar Studio
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games ストア)
※2021年第4四半期にはPlayStation 4、PlayStation 5 、Xbox One、Xbox Series X|S(Game Pass対応)版も発売予定
●発売日:2021年6月9日
●価格:3090円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel core-i5 6500
メモリー: 8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 970
ストレージ: 20GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core-i7 8600
メモリー: 12GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1070
ストレージ: 20GB
●公式サイト:https://www.eoegame.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/269190/Edge_Of_Eternity/
Epic Games ストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/edge-of-eternity
音声は英語となるが、文字はすべて日本語にローカライズされているので、プレイに問題はない。むしろ、字幕の洋画を観ているような雰囲気でゲームをプレイできる。その魅力の一端をレビューしていきたい。
『Edge Of Eternity』のポイント
- 懐かしさを感じさせるアクティブタイムバトルのターン制RPGシステム
- プロデューサーは筋金入りのJRPGマニア! 完全新作なのに感じる懐かしいプレイ感
- 日本語テキストメッセージはもう少し……
異星人の裏切りから始まる壮大な戦争
物語を簡単に説明しておこう。30年前にヘリオンへ大量の宇宙船で飛来した、謎の異星人「アークリット」。最初は友好的で、ヘリオンにはなかった技術を供与してくれていたが、ある日突然、その友好関係は崩され去る。アークリットが使う機械の兵器たちに立ち向かうのは、ヘリオンの人々が使う剣と魔法。そんなヘリオンの人々に対してアークリットが使った次の手は「腐食病」と呼ばれる、人間の身体を奇怪な姿に変える伝染病だった。
主人公の兵士・ダリオンは軍(コンソート)で腕を磨き、打倒アークリットに燃えていた。
そんなある日、ダリオンは妹からの手紙を受け取る。内容は、母親が腐食病に感染したので、彼女を治療するために家へ戻ってきてほしいというもの。家に帰りたいが、コンソートの仕事を離れるわけにもいかない。
そう悩んでいたとき、ダリオンたちの訓練所へアークリットの機械兵器が強襲され……というところから、この物語は幕を開ける。
懐かしさを感じさせるターン制RPGシステム
戦闘システムは前述のとおりコマンド選択式バトル。戦闘が始まったら敵味方関係なく、ATBゲージがいっぱいになったキャラクターから順に行動可能になるというおなじみのシステムだ。これにより素早い(「速度」パラメーターが高い)キャラクターはATBゲージの溜まるスピードが早く、相対的に行動回数が増える。自分が操作可能なキャラクターのATBゲージが満タンになったら、行動選択画面になる。この状態では時間の流れが止まっているので、ゆっくりコマンドを吟味して選択できる。
最初に選ぶのは、コマンドの大分類。「アクション」(呪文以外)と「呪文」、ATBゲージが溜まっている他キャラクターを先に動かす「時間を進める」、「キャラクター切り替え」という4つから選ぶことになる。ここで「アクション」を選ぶと、今度は小分類のコマンド選択へと進む。
小分類のメニューは、左右4つずつの中から選ぶことになる。左側の4つは、あらかじめセットしたアイテムを使用するためのメニューなので、実質的には右側の3つを使うことになる。
右側は「攻撃」、「移動」、「ターンスキップ」という3種類。このうち「攻撃」と「移動」をどう使うかが、戦闘における重要なポイントとなってくる。
このゲームの戦闘は、六角形のマスで区切られたフィールドを使って行われる。剣を使った攻撃を当てるためには敵と隣接するマスまで移動する必要があるが、魔法攻撃であれば離れたマスから攻撃できるため、物理攻撃系キャラクターを前衛に、魔法攻撃系キャラクターは後衛にするというフォーメーションが理想的だ。
この「移動」という概念が戦闘に及ぼす影響は、敵と自分との距離関係だけではない。すべてのキャラクターには向いている「方向」という概念もあり、背後から攻撃を受けると不意打ちを受けた扱いとなり、攻撃で大ダメージを受ける。
そのほか、敵が大技を使ってくる時には事前に攻撃対象となるマスが赤く着色されるため、そのマスにいたキャラクターは早く移動したほうがいいなど、シミュレーションゲーム的な要素も盛り込まれているのがこのゲームの特徴だ。
絶望と不条理。別離と死。
主人公ダリオンを襲う「これでもか」という不幸の連続
主人公のダリオンは、妹から「母親が腐食病に感染したので、帰ってきてほしい」という手紙を受け取る。しかし、コンソートの兵士である彼は、激化するアークリットとの戦いの中、休暇を取りたいとは言い出せない雰囲気。とは言え、同じ小隊の女性・シルに好意を寄せられており、平和な生活を送っていた。そんなある日、ダリオンを襲う突然の轟音。洞窟の中に作られていた待機所からどうにか逃げ出したが、ダリオンに手紙を届けてくれた仲間のキノは瓦礫の下敷きになって戦死。ダリオンたちを襲う機械兵器「ストーカー」との戦闘中、仲間の女性兵士・ザンドラはストーカーが放った槍「ロンギヌス」を左胸に受けて即死。
