Gamers Zone

move to login

GAME PCゲームで勝ち抜くための情報満載!

PC版『龍が如く7』レビュー! シリーズ未経験でも関係なし。勇者になりたかった元極道があなたを熱くするドラマティックRPG【オススメPCゲームレビュー】

2021年2月25日に『龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル』(Xbox Series X|S / Xbox One / Windows 10 / Steam)が発売された。

本作は海外版『Yakuza: Like a Dragon』を日本向けにアレンジしたタイトル。PS4版では有償だったDLCが無料で収録され、フレームレート・解像度・ロードの速さも進化している。今回はPC版のレビューをお届けしたい。

今までの格闘アクションゲーム路線から「ドラマティックRPG」へ舵を切った『龍が如く7』は、シリーズ初のRPG要素をふんだんに取り入れた。新主人公・春日一番は元極道ながら『ドラゴンクエスト』の勇者に憧れ、ストーリー・バトル・探索のすべてが「仲間と成長して強敵を倒す」体験を作っている。春日一番とその仲間たちと共に前を向ける熱い作品だ。

春一番のような男が巻き起こす物語

『龍が如く7』はシリーズのナンバリング最新作だが、『龍が如く』を初めてプレイする筆者でも楽しめた。世界観や設定は過去作と地続きでも、あくまで新主人公・春日一番の物語が中心だからだ。『龍が如く6 命の詩。』まで続いた桐生一馬の物語を知らなくても問題ないだろう。大まかなあらすじは以下のようになっている。

▲新主人公の春日一番

▲15歳の時に荒川組組長・荒川真澄に助けられたことがきっかけで極道の道へ

神室町のソープランド・桃源郷で生まれ育った春日一番は、東城会系 荒川組の組員。極道としては鳴かず飛ばずだが、組長・荒川真澄の背中だけを追いかけてきた仁義に厚い男だ。しかし2001年1月1日、春日は敬愛する彼に出頭を頼まれる。それは若頭・沢城丈が犯した罪を被る、組を守るための苦肉の策だった。

18年間に及ぶ刑務所生活の後、彼を待っていたのは変わり果てた生まれ故郷。警察による「神室町3K作戦」で東城会は崩壊、荒川組は関西の極道組織・近江連合の支配下に落ちていた。困惑する春日にさらに追い打ちをかけるように、「荒川真澄が警察に東城会を売った」という噂が流れてくる。春日は真偽を確かめるため荒川真澄との再会を果たすが、彼は春日の胸を銃で撃ちぬいた。


重傷の春日は何者かによって横浜・伊勢佐木異人町に運びこまれ、元看護師のホームレス・ナンバに命を救われる。彼と同じホームレスに身を落とした春日たちは再起のためハローワークへ。無事ソープランドの従業員に採用され喜ぶ春日たちだったが、彼らはそこで凄惨な事件に遭遇する。この事件をきっかけに、春日たちは異人町を牛耳る3つの裏組織の思惑、そして東城会崩壊の真実へと迫っていく。

▲横浜・伊勢佐木異人町のホームレス街で出会うナンバ(左)と春日(右)

いくつもの謎がつながり、後半に向けて徐々にスケールが大きくなっていく展開は圧巻。俳優陣の演技も素晴らしいの一言に尽きる。筆者はここまでムービーシーンが多いゲームは初めてプレイしたが、常に続きが気になるストーリー構成だったこともあり、退屈に感じる時間はまったくなかった。

何といっても魅力的なのは、春日一番の生き様だろう。情熱的な正義漢でちょっとお人好しが過ぎる。加えて人懐っこいので、なんだか放っておけない。だから彼はその名の通り春一番のように周囲の人々を巻き込み、パワフルに彼らを良い方向へ導いていく。仲間を増やしながら戦うRPGにぴったりの主人公だ。

それもそのはず、彼の性格の根っこには「勇者」への憧れがある。神室町のソープランドで育った特殊な生い立ちゆえに、孤独な少年時代を送った春日。その時にハマったゲームが『ドラゴンクエスト』で、仲間と共に強敵を倒す勇者に憧れたのだ。

