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『Opus Magnum』人はなぜ遊ぶのかを思い出させてくれる良質パズル【インディーゲームレビュー 第47回】
子どもは砂場で何時間でも遊び続けられるが、大人になるにつれて難しくなる。自由な発想でルールを発見できなくなるからだ。縛りプレイが楽しいパズルゲーム『Opus Magnum』もまた、あえて本編の制約を緩くすることで遊びの本質を浮かび上がらせている。
なぜ人はこのように現実世界(ないしゲーム世界)の中から自分なりの制約を見つけ出し、そこに挑戦しようとするのだろうか。一つには『Return of the Obra Dinn』のレビューで論じたように、人は難易度とスキルのバランス状態に浸りたいからだと考えられる。人間は進化の過程で環境から受ける淘汰圧を克服することに成功したが、その反動で「飽きる」ことも覚えてしまった。人が自分なりの制約を見つけ出し、挑戦してしまうのは、何千年も続いた狩猟採集時代の名残なのかもしれない。
具体的には画面の左側には上から「生成物」「試薬」「アーム」「命令パネル」が並び、画面の下側には各々のアームに命令を設定するプログラムエリアがある。アームと試薬を画面上に並べ、命令パネルを組み合わせて生成物を作りあげる。プログラムが完成したら、あとは自動的に生成物が作られていくのを見守るだけだ。完成した変成装置は、動きをアニメーションGIFとして出力することもできる。ネット上にはさまざまな「作品」が公開されており、見ているだけで楽しい。
■Web上で公開されているGIFアニメーションの数々
・https://togetter.com/li/1184049
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSYhVNhUEAIbhy2.mp4
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSYWcjVWkAIMRwI.mp4
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSXf86gWAAAOs77.mp4
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSYD-k4V4AAlDtQ.mp4
クロスワードパズルやジグソーパズルなど、アナログゲームには長いパズルの歴史があり、さまざまな種類が存在する。原則として個々のパズルの解法は一つだけだ。しかし、デジタルゲームでは本作のように、多彩な解法があるパズルが存在する。これはデジタルゲームの特徴の一つだと言えるだろう。だからこそプレイヤーは自分だけの制約を課して、さまざまな楽しみ方ができる。本作はパズルゲームの文法を借りて、遊びの本質を提示しているのだ。
■関連リンク
Steam『Opus Magnum』販売ページ
https://store.steampowered.com/app/558990/Opus_Magnum/
開発・販売元「ZACHTRONICS」公式サイト
http://www.zachtronics.com/
子どもはなぜ横断歩道の白線を踏んで渡るのか
「子どもは遊びの天才だ」などと良く言われる。実際に子どもが遊ぶ姿を観察すると、思いも寄らない遊びを発見することに驚かされる。横断歩道の白線部分を踏んで渡る行為は一例で、なぜわざわざそのような遊びを発見してしまうのか、疑問に感じられるほどだ。もっとも、ゲーマーの中にはあえて開発者が想定した遊び方から離れ、自分なりのルールでゲームを遊ぶ姿も見られる。これもまた、横断歩道の白線を踏んで渡る遊びと等しいと言えるだろう。なぜ人はこのように現実世界(ないしゲーム世界)の中から自分なりの制約を見つけ出し、そこに挑戦しようとするのだろうか。一つには『Return of the Obra Dinn』のレビューで論じたように、人は難易度とスキルのバランス状態に浸りたいからだと考えられる。人間は進化の過程で環境から受ける淘汰圧を克服することに成功したが、その反動で「飽きる」ことも覚えてしまった。人が自分なりの制約を見つけ出し、挑戦してしまうのは、何千年も続いた狩猟採集時代の名残なのかもしれない。
変成機関の上で試薬をつなげて目標生成物を作る
今回取り上げる『Opus Magnum』も、プレイヤーごとにさまざまな工夫が凝らせる良質なパズルゲームだ。テーマは錬金術で、プレイヤーは変成機関と呼ばれる装置の上で試薬をつなぎあわせ、ミッションごとに異なる生成物を作り出していく。鉛と水銀の化合を繰り返して金を作るといったことも朝飯前だ。もっとも、変成機関を的確に動作させるには、限られた制約のもとで変成装置を効率的に組み立て、動きをプログラムする必要がある。このロジック構築がパズルになっているのだ。具体的には画面の左側には上から「生成物」「試薬」「アーム」「命令パネル」が並び、画面の下側には各々のアームに命令を設定するプログラムエリアがある。アームと試薬を画面上に並べ、命令パネルを組み合わせて生成物を作りあげる。プログラムが完成したら、あとは自動的に生成物が作られていくのを見守るだけだ。完成した変成装置は、動きをアニメーションGIFとして出力することもできる。ネット上にはさまざまな「作品」が公開されており、見ているだけで楽しい。
■Web上で公開されているGIFアニメーションの数々
・https://togetter.com/li/1184049
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSYhVNhUEAIbhy2.mp4
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSYWcjVWkAIMRwI.mp4
・https://video.twimg.com/tweet_video/DSXf86gWAAAOs77.mp4
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パズルはデジタル化されることで解法の多様性を獲得した
このように本作の醍醐味がクリア後の自由なデザインにあるのは間違いないだろう。実際、同じ生成物を作る上でも、本作には様々なクリア方法がある。「低コストで仕上げる」「できるだけ短い時間でクリアする」「見た目に美しい構造にする」など、自分なりの制約を加えてプレイしはじめると、楽しさは倍増だ。しかもSteam Workshopにも対応しており、自分でパズルを制作したり、共有したりすることもできるため、いつまでも遊び続けられる奥行きがある。クロスワードパズルやジグソーパズルなど、アナログゲームには長いパズルの歴史があり、さまざまな種類が存在する。原則として個々のパズルの解法は一つだけだ。しかし、デジタルゲームでは本作のように、多彩な解法があるパズルが存在する。これはデジタルゲームの特徴の一つだと言えるだろう。だからこそプレイヤーは自分だけの制約を課して、さまざまな楽しみ方ができる。本作はパズルゲームの文法を借りて、遊びの本質を提示しているのだ。
一定の法則にもとづき試薬を盤面から取り除いていくミニゲームも内包されている
ゲームは街の名家を巡る陰謀を背景としたストーリー仕立てで進行する
■関連リンク
Steam『Opus Magnum』販売ページ
https://store.steampowered.com/app/558990/Opus_Magnum/
開発・販売元「ZACHTRONICS」公式サイト
http://www.zachtronics.com/
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