逃げ込んだ山では、仲間のオルドが腐食病を発症。「迷惑をかける前に自分を殺してくれ」と懇願されたダリオンは仕方なく、自らの刃を仲間に向ける……。
そして、ようやく最高司令官のいる建物へ逃げ込んだと思えばさらなる敵の追撃。入り口の扉を開閉する機構が故障しており、扉を閉めるには建物の外に出て鎖を斬る必要がある。だが、ダリオンは直前の戦闘で負傷中のため、反撃できない。そんなときダリオンに好意を寄せていた女性兵士のシルが笑顔で建物を出ていき、外から鎖を断ち切った。
こうして仲間全員を失いながらも、保護した請願師を最高司令官へ届けたダリオン。ところが、最高司令官はその請願師を含む8名の命を生贄に魔力を召喚。アークリットの戦艦を撃墜した。そればかりか、ダリオンの命すら奪おうとする最高司令官。
次にダリオンが目覚めた時、周りには誰もいなかった。自分が信じ、所属していたコンソートの最高司令官ですら、自分の命を奪おうとした。そんな絶望に打ちひしがれたダリオンは、自分の母親が住む家に向けて歩き始めるのだった。
プロデューサーは筋金入りのJRPGマニア!
完全新作なのに感じる懐かしいプレイ感
ここまでの説明を呼んできた読者の方々の中には「こういう戦闘システムで、絶望シチュエーションから始まるRPGって、昔よくあったかも……」などと感じている人もいるだろう。それもそのはず、本タイトルのプロデューサー兼ナラティブ・デザイナーのGuillaume Veer氏は、メディアでのインタビューでゲームシステムやシナリオは『ファイナルファンタジー』シリーズ、『ブレス オブ ファイア』シリーズ、『グランディア』シリーズ、『シャドウハーツ』等からインスパイアされた要素を本作に盛り込んでいると解答。ビジュアル面では『ゼノブレイド』から影響を受けているとも語っている。
その影響もあってかメインテーマや戦闘曲などの作曲は、『クロノ・トリガー』『ゼノギアス』『クロノ・クロス』などの作曲家として知られる光田康典氏へ依頼。このため本ゲームをプレイしていると、初めてのプレイにも関わらず「あの日に遊んだRPG」の感覚が蘇り、懐かしい気持ちにさせられる。
テキストメッセージは、
意味は間違ってはいないがもう少し……
ここまでは本タイトルの良質な部分を取り上げて紹介してきたが、欠点がないわけではない。グラフィックは非常に美麗だし、家庭用ゲーム機とは違って3440×1440ピクセルなどの高解像度表示にも対応しているのはさすが。しかしストーリー重視のRPGにおいて、セリフの中にいくつも「直訳っぽいな……」と感じさせる文章が残っているのが残念でならない。テキスト関係はほとんど日本語化されており、プレイする上では問題ないが、音声は英語なので英語がわからないユーザーにとっては日本語の文章を読むしかない。
そこで「間違ってはいないけど、こういう言い回しをする人はいないよな」と感じられる文章がいくつもあり、キャラクターのため息を「*ため息*」。負傷した苦しみの声に「*あえぎ声*」と字幕が表示されると、物語への没入感を奪われてしまう。願わくは日本人のシナリオライターに見直してもらい、テキストだけでもアップデートしてほしい。
この部分さえ気にならない方であれば、「あの時代の日本製RPG」好きな方を笑顔にするゲームに仕上がっていることを保証しよう。
(C)2017 Playdius Trademarks belong to their respective owners. All rights reserved
●タイトル:Edge Of Eternity
●ジャンル:コマンド選択式RPG
●発売元:Dear Villagers, Maple Whispering Limited
●開発元:Midgar Studio
●プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games ストア)
※2021年第4四半期にはPlayStation 4、PlayStation 5 、Xbox One、Xbox Series X|S(Game Pass対応)版も発売予定
●発売日:2021年6月9日
●価格:3090円[税込]
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel core-i5 6500
メモリー: 8GB
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 970
ストレージ: 20GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー:Intel core-i7 8600
メモリー: 12GB
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1070
ストレージ: 20GB
●公式サイト:https://www.eoegame.com/
●ダウンロードサイトURL:
Steam https://store.steampowered.com/app/269190/Edge_Of_Eternity/
Epic Games ストア https://www.epicgames.com/store/ja/p/edge-of-eternity
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