▲おなじみのコマンドを用いたセリフと春日の仲間たち

▲困っている人を放っておけない春日は、さまざまな事情を抱える異人町の人々と交流を深める

春日の仲間になるキャラクターはホームレスのナンバ・元刑事の足立・キャバ嬢の紗栄子。仲間たちは春日のお人好しに呆れ、時に衝突しながらも彼を受け入れていく。だんだん春日のお人好しが仲間たちにうつっていく様子にはこみ上げるものがあった。

メインストーリー自体も、春日が人のために行動したことがきっかけで急激に動き出す。彼のお人好しは異人町の住民たち、そして裏社会にまで影響を与えるのだ。この潮流は決して良いことばかり引き起こすわけではないが、ちゃんと物語の真相へ繋がっていく。そんな力強いシーンを目の当たりにして、筆者は春日に素直に憧れてしまった。

最初は彼の愚直さに驚いたけれど、春日の熱にあてられるのは仲間たちだけではないようだ。メインストーリーは後半ほどシリアスになるが、総評するととても爽やかで熱い体験ができる。

「成り上がり」に没入できるライブコマンドRPGバトル

本作は「RPG」であると同時に、「下剋上物語」でもある。帰る場所も名声もない春日一番が真実の前に立ちふさがる強敵を倒すべく、レベル1から頂点へと成り上がる。『龍が如く7』では、その「成り上がり」をとことん楽しめるバトルシステムが登場。シリーズ伝統の喧嘩アクションとターン性コマンドバトルが融合した新システムでは、ライブ感と戦略性に満ちた戦闘が味わえる。

街をうろつく敵とエンカウントすると「ライブコマンドRPGバトル」がスタート。基本は日本のJRPGのお家芸とも言えるターン制コマンドバトルだが、敵や街のオブジェクトが常に動き続けていることが特徴だ。敵が密集したタイミングで範囲攻撃を行ったり、走行中の車に敵をぶつけて大ダメージを食らわすことができる。変化するフィールドの状況をリアルタイムで判断して、もっとも効果的な一手を考えよう。

▲戦闘中は敵や車、街のすべてが常に動いている

▲味方がダウンさせた敵が立ち上がる前に急いで追撃!大ダメージが狙える

▲敵の攻撃に合わせてボタンを押すとガードが可能

また、「追い打ち」「ガード」「ジャストアクション」の概念があるので、喧嘩アクションならではの緊迫感が生まれている。

「追い打ち」は前ターンでダウン状態になった敵が立ち上がるまでに、次ターンで攻撃すること。通常攻撃より大きいダメージを与えられるので、敵が倒れたら急いで追い打ちすべきかどうか考えよう。

「ジャストガード」は敵の攻撃に合わせてタイミング良くボタンを押し、被ダメージを減らす仕組み。タイミングが意外とシビアなので、うまく入力できた時が気持ち良い。後半はガードの成否が生死を分けることもあり、その緊張感はかなり喧嘩らしかった。

一方「ジャストアクション」は極技という必殺技を出すときに、ボタン連打など指示されたアクションを行う要素。成功するとより大きなダメージを出せる。「ジャストガード」に比べるとかなり簡単だ。

▲敵の情報が分かるスジモン図鑑には200種類以上の敵が掲載。「WEAK」が弱点属性を表す

敵味方の相性や役割を考え、じっくり策を練るターン制コマンドバトルの醍醐味も残っている。前述したライブ感との緩急の差が面白い。本作では敵の種類がシリーズ最多で、彼らはそれぞれの弱点属性とバトルスタイルを持つ。そして対する春日と仲間たちも「ジョブ」の概念があるので、あらゆる戦い方を選ぶことが可能だ。プレイヤーは豊富な選択肢の中から戦略を練られるだろう。敵の情報は「スジモン図鑑」で定期的にチェックしておくのがおすすめだ。

▲ハローワークでジョブチェンジ

▲たとえばジョブ「ホスト」にはシャンパンを使った必殺技が多い

ジョブは異人町のハローワークで変更できる。用意されているのは8種類のキャラクター専用ジョブと、10種類以上の共通ジョブ。どれも独自の極技や特性を持つので、最強のパーティを作るべくいろいろ組み合わせてみよう。

ジョブには「勇者」のようなRPGらしいものから「ホスト」「チーママ」など『龍が如く』らしいものまで揃っている。勇者は春日一番のキャラクター専用ジョブ。バットを使った範囲攻撃、パーティ全員の体力回復や補助までこなす万能型だ。ホストは男性キャラクターなら誰でも使える共通ジョブ。冷えた酒を敵にぶっかけて風邪状態にする極技「バブルスプラッシュ」など、シャンパンにちなんだ冷気属性の攻撃が得意だ。

▲足立だけが使える極技「地獄車の極み」。敵一体に地獄車をかけた状態で火花が出るほど大旋回し、敵全体に大ダメージを与える

「極技」は総じて過去作よりもっと派手に、もっと人間離れしている。良い意味でふざけた技が多く、爽快感は格別だ。特に派手なムービー演出付きの極技は、バトルを大いに盛り上げてくれる。真面目にかっこいい技もあるので安心してほしい。


▲スマートフォンから頼める助っ人「デリバリーヘルプ」

さらにバトルに華を添えてくれるのが「デリバリーヘルプ」。お金を払うとバトルに強力な助っ人を呼べるシステムだ。マッチョの男、暴走族といったいかにもなキャラはもちろん、ザリガニ、猫など人間以外の助っ人さえ駆けつけてくれる。こちらも想像を超えたスケールの技が目白押しだ。助っ人はメインストーリーやサブストーリーを進めることで増えていく。

順当にゲームを進めるとたびたびボスが現れるので、そのつどレベル上げが必要だ。戦略性とライブ感を兼ね備え、静と動のメリハリがはっきりしているライブコマンドRPGバトルはなかなか飽きがこない。おかげでレベル上げの時間も楽しめるものになっていた。しかも豊富なジョブや助っ人キャラがあるので、ゲーム終盤でも新しくできることが増えていく。飽きずに一気に成り上がれるバトルシステムだ。

ここでPlayStation® 4版との違いについて詳しく説明しておこう。本作はPlayStation® 4版では有償DLCだった「PREMIUM NEW GAME」「スーパー・ファイナルミレニアムタワー」を収録。「PREMIUM NEW GAME」はクリア後のデータを引き継いで周回プレイができるモードで、「スーパー・ファイナルミレニアムタワー」はクリア後に解放される最難関ダンジョンだ。また、通常版の他に「ヒーローエディション」「レジェンダリーヒーローエディション」が発売中。どちらにもスペシャルジョブ「悪魔」「姉御」を含む、ゲームを有利に進められるDLCが収録されている。筆者は特に「姉御」がお気に入り。薙刀を使った範囲攻撃が強く、攻撃時のボイスも極妻のようでかっこいい。
 
▲薙刀やマシンガンを使うスペシャルジョブ「姉御」

街のすべてが成長の糧になる

本作では東京・神室町、横浜・伊勢佐木異人町、大阪・蒼天堀の3つのエリアが登場。主な舞台となる伊勢佐木異人町の広さは神室町の約3倍に及び、「人間力」を成長させるアクティビティが用意されている。人間力とは、春日一番の人間性を6つの指標で表したパラメータ。人間力を上げると、春日が使えるジョブが増える、状態異常に強くなるなどの効果がある。


▲4K/60fpsで描写される横浜。特に夜景がきれいだ

▲情熱・メンタル・陽気・優しさ・知性・お洒落で構成される人間力

まず、人間力を上げるにはサブストーリー・プレイスポットが重要だ。サブストーリーは異人町の住人に話しかけたり、特定のエリアに移動して発生する。コミカルなものから少しほろりとくるものまでさまざまだ。サブストーリー中の選択肢によって伸ばせる人間力の種類が変わるので、それを意識して選んでみよう。

▲プレイスポット「名画座」

プレイスポットで遊ぶことでも人間力はアップする。本作で新しく登場したプレイスポットが「名画座」と「ドラゴンカート」だ。上映中に眠くなるという映画館あるあるをゲーム化したのが名画座。映画を見ていると羊の頭をした「睡魔」たちが襲ってくるので、タイミングよくボタンを押して眠気に勝とう。

▲プレイスポット「ドラゴンカート」。ロケランで敵を妨害!

ドラゴンカートはなんでもありの改造カートレースゲーム。ガトリングガンやロケットランチャーを使い、敵のカートを破壊しながら1位を目指す。お金を払うとカートのアップグレードが可能で、スピード・耐久力・操作性を向上できる。


資格学校は人間力を大幅にアップできるプレイスポットだ。「スポーツ2級」「伊勢佐木異人町検定」などの資格試験があり、合格すると人間力が成長する。内容は雑学クイズに近い。この年になって初めて勉強した、と楽しげに春日が言うので、ついいろいろな資格を取らせたくなってしまう。

▲本作の新要素「会社経営」

人間力が上がると、「会社経営」で優秀な人材をスカウトできるようになる。会社経営は春日があるきっかけから、倒産寸前の「一番製菓」の社長になるミニゲームだ。人材管理・資金調達・営業活動を行い、横浜で株価ランキング1位の企業を目指す。

街では人間力だけではなく、仲間との絆も深めることができる。「パーティチャット」を聞いたり「絆ドラマ」をクリアして絆レベルを上げよう。絆レベルは仲間たちとの絆の強さを表したもの。絆レベルを上げると、仲間の使える技やジョブが増えていく。

▲左側に表示されているのがパーティチャット

▲春日たちのたまり場「サバイバー」では、仲間をもっとよく知ることができる

「パーティチャット」は街の特定の場所に行くと聞けるボイスドラマ。春日と仲間たちが繰り広げる他愛もない会話なのだが、これがとても癒しになる。フルボイスで100個以上用意されているのが豪華だ。似たようなものとしては、飲食店で特定のメニューを頼むと聞ける「宴会トーク」がある。

春日たちのたまり場「サバイバー」では、「絆ドラマ」というイベントが展開される。パーティチャットが楽しい会話なら、絆ドラマは仲間たちの悩みや秘密に迫るイベントだ。メインストーリーでは語り切れない仲間たちの一面を見られるので、彼らへの愛着が深まるのが良い。絆ドラマをすべてクリアすると、春日とその仲間による連携技「絆技」を解放できる。

シリーズ未経験者はもちろん、
元気になりたい人にプレイしてほしい一作


本作は今から『龍が如く』の世界に飛び込む絶好のチャンスといえる仕上がりになっている。新しいストーリーは初心者でも入りやすく、前知識がなくても十分に熱狂できる。戦略性とライブ感を備えた戦闘は、多くの人が慣れ親しんでいるだろうターン性コマンドバトルが元なので、抵抗なく楽しめるはず。『龍が如く』シリーズが気になっていた人にぜひおすすめしたい一作だ。

月並みな言い方になってしまうが、最近気分が落ち込みがちな人にもプレイしてほしいと感じた。『龍が如く7』は笑いと憧れをくれる。筆者は奇抜な極技やミニゲームに大いに笑わせてもらった。そしていつもまっすぐな春日の生き様、仲間たちとの関係性に憧れた。本当はもっと良い人間になりたいし、このご時世では仲間と交流を深めることも難しいからだ。今は憧れるしかないものばかりだが、憧れはどん底から少しでもマシな場所へ行くための目印で、たどり着けなくても目指すだけで意味がある。勇者や荒川真澄への憧れに突き動かされる春日の姿を見ると、不思議とそう思えてくるのだ。もしあなたが日々の生活に疲れているなら、『龍が如く7』は重い腰を上げてプレイする価値が十分にある。

© SEGA

●タイトル:龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル
●ジャンル:ドラマティックRPG
●発売元:セガ
●開発元:セガ
●プラットフォーム:PC(Steam、Microsoft Store)
※PS5、Xbox One、Xbox Series X|Sでも発売中
●発売日:
●価格:通常版6589円(税込)/ ヒーローエディション 7689円(税込) / レジェンダリーヒーローエディション 9889円(税込)
●必須スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i5-3470 または AMD FX-8350 (Requires a CPU supports the AVX instruction set)
メモリー: 8GB
グラフィック:Nvidia GeForce GTX 660 2GB または AMD Radeon HD7870 2GB
ストレージ: 40GB
●推奨スペック
OS: Windows 10 64bit
プロセッサー: Intel Core i7-6700 mataha AMD Ryzen 5 1400 (Requires a CPU supports the AVX instruction set)
メモリー: 8GB
グラフィック: Nvidia GeForce GTX1060 3GB または AMD Radeon RX580 4GB
ストレージ: 60GB
●公式サイトURL:http://ryu-ga-gotoku.com/seven/
●ダウンロードサイトURL:
Steam
MS Store
【連載】Alienware Zone PCゲームレビュー<2021年版>

WRITER RANKING プロゲーマーやゲーム業界人などの人気ライターランキング